ネクソンとCCP Gamesは、9月20日~23日まで千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2012」にタイトルを出展、期間中、ホテル・ザ・マンハッタンにおいてメディア向けプレゼンとインタビューを実施した。
CCP Games
Game Designer「Ivar Emilsson(イヴァン エミルソン)」氏
EVE Online creative director「Torfi Frans Olafsson(トルヴェ フランス オーラフソン)」氏
「EVE Online」について
「EVE Online」は、遥か未来の7,000以上の星系で構成された大宇宙を舞台にしたMMOで、プレーヤーは宇宙船を操って飛び回りながら、ギルドやクランに相当するコーポレーションや、コーポレーションの連合体であるアライアンスに参加して経済・政治活動や近隣星系の領有権の争いや戦いが繰り広げられる。
ゲームの舞台は宇宙、2003年にサービスをスタートし、プレイヤー数や機能に関しても年々増加している。本作はアイスランド発のゲームとなっており、最初はハードコアなプレイヤー向けの、とても小さな規模のゲームだったが、現在では世界で3番目に有料課金者(サービス購入者)数を誇る。世界で約40万人以上の課金者数が存在する。
本作の大きな特徴として、サービスしている全世界のプレイヤーが1つのサーバーで楽しんでおり、1つのコミュニティーを形成しているところ。もちろん言語はそれぞれの国に対応しているが、UIやマーケットなど全世界で経済システムを利用、7000以上あるソーラーシステムなども共通のものを使用している。コミュニティの動きが活発なので、常に新しいものが生まれている。
ゲーム内ではプレイヤー主導ですべてが進行し、ミサイル・戦艦・弾薬などはすべてプレイヤーが製造し、その資源もプレイヤーが採掘したものが流通する。幅広い選択肢のため、シングルプレイ、PvP、PvEなどさまざまな遊び方ができ、2千隻もの艦隊が1つの場所で戦闘を繰り広げることも可能だ。
現在遊んでいるプレイヤーはコミュニティをとても大事にしている人が多く、「EVE Online」に長い時間を捧げている人も多い。開発側は一緒にゲームの世界を作り上げていると感じている。プレイヤーと開発側がつながるコンテンツとして「公式フォーラム」や年に1回アイスランドで開催されるカンファレンス、世界各地(現在までは東京・モスクワ・ロンドン・ベルリン・ラスベガス)で実施されている「プレイヤーギャザリング」なども活発だ。
CCP Gamesの目的としては、最大級のSFシミュレータを作ることを目指し、たくさんのプレイヤーからのフィードバックを受けることで、より幅広いシミュレーションが可能となるようだ。
プレイヤーの拠点となるソーラーシステムは、他のプレイヤーと繋がっており、世界中を旅することもできる。宙域の雰囲気も選択した種族で少しずつ変わっている。自分で作成するアバターもゲーム内で反映される。日本でのサービス開始以降、コミュニティもどんどん育ってきているとのことだ。
「DUST 514」
Torfi氏:私たちが新しいタイトル「DUST 514」を開発するときに考えたことが、同じIPを使うだけでなく、お互いのゲームが交流できるような仕組みを考え、1つのユニバースを作ることを重要視しました。「EVE Online」と「DUST 514」2つのゲームでは、チャット(ボイス・テキスト)で会話をすることもでき、同じコーポレーションに入ることもでき、同じ惑星上の戦場参加することもできます。「EVE Online」のパイロットたちが「DUST 514」で戦闘が起きている惑星のそばを通ると、戦いの爆発などを見ることができます。
「DUST 514」のプレイヤーたちが「EVE Online」の仲間に攻撃座標を伝えると、「EVE Online」側からレーザー砲などで援護射撃を行うこともできます。お金に関しても2つのゲームでシェアすることができ、譲渡やアイテム付与なども可能です。
