各仕様の実装が見送られた理由とは?「ブレイドアンドソウル」の現状についてシニアマネージャー 朴 宰勲氏に訊いた

エヌ・シー・ジャパンが5月20日より正式サービスを開始した「ブレイドアンドソウル」。各仕様を見送った理由や今後の運営方針についてシニアマネージャー 朴 宰勲氏にメールインタビューを行った。

5月20日より正式サービスがはじまった「ブレイドアンドソウル」だが、ニコニコ生放送の番組で発表されていた活力システムや金貨取引所の実装が見送られるなどプレイヤーにとって今後の運営方針が気になるところだろう。今回、事業を統括するシニアマネージャー 朴 宰勲氏にメールインタビューを行い、各仕様が見送られた経緯や今後のアップデート計画について伺った。

正式サービス開始までの経緯について

朴 宰勲氏<br />
2012年11月撮影
朴 宰勲氏
2012年11月撮影

――遂に正式サービスとなったブレイドアンドソウルですが、現状の状況を簡単に教えてください。

朴氏:現在4サーバーで稼働しています。リミテッドトライアルから開けていた2サーバーについては、最初は人口集中により待機時間が発生しており、キャラクターの制作制限を設けていましたが、現在は緩和され、さらにコミュニティも徐々に活性化しつつあります。

――ニコニコ生放送の番組で五條氏が説明した各仕様の実装を見送った理由を教えて下さい。

朴氏:活力システムはゲームの進行をシステム側で抑制することで、コンテンツ消耗を抑えつつ色々な装備強化やアイテムファーミングなどのプレイをされることを想定していましたが、クローズドβテストやリミテッドトライアルで活力が切れるとログアウトし、ユーザーコミュニティが途切れたりと、こちらの思惑とは違った結果となりました。そのため、月額課金制でゲーム進行を阻害するシステムでしかない活力システムは実装意図とずれるため、見送ることになりました。

金貨取引所は活力システムで目論んでいたプレイスタイルが成立して初めて活性化する仕組みでしたが、活力システムの導入を見送ったため、金貨取引所を残すとゲーム内の経済に大きな影響を与える可能性がありました。結果的に月額課金のもう一つの手段として期待されていた機能を見送った形ではあります。しかし、結果的にはこの2つの機能を封じることでプレイ制限なく、ユーザーコミュニティもより発生しやすい環境になったといえます。こういった結果を事前予測できなかったのは事業統括をしている私の判断ミスでもありました。事前の情報が急に変更になり、お客様に混乱を与えてしまったことは大変申し訳ないと思っております。

――月額課金で強気の価格設定を行った理由と、価格発表が正式サービス直前の5月18日になった理由を教えて下さい。

朴氏:金額設定の理由は、コンシューマゲームソフトの平均価格が5000円を超えている点からいえば、月額3000円は、一定のご理解をいただける価格だと思っておりますし、その品質にも自信があります。その金額相応のサービスクオリティをご提供する覚悟で決定いたしました。

発表が5月18日になってしまったことについては、お客様のプレイスタイルと市場動向を最後まで慎重に分析するため、時間を要したことがその理由となります。

――オープントライアル以降、正式サービスを開始した直後もログインしづらい状況が続いていました。この点について、何故このような状況になったのでしょうか。

朴氏:現在は既に解消しておりますが、オープントライアルの際にはご迷惑をおかけして申し訳ございません。特定サーバーへお客様が集中する傾向がありましたが、なかなか分散されず、弊社の中でも解決策で相当悩みました。新しいサーバーへの誘導などを行い、正式サービスの週末からはログイン待機列を減らすことができました。

今後のアップデート計画について

――今回の水月平原アップデートの見どころをお願いします。

朴氏:まずはレベルキャップを45まで開放します。現状Lv36に到達したユーザーは装備がそろい始め、次のステージへの材料集めやアイテム強化など行っていることと思います。それに伴い、新たなフィールドボスやインスタンスダンジョンなどを追加することによって、より遊び方の幅が広がることを期待しています。

