ネクソンは、2012年4月23日~25日韓国ソウル特別市内「COEX」において「NDC 2012(Nexon Developer Conference 2012)」を開催、たくさんの来場者を迎えたオープニングとNdoorsキム・テゴン氏の講演内容を紹介する。
「NDC(Nexon Developer Conference)」とは
ネクソン開発者カンファレンス(Nexon Developers Conference、以下NDC)は 1994年創業してゲーム業界に新しい歴史を開いたネクソンの社員たちが、お互いに知識と経験を分けようと国内ゲーム業界の中で、最初に始めたゲーム開発者カンファレンスである。
2007年にネクソンの社員たちのみを対象に、33のセッションとして始まり、以後毎年セッションを拡大して国内外ゲーム会社と業界の関心を集め、開催してきた。
2011年、より多くの開発者たちに、知識と情報を分ける交流の場として、もう一歩進めるために、公開開催に切り替えて、一般応募者にも無料で招待を始める。「SHARE」というスローガンのNDC2011は117のセッション、一日平均参加者3,000人、5日間で約7,000人以上の人々が参加する、国内最大のゲーム開発者カンファレンスになった。
主要セッションは韓国国際ゲームカンファレンス2011(Korean Games Conference、KG 2011)と、国際コンテンツ開発者カンファレンス2011(International Contents Creators Conference、ICON 2011)など国内有数のカンファレンスに招かれるほどのレベルとして認められている。
今年で6回目に迎えたNDC 2012は、「Go Together」をスローガンとして共存と共生を通じて、ますます激しくなる国内外事業環境を乗り越えて、お互いに知識と経験を共有して一緒に進み、成長していくことを目的としている。
オープニング
はじめに登壇した、ネクソンコリア 代表取締役社長「ソ・ミン」氏は、NDCの基本的な考えの例えをレストランのシェフの話として表現し、ニューヨークで成功することを夢見ているシェフが、なぜニューヨークで働きたがるのか?と問いかけ、理由としてどんな新人にでも、貴重なレシピを教えるからだと語った。
韓国から文化が始まったとも言える「オンラインゲーム」を手がける開発者が、誇りを持ち、どの会社とも比べて、韓国の雇用効果に役立っていることを知ってほしいとも語った。だが一方で、今後の成長の余地も十分にあると考え、ネクソンが韓国のオンラインゲームがNO.1だが、グローバルでも任天堂やソニーなどコンシューマメーカー、ハードメーカーに肩を並べる業績を出してほしいと話した。
最後に、誰にも教えない秘密のレシピを守り続けるより、培ってきたノウハウを皆で分かち合いながら、効果を何十倍に膨らませ、さらにそれを基礎とし、韓国発の会社でかつ、グローバルで展開していけるような開発者を育てるために、このカンファレンスを意味の有るものにしたいとソ・ミン氏は熱く語った。スローガンは「Go together」。
ちなみに、ネクソンの担当者に聞いたところ、韓国内でオンラインゲームに携わる開発者は若者のの憧れであり、ネクソンロゴの入っている袋を持って歩いていると街中で話しかけられるらしい。「メイプルストーリー」については、小中学生の中でもプレイしていない子供はいない、というほど支持されている。
「スマホ時代のPCオンラインゲーム」Ndoors キム・テゴン氏
セッション要約
わずか 1、2年の間に、スマートフォンが爆発的に普及された。もうスマートフォンがない世の中は想像もできない。特にゲームを主に楽しむ世代でのスマートフォン普及率は、平均的普及率よりもかなり高いことが予想されている。
人々の情報獲得の窓口として独歩的な存在だったPCが、これからはスマートフォンと競争しなければならない時代になってきた。こんな状況でPCを基盤にサービスして来たオンラインゲームたちはどんな生存戦略を取らなければならないだろうか?