もちろん、バランス調整にかなり気を使っており、「DUST 514」に関しては新しいタイトルということもあり、「EVE Online」から大きな金額が流れないような施策は考えています。
とても嬉しいのは、「DUST 514」が登場するのは、「EVE Online」10周年となる2013年となっており、これから10年かけてさらに他のゲームも「EVE Universe」に参加できればいいなと思っています。
「EVE Online」次期アップデート「Retribution」
Ivar氏:「EVE Online」では、年に2回無料でアップデートを実施していますが、次回は12月4日(アイスランド時間)を予定しています。18回目となる今回のネーミングは「Retribution(リトリビューション)」となり、日本語に訳すと「因果応報」となります。
アップデート内容としては「バウンティーハンティング」についての調整となります。改良点は「賞金の賭け方」や「賞金首を簡単に追えるように」「自分が復讐する権利を他人に売ることが可能に」などを用意しています。今までは、自分が無意味にキルされると相手に復讐する権利が30日間与えられるのですが、調整後にはその権利を「他人に売る」ことができるので、傭兵を雇って自分の復讐を果たしてもらうこともできます。これまではハードコアなPvPプレイヤーばかりが復讐を果たすことができたこともあり、実装後は平和的な採掘者も自分の復讐を果たすことができるかも知れませんね。
また、他の要素として「採掘艦」「戦闘用巡洋艦」も新たに実装します。新規のプレイヤー用としてチュートリアルも改良します。
「DUST 514」
Ivar氏:「DUST 514」は「EVE Online」のさまざまな要素を引き継いでおり、特にプレイヤーの成長に重要なスキルシステムでは、スキルポイントを貯めて装備のアンロックを解除したり、ボーナスを得ることが可能です。マーケットプレイスでは幅広い種類のアイテムが用意されており、モジュールを買って戦艦を強化したり、降下スーツのカスタマイズもできます。一回死亡するとアイテムは全て失ってしまうので、戦闘に参加する際にはどのくらいのお金を残すかといったことも考える必要があります。
アンロックされているアイテムを得るには、ISK(ゲーム内通貨)を使う必要があり、ISKは、戦闘の貢献度に合わせてNPCから支払われます。マーケットプレイスに存在するアイテムすべてをアンロックするには数年かかると思われます(笑)。降下スーツ(アーマー)にはそれぞれのクラスがあり、戦闘時の役割を考えてカスタマイズすることができます。組み合わせは無限大ですね。
装備システムに関しては、「EVE Online」で成功を収めたものを「DUST 514」に実装しています。東京ゲームショウでは「アンブッシュモード」のみを用意しましたが、他にもモードはたくさんあります。戦場の舞台となるのは「どの惑星で戦闘に参加するか」によって変わりますが、戦闘ごとにソケットが変更されるので、常に新鮮なバトルを楽しむことができます。
ライブサーバーを使用して「DUST 514」デモプレイを実施
今回のプレゼンテーションでは、東京ゲームショウ会場と、アトランタ、上海と実際につながっているライブサーバーを使用してデモプレイが披露された。ちなみに一部日本語音声が再生される箇所もあったのだ。
Ivar氏:降下スーツは4タイプ用意されており、マーケットプレイスで購入したりしてカスタマイズしたものを着ることもできます。「アサルトスーツ」は平均的な能力を持ち、初心者にオススメです。「DUST 514」ではスクワットに参加して、他のプレイヤーと協力しながらミッションを達成することが重要です。スクワットの中には物資の輸送が得意な「ロジスティック」や対戦車線に強いクラス、偵察が得意なクラスなど、種類も多数用意しています。