水月平原アップデートで追加される新エリア

今回のアップデートでもっとも気を付けていたのは「IDラスボスの歯ごたえ感」です。実はLv36まで存在するIDの難易度は意図的に低く設定しており、まずはアクション性の高いブレイドアンドソウルになれて頂きたいという背景がありました。しかし、予想外に皆さん、とても上手い!水月平原では倒し甲斐のあるラスボスを用意しましたので、挑戦欲が湧く内容になっていると思います。

さらに、フィールド上で金貨もドロップするようにしました。当初は「金貨取引所」があったので、フィールドドロップが控え目でしたが、「装備成長」などにはそこそこのお金が必要ですので、その辺のプレイ制限を緩和しました。

アップデートで追加される衣装の一部

――現在のプレイヤーの属性と動向はいかがでしょうか?

朴氏:多くのお客様がLv36に達してます。現在は武器成長のためにアイテムファーミングされるお客様もいますが、思ったより比武大会のような対人コンテンツを楽しんでいる方が多く、30%以上の方が参加されています。さらに、統合IDというシステムがよく利用され、他サーバーのユーザー同士でID攻略に励んだり、門派のメンバー募集や加入などコミュニティ活動が活発に行われています。

――韓国では数日前に大きなオフライン比武大会が開催されましたが、日本ではどのような施策をお考えでしょうか?

朴氏:通常の狩りを楽しんでいるお客様、対人要素を楽しんでいるお客様それぞれの状況を考え、狩りに関してもコンテンツの拡充やインゲームイベントで盛り上げつつ、オンライン・オフラインでの大会といった施策を検討しています。

先ず、ブレイドアンドソウルのストーリーを楽しんで頂きながら、装備や武器成長などの王道コンテンツを十分にプレイして頂くよう各種イベントやプロモーションを実施します。

また、対人要素を楽しまれるお客様が思っていたより多いと気づきましたので、対応をしていきたいと思います。「日本ではMMORPGでPvPや対人プレイが流行らない」という認識があったのですが、しっかりとした対人プレイの環境やルールがあれば、決してマイナーなコンテンツではないことがわかりました。将来的には国際大会なども実施したいと考えています。

――今後のアップデートで御社として適切なゲームバランスを保ちながら運営するために心がけていることがあれば教えて下さい。

朴氏:既存のプレイヤーでも常に先端にいる上級者プレイヤーだけを意識してコンテンツ拡充を続けていくことは後ろを顧みない危険な運営だと考えており、常に新規プレイヤーを取り込みつつ、カネとモノをゲーム内での川上から川下に流通させる経済バランスを意識しながら運営を行い、単なるレベル開放とコンテンツ追加にとどまらないよう留意していきたいです。

――次のアップデートの告知をされていましたが、今後の予定について決まっている内容があれば教えてください。

朴氏:活力システムを廃止した以上、予定より早くコンテンツ追加を行う予定です。これは年内に数回予定しており、「カンストでやることがない!」という状況はできるだけ発生しないようにスケジュールを組んでいきます。

――今後どのようなプレイヤーに楽しんでいただきたいですか?メッセージをどうぞ。

朴氏:新しくはじめられる方へはプレイ指南を拡充しながら、ストレスなく冒険と成長ができる仕組みを考えていきます。特に、ブレイドアンドソウルをきっかけにMMORPGを始められる方は「NCゲーマーズ」サービスをご利用ください。ミドルスペックのPCが、とてもお得な価格で提供されています。

ゲームサービスの面でも、プレイヤースキルによるゲームプレイが活性化するよう、課金アイテムによる直接的なキャラクター強化や強い装備の販売をするつもりはありません。従ってどんな方でもお楽しみいただける、プレイヤー同士のゲームでのつながりができるような施策づくりを心がけていきたいと考えています。

――ありがとうございました。

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