ガンホー・オンライン・エンターテイメントが、「ラグナロクオンライン」において、11月27日~28日にかけて実施する、3次職のスキル調整を含む大規模アップデートについてインタビューを実施したのでお伝えしよう。
2002年に日本での正式サービスを開始し、今年で10周年を迎えるMMORPG「ラグナロクオンライン」。これまでさまざまな職業の追加実装が行われてきたが、その中でも2010年に実装された3次職について、かなり大規模なスキル調整アップデートが11月27日~28日かけてに実施されることが決定した。
※当初はアップデートに伴うメンテナンス終了が27日中と予定されていたが、終了時間が28日10:00に変更となっているので注意してほしい。
そこで今回は、アップデートの目的や内容についてオンライン本部 第1パブリッシング部 第1企画課 主任 中村聡伸氏と同部 第2企画課 主任 山本兼寛氏にお話を伺ったので、その様子をお伝えしよう。
今回のアップデート、「3次職“らしさ”をより強める」がテーマであるそうだが、その真意とは?
強さだけてはなく「職業らしさ」を楽しんでほしい―
11月27日に実施が決定した「3次職スキル調整アップデート」について
――11月27日、ついに3次職のスキル調整アップデートが実施されますね。まずはスキル調整の目的などについて教えてください。
中村氏:これまでテストサーバー「sakrayJ」でテストを行なってきたのですが、やっと11月27日に実装の目処がたったので、さまざまな情報のリリースを行うことになりました。
今までは「3次職スキル調整テスト」というストレートな名称でテストを行なってきたのですが、「3次職スキル調整」を含めた多数の項目がありますので、実は現在急ピッチでアップデートの正式名称を決めているところです(笑)。
(※本記事掲載時には、正式名称は「ラグナロクオンライン 大規模バランスアップデート ~育てる楽しさ、無限大!!~」に決定している)
――名称も後回しになるほどテストに集中していたということですね。
中村氏:そうですね。実は3次職を実装した2010年当時、迷惑行為につながる恐れがあるスキルなどに制限をかけたものもあり、そちらを使えるようにする目的もありました。
――ということは、今回のアップデートは調整よりも、制限されていたスキルの実装がメインになるのでしょうか?
中村氏:いえ、メインテーマは違います。実は3次職の実装当初から運営チームで感じていたのですが、各職業の「職業らしさ」が弱かったな、と。例えば回復・補助系の2次職・プリーストですと「回復特化型」や悪魔系モンスターに強い「退魔型」など、プレイヤーの皆さんはスキルの取得方向によっていろいろなタイプを選べましたよね。
――たしかに、「ラグナロクオンライン」は昔から職業ごとの特色が強くて、その中でさらにスキルの選び方次第で同一職業でも違った遊び方ができたという印象です。
中村氏:でも、3次職はそもそものコンセプトが「1人でも、どんな状況にも、そしてどんな敵にも対応できる」という、いわゆる「すべてをこなせる」職業でした。その結果、たしかに最強にふさわしい強さを誇るのですが、どの3次職を選んでもある種セオリー通りのスキル取得パターンになってしまうという、特色のない状況が生み出されてしまいました。
――突き詰めていくと、行き着く先が同じになってしまうという典型ですね。
中村氏:そうなんです。1次職や2次職ではタイプごとのスキルがあって、取得方向によって戦闘パターンも変化していましたし、上位2次職はその延長上で強くなるという流れがありました。
でも、それが3次職に転職した途端、スキルがパターン化された最強の万能職になってしまうんです。
――つまり、その職業が本来持つ強さを、より際立たせるようにスキル調整が行われたということですね。
中村氏:最上位職としての固有のおもしろさを、もっと感じてもらえるような方向のスキル調整ですね。同一職業の中でも、スキル取得の選択やステータスの振り分け方でさまざまなタイプを楽しんでもらえるような内容となっています。
スキル調整に伴い、ほぼ全マップがコンセプトを持った内容に生まれ変わる
――大規模なスキル調整が行われることによって、これまでメインとしていた狩場が変わってしまうという人もいそうですね。
中村氏:もちろん変わります。ただし、今回のスキル調整に併せて約300マップ、ほぼ全マップに対して調整を加えています。例えばプリースト系であれば「退魔系」スキルがこれまで以上に有効なマップも登場しますし、2~3人パーティ向け、支援スキルがあると狩りが一気に楽になるマップなども用意しています。
――全マップが、それぞれにコンセプトを持ったということでしょうか?