また、戦場の中にもさまざまな設備があり、それをハッキングすることでその設備を使うことができます。「クローンアニメーション」という施設は次に降下するポイントを選択できます。「スカウト」というクラス(スーツ)はショットガンを装備し、接近戦に強いといった特徴を持ちます。武器は約18種類、1種類につき何個ものバリエーションがあるので、総数は結構ありますね。
プレイヤーを運ぶための降下艇で、サイドガンが装備されているので複数のプレイヤーで乗り込んでまわりを攻撃することができます。当初降下艇の操作は簡単にしていたんですが、バランスが崩壊してしまうので、実際に操作するプレイヤースキルをしっかりと鍛えないと、うまく操作できないようになっています。
「アンブッシュモード」はデスマッチに近い形で、制限時間内に自分のクローンを使いきったチームの負けとなります。「ロジスティック」スーツを着ていると他のプレイヤーを助けることができ、「ナノハイヴ」というアイテムを設置すると、弾薬などを供給することができます。自分が設置しても他のプレイヤーも利用できます。
さらに軌道上から爆撃を行う「オービタルストライク」は、「EVE Online」のプレイヤーも起動することができる攻撃で、「ウォーポイント」をハッキングすることで使用可能です。クローズドβ版では公開している「スターミッションモード」では、敵のコントロールポイントを攻略することにより、上空にある「移動式の司令塔」のシールドを解除して攻略することもできます。
「ヘビー降下スーツ」では重量級で移動は遅いですが、ガトリング砲を装備した強力な攻撃と高いHPが魅力ですね。ガトリング砲は使いすぎてオーバーヒートすると自分がダメージを受けます。ただカスタマイズが自由にできるので、「ヘビー降下スーツ」にスナイパーライフルを持たせたりもできます。
チャットチャンネルでは、「EVE Online」プレイヤーとリアルタイムに会話することができ、自分自身のコーポレーションを作成し、他のプレイヤーをリクルートすることもできます。自分のコーポレーションにたくさんのプレイヤーを誘っておけば、援護射撃を期待できますね。メイン画面ではスキル・装備の管理や、マーケットプレイスでの買い物もできます。
PS Vitaを利用した「NEO COM」も開発中
Ivar氏:「DUST 514」のメイン画面と同じことが、PS Vitaを使って可能になる「NEO COM」も準備しています。スキル・装備の管理や、マーケットプレイスでの買い物もでき、チャットも可能です。正式な発表はオープンβテストの時期を予定しており、こちらも無料で提供されます。現在は鋭意開発中で、さらにブラッシュアップを重ねる予定です。日本では2012年11月~12月に日本語版としてクローズドβテストを予定しています。
「DUST 514」のスキルの習得には「パッシブ」「アクティブ」の2種類あり、「パッシブ」は時間の経過によりスキルポイントが貯まり、習得可能で、トレーニングモードにすればログアウトしていてもポイントは貯まります。「アクティブ」は戦闘における貢献度でポイントがもらえます。スキルにはアイテムをアンロックしたり、属性を変化させたりさまさまなので、すべてのスキルをレベル5まで上げるには7年くらいかかると思います(笑)。
ポイントは、1つの能力を伸ばし、自分の能力ではない箇所を伸ばしている他のプレイヤーとうまく組んで戦うことがコツですね。「DUST 514」はシンクロサーバーでプレイするので、「DUST 514」の中で1番優秀なプレイヤーになるというこは世界中のプレイヤーの中でトップになることと同義です。
「EVE Online」では「DUST 514」リリースに備えて、すでに優秀で政治的にも影響のあるプレイヤーをリクルートしている人もすでにいるようです。CSMという組織、プレイヤーが選ぶプレイヤー代表は年に1度、アイスランドで開発陣と会議を重ね、これからの方向性を話し合ったりします。「DUST 514」に評議会を設置するかはまだ未定ですが、プレイヤー間の意見を組んで運営していきたいですね。
質疑応答
――日本サービスが開始されてから日本のプレイヤーが「EVE Online」の世界に入ってきたと思いますが、どんな特徴がありますか?
