NHN Japanがハンゲームにてサービス中の「チョコットランド」では、10月6日に転職システムが実装予定となっている。今回、転職システム新情報や今後の予定などについて、開発陣に話を伺う機会が得られたので、その内容を紹介する。
ハンゲームでのサービスは4年半を超え、会員数は300万人を突破するなど多くのユーザーに楽しまれているオンラインRPG「チョコットランド」だが、今回、より遊びの幅を広げるために10月6日に「転職システム」が実装される。
気になる詳細はもちろん、さらなる今後の展開について、開発担当であるNHN Japan 有山尚光氏と高橋公輝氏にお話を伺うことができた。
転職導入の経緯やシステムについて
――「転職」を導入した理由についてお聞かせください。
高橋氏:今までの「チョコットランド」には厳密な職業という概念はなく、誰もがみな「冒険者」という存在でした。ステータスの割り振り方や、習得したスキルによって戦士タイプ、魔法使いタイプといった感じでした。それが今回の転職を実装することによって、より職業という概念を明確化しようという感じですね。転職をすることによってファイター、メイジ、シーフ、プリーストなどの各職業になれますが、これらはより役割分担の明確化や、戦略などを含めて、遊びの幅を広げる、それを一番の目的として今回実装することになりました。
普通のMOやMMOでは転職は当たり前ですが、「チョコットランド」ではそれを4年以上かけてやっと実装することになります。というのも、コンテンツにまだまだお客さんがたくさんついていらっしゃいますし、8月のアップデートでも賑わいを見せていますので、そこの反応を見てももう少し遊びの幅を広げたいとおいうのがありました。
8月の時は、ステータス異常を初めて追加し、戦略性に幅を持たせようとしたのですが、さらにコアユーザーさんがより楽しめるような仕様として、「転職」を導入し、より遊びを深めてもらおうというのが今回の趣旨です。
――転職すると、冒険者のデータと各職業のデータはどうなるのでしょうか?
高橋氏:転職は冒険者Lv20になると、ウィステラのNPCに話しかけることでいつでも転職可能です。転職すると、各職業Lvは1からのスタートになりますが、冒険者と各職業のデータはそれぞれ個別に保存されますので、冒険者のデータはそのまま残ります。つまり冒険者と各職業を切り替えて遊ぶという感じですね。
各職業はLv1からのスタートになりますが、冒険者よりもステータスは高く成長させられますし、MAX HPボーナスといった能力ボーナスが付く、スキル成長によって強力なスキルを習得できるといったメリットがあります。
また、繰り返しになりますが、各職業のステータスも積み上げ方式で蓄積されていきますし、何かのデータがリセットされるということはありませんので、好きなときに好きな職業で楽しむということが可能です。
――冒険者のステータスを保持しつつ、転職後のデータもそれぞれ独立しているということですね?
高橋氏:そうですね。冒険者のキャラクターデータは残りつつ、ファイター、メイジ、プリースト、シーフにもそれぞれキャラクターデータがあるという形です。
有山氏:キャラクタースロットがいつでも切り替えられるというイメージに近いかもしれません。
高橋氏:職業別にステータスは個別に管理されているので、転職屋に行くことでいつでも自由に切り替えられます。なのでそこは安心してください(笑)。
各職業の特徴や新しいポイント
――今回、実装されるそれぞれの職業の特徴について教えてください。
ファイター
高橋氏:ファイターは、既存の冒険者の戦士タイプの完全上位になります。攻撃スキルをたくさん覚えますし、防御面では壁役もできます。
アビリティスキル
MAXHPにボーナス
スキル