中村氏:その通りです。2次職に転職したい時にJOB経験値が多めに稼げる敵が多く出現するマップなどもありますし、パーティ人数ごとで最適なマップもあります。
プレイヤーの皆さんが「今こんなことがしたい! こんなプレイで遊びたい」という希望に応えられるようなマップ構成になっているはずです。
山本氏:ほかにも、装備によって大幅に差が生まれるマップもありますし、その差を生み出す装備をよくドロップするモンスターがたくさん出るマップもありますね。
ですので、「あのマップで狩りがしたい、ならその前にあのマップで武器ドロップを狙おう」というように、プレイヤーの皆さんが何をしたいかが明確になると思っています。
――より目的別にデザインされ、計画的にステップアップできるという印象です。
中村氏:プレイヤーの皆さんにとっては、小さな目標をどんどん乗り越えていくようなプレイ感になると思います。ただし、これは決して運営チーム側からの押し付けではなくて、あくまでプレイヤーの皆さんが「何をしたいか」を実現するための調整です。
そのため、アップデートの特設サイトでは、マップコンセプトの紹介ページや、自分のキャラクターの職業やレベル帯を入力すると狩場として最適なマップが検索できるページも用意しています。
――そういったサポートがあれば、アップデート実施後でもどこで何をしたらいいのか迷わずに済みますね。
中村氏:ほかにも、出現モンスター別でのマップ検索もできるなど、プレイヤーの皆さんの「今」の希望に応えられるような特設サイトを目指しています。
山本氏:あとは、モンスターのスキル調整も行なっていますし、一部モンスターには変身などの演出も実装しています。たとえば、卵型モンスター「エギラ」は、最初は卵型ですが一定時間経つと目玉焼き型の白蓮玉になり、最後は溶けて消滅するという感じですね。
中村氏:モンスターについては、ステータスやAIの調整も行なっているので、これまでとは若干戦い方が変わるかもしれません。
また、これまでは高レベル帯キャラクター向けのモンスターが不足していたのですが、どのレベル帯でもしっかりと遊べるマップを用意するというコンセプトのもと、高レベル帯向けに大幅に強化したモンスターもいます。
――では…昨日まで戦っていたモンスターに、実装後いきなりフルボッコにされる、なんてことも起こりうるのでしょうか?(汗)
中村氏:そういったことが起こることも想定して、特設サイトではアップデート前とアップデート後のモンスターの強さを比較できるようにします。ぜひそちらで一度情報を確認してみてください。
――それを聞いて安心しました。では、その他にマップ関連で変更される内容などはありますか?
中村氏:現在「討伐クエスト」という、モンスターを一定数倒すと経験値がもらえるクエストが実施されているのですが、いったん停止します。
出現モンスターやマップは、「討伐クエスト」がないのを前提に経験値を調整していますので、今回の調整におけるマップコンセプトをしっかりと楽しんでいただくために、「討伐クエスト」は停止する判断をしました。
ただし、「討伐クエスト」には単に経験値目的だけでなく、いわゆる「デイリークエスト」的な楽しみ方を求めるプレイヤーさんもいたので「討伐クエスト」に変わる代替クエストを用意します。
山本氏:職業ごとに毎日30分くらいで達成できるクエストや、中期的に特定マップで活性化したモンスターを沈静化するようなクエストなどを考えています。ちょっとしたミニストーリーのような楽しみですね。
中村氏:あとは、直接的な関連ではないのですが、経験値テーブルを一律で10分の1にします。おそらく最初は獲得経験値の少なさに驚くかもしれませんが、獲得経験値だけでなくレベルアップまでの必要経験値など、経験値関連テーブルがすべて10分の1になっているので、実際にはこれまでと変わらない感覚でプレイできます。
――これまでと変わらないのであれば、なぜこのタイミングで経験値テーブルを変更するのでしょう?