Torfi氏:多分だと思いますが、日本のプレイヤーさんは仕事が忙しくてゲームをプレイする時間が少ないのかもしれないですが、自然とPvEが多い印象です。ソロプレイや探検をする人もいますね。もちろん世界的に規模の大きいアライアンスに参加していたり、インダストリーで名を上げている人もいます。
――「DUST 514」の名前の由来を教えてください。
Torfi氏:それは自分でプレイして自分で発見してください。秘密です(笑)。
――プラットフォームをPCからPS3に移した理由は何ですか?またPS3を選んだ理由も教えてください。
Torfi氏:「EVE Universe」を拡大すると考えたときに、別のマーケットグループを呼び込みたいと思い、コンソールを熱心にプレイしている人はあまりPCに馴染みがないとも考えました。PS3はグラフィックも素晴らしく、SCEさんもオンラインに関する理解も深かったのも理由です。
――世界のゲームショウなどで実際にプレイした人の反応はどうでしたか?
Torfi氏:「E3 2012」ではかなりポジティブな反応でした。実際に幾つかの賞にノミネートされました。また同じ業界の人からフィードバックをもらえたことも嬉しかったですね。東京ゲームショウでもなかなかの反応でした。「DUST 514」はたくさんの人のフィードバックで進化していくのでどんどん意見をもらいたいですね。
――「DUST 514」から始めるプレイヤーでも大丈夫ですか?
Ivar氏:もちろん全然大丈夫ですし、むしろそれこそが狙いなところもあります。とにかく多くの人に触ってもらいたいと思っています。
――体験版などの予定はありますか?
Torfi氏:今のところキャンペーンなどは予定していませんが、11月頃にはクローズドβテストを予定していますので、そこで実際にプレイしてもらえると思います。クライアント内容は世界で実施されているβテストと同じものになり、日本語に対応します。
――正式サービスの予定は?
Torfi氏:クライアントが準備でき次第、決定します。ゲーム内には通貨が「ISK」と「AUR」の2つあり、「AUR」は課金して入手するものになります。クローズドβテストでも「AUR」を購入することができますが、正式サービス時にはテストで購入した「AUR」をペイバックします。テスト時にはプレイヤーがPlayStation Storeからどのように購入するのかをデータ収集しています。クローズドβ用のフォーラムも設置し、そこからの情報をもとにウィークリーミーティングを実施し、次に何を直していくかなどを話し合っています。
――PS Vitaで戦闘ができるような企画はありますか?
Ivar氏:そういったプランはありません。実際のプレイはPS3で遊びます。やはりそれぞれのプラットフォームに合った遊び方を提供していきます。PS Vitaのコンパニオンアプリとしての提供はオープンβテスト時にリリース予定です。
――「DUST 514」の現在の開発状況を教えてください。
Ivar氏:現在はできあがったビルドを調整したりブラッシュアップする状況ですが、完全なる完成というのは「DUST 514」にはないと思っています。本作が続く限り良いものにしていきたいと思います。
――「EVE Online」のプレイヤーと「DUST 514」を待ち望んでいるファンにメッセージをお願いします。
Torfi氏:「EVE Online」をプレイしていただいてありがとうございます。開発者は楽しんで作っていますし、プレイヤーのみなさんも楽しんでもらえると嬉しいです。これから「EVE Online」の世界に「DUST 514」の傭兵が入ってくると思いますので歓迎してあげてくださいね。また同時にコミュニティに参加してもらいたいと思います。アイスランドで開催されるファンフェスタにもぜひ来てください。
Ivar氏:「EVE Online」をプレイしてくれている人に興味は幅広いのですが、共通しているのはSFや宇宙空間、戦艦などが好きな人たちが多いので盛り上げて欲しいです。国籍の壁などもないので楽しんでください。日本のプレイヤーがたくさん「DUST 514」の世界に参加して、フィードバックも欲しいと思っています。自分は日本語版はクールでカッコイイので言葉はわからないけどプレイしていますよ。
――ありがとうございました。
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