認知症予防に繋がるサービスを提供したい―認知機能をスコア化できるWebサービス「脳測」の記者発表会の模様をお届け

シグナルトークは、「脳測」について、本日7月11日、レデックス認知研究所の「五藤博義」所長と共に正式サービスに関しての発表を実施した。

シグナルトークは現在、50万人の会員を持つオンライン対戦麻雀ゲーム「Maru-Jan」やオンライン将棋「遊び処 ふくろふ」を提供しているオンラインゲーム会社だ。同社は以前より、高齢者にゲームなどの楽しみを提供し、脳の活性化を図り認知症予防に役立てないかと、5年程前から医学的な検証を進めていた。


検証を実証する為には医学的な裏付けが必要であり、実際に信憑性のあるデータを取ろうとすると膨大な資金とリソースが必要となる「壁」にぶつかったようだ。

そこで認知症の研究機関や、脳神経科学の大学教授などと連携しながら、学術的エビデンスが取れている認知機能をスコア化できるWebサービス「脳測」の開発を進めるに至った。

脳測プロジェクトを開発するにあたってのポイント

脳測プロジェクトを開発するにあたってのポイントは以下の通りだ。

認知機能の改善努力の数値化

今回の「脳測」を利用することによって、使用者は認知機能の改善努力が可視化できるようになる。たとえば、毎日運動してから体重計にのると「やせた」ことが実感できるし、食べてばかりで運動しなければ「ふとる」ことが体重をはかることによって知ることができるだろう。

「脳測」も、自身の「認知機能」の状態を知る上で、自らの行動によって認知機能が改善したか悪化したかをチェックすることができるようになる。

学術的なテストをオンライン化

世の中には、脳をトレーニングする、というようなゲームが多くあるが、本サービスとの大きな違いは「学術的な裏付け」があるかないかという部分だ。

エンタメによる認知症予防研究

将来的には「ゲーム」「エンタメ」「歌舞伎」「散歩」など、どのような行動をとると認知症予防につながるかという研究を進めることが可能となってくる。

テストの開発方法と学会発表

  • 12種類の認知機能プログラムを開発
  • MMSEなどの医学的テストとの相関を研究
  • 結果が確認された4種類のテストを採用

MMSEとは認知症のテストで認知症の疑いがある被験者のために開発された検査方法のひとつだ。「脳測」では、開発した12種類の認知機能プログラムのうち、MMSEをテストして結果が悪かった場合は「脳測」でも悪い結果がでて、MMSEの結果が良ければ「脳測」でも良い結果がでる、相関の取れた4種類が採用されている。

つまり、いままでは自分が認知症かどうかを確認したい場合は、医者へ行きMMSEを行ってチェックするしかなったのが、「脳測」の登場により自宅で簡易チェックができるようになるということだ。

但し、数値が悪くなった場合もあくまで「以前より数値が落ちている」という結果なだけであって、「認知症である」と診断するのは医師となる。「脳測」の役目は、定期的に脳の状態をチェックすることによって、認知症の「早期発見」を促進できる点にある。

認知機能テストの内容

フラッシュライト

ワーキングメモリ(今の事を覚える力)

ワーキングメモリは今の事を覚える力で、短期的な記憶能力をチェックすることができる。具体的な手順としては、画面上でそれぞれの色のついたライトが光るので、光った順番を覚えておいて、ライトをクリックする。光る数が2回、3回であれば余裕なのだが、4回、5回となってくると、しっかり覚えていないと忘れてしまいそうだ。

視覚探索

注意力をチェック

画面上にひらがなが出てくるので、あ→い→う→え→の順番にボタンをクリックしていく。だんだんむずかしくなり、2種類の文字を交互にクリックしていくので、問題を読む読解力しかり、高度な注意力が必要となってくる。終了までにかかった時間もチェックしており、テスト終了時の数値に反映される。

ストーリー

エピソード記憶(物語を覚える力)

文章を読み、文章を読み終わった後に、読んだ文章の内容について質問をするテスト。文章と質問の組み合わせは200万通り以上もあり、テストするごとにテストの内容は変わるように作られている。文章内容を正確に理解、記憶しているかをチェックできるテストだ。

ルート99

遂行機能(計画力)

スタート地点から1マスずつクリックしていき、数字の順番をたどりながらゴールを目指すテスト。ゴールまでの正しい経路を考える思考能力の他、いかに最短でゴールにたどり着いているかの論理性もチェックできる。

4つのテストがすべて終了すると、認知機能総合結果をみることができる。それぞれ数値化した点数で換算され、点数結果に対してのアドバイスやコラムなども見ることができる。

実施したテストの結果はグラフでチェックすることができ、これにより認知度を維持できているか、落ちているかなどの推移を確認することができる。認知症になる場合に、数年かけてじょじょになっていく人もいれば、数ヵ月で一気に認知症になってしまう人など、体質はさまざま。

このテストを実施してみて、じょじょに落ちてきて復活しない、または一気に数値が下がってきてしまっている、などの結果が見受けられるようであれば、すぐに医者に診てもらった方が良いといえるだろう。

アカウント

アカウントは1つ契約すると、最大5個まで利用可能な「家族単位」となっている。認知症は家族のサポートが必要であり、情報や行動を共有することで、認知症の早期発見や防止につながるとの考えのようだ。

質疑応答

株式会社シグナルトーク 代表取締役<br />
栢 孝文氏
株式会社シグナルトーク 代表取締役
栢 孝文氏

――脳のトレーニングゲームなどとはどこが違うのでしょうか

栢氏:脳のトレーニングゲームだと、やり方や手順を覚えて慣れてしまうので、脳年齢が若くなったと言っても医学的根拠はなく、新しくゲームを始めれば、また年を取った状態などゲームスタート時の年齢にもどってしまいます。

今回、「脳測」では楽しさは一切排除して、医学的にある程度信憑性をもって、体温計や体重計などのように、自分の状態をチェックすることができるというところが大きな違いとなります。

また、200万通り以上の組み合わせが用意してあるので、「脳測」ではテスト内容を覚えたから数値がよくなるという要素は排除してあります。


――飽きて利用しなくなってしまう人に対しての対応策はありますか

レデックス認知研究所所長<br />
五藤 博義氏
レデックス認知研究所所長
五藤 博義氏

栢氏:1つには、テストを受ける時期に定期的にメールなどでお知らせをするほか、定期的にテストをうけることが大事だという事を伝える啓蒙活動を行います。

五藤氏:医療機関で行うMMSEは、シンプルで的確な医者が実施して15分程かかりますが、「脳測」は5分程で実施可能です。また、たびたび実施する必要はなく月に1回ほどでも問題ありません。

――目標の会員数はありますか

栢氏:年内に1万人。来年中に10万人を目標にしています。


――認知症のテストは1月1回など頻繁にチェックする必要があるのでしょうか

五藤氏:まったく受けるべきです。認知症というのは、だれでもどんどんベータータンパクが排出されており、生活スタイルによって若い世代で発病することもあります。

現在の検査はほとんど認知症になってしまった人がテストを受けている状態なので、軽度認知障害の状態で発見できるようになれば、発症も押さえられるし、認知症の症状も軽減することができようになります。

このようなソフトを使って40代のころから認知症のチェックをする習慣が広まれば、認知症の人数はかなり減ると思います。

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