- 気合招撃:習得Lv10 あふれ出た気合を武器に全て集中させ渾身の一撃をはなつ
- ミダランブ:習得Lv20 息も尽かさぬ高速攻撃で敵に回復する暇を与えない
- バシスタン:習得Lv30 盾の力で攻撃する。モンスターが麻痺状態になることもある
- オイデーヤ:習得Lv30 一定時間モンスターを引きつけてその標的となる
- 気合斬:習得Lv40 一直線上の範囲内ターゲットにダメージを与える
メイジ
高橋氏:メイジは、既存の冒険者の魔法使いタイプの完全上位になります。強力な魔法スキルに加え、弱体化スキルも今回実装しているので、今までの魔法使いよりは違う戦略で遊べると思います。
アビリティスキル
一定時間毎にSPを自然回復する
スキル
- ドバムオン:習得Lv10 地獄の業火を召喚し、対象を焼き尽くす
- ビュージン:習得Lv10 空間の気圧差を強制的に生じさせ、対象を切り刻む
- ズバビガン:習得Lv10 膨大な光を集中させ、対象の体内から一気に爆発させる
- フリゴッド:習得Lv10 対象の周囲にある全ての水分を凝結させ、瞬時に消滅させる
- ネクロジャム:習得Lv10 冥界へつながる亜空間を創り出し、生命力を削ぎ落とす
- アブゾSP:習得Lv20 自らのHPと引換えに、対象のSPを吸取り自らのSPに換える
- フトスロン:習得Lv30 対象のいる空間を一時的に歪ませ動きを鈍くする
- マホギレネーゼ:習得Lv40 聖なる盾の力を身に纏い、効果時間中は中断されることなく魔法詠唱を完了できる
- バイダイン:習得Lv40 一定時間INTを代償とし、VITを上げて防御力を高める
プリースト
高橋氏:プリーストは、既存の冒険者の僧侶タイプの完全上位を目指して、バランス調整をしています。
アビリティスキル
範囲内にいるパーティのATKを上昇させる
スキル
- ルオニーナ:習得Lv10 癒しの光の強さに応じてHPを回復させる
- ジャステン:習得Lv10 聖なる力を凝縮し、立ちはだかる者に対して一気に解き放つ
- モアターク:習得Lv20 闘志の光の強さに応じてATKを向上させる
- モアモール:習得Lv20 護身の光の強さに応じてDEFを向上させる
- ホトナ:習得Lv30 癒しの光が一定時間毎に輝き、HPを回復させる
- ミナルニーナ:習得Lv40 癒しの光の強さに応じて範囲内にいる仲間のHPを回復させる
- パワダイン:習得Lv40 一定時間INTを代償とし、POWを上げて物理攻撃力を高める
- マモボン:習得Lv40 一定時間対象のDEFを下げ、物理攻撃で与えるダメージを上げる
- マホギレネーデス:習得Lv45 聖なる盾の力に護られ、効果時間中は中断されることなく魔法詠唱を完了できる
シーフ
高橋氏:シーフは、トリッキーなファイターというイメージで、特殊な攻撃スキルをたくさん覚えさせていて、毒付与などもそうですが、そのほかにも東京ゲームショウ2011(以下、TGS)では出してない新しいスキルも入っています。
アビリティスキル
一定確率でダブルアタックが発動する
スキル
- トンズーラ:習得Lv5 移動速度を上げて一気に駆け抜けるダッシュスキル
- バリゲットン:習得Lv10 敵を攻撃しながらその所持アイテムをサッと奪い去る
- コソバーン:習得Lv20 敵の攻撃を受けずに使用し続けることで威力を増す特殊な技
- ドキシック:習得Lv30 猛毒エキスを敵に吹きかけて一定期間毎にダメージを与える
- サケール:習得Lv50 一定時間物理攻撃を回避する。効果中は行動が制限される
――2次職の実装はいつごろになるのでしょうか?
有山氏:サムライ、ニンジャの登場など、すでに少し情報は出してしまったのですが、よりブラッシュアップして11月実装を目標としています。
――専門職の育成方法はどのような形になるのでしょうか?
