日本オンラインゲーム協会(JOGA)は、本日7月23日に「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2013」発表会を開催し、2012年におけるオンラインゲーム市場の調査結果を発表した。
発表会の冒頭ではJOGAの会長である植田修平氏より、2012年のオンラインゲーム市場動向が語られた。
まず、オンラインゲームの運営会社は2009年以降増加傾向が続き、2012年には135社に達した。これは2011年に続き、携帯電話やPC向けのソーシャルゲーム企業が参入してきた結果だという。
オンラインゲームのタイトル数も同じく増加傾向で、特にMMOゲームを中心とした継続ゲームが強いが、新規でスタートしたタイトルはWebゲーム(ブラウザゲーム)の割合も高くなってきているとのこと。
ジャンル別で見るとカジュアルゲームが大きな伸びを見せており、2012年には200タイトル以上のサービスが行われていた。これは、2007年以降は常に最多だったMMOゲームを抜いて最も多いタイトル数となっている。そのカジュアルゲームの中でもWebゲームは増加傾向にあり、割合としては65%を占める。
開発した国別のタイトル数を見ると、日本国内で開発されたゲームタイトルが増加しており、これまで安定した数字を見せていた韓国産のゲームを上回る結果になったほか、中国・台湾のゲームも増えてきている。ジャンルとして見ると、MMOゲームがやや減少傾向にあるとのことだ。
Webゲーム限定のグラフでは、日本産タイトルが全体の68%を占めており、次に多いのは中国・台湾産のゲームで全体の20%となっている。
課金モデルに関してはここ数年と変わらずアイテム課金が主流で、約70%の割合となっている。次に多いのはゲームをパッケージ販売し、その後のサービスを無料で提供するビジネスモデルとなっていた。
ユーザーごとの月平均の課金額では前年比108%の5,656円ということで、JOGAが調査を始めて2004年以降ではもっとも高い結果になっている。定額課金についてはここ数年でほぼ動きがなく、前年と同様であると報告された。
アイテム課金を行う年齢層については、PCオンラインゲームは13歳から29歳の層が、PCソーシャルゲームは30歳から60歳以上の層が多くなっており、PCという同じプラットフォームでありながらジャンルによって年齢分布が大きく異なる。
その中でも23歳から29歳の層がアイテム課金のコアユーザーとなっており、前年比110%と課金増加率が高くなっている。逆に12歳以下の層についてはここ数年のなかでもっとも低い調査結果となった。
男女比率を見ると、2011年まで増加していた女性ユーザー層の割合がいったん落ち着き、PCオンラインゲーム、PCソーシャルゲームともに若干ながら減少している。ソーシャルゲームはオンラインゲームと比べて女性の割合が高いのは例年通りだ。
2012年のオンラインゲーム市場規模は約1,420億円と、前年と比較して101%の成長となった。内訳はパッケージ販売売上が前年比112%と高く、PCパッケージゲームの売り上げ減少をカバーする形に。ゲーム運営サービス売上も同じくコンソールゲームが強さを見せているが、これは一部大型タイトルのサービス開始が影響したと植田氏は語っていた。
日本産ゲームタイトルの海外輸出(ライセンスアウト)の売上は約7億3,400万円という結果になり、主なライセンスアウト先として、韓国、台湾などの東アジア、東南アジア諸国、北米といった地域が挙げられていた。なお、海外における国産タイトルの売上は約97億円と、前年比104%の微増を見せている。
また、JOGAは昨年よりスマートフォンゲームの調査も開始しており、今回はその市場規模に関する発表も行われた。2012年のスマートフォンゲーム市場規模は約1,285億円で、スマートフォンの普及に合わせて規模が拡大している状況だという。ビジネスモデルの推移を見ると、2011年前半ではいわゆる売り切り型のダウンロード販売が主流だったが、同年後半にはアイテム課金型の基本無料ゲームが台頭し、以降はアイテム課金型のゲームが市場の大半を占める形となった。
市場規模は2012年春から9月にかけて2倍になり、さらに9月から年末にかけても2倍に拡大するなど、急速な成長を見せていると植田氏は述べていた。また植田氏によると、今回は市場規模の調査のみだったものの、今後はさらに調査を進め、詳細を発表していくとのことだ。
2012年のソーシャルゲームの市場動向
次にゲームエイジ総研の光井誠一氏が登壇し、2012年のソーシャルゲームに関する市場動向が報告された。
まず年度別のソーシャルゲーム市場規模の推移としては、1,000億円を超えた2010年以降も順調に成長を続け、2012年には4,351億円に到達したという。光井氏によるとこの数字は、ゲーム専用機の市場に匹敵する規模とのことで、さらにWebアプリの売り上げも含めれば、ゲーム専用機市場を上回るとの見方を示した。
一方で、ゲーム専用機市場の規模はここ数年で300億円程度しか減少していないというデータもあるそうで、ソーシャルゲームとコンソールが共存する環境になっていると光井氏は語った。
携帯電話を持つ人のゲームコンテンツ利用状況では、iPhoneユーザーがもっともゲームをプレイしており、Androidスマートフォンユーザーがそれに続く形となっている。これに対してフィーチャーフォンのゲームコンテンツ利用者は2割を切っている状況だ。
また光井氏はスマートフォンやタブレット、PCでゲームをプレイするユーザーのプロフィールについても発表し、男女ともに35歳から39歳がもっとも多い結果になったという。これは低年齢層や50代以上の層にスマートフォンなどの端末が普及しきっていないことも大きく影響しているとのこと。
プラットフォームごとのアクティブユーザー数ではPCが依然として高いものの減少傾向にあり、同じくフィーチャーフォンのユーザーも減少している。逆にスマートフォンはiOS、Androidともに順調に伸びているようだ。なお、ゲームの利用率としては依然としてiPhoneがAndroidを上回っているが、総じてスマートフォンの存在感がさらに増している印象だ。
主要ネットワークサービスについては、LINEが登録者数、ゲームユーザー数どちらも急速に数字を伸ばしている。一方でmixiやFacebookは登録者数が多いものの、ゲームのプラットフォームとしてはGREE、Mobageが強い状況だ。
アプリ別で見ても「LINE POP」が圧倒的な推移でアクティブユーザー数を増やしており、サービス開始から約半年で約500万人のアクティブユーザーを獲得しているそうだ。
最後に光井氏は「スマートフォンゲームのアクティブユーザーは確実に増えているが、ここからは課金ユーザーをどうやって増やすかが大きな課題」であると語った。この課題をクリアするためには投資効率を意識した、コンソールとはまったく違う考え方が必要だという見解を述べ、発表会を締めくくった。