カプコンが2012年10月19日から正式サービス開始を予定している空前絶後の戦国シミュレーションRPG「鬼武者Soul」。ここでは3タイプの武将と悪役「悪鬼羅刹」を演じた声優・神谷浩史さんのインタビューをお届けしよう。
「鬼武者Soul」は、これまでPS2などで発売されてきたカプコンの人気アクションゲーム「鬼武者」シリーズを題材にした戦国シミュレーションRPG。47都道府県から自由に開始することが可能で、サービス開始当初から400名以上の武将が登場し、仲間にすることができる作品だ。
また、本作は多数の声優陣を起用しており、プレイヤーをサポートしてくれる小姓や、総勢400名以上が登場する戦国武将の声をプレイヤーが自由に選択できる。
今回インタビューを行った声優・神谷浩史さんは、本作に登場する3タイプの武将のほか、悪役である「悪鬼羅刹」も担当している。この一作だけで多彩な役を演じている神谷さんに、収録を終えての感想や、「鬼武者」シリーズへの思いなどを伺うことができたので、その内容をお届けする。
「鬼武者」シリーズのファンでもある神谷さんへのインタビューをお届け!
――収録を終えての感想をお聞かせください。
神谷さん:「鬼武者」の過去作品は全作プレイさせていただいていましたし、好きな作品だったので、最初「鬼武者Soul」が従来のアクションゲームでないと聞いた時は驚きましたが、今回このような形で参加できて本当に嬉しかったです。
――「鬼武者」シリーズは全作品プレイしているとのことでしたが、どのような印象をお持ちですか?
神谷さん:1作目をプレイする前は、「バイオハザード」風のラジコンアクションを用いて、どうやって本格的な剣撃アクションにするのか想像もつかなかったですね。でもこれが意外とはまっていて、僕がすごく好きなシリーズの一つです。
――今回、アクションゲームからブラウザでのシミュレーションゲームにジャンルが変わったことに驚きはありましたか?
神谷さん:そうですね。アクションの新作も見たいですけど、そういう時代なんですかね。今は様々なジャンルがブラウザゲーム化していて、僕も関わらせてもらっていますけど、これだけの数が作り出されているのを見ると、それだけ世の中のニーズに合っているんだろうなという気はします。
――今回3タイプの武将を演じていましたが、それぞれ役作りで意識した点はありますか?
神谷さん:ゲームの性質上、「この武将の声です」と決められているわけではなく、ぼんやりしたイメージを3つ確立するのは大変でした。多少大げさに役を作り上げて、似通った部分を極力少なくするように心がけました。
――自分なりのオリジナリティを出せるようにしたと。
神谷さん:自分の中では3つのイメージをしっかり確立できていたつもりでも、結果的に出た声が同じようでは意味がないと思っています。もちろん、同じ人が演じているのである程度は仕方ないんですけど(笑)。
今回は様々な役者さんが思い描く冷静なキャラクター、若々しいキャラクター、熱血なキャラクターを演じていて、僕もそれに負けないように、という思いで演じました。
――今回の収録で違いを出せたという手ごたえはありますか?
神谷さん:音響監督の方に、一つのイメージが終わるたびにチェックしていただいて、録り直す部分はちゃんと録り直していったので、間違いなく良いものがユーザーの皆さんに届けられると思います。
――今回演じた3タイプの中で気に入っているものはありますか?
神谷さん:僕は熱血タイプのキャラクターをあまり演じてこなかったので、注目してほしい部分です。音響監督の方も熱血のキャラクターにはこだわりを持っていたようで、他の2タイプはいいんだけど、熱血はもっと「ガオー」と迫るような感じで、とお願いされまして、それに準じた形で精一杯演じました。
――神谷さんが熱血タイプのキャラクターを演じるのは意外な印象を受けましたが、感想などはありますか?
