MMORPG「アーキエイジ」で11月19日に行われる大型アップデート「リヴァイアサン」を通じて、海にちなんだ各種コンテンツが一気に追加される。今回はこのアップデートに関して、開発会社XLGAMESでCEOを務めるジェイク・ソン氏と、日本運営プロデューサー 石元 一輝氏に詳しい話を聞いてみた。
ゲームオンのMMORPG「アーキエイジ」において、11月19日、次期大型アップデート「リヴァイアサン」が実施される。今回のアップデートでは、主に“海”にちなんだ各種コンテンツが実装される予定だ。開発会社XLGAMESでCEOを務めるジェイク・ソン氏と、日本運営プロデューサーの石元 一輝氏(GMルシウス氏)の2人に、アップデートの見どころや導入経緯などについて直接話を伺ったので紹介しよう。
XLGAMES CEO ジェイク・ソン氏(左)、アーキエイジ 日本運営プロデューサー 石元 一輝氏(右) |
プレイヤーを再び“海”に呼び戻す大型アップデート
――本日はよろしくお願いします。今回はジェイクさんも来日してくださったとのことで、わざわざありがとうございます。
XLGAMES CEO ジェイク・ソン氏(以下、ジェイク氏):各アップデートの開発経緯や、一足早く実装されている韓国での反響などをお話できればと思います。こちらこそ、よろしくお願いします。
――それではさっそく本題に入ります。今回のアップデートのメインコンセプトは“海”とのことですが、どのような経緯で海に決まったのでしょうか。
日本運営プロデューサー 石元 一輝氏(以下、石元氏):プレイヤーの皆様もご存知の通り、アーキエイジは自由度の高さをウリとするMMORPGです。その中の構成要素として“海”は欠かすことができません。自分自身で船を作り、その船に乗って貿易を行ったり、また積荷を狙う海賊との攻防などは、他のMMORPGでは味わえないでしょう。
ですが、2014年4月に実施した大型アップデート“エアナード”により、その状況が微妙に変わってしまいました。まず、フリーダムロードにある金貨交易商に、貿易品の納品ができなくなりました。そのほかのアップデートの影響もあり、プレイヤーが海に出るモチベーションが下がっていたんです。そして、貿易を行うプレイヤーが減ったことで、彼等を狙う海賊にとっても商売あがったりになるなど、ゲーム内の各方面に悪影響を及ぼしていました。
――問題がひとつのコンテンツに留まらず、他のコンテンツを含め連鎖的に影響を及ぼしていたと。
ジェイク氏:“エアナード”の実装後にプレイヤーの動向を調べてみると、そういった動きが顕著に表れていました。そこで、プレイヤーが海に戻って楽しんでもらうためのコンテンツ開発に着手し、それが今回のアップデートで実装される形となります。
――7月に開催された“1周年記念パーティー”の場で、「2014年下半期のキーワードは、“海”!」と発表されていましたが、当時から大きく変わった点などはありますか。
石元氏:基本コンセプトは変わりません。ただ、海に関する膨大なアップデート項目があり、全部同時に導入すると、逆にプレイヤーの皆さんが混乱してしまう恐れがあります。後ほど詳しく説明させて頂きますが、日本における状況を踏まえた結果、アップデートを2回に分けて行うことにしました。
クラーケンをも超える新たな海の支配者“リヴァイアサン”
――それでは、11月19日に実装される主なアップデートについて、順番に説明をお願いします。
石元氏:最初に紹介するのは、アップデート名称にもなっていますが、海に出没する最強のネームドモンスター“リヴァイアサン”です。出没エリアはサイレント海の広範囲で、クラーケンを上回る大きさと強さを誇ります。
ジェイク氏:これまでの強力なネームドモンスターというと、クラーケンやレッドドラゴンが挙げられますが、それらとのバトルは一箇所に留まって戦うものでした。しかしリヴァイアサンは、海中で頻繁に動き回り、それを船に乗った大勢のプレイヤー追いかけ回して戦うという、これまで無かった展開になっています。
――話を聞く限り、“捕鯨”のような感じでしょうか。
ジェイク氏:イメージとしては近いですね。リヴァイアサンのターゲットを引き付けて動き回るプレイヤーと、リヴァイアサンの後ろから大砲でダメージをを与えるアタッカー役の連携が要になります。ただし、リヴァイアサンはHPの残量に応じてアルゴリズムが変化し、また時折暴れ回るなど、仮に順調に進められたとしても一筋縄というわけにはいかないでしょう。
――討伐に必要な戦力はどれくらいでしょうか。