中村氏:この10年間、たくさんのアップデートを重ねた結果、システム側の経験値関連数値がオーバーフロー(桁あふれ)を起こしてしまう可能性が生じたからです。
――10年という運営を続けてこれたからこそシステム側にイレギュラーな問題が発生してしまったという、嬉しくもあり悩ましい状態ですね。
中村氏:アップデートでどんどん強い敵を実装し、レベルアップなどでも必要経験値が増えてきていますので、この辺で一度調整しておこうということで、今回のアップデートで実施することにしました。
ただし、単に数値を10分の1にすると低レベル帯での経験値の数値差が消えてしまいますが、その点は個別に調整を加えてありますので、ご安心ください。
スキル調整アップデート後に付与されるスキルリセット権、今回は2回分!?
――スキル調整に伴うマップ調整のお話だけでもかなり大規模なアップデートですが、各スキルに変更が加わることで、キャラクターごとの力関係もだいぶ変動しそうですね。
中村氏:そうですね。今までメインとしては攻撃力不足だったようなスキルも、今回の調整で実用的になったものもありますし、逆に弱体化したスキルもあります。
――となると、今回もプレイヤーの皆さんに調整後のスキルを試してもらえるよう、スキルとステータスのリセットは実施されますか?
中村氏:もちろん実施します。ただし今回はかなり大幅な変更となるので、リセットチャンスを2回予定しています。これは、大規模アップデートだからこそ、プレイヤーの皆さんにお試し期間を設定してあげたい、という意図ですね。
――なるほど。一度試してみてから最終決定をする、と。では、お試し期間について詳しく教えてください。
中村氏:アップデート当日となる11月27日に、一度目のリセット権付与を行います。そこでまずは気になるステータス振りやスキル取得を試していただき、3週間後の12月18日に2回目となるリセット権の付与を行ないます。そのうえで、プレイヤーの皆さんに最終確定していただくという流れとなります。
ただし、各リセット権は期間限定で実行でき、実行可能期間を過ぎると消滅してしまうので、その点は注意してくださいね。また、2回分が累積することもありませんので、こちらも併せてご注意ください。
山本氏:一度スキルリセットを実行してから、おそらくゲーム内ではプレイヤーさん同士で数多くの情報交換が行われるはずです。皆さんでさまざまなパターンを試したり、強さなどを比べてみてから最終的な決定をしてください。
中村氏:当然ですが、2回のリセットは無料で行えます。ただし、これとは別に、今回は一定期間中に何度でもスキルとステータスを振り直すことができる有料アイテムの販売も実施する予定です。
――1人でいろいろなパターンを試したい人に向けた措置でしょうか?
中村氏:そうですね。もちろん全員が何度でもリセットできればいいのですが、それでは大きな決断をしたからこそ、自分だけのキャラクターに愛着が沸くというロールプレイの楽しさがなくなってしまうので、今回は有料とさせていただきました。
有料リセット件は、販売期間も使用期間も11月27日より2週間限定のアイテムなので、スキル調整アップデート後に3次職を研究したり、極めたいという人はお試しください。
――お金はかかるけど、3次職のさまざまな魅力に触れたい人はぜひ、というアイテムですね。では、今回の調整アップデートに合わせたイベントなどはありますか?
中村氏:プレイヤーの皆さんに人気の高かった期間限定イベント「蜃気楼の塔」を、11月27日から復活させます。その場に集まった100人が塔の最上階を目指して登っていくダンジョンなのですが、攻略要素が非常に高いコンテンツですので、新バランス・新スキルを使用しての挑戦を楽しんでいただけると思います。
また、今回は11月27日から6日間、「蜃気楼の塔」の実施時間にあわせて無料プレイ時間「ラグホーダイ」を設定します。「蜃気楼の塔」がオープンしている21:00~25:00までの4時間は誰でもプレイできますので、ぜひこの機会に「ラグナロクオンライン」をプレイしてみてください。
――大まかにアップデートのお話を伺いましたが、今回の大規模スキル調整に対して、プレイヤーの皆さんからはどのような声が上がっていますか?