神谷さん:役者にイメージが付くのは良いことでもあるんですけど、諸刃の剣の部分もあるんです。
例えば、いかにも「あの人がやりそうだな」という役のオーディションにその人がいると、これはもう勝ち目がないなと思ってしまう場面も多々あり、イメージが付くのは良いこともあります。
ですが、今回僕が熱血タイプのキャラクターを演じるにあたって、違和感を持つ人もいると思うんです。要は、悪い意味でレッテルを貼られてしまう。それを自分で剥がしに行かないといけない場面もあると思っていて、今回の熱血タイプがそれに相当すればと思っています。
――制作スタッフからの要望は多かったのですか?
神谷さん:要望に関しては熱血に関する指示くらいで、基本的にはスムーズに収録できました。
――収録したセリフの中で、プレイヤーに注目してもらいたいセリフはありますか?
神谷さん:セリフの数が膨大というわけでもないので、一つ一つのセリフを丁寧に演じました。その中でも特に注目してほしいのは解雇時のセリフですね。
武将を解雇するときのセリフにはそれぞれのタイプの癖や性格が出ていて、潔く去っていくもの、未練を残しているもの、恨み節のものと様々なパターンがあります。例えば、熱血タイプなのに「俺のこと、嫌いになったのか?」と弱々しい一面を見せるセリフもあって、とても面白いです。
お気に入りの武将だとなかなか解雇できないと思いますが、注目してもらいたい部分です。
――今回の収録で苦労した点はありますか?
神谷さん:3種類の役の違いを明確にするのは大変でしたね。それ以外だと、悪役である「悪鬼羅刹」の声を収録する場面では苦労しました。
役者さんの中には、器用に声色を変えて演じる方もいますが、僕はそういうタイプではないので、基本的には同じ声で個性を出していくしかないんです。「悪鬼羅刹」は典型的な悪役で「人ならざる者」という設定なので、悪意の塊のようなものを意識して演じました。
――収録した声の中には、「ハッ」など攻撃の掛け声もありましたが、通常のセリフと違った苦労はありますか?
神谷さん:僕は特別大変だと思っていないですし、慣れだと思いますよ。こういった掛け声は、すでに多くの役者さんが演じてきているので、すごく想像しやすいですし、何の違和感もなく演じています。
でも、これまでそういった役者さんの演技に触れてこなかった人がいきなりアクションシーンを演じろと言われても厳しいと思います。
――掛け声も3パターン収録しましたが、声の出し方に違いはありましたか?
神谷さん:冷静なキャラクターだったら、シャープに刀を振るんじゃないかと考えながら演技しました。若者だと、若さゆえの力の抜けなさ加減を表現しています。熱血なキャラクターでは、刀というより鉄の棒を振るようなイメージで演じています。
こういったイメージも、これまでたくさんの役者さんが演じてきたことなので、それを自分なりに参考にして表現しています。
――今回の収録では口笛に苦労している場面がありましたが(※今回の収録では口笛の代わりに「ヒュー」という声を当てていた)、普段の口笛のシーンではどうしているのですか?
神谷さん:口笛は人によって吹ける吹けないがあるし、僕も収録前に口笛は吹けないことを白状しています(笑)。違う作品で、絵は明らかに口笛を吹いているけど自分は吹けない、といったシーンがありまして、そのときは別の方に口笛を吹いてもらいました。
――神谷さんが「鬼武者Soul」をプレイするとしたら、ご自身が演じたタイプの武将を使いたいですか?
神谷さん:それはもちろん使いたいですね。他のゲームでも自分の声のキャラクターはまず最初に使います。使うための条件がある場合は、まずそのキャラクターを出すところからゲームを始めますね。
――最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。
神谷さん:カプコンが誇るアクションゲーム「鬼武者」が、なんとブラウザゲームになるということで、そこがまず注目だと思います。さらに400人を超える武将に、僕を含めた31人の声優陣が声を当て、色を添えるというすごい企画になっています。
きっと数あるブラウザゲームの中でも一つ頭の抜けた作品になると思うので、ぜひ皆さんにプレイしていただけたらと思います。
――ありがとうございました。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2012, 2014 ALL RIGHTS RESERVED.