石元氏:テストサーバーで見た限り、大型船が10隻前後は必要な感じでした。ただ、戦闘中は頻繁な移動を伴うため、これまで以上にメンバー間による密な連携が必要になりそうです。戦術に加え、戦略レベルでの作戦が必要になると思われますが、実装後にどのチームが最初にリヴァイアサンを討伐するか、ぜひ注目したいです。
――以前レッドドラゴンが実装されたときは、あまりに強すぎて、結局1度も討伐されることなく弱体化を迎えていました。韓国のサーバーにおけるリヴァイアサンの討伐状況はどんな感じでしょうか。
ジェイク氏:韓国では7月に実装されているのですが、まだ1度も倒されていないですね(苦笑)。ネタバレになってしまうので簡単な説明に留めておきますが、後半戦に入ると、リヴァイアサンがのたうち回って周囲に衝撃波を浴びせるんです。実はこの攻撃は、強力なノックバックを伴っていて、それにより船から海に転落する人が続出するんですよ。トッププレイヤー間でも「これではあんまりだ!」という声が上がっているほどで、一言でいって阿鼻叫喚の様相を呈しています。
――光景を思い浮かべるだけで楽しそうな、いや壮絶な状況ですね……。でも、そこまで強いネームドモンスターだと、見事討伐したときの報酬も凄そうです。
ジェイク氏:リヴァイアサンが直接ドロップする品は、“中型帆船”の設計図をはじめ、ハイエンドに相応しい相応しい内容です。更に追加報酬があって、討伐したリヴァイアサンを港まで運ぶと、港に滞在している同じ勢力のプレイヤーキャラクター全員が、強力なバフを得られます。ですので、同じ勢力のチームがリヴァイアサンを討伐する際は、皆でサポートしてあげると良いですね。
――流石に討伐したリヴァイアサンは、船の“いけす”には入らないですよね。
石元氏:ええ。4隻くらいの船でリヴァイアサンを牽引していくことになるでしょうね。もちろん、その途中で敵対勢力や海賊から襲撃を受ける可能性も十分にあるでしょう。
――ネームドモンスターを倒しただけでは終わらないというのが、実にアーキエイジらしいですね。
海上に時折出没するネームドモンスター“幽霊船”
石元氏:続いて紹介する“幽霊船”は、1日に数回出没する、船の姿をしたネームドモンスターです。通常の幽霊船と“デルフィナードの幽霊船”という、強さの異なる2種類がランダムで登場します。リヴァイアサンやクラーケンほど強くはないので、比較的楽に討伐できますが、広範囲の海域にランダムで出現するので、まず見つけるのが大変だと思います(笑)
――実際にバトルを行うときは、プレイヤーキャラクターが幽霊船に直接乗り込んで行うのでしょうか。それとも、船同士が大砲を撃ち合ったりして戦うのでしょうか。
ジェイク氏:基本的に船同士が戦う感じですね。幽霊船を開発した背景としては、今後実装するコンテンツのために、船同士による衝突判定を検証していたところ、“衝突しない船”を実装したら面白そうだなと思ったんです。そこからストーリーなどを肉付けしていき、“幽霊船”というコンテンツとして実装することになりました。
――討伐に必要な戦力や、報酬はどういった感じでしょうか。
石元氏:通常の幽霊船は小型帆船が3隻前後。デルフィナードの幽霊船の場合は、5隻以上が必要になると思います。報酬も難易度に相応していて、通貨をはじめレアドロップで“中型帆船”用のカスタマイズ用のパーツなどが得られます。
プレイヤーの個性が発揮される“中型帆船”とカスタマイズ機能
――“中型帆船”と、帆船のカスタマイズ要素も、今回のアップデートで導入されるんですよね。
石元氏:はい。中型帆船は、従来ある小型帆船のアップグレード版です。移動スピードが早く、積載できる大砲の数も多く、パイプオルガンなどのユニークな設備もあります。その分、一人で操船できた小型帆船とは異なり、中型帆船では数名による役割分担が必要になります。
また、これまでの船は一律で同じ性能/外見でしたが、今回のアップデートにより、“船首、大砲、舵、マスト、帆、望遠鏡、荷物箱、動力”などをパーツ単位で交換できるようになります。移動速度を上昇させたり、砲門を増やして攻撃に特化させたりといった個性が出てくるわけです。
ジェイク氏:アーキエイジでは“帆”のデザインを自由に描くことができますが、中型帆船の帆はとても大きく、しかも複数枚あります。帆船のカスタマイズと合わせると、プレイヤーによってさまざまな個性が表れていて、盛り上がっていますよ。ちなみに中型帆船は2つのモードを切り替えられるのですが、これを見たプレイヤーからは、「変身ロボットみたい」といった反響がありました(笑)
――日本版のアーキエイジでも、色々な意味で個性豊かなデザインが登場しそうですね。
石元氏:個人的には、格好良さよりも、そっち方面の盛り上がりを期待しています(笑)
――船首も交換できるとのことですが、例えばここに“衝角”を取り付けて、船の体当たりで攻撃することは可能ですか?