中村氏:非常に大きな調整ですし、環境変化にもなるので、職業によってはスキルの大幅な弱体化を心配されている方がいるのは事実です。ただ、弱体化ものがあってもそのまま投げっぱなしということはしていません。
一番最初にお伝えした通り「職業らしさ」を出すことが今回の調整の目的なので、1つのスキルは弱体化したとしても、その職業らしいスキルが驚くほど強化されています。
汎用的な強さではなくなったとしても、何かに特化した強さやプレイスタイルが楽しめますので、プレイヤーの皆さんには大いに悩んでいただきたいですね。おそらく、強力なスキルを全部取得するにはスキルポイントが足りないはずなので、あれもこれも覚えて汎用タイプ、というのは今後は難しいでしょう。
――セオリー以外の選択肢が広がったことで、プレイヤーの皆さんにとってはキャラクター育成がさらに楽しくなりそうですね。
山本氏:テストでは実際にはありえないようなバランスでの調整も、回数を重ねて実施させていただきました。それによって、運営チームとしても貴重なデータをたくさんいただけましたし、なによりも今回の調整でかなりバランスがとれたと考えていますので、実装後も楽しんでもらえると自信を持っています。
詠唱時間消滅や5桁ダメージ連発も!?職業らしさがこれでもかとにじむスキル調整を内容チェック
――では、具体的にはどのようなスキル調整が行われているのでしょう?
山本氏:スキルの威力や効果時間を変更したものもあれば、効果や威力影響を及ぼすステータスを変更しているスキルもあります。たとえば、これまでのようにINTだけにステータスを特化させていれば回復スキル効果が高まるという単純な関係性ではなくなり、INTの増加で回復量の最大値は増加しますが、1回ごとの回復量の振れ幅はDEXに依存する、などですね。
これにより、ステータスの割振り方は分散することになりますが、別なスキルが同時に恩恵を受けるようになるので、職業としての幅が広がると考えています。
――そのほか、職業ごとに注目すべき調整などはありますか?
山本氏:アコライト-モンク系の3次職・修羅のスキル「点穴」シリーズが、「黙」以外自分専用となります。「点穴」はステータス強化・補助系のスキルで、他キャラクターに発動することもできたのですが、これができなくなります。
ただし、自分専用スキルになったことで、これまでスキルボタンを押し、(自分を含めて)対象キャラクターをターゲッティングしてからクリックするという流れが、スキルボタン1発で発動できるようになり、使用感はかなり快適になります。
さらに発動までの詠唱時間もなくなるので、よりスピーディなバトルが展開し、近接格闘職である修羅が、さらにソロでの戦いに特化した職業へと生まれ変わります。
――他キャラクターへの補助性能を減らす代わりに、攻撃性能が上がるわけですね。
山本氏:そうです。これにより、同じアコライトという1次職から派生する職業であっても、修羅は比類なき攻撃力を誇る格闘家、そしてアークビショップは回復・補助を専門にする聖職という住み分けができるようになりますし、スキルのとり方でも職業内でタイプが異なってきます。
今後、修羅はさまざまな自己強化ができる「点穴」のラインナップを瞬時に切り替えながら、単独でも戦えるというかなり強いキャラクターになるでしょう。
それと同時に、アークビショップは補助スキル性能を極限まで高めていますので、プレイヤーの皆さんはどのスキルを取ったらいいのか本当に迷ってしまうほど、さまざまな支援スタイルが派生すると思います。
スキルポイントが確実に足りなくなるので、ぜひセオリーなど考えずに、自分なりに悩んでスキルを取得してほしいですね。
中村氏:おそらくスキル選びにはかなり迷うことになると思うので、特設サイトでは3次職に対して運営チームが考えるオススメタイプなども掲載する予定です。
ただ、これはあくまでオススメの一例ですし、運営チームとしても最強を推奨するわけではないので、まずは自分なりに各職業の楽しさを見つけるという「ラグナロクオンライン」本来のおもしろさを再び感じていただけたらと思っています。
――ちなみに、修羅ですとどんなタイプがオススメでしょう?