高橋氏:キャラクターの育成方法は、冒険者と同様、Lvアップ時にもらえるステータスポイントを割り振れます。さらに専門職では、新たに追加されたスキルポイントというものが実装されて、スキルポイントを専用スキルに割り振ることでスキルをLvアップさせることができます。専用スキルは育成するたびにスキル能力がアップしますので、強いスキルができあがるという形になります。
――どのスキルであっても強化すれば使えるということですね。
有山氏:基本は専門スキルは初期Lvでもその時点で想定されるキャラクターレベルなりに使えるものにしたいと考えています。それを強化することでさらに強力なスキルになる。そんな感じですね。
――せっかく振り分けたのにあとで使えなくなってしまうと残念ですからね(笑)。
有山氏:将来的にはスキルポイントをリセットして振りなおせるようにはしたいと思います。
なお、今回の専門スキルは、冒険者スキルと異なり、ダメージに自分のステータスが結構依存するようになっています。今まではPOWとINTは依存していたのですが、特に実装が古いスキルは基本的に固定値でした。しかし、今回はSPD、LUK、VITなどいろんなところでパラメーターを入れているので、今まで通りに上げていくことで最強になるとは限りません。そのあたりも戦略性のひとつかなと思います。
――ステータスについても、今回変わった部分はあるのでしょうか?
高橋氏:冒険者の時からLvが上がるごとに3ポイントのステータスボーナスがあり、そのシステムはそのまま活かしてあるのですが、今回せっかく1次職になるということで、転職したLv1の状態でも冒険者のLv1よりは強くなるように予め初期ステータスにボーナスがついています。
――転職に合わせて実装される職業専用装備についてもお聞かせください。
高橋氏:職業専用装備については、グラフィックだけでなく、シーフ装備の「クナイ」のように、遠隔攻撃ができる武器も登場します。実は東京ゲームショウ2011(以下TGS)でも公開したのですが、みなさん今までの感覚で近接攻撃されていてあまり気づかれてなかったようですね(笑)。クナイは、初の遠隔武器になっています。この装備によって、かなり戦略が広がってくると思います。
――基本遠距離武器だとダメージが少ないゆえ、ソロプレイは難しそうに見えますが。
高橋氏:なにげにクナイはソロプレイもやりやすかったりします。離れたところから少しずつダメージを与えていって、さらに、シーフは毒スキルをもっているので、毒を与えてさらに離れたところから攻撃していけば、強い敵も倒せると思います。
東京ゲームショウ2011でのお客さんの反応は?
――TGSのパブリックデーでは、まさかの60分待ちという状況になり、大変盛況でした。想像以上に多くのお客さんがプレイされていましたが、直に反応を見る機会などはありましたでしょうか。
有山氏:パブリックデーでは、家族連れやお子さんが非常に多くて、みなさんプレイしてくださったんですが、「すごく楽しめた」と高評価をいただきまして、中にはへばりついて何回も回りながらプレイしてくれる子もいました。
もちろん、ヘビーユーザーの方もいらっしゃっていて、バグを見つけてくれたりと、非常にありがたいご意見をいただきました。
――やはり、転職後の冒険者のステータスについては聞かれましたか?
有山氏:相当なものです(笑)。そこについては、先ほどのような説明をすることで納得していただけました。とても楽しそうだといってくださるお客様がたくさんいらっしゃいまして、しっかりと情報はお伝えしなければいけないんだなと勉強させていただきました。
――TGS版では全体的なバランスもそうですが、特にスキルの詠唱時間が長いように感じましたが。
有山氏:はい、そこは調整済みです。すみませんでした(笑)。あれは長かったですね。
高橋氏:そのほかTGSのお話のなかで、「ファイターのほかは1人で遊べないんじゃない?」という意見もありまして、確かにそのような感覚でした。そのため、結構大きなバランス調整を行うためにさらなる新スキルの実装や調整期間をねじ込みました。そういった意見を聞けたことも、TGSに出展した甲斐があったのかなと強く思いました。
今後の予定について
――今後の予定についてお聞かせください。
高橋氏:現在、1次職の実装に向けて進んでいますが、もちろん、11月に登場予定の2次職を見据えたかたちで作っています。
なかには「この職業になんでこのスキルがあるの?」というスキルも多少あると思いますが、それは1次職から2次職になる場合、1次職のスキルとスキルLvを1つ選択して引き継ぐことができるためですね。1次職では少し実用性に乏しいスキルも、2次職に継承することで新たな組み合わせによる戦略性が生まれるます。
有山氏:そうすることで選択の幅が広がり、プレイヤーの個性が出てくると思っています。
――2次職へは複数の1次職を特定のLvまで上げることで転職可能となるのでしょうか?
