【yukishiroの熟れたてFPS】第1回「オンラインゲーム実況アナウンサー&元プロゲーマー・yukishiroのFPS遍歴」

今回から始まるオンラインゲーム実況アナウンサー・yukishiroさんによる連載コラム「yukishiroの熟れたてFPS」。第1回では、FPSの元プロゲーマーとして「クロスファイア」などで活躍され、現在は多数の大会で実況を務めるyukishiroさんのFPS遍歴についてお届けします。

皆様はじめまして。yukishiroと申します。この度、OnlineGamerで連載をさせていただくことになりました。FPSを中心として、様々な情報を読者の皆様に情報を発信していきますので、よろしくお願いします!

さて、早速ですが第1回です。今回は自己紹介という事で、僕とFPSの出会いから今に至るまでを紹介していきたいと思います。

FPSとの出会い

僕がまだ16歳の時、ゲームといえばRPGジャンルが好きで、対戦ゲームはあまり好きではありませんでした。やり込んでいたゲームに限っては積極的に取り組むけどそれ以外はやりたくない、というのも僕は昔から負けず嫌いで、「負けたくないからそもそも勝負しない」と考えていたからです。

そんなある時、ゲーム仲間に勧められて購入したのが「シリアスサム」。大勢で迫り来るモンスターを、様々な銃を使って倒しながらストーリーを進めるFPSゲームです。このゲームは他のプレイヤーと協力してストーリーを進めていく「COOP」モードが主流で、まともに会話が出来ないのにも関わらず、敵を倒す爽快感や、マウスで狙いを定めるAIMINGが楽しかったので、海外のプレイヤーと毎晩遊び続けていました。

「シリアスサム」とほぼ同時期に始めたのが「BattleField1942」のデモ版。こちらはオンライン対戦向けの戦争モノFPSゲームでした。MAPは一つしか無かったものの陣取り要素、様々な乗り物、五種類の兵種等、無料でも十分に遊び尽くせる内容に感動し、暇があれば遊んでいました。もちろん、何をするにも他のプレイヤーと対戦することになるわけですが、FPSを楽しんでいる気持ちが上回っていた為、抵抗無く遊ぶことができました。

そして18歳。オンラインゲームのサイト「ネットマーブル」で始まったのが「Gunz The Duel(以下、Gunz)」。剣と銃を使い、壁を駆け上がったり、空中ダッシュで素早く飛び回ることが出来る、自由度の高いスタイリッシュアクションTPSでした。

操作方法は従来のFPSと概ね一緒ですが、お互いが飛び回って撃ち合うため、AIMINGはもちろん、キャラクターの操作技術も問われる、敷居の高いゲームでした。FPSの経験が豊富なプレイヤーならもちろんAIMINGに長けていて、早い段階で操作技術を身につけていたプレイヤーなら立ち回りで相手を圧倒する。とにかく実力差が激しく露見されました。

そんな中で当時は皆がイチ早く操作技術を身につける為、トレーニング部屋(撃ち合いはせずに、研究や練習に専念するモード)が賑わいを見せていたのが印象的でした。

自分より経験の浅いプレイヤーには勝てても、それ以上にこのゲームをやり込んだプレイヤーには大体負けてしまうのがとても悔しかった当時の僕は、アルバイトの日は帰宅後から寝るまで、休日は朝から晩までやり込み、それを一ヶ月続けた結果、上達が実感できるようになりました。そして、自信がついたところで1on1も積極的に取り組むようになり、自然と対戦ゲームが好きになっていきました。

この時は上達するため、自分自身との戦いはもちろん、勝敗を競いたくてたまらなかったです。これが、人生で僕が初めてゲームに本気で取り組んだ時で、今でもこの経験は、新しいゲームに取り組む際の柱になっています。

大会に出たい!

