JOGA、「ランダム型アイテム提供方式」およびオンラインゲームのセキュリティに関するガイドラインを発表

一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)は、「オンラインゲーム安心安全宣言」における新項目として「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」および「オンラインゲーム・セキュリティガイドライン」を作成・公表した。

JOGAは8月1日、利用者に安心してオンラインゲームをプレイしてもらうことを目的とした「オンラインゲーム安心安全宣言」の改訂版およびこの中の項目である「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運営ガイドライン」を作成し、これを公表いたしました。

この度これに加え、ランダム型アイテム提供方式(通称ガチャ)における、有料ガチャの表示や設定、運用に関する事項、内部監査に関する事項等を記載した「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」と「インシデント発生時の情報共有に関するガイドライン」、「リスト型アカウントハッキングに対する対策ガイドライン」、「ワンタイムパスワード等セキュリティソリューションガイドライン」、「セキュリティベンダー関連団体との連携ガイドライン」という4 つのガイドラインから成る「オンラインゲーム・セキュリティガイドライン」を作成いたしました。

これらのガイドラインは、「オンラインゲーム安心安全宣言」における各項目の具体的な対策を記したものですが、「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」は、有料ガチャにフォーカスし、ガチャの表示や設定をゲーム利用者に対してわかりやすく説明し、事前告知のないガチャアイテム提供割合変更の禁止、有料ガチャ利用条件やガチャアイテムの内容に関する事実相違表示や利用者に誤認されるおそれのある表示の禁止等記しています。

また、「オンラインゲーム・セキュリティガイドライン」は、インシデント発生時会員企業間でインシデントに関する情報を共有しゲーム利用者の被害を防ぐためインシデント関連情報の有効活用を目的とした「インシデント発生時の情報共有に関するガイドライン」、不特定の企業等から流出または盗んだID、パスワードをまとめたリストをもとに、悪意ある第三者が企業サイトに不正アクセスを試み、ログインが成功したIDデータを入手するリスト型アカウントハッキング対策を講じる「リスト型アカウントハッキングに対する対策ガイドライン」、ワンタイムパスワード等セキュリティ・ソリューションを通して不正アクセス抑止とゲーム利用者の安心安全なサービス提供を目的とした「ワンタイムパスワード等セキュリティソリューションガイドライン」、セキュリティベンダーやセキュリティ関連機関との連携を通してインシデントの未然防止とインシデント時の被害拡大防止を目的とする「セキュリティベンダー関連団体との連携ガイドライン」から成ります。

JOGA会員企業は、上記のようなガイドラインを作成し、会員企業がこれらを遵守することにより各種法令の遵守とさらなる利用者保護に努めてまいります。

ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン

本ガイドラインは、JOGA加盟事業者が「オンラインゲーム安心安全宣言」に立脚したオンラインゲーム(インターネットに接続された端末機器、主にパソコンによってプレイするゲームをいう)の企画・開発および運営・運用を実施するにあたり、各種法令の遵守および消費者保護の観点から、利用者の皆様が安心して楽しめるゲームサービスを提供するために策定されたものである。

本ガイドラインは、JOGA内に設置したワーキンググループにて継続して適宜検討し、変化に富んだオンラインゲームをとりまく環境を踏まえ、随時更新するものとする。

JOGA加盟事業者は、オンラインゲームのシステムおよび基幹システムプラットフォーム等のインフラ環境に依存せず、各社独自のオンラインゲームサービスを提供しているため、各サービスにおいて、以下の各項目の要件を遵守していくこととする。

1.本ガイドラインの各種用語の定義

(1) 本ガイドラインにおいては、各種用語の定義は以下に掲げるとおりとする。

a. 「ランダム型アイテム提供方式」

一般的には「ガチャ」と呼ばれる、文字、絵、符号等を電磁的に表示した、オンラインゲーム上で使用できるキャラクター、アイテム等(以下、アイテム等)を、偶然性を利用してアイテム等の種類が決まる方法によって提供する方式をいう。

b. 「有料ガチャ」

利用者が有料で利用するランダム型アイテム提供方式をいう。

c. 「ガチャアイテム」

ランダム型アイテム提供方式により利用者に提供されるアイテム等をいう。

d. 「ガチャレアアイテム」

有料ガチャにより提供されるガチャアイテムであって、同一の有料ガチャにより提供される他のガチャアイテムと比較して、顕著な特徴を有するもの、提供割合が低いもの、または提供数や期間が限定されたもの等、顧客を誘引する目的で提供されるものをいう。

