オンラインゲーム実況アナウンサー・yukishiroさんによる連載コラム「yukishiroの熟れたてFPS」。第5回では、FPSの元プロゲーマーとして活躍したyukishiroさんが初心者から上達に伸び悩む人たちへの「AIMING」上達法を語ります。
早いこと第5回となりました「yukishiroの熟れたてFPS」。いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。
さて、今回のテーマは、FPSでは基礎である「AIMING」。敵を倒すには最も必要なテクニックとなっておりますので、FPSを始めたばかりの初心者から、上達に伸び悩む中級者に向けて、僕なりの「AIMING」の上達方法をご紹介いたします。
AIMINGとは
「狙いを定める」という事です。日本だと、AIMINGに自信のあるプレイヤーは「AIMer」や、「AIMが強い」等と言われます。
FPSでは、視界の中心点に照準があるため「狙いを定める」ために、「画面の中心を敵に合わせる」という事になります。基本的には、殆どのゲームでは照準の中心通りに弾が飛ぶようになっているため、正確に狙えれば狙えるほど、スコアは上がっていきます。
今回は、僕が過去の記事でも何度か触れているような「リアル系」と分類されるジャンルのFPSに沿っていきます。
マウス感度の落とし穴
まず最初にチェックしておきたいのが「マウス感度」。マウスの移動距離に対して、画面の視点移動がどれだけ早くなるか、という設定ですが、上にも書いた通り、「視界の中心点に照準がある」という事なので、周辺の視野を得るためには、マウスを動かさなければなりません。
素早く、快適に視野を確保するには、マウス感度は高ければ高いほどマウスの移動距離が減るわけですから、当然楽になります。
しかし、これが落とし穴です。慣れない内は、とにかく敵を「画面内に収める」事に精一杯で、AIMINGを二の次にしてしまうのです。マウス感度が高ければ、その分細かなAIMINGが難しくなってしまいます。
更に、「敵を発見した時」、「クリックで射撃する瞬間」等、マウスに対して腕の力の入れ具合が常に変化するため、安定した命中率を誇る事は至難の業と言えます。
改善方法は、まずマウス感度を下げる事。自分の周辺環境(マウスの可動範囲、マウスパッドの面積)に合わせて、ギリギリ振り向く事が出来るマウス感度まで落としてみましょう。
勿論、視野の確保は遅くなりますが、AIMINGは確実に安定化するため、ある程度マウス感度に慣れてきたら、自分のプレイスタイルに合わせて、マウス感度を微調整するのが良いでしょう。
照準の位置に気をつける
AIMINGは、マウスの移動距離を減らせば減らすほど簡単になります。止まっている敵に対して「照準を合わせて射撃する」事と、「照準が合っているので射撃する」事では、後者のほうが効率的なのは明らかです。
照準の位置を、常に敵が出てくる位置、または次に戦う可能性がある方向に置いておくだけでも、効率的な動作になり、「敵が居ると仮定する」という意味では意識改善も伴い、反応速度も良くなります。
次に、多くのリアルFPSでは「ヘッドショット」を狙う事で、大きなダメージを与える事が出来るので、勿論狙っていきたい所です。
ここでも、上で話した事と同じ要領で、「照準を頭に合わせて射撃する」よりも「照準が頭に合っているので射撃する」が効率的なので、敵が飛び出してくる場合、照準の高さを頭の位置に合わせておく事で、ヘッドショット率はグンと上がります。
照準の位置一つで、AIMINGの効率が大きく変わるため、今まで考えなかった方は是非、意識してプレイしてみましょう。
リコイルコントロールを覚える
多くの銃器は、連射する事によって、照準通りに弾が飛ばなくなりますが、その反動をマウス操作によって制御することをリコイルコントロールと呼びます。リコイルコントロールを出来るようになると、命中率が飛躍的に上昇する為、撃ち合いにおいての勝率が上がるわけですから、上達には欠かせないテクニックです。
まずは、壁を撃つことで生じる弾痕を見て、弾の飛び方のパターンを覚えましょう。縦のリコイルコントロールから覚えて、戦場でも感覚的に行えるようにすることで、AIMINGに支障をきたす事無く、命中率を上げる事が出来ます。
例外ですが、そもそも一定以上撃つとランダムで四方八方にブレる「サドンアタック」の「AK47」の様な場合は、無理なリコイルコントロールを止めて、大人しく撃ち直すといった手段が一般的です。自分の使っている銃器に合わせて、適切な方法を探ってみましょう。
初弾を当てる
初弾を当てる、という事は、AIMINGという意味では最も重要な部分となります。正確に初弾を当てる事で、以降の連射が断続的にヒットし易くなりますが、感覚に寄る所も大きいため、慣れない内は常に初弾意識で射撃しましょう。
さて、肝心の練習方法ですが、敵を発見したら、必ず一呼吸置いて、照準が敵と合ってい事を確認した後に撃つ事です。的が変わってしまうと、感覚として身につかないため、出来る限り実践で練習することが好ましいです。焦らず、ゆっくりと狙いをつける事に専念しましょう。
感覚に頼り過ぎない
中級者が陥る「不調」の原因として、感覚的なプレイに左右されてしまう事があります。「いつもなら当たるのに」「思った通りに弾が当たらない」と、ぼやいてしまう。
勿論、体調が悪かったり、細かなプレイ環境が普段と違えば、調子を崩してしまうのは当然ですが、いつも通りのはずが、調子が安定しない事は多々あります。
それは、感覚に頼ったAIMINGが原因です。AIMINGに慣れてくると、ゆっくり狙いをつける事も無くなり、素早く効率的な照準移動、マウス捌きが可能です。しかし、感覚に頼ってしまっている故、細かい部分が少しでも変化すると、すぐ乱調してしまう。
本来、マウスの移動も1ミリ単位で照準が動くわけですから、感覚化させるのは、とても難しい事です。ですから、当然乱調が起きてもおかしい話ではありません。更に、練習とはいえ同じMAPを繰り返していれば、殆どが「予測の置きAIM」が多くなり、無意識なプレイが増えていき、その結果、上達も遅くなってしまいます。
もし、乱調に陥った場合は、初心に帰って、再び初弾を当てることに専念しましょう。意識することで感覚をとり戻し、感覚をより良いものにしていく事が、上達への最善の一歩です。
AIMINGに妥協はしない
僕が現役の時、感覚化したAIMINGを少しでも損なわない為に、細かな環境にも気を配りました。慣れたマウスの握り方は記憶して、忘れないように写真で保存。椅子の高さも測っておき、腕の位置も覚えておきました。
細かな部分ですが、徹底してこそ上達するもの。初心者でも、伸び悩む中級者でも、この機会に「意識したAIMING練習」をしてみると、他のプレイヤーに差をつける事が出来る事でしょう。
yukishiro
オンラインゲーム実況アナウンサー。様々なFPSタイトルの大会を実況している傍ら、プレイヤーとしても世界大会に出場した経歴を持つ。