中村氏:修羅は、前述の通りスキルの補助性能を下げた代わりに、攻撃性能が非常に高くなりますが、スキルによっては用途が限定されたものもあります。これまでよく使われてきた「雷光弾」は、発動までに基本で5秒程度の詠唱時間が必要になりますが、代わりにクールタイムがなくなります。もちろん、詠唱時間はステータス次第で短くなるので、連射可能な範囲攻撃になるわけですね。
パーティプレイ時には味方からSPを供給してもらえば、強力な範囲攻撃を何度も出せるため、「雷光弾」があればパーティプレイに適したタイプとなるでしょう。
――パーティプレイが好きなプレイヤーさんにとっては、ヒーローになれるスキルですね。
中村氏:ぜひパーティプレイ時に使ってほしいスキルですね。あとは「点穴-球-」がかなり使いやすくなりました。修羅は「気弾」というエネルギーを使って発動するスキルが多いのですが、このスキルは、攻撃時やダメージを受けた際、そしてスキル使用時に気弾を生み出すというスキルです。
ただ、これまでは気弾の発生率がものすごく低くて、プレイヤーの皆さんからも「あまり意味がないじゃないか」というご意見をいただいているくらいでした。ですので、調整によりほぼ100%気弾が発生するようにしました。
純粋に気弾をチャージする時間が短縮されるので、よりスピーディにスキルの発動が行えるようになります。また、気弾を吸収してSPを回復するスキル「吸気功」の場合は、気弾を吸収したあと、すぐ気弾がたまります。つまり、修羅が永久機関になれるんですね。
――なるほど! たしかに、先程のご説明の通りソロ戦闘のスペシャリストと言えますね。
山本氏:気弾を1つ消費して発動させるタイプのスキル、たとえば「修羅身弾」などは、「点穴-球-」効果中であれば何度でも連発できますので、相当強力といえます。
コンボ系のスキルでも、多段ヒットするとその分気弾が発生するので、むしろ使えば使うほど気弾が増えていく状況になります。
これまでもコンボタイプの育成をする人はいたのですが、やはり気弾の工面がどうにもならず、ある種ネタキャラ化していた部分がありました。それが、今回の調整により恐ろしく破壊力のあるタイプになるわけですから、修羅を使用しているプレイヤーさんは、今後コンボタイプにも絶対に注目するはずです。
中村氏:また、コンボタイプは攻城戦でも威力を発揮できるようになっています。これまでは敵陣に侵入するためにバリケードを破壊する必要があったのですが、このバリケードがとにかく硬い。耐久値(HP)も相当高めだったのでなかなか破壊できなかったのですが、「双龍脚」から「大纒崩捶」というコンボであれば、かなり短縮ができます。
しかも、「点穴-球-」を発動していれば気弾は即時回復しますので、これはすごいインパクトですよ。
――攻城戦の戦い方自体を根底から覆すような調整ですね。
中村氏:全体的に見ても、それくらい大規模な調整ということです。そのほかにも、周囲の敵に回し蹴りを食らわせる「旋風腿」が無詠唱になるなど、大小いろいろな調整が施されていますので、ぜひ特設サイトなどでチェックしつつ、スキルリセットで試してみてください。
――修羅以外の3次職についても教えてください。
中村:では、特徴的なところでマーチャント系職業の3次職・メカニックについてご紹介しましょう。メカニックは専用のロボット「魔導ギア」に乗って戦うスタイルがあるのですが、これまでは防御スキルの性能があまり高くなかったので、ほとんど取得されることがありませんでした。ですので、今回の調整で防御スキルの性能を大幅に上げています。
今までは攻撃スキル「コールドスローワー」と「アームズキャノン」さえ覚えておけばなんとかなる職業スタイルだったのですが、今回の調整で選択肢がかなり増えましたね。
山本氏:自分を中心に周囲にいる味方をクローキング(透明)状態にできるスキル「ステルスフィールド」についてご説明しましょう。
以前は効果持続時間よりも再使用までのクールタイムのほうが長かったので、スキル効果が切れると再使用まで時間がかかるため、味方を守るという意味ではあまり使えないスキルの代名詞でした。
それが今回の調整で逆転しています。「ステルスフィールド」効果継続中にクールタイムが完了するため、SPが続く限り「ステルスフィールド」を発動させっぱなしにできるわけです。ですので、メカニックが倒されない限りは味方を守り続けられます。
――対人戦や攻城戦でかなりの効果を発揮しそうですね。