2.有料ガチャの表示に関する事項

(1) 有料ガチャに関する、以下に掲げる各情報を、各オンラインゲームタイトルの公式サイトのトップページもしくは有料ガチャを提供する各種画面またはこれらのページからリンクされたページ(以下、総称してガチャページ)に掲載し、利用者が容易にこれを閲覧出来るようにする。

a. 有料ガチャにより提供されるガチャアイテムについて、名称、イラストまたは種別等を用いて、利用者が獲得出来る全てのガチャアイテムを予め確認出来るように表示する。

b. 有料ガチャにおいてガチャレアアイテムを提供している場合、当該ガチャレアアイテムを表示する。

c. 有料ガチャにより提供数または提供期間が限定されているガチャアイテムを提供している場合、その提供数または提供期間等の内容を表示する。

d. 有料ガチャにおいてキャンペーン企画等によりガチャアイテムの提供割合を変更する(増加および減少の双方を含む)場合、当該変更の条件および変更の度合いを事前に表示するものとする。なお、当該表示は、キャンペーン企画等が開始される日の前日までに行うことが望ましい。

e. 有料ガチャにおいて重複して同一のガチャアイテムを入手する可能性の有無およびその条件等を表示する。

f. 有料ガチャにおいて不具合が発生した場合、速やかにその事実を表示する。

3.有料ガチャの設定に関する事項

(1) 有料ガチャにおいてガチャレアアイテムを提供する場合、以下のいずれかを遵守するものとする。

a. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額(その設定された提供割合から期待値として算定される金額をいう)の上限は、有料ガチャ1回あたりの課金額の100倍以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額または倍率を表示する。

b. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は50,000円以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額を表示する。

c. ガチャレアアイテムの提供割合の上限と下限を表示する。

d. ガチャアイテムの種別毎に、その提供割合を表示する。

(2) 有料ガチャについては、下記のいずれかを遵守するものとする。なお、有料ガチャにより提供されるガチャアイテムの価値について、その価額が明記されていない場合、可能な限りにおいて、その類似または同類のアイテム等の価額を参照するものとする。

a. 有料ガチャ1回利用時に提供されるガチャアイテムの価値は、有料ガチャ1回の価額と同等またはそれ以上とする。

b. 有料ガチャ10回利用時に提供されるガチャアイテムの提供割合の期待値上の価値は、有料ガチャ10回の価額と同等またはそれ以上とする。

c. 有料ガチャの利用金額の総計が5,000円の場合、有料ガチャから提供されるガチャアイテムの提供割合の期待値上の価値は、5,000円と同等またはそれ以上とする。

(3) 何らのガチャアイテムが提供されない可能性がある有料ガチャの提供は行わない。

4.有料ガチャの運用に関する事項

(1) ガチャアイテムの提供割合は、事前の告知無くこれを変更しない。ただし、緊急を要する場合はこの限りでは無いが、変更の可能性が生じた時点から可及的速やかにその旨を告知するよう努めるものとする。

(2) 有料ガチャの運用については、運用責任者を定めることとする。

a.運用責任者は、有料ガチャの提供の前に、当該有料ガチャにおけるガチャアイテムの提供割合を承認するものとし、当該承認の事実を書面等により記録する仕組みを社内に構築するものとする。

b. 運用責任者は、有料ガチャが設定された通り適切に稼働することを確認し、書面等により確認の結果等を記録する仕組みを社内に構築するものとする。

(3) 有料ガチャにおけるガチャアイテムの提供割合を安易に変更出来ないよう、システムの設計に留意するものとする。

5.禁止事項

(1) 有料ガチャの利用条件やガチャアイテムの内容に関して、事実に相違する表示、実際のものよりも著しく優良、有利、その他利用者に誤認されるおそれのある表示をしてはならない。

(2) 有料ガチャについて、不当景品類及び不当表示防止法第三条および懸賞による景品類の提供に関する事項の制限第五項に違反する一切のサービスを提供してはならない。

6.内部監査に関する事項

(1) 本ガイドラインが適切に運用されるよう、監査を行うものとする。

(2) 監査は、もっぱら内部監査のために設置された部門がこれを実施することが望ましいが、該当部門が無い場合、有料ガチャの運用を担当する部門から独立した他の部門がこれを実施するものとする。

(3) 監査の結果、何らかの不適切な事実が発見された場合、各事業者の責任において、速やかにその改善を図るとともに、再発の防止策を整備するものとする。

7.附則

本ガイドラインは、別途JOGA が定める各種ガイドライン等に留意し、適切に解釈運用されるよう努めるものとする。

2012年8月2日制定
2012年9月1日施行

コメントを書く

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

ゲームコラボ情報

おすすめオンラインゲーム情報

おすすめオンラインゲーム情報