その後、「Gunz」で初めてのオフラインイベントが秋葉原UDXで開催されました。その会場の中に溢れんばかりのユーザーが集まっていて、僕ももちろん、「Gunz」目当てで参加しましたが、実はその日には「WCG2006」の日本予選も行われており、その中のイベントブースの一つが「Gunz」でした。

大会に馴染みの無い僕は、シアターで「Counter-Strike1.6」の日本予選を観戦していました。するとどうでしょう。「Gunz」ほどの派手さは無いものの、息を潜めて慎重に動き回り、お互いの目が合えば一瞬で勝負が決まる、まさに一触即発の撃ち合い。日本予選という事もあり、真剣な眼差しでモニターを見つめる選手達。思わず鳥肌が立ってしまうほどでした。

FPSにも世界大会があり、出場を目指して戦う選手達。一勝を取れば喜びを分かち合い、負けてしまえば悔しい表情を隠し切れないでいる。そんな勝負の世界に、僕は高揚感で一杯でした。

僕はその気持ちを忘れないように、帰ってから早速ゲームを手に入れて、インターネットで情報収集したり、上級者に教えてもらいながら、約一年間を「Counter-Strike1.6」で過ごすこととなりました。

しかし、当然ながら「そうそう簡単にトップに立てるはずはない」と考えていた僕は、あくまでこのゲームを今後の土台とし、日本に次々と上陸する無料オンラインFPSを待っていました。もちろん、肌に合うものもあれば、ふとしたキッカケでやめてしまったゲームもあったりと、とにかく沢山のFPSゲームを触っていき出会ったのが「クロスファイア」でした。

トップを目指して

クロスファイアを選択した理由は、「Counter-Strike1.6」に近いゲームだったからです。丁度暇を持て余していたタイミングでサービス開始だったという事もありましたが、既存のゲームと違い、周りとスタートラインが一緒ならトップに立てるチャンスがあったので、楽しみながらも毎日遊び続けました。

MAP研究でセオリーを覚え、AIMINGを鍛え、立ち回りを磨いていく。ランキング上位になる頃には、確実に上達していました。

僕はトップクラスのメンバーが揃ったチーム「Fellow」に加入し、様々なゲームで活躍するプレイヤー達と共に上達していき、ついに初の公式大会が開催されることなり、大会に挑むチャンスを得ました。

初の公式大会は積み重ねた自信があったお陰か、緊張も無く試合に臨むことができて、決勝戦まで順調に勝ち進みました。そして、決勝戦であたったのは、有名な強豪揃いのチームでした。接線の末、試合は引き分けてしまい延長戦にもつれ込みましたが、何とか延長戦を戦い抜き、ついに優勝を勝ち取りました!

勝利が確定した瞬間、言葉には「優勝かー…」としか出なかったものの、内心では優勝した事による高揚感で溢れていました。僕の中のプレイヤーとしての目標が達成した瞬間でした。

忘れてはいけないこと

これまで、プレイヤーとして、様々なチームで大会に参加し、世界大会にも出場しました。ここまで続ける事が出来たのは、何よりも同じ目的で一緒に遊んだチームメンバーが居たからこそでした。

個人技を上達させるには、当然、自分との戦いになります。しかし、ストイックに追い続けても、満足の行く結果が出なければストレスを感じてしまうので、努力するにもメンタル管理は難しいです。

それが原因となり、投げ出してしまうプレイヤーはとても多いのですが、お互いに刺激し合うライバルでも良し、気が合う友達でも良し。そのゲームにおいて友達が多ければ多い程、ゲームが楽しくなります。

ゲームはゲームであり、仕事ではないので、自分の中で自由に目標を立てる事ができます。それがオンラインゲームの良いところだと思います。

最後に

僕は、現在25歳で、昔と比べると反射神経も落ちているし、判断力も悪くなっていることを実感しています。24歳の誕生日を迎える時には、既に人間性能としての限界も感じていました。

ですが、世界大会に出場すると、僕より一回りも年上のプレイヤーが最前線で活躍していて、「まだまだ出来る」という気持ちをいただきました。この記事を見て、もし、少しでもあなたのモチベーションが向上するなら、とても嬉しいことです。小さな目標からでも構いませんので、誰にでもチャンスは有るということを忘れないでプレイしてほしいと思います。

次回は…

次回は、yukishiroさんが実況を務めた「クロスファイア」のオフライン大会「CrossFire CHAMPIONSHIP 2012 Season1」の模様を、yukishiroさんならではの目線でお伝えします。お楽しみに!

yukishiro

オンラインゲーム実況アナウンサー。様々なFPSタイトルの大会を実況している傍ら、プレイヤーとしても世界大会に出場した経歴を持つ。

Twitter
https://twitter.com/#!/yukishiro3

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