石元氏:衝角もゲーム内に実装されますよ。操船が難しいと思いますが、上手く命中させられればPvPで大活躍しそうですね。
――例えばクラーケンやリヴァイアサンの討伐戦で、衝角を取り付けた数十隻の船が突撃するのは、見た目的にすごく楽しそうです。
石元氏:残念ながら衝角は、海上モンスターには効果がないんですよ。どちらかというと、今後実装される船同士によるPvPコンテンツで真価を発揮しそうな気がしています。
――カスタマイズ用のパーツの入手手段は、どのようになっていますか。リヴァイアサンや幽霊船からも一部ドロップするようですが。
石元氏:主に、海底からお宝を引き上げる“サルベージ”から得ることになるでしょうね。現在のサルベージは、報酬面がイマイチなのでそれほど人気が高くないのですが、今回のアップデートでの盛り上がりに期待しています。
日本では“PvEと製作”、“PvP”の2回に分けてアップデートを実装
――そのほかのアップデートに関してはどうでしょうか。
石元氏:追加エリアに関しては、今回のアップデートでは、旧大陸の“スパーキングビーチ”の隣に、“黄金の廃墟”が追加されます。このエリアの主な用途としては、キャラクターレベル50以上向けを対象とした経験値稼ぎと、新たに追加される“黒曜石武器2次(1~5段階)、黒曜石防具(1~5段階)”を製作するための素材品が得られます。あとは住宅用の土地が増えるのも大きいですね。
そのほか細かい部分だと、“製作服装(熟練度上昇効果付き)、ハウジング用の家具、農業ランキング/装備ランキングのシステム、目標システム”といったアップデート項目があります。そして、それ以外の海にまつわるコンテンツに関しては、後半分に持ち越しとなります。
――今回は“海”に関するアップデートを2回に分割していますが、どういった切り分け方になっているのでしょうか。
石元氏:ざっくり言うと、11月19日のアップデートで「PvE系と製作関連のコンテンツ」、後半分のアップデートで「PvP系のコンテンツ」をそれぞれ実装します。アーキエイジでは戦闘と生産のどちらも大切なので、基本的に双方並行してアップデートを行っていました。しかし、今回は更にPvPコンテンツもあり、トータルで見ると1回のアップデートの分量が多すぎて、プレイヤーの皆さんが混乱するのでは、といった懸念があったんです。
――なるほど。“1周年記念パーティー”での発表を見る限り、PvP系コンテンツに関しては“深淵の襲撃”が目玉になりそうな感じでしょうか。
石元氏:その通りです。今回のアップデートを通じて“中型帆船”などの準備を整えておけば、後半分のアップデートが実装された暁には、PvPでも大活躍できると思います。後半分の実装時期については、現在調整中で、確定次第何かしらの形でご紹介させて頂きます。
今後も戦闘と製作の両面でアップデートを実施予定
――今回のアップデート全体に関して、先に実装された韓国での反響はいかがでしょうか。
ジェイク氏:盛りだくさんのアップデート内容で、また実装時期が夏休みシーズンということもあり、マーケティングも頑張って行いました。その結果、想定していた以上のプレイヤーが参加してくれて、また定着率も高く、大きな手応えがありますね。
――具体的にどのコンテンツが人気ですか?