高橋氏:そうです。例えば、サムライはファイターとシーフ、ニンジャはシーフとメイジを一定Lvまで上げることで転職可能です。例えば、サムライは攻撃特化の職業になります。
――例えば2次職のニンジャには、1次職のベースとなるメイジのイメージがあまりないのですが、その辺はどのようなイメージになるのでしょうか?
高橋氏:そこはしっかりと1次職のベースとなる職業の特徴を出したいなと考えていますが、基本、2次職は独立した専門職だと考えてもらっていいと思います。習得するスキルも2次職ならではの専用スキルを習得します。
――サムライとニンジャは和のイメージがありますが、2次職はそのほかにはどんなものが実装される予定でしょうか?
有山氏:そうですね。実はすでに開発中でして、こちらは近日発表予定となっていますので、楽しみにしていただければと思います。
――それ以降にもアップデートなどの予定はあるのでしょうか?
有山氏:錬成(れんせい)システムを12月に予定しています。これは、合成と似てはいますが、あくまで1つの武器、防具などの装備品をどんどん強化していくという形になります。
――失敗のリスクはあるのでしょうか?
有山氏:恐らくあります(笑)。
高橋氏:ただ、失敗してもロストはさせたくないと思っています。
有山氏:(「チョコットランド」は)あくまでもかんたんゲームであり、低年齢の方も遊ばれるので、なるべく無理のないようにしたいと思っています。
高橋氏:自分の気に入った鎧とかのグラフィックをずっと使いたいんだけど、弱くなってしまうというケースがあると思うんですよ。そういう人の要望に応えていきたいなと思いまして、実装を予定しています。
そのほかにも初のオフラインイベントも実施したいと考えていますし、「チョコットランドモバイル」3周年を記念したゲーム内イベントを12月に予定しています。
「チョコットランドSP」について
――先日、TGSにてスマートフォン用の「チョコットランドSP(以下、SP)」が発表されましたが、開発の経緯などありましたらお教え下さい。
有山氏:やはり今、世間の状態を見てもスマートフォンは外せない、弊社としてもスマートフォンには非常に力を入れておりますし、ユーザーのみなさまから「『チョコットランド』のスマートフォン版は作らないのですか」というお問い合わせもすごく多かったので、今回開発することになりました。
――操作方法はどうなりますか?
有山氏:画面のUIについてもスマートフォンならではのタップ中心の感覚的な操作となります。開発担当はPC版「チョコットランド」の開発スタッフが携わっていますので、遊びやすいUIにしてくれると思います。
――「SP」の登場で、「チョコットランド」はPC、モバイル、スマートフォンと3つの遊び方が可能になりますが、それぞれの立ち位置をどのように考えていますか?
高橋氏:PCは自宅で遊んでもらって、モバイル、スマートフォンは外で、オフラインで集まって遊んでもらったりといろんな場面で遊んでもらえればいいかなと。「チョコットランド」の最大の魅力って、同じデータでPCでもモバイルでも遊べる点だと思いますので、そのあたりを活かした展開をしていきたいです。
有山氏:そのほか、2012年春頃に「新スキル」「新職業」「5周年記念企画の実施」「マップ関連の調整」「ユニオン機能の拡張」などを予定しています。
――最後に、ユーザーの方にメッセージをお願いします。
高橋氏:“誰でも遊べるオンラインRPG”を確立して、「チョコットランド」は本当に簡単に遊べるゲームとして、子どもだけじゃなく20代、30代、さらには50代、60代の方まで、幅広い年齢層の方にプレイしてもらっているので、ゲームの楽しさを伝えられたらいいなと思います。
有山氏:「チョコットランド」はRPGとしては、他社の綺麗なゲームに見劣りするかもしれませんが、お客様同士がつながって、友達で遊ぶという部分では充実していて、一回来ればすぐ友達ができるほどだと思っています。
そういった部分は目には見えない面白さかもしれませんが、長く遊んでいただく一番重要な部分だと思いますので、ぜひ来ていただいて長く楽しんでいただければいいなと思います。
――ありがとうございました。
(C) cocone v corp.