11月8日、韓国・釜山BEXCOで開幕した「G-STAR 2012」では、Thing softの新作タイトル「プロジェクトNT」が一般来場者に初公開、ネクソンセミナーでメディア発表会を実施した。
Thing soft「ジョン・サンウォン」代表は「プロジェクトNT」のアイデンティティについて、「ゲームを開発する際に、なぜ3ヶ月が経過するとゲームを楽しんでいたプレイヤーが離れていくのか、という疑問を持った」としながら、「過去には、コンテンツがなくても運営は可能だったが、現在は会社が提案する条件を消化するだけでは開発が難しくなり、開発費が過度に投入される問題も生じている。結局、3ヶ月が経つとプレイヤーは楽しむことはできない、という結論が出る」としながら、消費向けコンテンツに否定的な立場を明らかにした。
ジョン代表は「プロジェクトNT」の開発初期から、消費者向けコンテンツに集中するよりも、プレイヤーたちの間のコミュニケーションによって、自発的にコンテンツを作り出すシステムを構築した理由も、まさにこのような悩みから始まったと明かす。楽しむこととブランドパワーを両立することの間で、ジョン代表が考えている悩みで始まったのが「プロジェクトNT」に搭載される、新方式のソーシャルコミュニケーションを作ったと言えよう。
最近のオンラインゲームが「Unreal Engine」に代表される高品質のグラフィックスと実写に近いトレンドを採用するのに対し、「プロジェクトNT」ではセル画調レンダリング方式のグラフィックスを採用した理由も意外に簡単である。
「商用エンジンと実写トレンドを中心に、オンラインゲームのコンセプトが一貫化されることから離れ、私たちが追求しようとするものを作ろうと独自のエンジンをベースにしたセル画調レンダリング方式で開発する。」ということが開発の意図だとチョン代表は話した。
ジョン代表は、「プレイヤーがゲームを離れることができないのは、ゲーム内の財産やフレンドに理由があるからだが、ゲーム内のNPCを友人としてプレイしているのも現実」としながら「キャラクターの表情を生かし、ゲーマーたちが喜んで言葉をかけてくれる雰囲気で、感性豊かな交流場所を作ってみたかった」という言葉で、「プロジェクトNT」が目指す温かい交流の意味を説明した。
発表会の最後に行われたジョン代表との質疑応答を紹介する。
――「プロジェクトNT」にセル画調レンダリング方式を使用した理由を詳しく教えて下さい。
ジョン代表:特にアニメやマンガに関心が高かったことがあります。西洋や日本であまり実現していないことを私たちは試みました。過去にNEOWIZ GAMESでも試験的に開発で利用しています。「プロジェクトNT」は、2010年から開発を始めましたが、序盤は少人数で始め、今は45人程度の開発者が参加しています。
――NEXONやNEOWIZ GAMESなどの大きなゲーム会社をメインに開発に携わっていたと思いますが、現在は小規模な会社を運営するためにどのような点が変わってきましたか?
ジョン代表:私が働いていた当時のネクソンは、それほど大規模なゲーム会社ではなかったんです(笑)。現在はベンチマークの圧迫もなく、むしろ昔の感覚を大切にしながら働くことができるのでとても楽しいです。
――大型ゲーム会社と共同で開発をしていく考えはありますか?
ジョン代表:考えがないわけではありませんが、今そのような会社がありますか?ほとんどのゲーム会社がポートフォリオを重要視しています。多様性の中に、複数の可能性を発掘しなければならない状況です。過去のネクソンは独創的であり、市場での成功の可能性が見えるものはすべて開発を試みた社風でした。アイデアにプラスアルファを加えれば多様性が高まるはずですけどね。
――「マビノギ」とゲームデザインが同じになりませんか?
ジョン代表:「マビノギ」の方向自体は素晴らしいと思います。多くの感動やインスピレーションを受けた作品です。「Mabinogi 2:Arena」は闘技場をコンセプトにしており、幸いにも私たちの作品とデザインは異なっています。
――「プロジェクトNT」だけの要素を教えてください。
ジョン代表:既存のゲームでは戦士なら戦士、とスキルが決まっており、それをどのタイミングで使用できるか制限が決まっているが、「プロジェクトNT」は、ボスを狩るのにどのアイテムを持って行けば簡単に討伐できるのか、という戦略がゲーム内に影響を与えていきます。例えばダンジョンに魔法禁止などのルールが決まっている場合、どのように対処すべきかを悩むべきことがゲームに影響を与えていきます。
――セル画調レンダリングを開発する際に苦労した点や、主なターゲット層について教えて下さい。
ジョン代表:本作では、日本のアニメをたくさん参考にしています。 レベルファイブが発売する「ニノ国」なども参考にしています。漫画が好きなゲーマーにも関心を持ってもらえるように考え、狩りをしなくても楽しめるコンテンツも用意しています。また、レベルアップによる成長に向けた長時間プレイをすることができないような会社員や女性でも簡単にプレイできるように調整しています。
――実写型グラフィックスを起用していない理由を教えて下さい。
ジョン代表:実写型グラフィックスは、「Unreal Engine」と「Cry Engine」の選択肢しかありませんでした。描画表現が似ているので最終的にコンテンツの差別化を選択する必要があるため、簡単には決められませんでした。そこで我々のゲームは、独自のエンジンを開発し、実写ではないセル画調レンダリングに挑戦したのです。
――現在の従業員をどの程度まで拡大したいと思っていますか?
ジョン代表:150~200人単位の大規模な人員を育てるつもりはありません。最大60名くらいを考えています。それが可能なのは、開発システムがすべて分離させるような環境を作り上げたからです。
――次世代RPGについてどのように考えていますか?
ジョン代表:オンラインゲームの限界はもっと大型タイトルを開発しなければならないという点にあります。「プロジェクトNT」は、原点回帰のような可愛らしい雰囲気を楽しんで開発をしたかったんです。
――ゲームのタイトルはどのような意味を持っていますか?
ジョン代表:「プロジェクトNT」の「NT」は、仏教用語の略語です。正式ゲーム名はほぼ決まっていますが、商標登録の前であり、ここで公開することは残念ながらできません。近日中には正式タイトルを披露できると思います。
――プレイヤーのためのコンテンツはどんなものが用意されていますか?
ジョン代表:プレイヤーの中から代表を選出する政治が中心となります。私たちの町のために貢献してもらいます。ゲームは友達と遊ぶことが前提ですが、既存のゲームではレベル差が大きい場合は、お互い遊ぶことができません。それを克服することができるように開発している「キラナ」を介して、行き来が自由になります。
――「キラナ」が「ポケットモンスター」と異なる点は?
ジョン代表:「プロジェクトNT」の「キラナ」は、ユーザーに憑依します。イベントで出会ったり、クエストなどでも会うことが可能です。
――ありがとうございました。