過去にも革命的なゲームの変革期があり、これを乗り越えた過程を振り返りながら、今の変革期をどうしたら上手く切り抜けられるかの方法を模索している。また、そのような新しい方式での問題点はないのか、それぞれの悩みを共有する。
「三国志を抱く」について
Ndoors常務理事「キム・テゴン」氏は、現在PCとスマートフォンで展開予定の「三国志を抱く」を開発中だ。
要約にもあるように、今後オンラインゲーム業界にて、どのように生き残るべきかを悩んでおり、スマートフォンについても、韓国の最近の流行もあり、そこにどのようにオンラインゲームと絡めていくかを考えていると語る。韓国内では、スマートフォンの利用者は去年に比べ急激に増え、わずか1年で驚くほど増加しているとのことだ。
さらに重要なのは、スマートフォンを使用しているとき、PCの接続は確実に減っており、20代から50代まで、広い世代でPC利用時間は減っている。DOSがWindowsに、2Dが3Dにと、従来の携帯電話がスマートフォンとして、広範囲に普及され、変化の激しい時代に、機種がアップデートされるたびに性能も向上し、ますますこの流れに左右されることが予想されると語った。
また、つい近年までオンラインゲーム開発者は、ソーシャルゲームにほとんど興味はなく、敷居が低い上に、タイトルの過剰な競争を産み、ゲームのライフサイクルが短くなる。さらに、スマートフォンの性能の制約やキャリア同士のの利害関係もあり、開発者がかなり規制されているのが実情。この問題のためにソーシャルゲームを考えていないという。
一方、PCオンラインゲームについては、開発者にとってはあまりに平和だが、最近は膨大な開発費と長い年月がかかり、そのためのリソースも大量に投入しなければならない。だが、大規模な投資をしても、競争があまり激しくなく、作ったゲームがつまらなくても市場では評価されてしまう。
かなり初期に開発されたタイトルはいまだ生き残っており、プレイヤーはしっかりと課金をし、投資を回収できるサイクルが健在である。また、PC海外進出オンラインゲームは相性が良く、コンテンツを中心に作り込み、ローカライズをして現地で運営することができるのが強みだとのこと。
ただ、ソーシャルゲームは海外への輸出については制約も多く、このような住み分けがされてしまうようなゲーム開発環境も危機を迎えているとも話していた。
スマートフォン時代の到来
PCユーザーがどれくらい課金してくれるかはタイトルに依存するところもあるが、スマートフォンを使っているのでPCに接続しない、それが一番危険なサイクルだとキム氏は話す。
メディアに取り扱われるタイトルもあまりない、停滞気味なPCオンラインゲーム業界だが、中国で開発されたブラウザゲームやソーシャルゲームが昨今急激に増えており、さらにウェブゲームとスマートフォンゲームがシェアを広げていく。
これを克服していくには、スマートフォンの急激な普及の中で、スマートフォンはライバルではなく、仲間として考え、既存のスマートフォンのサービスに似せて開発をするより、オンラインゲームのサービスの手法も取り入れた「ハイブリッドゲーム」を作り上げれば良いと考えているとのこと。
家に帰るとPCでゲームをプレイ、そのまま疲れてベッドに寝転んでスマートフォンを起動すると、さっきまで遊んでいたゲームをそのまま遊ぶことができるのが理想の形だそう。
ただし、PCとスマートフォンのどちらに比重をおいたハイブリッドゲームにするのか、基本はどちらでも同じことができるゲームが目標となる。スマートフォンで試しにダウンロードをして遊んで、おもしろかったからPC版でやったらやっぱりおもしろい!それが最終的な目的となる。
実際に作ってみたら描画機能などかなりの制約があり、「三国志を抱く」を開発するときには、スマートフォン版も考えて開発。採用したWEB3D方式では、必要なデータを都度ダウンロードするので、最適化の調整が苦労した点のよう。スマートフォンならではのUIやバッテリーに関しても考えていかなければならない。
ゲームだけじゃないコンテンツも追加し、PCでの結果がスマートフォンに通知されたり、ギルドメンバーの状況がわかるような、ユーザー間のコミュニケーションを補助するように、ゲームにアクセスできない状況で遊べるように今後も開発を続けていくとキム氏は語った。