ジェイク氏:リヴァイアサンや幽霊船も人気ですが、一番はPvPの“深淵の襲撃”ですね。韓国のプレイヤーはPvP好きが多いんですよ。
――一連の“海”関連のアップデートが終わった後は、どのような展開を予定しているのでしょうか。
ジェイク氏:韓国版の話と前置きさせて頂きますが、現在開発中の次期大型アップデートにおける大きな柱としては2つあります。ひとつは“国家システム”で、これはプレイヤーが自分自身で勢力を設立できるというものです。そしてもう一つは、生産系コンテンツの深さと幅を広げる内容で、たとえばハウジングや農作業を主に遊んでいる方でも、十分にレベル上げが出来るようになります。
――モンスターの狩りやPvPに参加せずとも、自分が好きなコンテンツに関わっていれば、プレイヤーキャラクターが成長できるわけですね。
ジェイク氏:その通りです。戦闘と生産を同列に並べているのが、アーキエイジのメインコンセプトですからね。ちなみにその更に次のアップデートですが、順調に進めば新種族の追加を視野に入れています。
――おお、新種族の目処も立ちつつありますか。ちなみにワールドワイドでのサービス状況は如何でしょうか。
ジェイク氏:今年の初めにロシアでサービスを開始し、現在非常に好調です。また、北米とヨーロッパでは9月に正式サービスを開始しました。これまではアジア方面を中心にサービス展開を行ってきましたが、欧米圏でどのように受け止められるか、自分も楽しみにしています。
――近年はMMORPG、特に新規のIPがヒットしにくいと言われています。長年MMORPGに携わってきたジェイクさんから見て、どのように思われますか。
ジェイク氏:仰るとおり、現在の主流はモバイルゲームですね。出先ではもちろんのこと、たとえ自宅にいてもPCを立ち上げず、モバイルゲームを遊ぶような人が増えています。数年前のように、MMORPGの分野が急激に成長することは、現時点では考えにくいですね。
しかし、何百や何千もの人達が集まることで作り上げる感動は、モバイルゲームなどの他のプラットフォームでは決して味わうことができません。この感動が確かなものである限り、MMORPGのジャンルが無くなることはないし、最低でも現状維持の状態が今後も続いていくと見ています。
――日本では今年の4月にビジネスモデルを“基本プレイ無料+アイテム課金”(Free to Play)に移行しており、あれから半年が経過しました。現在の手応えはいかがでしょうか。
石元氏:Free to Playの移行時に大勢の方がアーキエイジを始められましたが、半年が経過して、彼等のレベルや装備の水準が、元からいた人達にようやく追いついてきました。それにより、双方のプレイスタイルのギャップも埋まりつつあり、いい感じになってきていると思います。
――現在の日本版のアーキエイジにおける大きな課題について、どのように認識されていますか。
石元氏:戦闘でも製作でも、プレイヤーさんが一度コンテンツを気に入ると、それを集中して遊び込む傾向があります。アーキエイジは遊び方の幅が広いですが、それだけにプレイヤーの視点では、どうやって遊んだらいいのかが分かりにくいという側面があるのかもしれません。なので、運営チームの側から、「他にもこういった遊び方があるんだよ」といった提案や紹介をしていかねばならないと感じています。
――分かりました。それでは最後になりますが、11月19日に実施される大型アップデート「リヴァイアサン」に向けて、意気込みをお願いします。
石元氏:日本ではサービス開始当時、“フリーダムロード”を中心とした海域で、頻繁に戦闘が行われていたのをよく覚えています。今回の“海”に関する一連のアップデートが実装される頃には、また当時のように、東西そして海賊も含めて何十隻もの船によるワイルドな海戦が見られたらいいな、と期待しています。あと、自分は“GMルシウス”としてゲーム内に頻繁にログインしているので、もし会ったときは感想などを気軽に聞かせて下さい。
ジェイク氏:XLGAMESは長年アーキエイジの開発を行っていますが、これからも休むことなくアップデートを続けていきます。先程も言いましたが、アーキエイジにはMMORPGじゃないと味わえない醍醐味がぎっしり詰まっているので、もし未経験の方でもMMORPGが好きなら、ぜひ一度触れてみて下さい。よろしくお願いします。
――本日はありがとうございました。
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