山本氏:明らかに、攻城戦で活躍するスキルですね。「ステルスフィールド」範囲内に隠れたキャラクターは、敵からのターゲッティングによるアタックが不可能になります。これを応用すれば、攻城戦において破壊が勝利条件となる「エンペリウム」を範囲内に入れることでターゲッティングが不可能となり、メカニックが倒されない限りエンペリウムを守り続けることができます。
今後、攻城戦では防御タイプのメカニックが防衛の要となる可能性がありますね。
――先ほどの修羅といい、戦略自体がまったく変わる可能性のある調整ですね。
中村氏:あとはメカニックで言うと、これまでもメインとして使えた「アームズキャノン」が若干仕様変更されています。これまで地面指定の範囲攻撃だったのですが、相手キャラクターをターゲッティングして発動するようになります。
これにより、動きまわる敵に向けて撃ち出すことになるので、敵の動き方次第では周囲の敵を巻き込んでくれる可能性があります。そのほかにも攻撃に念属性が付加されたことにより、対人戦において非常に有効なスキルに生まれ変わります。
――なるほど! たしかに念属性は対人戦で効果が高いですね。
山本氏:ご存知の通り、念属性は無属性や他の属性攻撃に対する耐性がかなり高いため、防具に念属性を付加するプレイヤーさんがとても多いんです。でも、唯一念属性に対しいて念属性で攻撃すると大ダメージを与えられるので、今回の調整で「アームズキャノン」が有効になるということですね。
その他にも、これまであまり使い勝手の良くなかった「バルカンアーム」や「フレイムスローワー」なども、攻撃力アップや効果範囲の拡大などにより、かなり強いスキルに生まれ変わっています。
――では、「魔導ギア」を使用しないスタイルのスキルについても教えてください。
中村氏:メカニックの「魔導ギア」を使用しないスタイルでは、元々がマーチャント系職業ですので斧を使う強力なスキルが数多く用意されていました。ですので、特色をよりだすために各スキルが強化されています。
斧を振り回して攻撃する「パワースイング」ですが、これまではもっと強いスキルが多かったので、あまり使い道がありませんでした。しかし今回の調整により、かなり高威力を発揮するようになり、さらに連発も可能になります。今までカートターミネーションでzenyを消費していた人はチャンス!
斧タイプは、状況に応じて遠距離用の「アックスブーメラン」、近距離の「パワースイング」、そして範囲攻撃の「アックストルネード」と、相手の数や距離などにあわせて使い分けられるようになりましたね。
山本氏:あとは、遠距離攻撃や魔法攻撃を発動する攻撃ロボットが設置できる「シルバースナイパー」と「マジックデコイ」というスキルですが、劇的に強化されています。まず効果時間が大幅に延び、5分程度となりました。さらに、与えるダメージも一桁増えるくらい強化され、非常に頼もしいスキルに変貌しています。「マジックデコイ」の魔法だと、場合によっては一撃で20,000くらいのダメージが出ますね。
ソロプレイの時などは、「シルバースナイパー」などを設置して、自分は影から見守るなんて戦い方も、今後はできるようになりますね。
――メカニックも、メカニックらしく魔導ギアやFAWを使った戦い方などが特徴になるわけですね。お話を伺っていると、調整によって生まれるメリットのほうが大きいように感じました。
中村氏:そうですね。基本的には、各3次職とも強くなっています。ただ、これらを踏まえたうえで、現状が変化してしまうことに不安を感じられる方も、当然いらっしゃいます。でも、スキル調整によってこれまで長年「ラグナロクオンライン」がお見せしてきた本来このタイトルが持っている職業選択の楽しさや幅を、3次職でも体験できるようになったと感じていただけるとありがたいです。
今回の調整で、間違いなくタイトルとしてはさらにおもしろい方向に進化していますよ。
アルケミスト系統の3次職「ジェネティック」は、薬品を使ったスキルが強化されている。 武器を使った戦闘が苦手なINTタイプは、「スポアエクスプロージョン」、「ファイアーエクスパンション」の 威力が大幅に高められているので、これまでよりも飛躍的に戦闘が楽になる。 |
「ロイヤルガード」は、同一パーティー内のロイヤルガードに「バンディング」を使用することで、 人数に応じて攻撃力と防御力が大幅に上昇。さらに、特定のスキル(ヘスペルスリット、レイオブジェネシス)の効果が 恐ろしいほどに高まるようになった。 |
――力強いお言葉ですね。では、最後に「3次職スキル調整テスト」特設サイトなどでも紹介されていた「ソーサラー」の新能力「精霊システム」について教えてください。
中村氏:「精霊システム」と「ホムンクルスS」はですね…すみません! テストサーバー「SakrayJ」では実装していたのですが、今回は本サーバーへの実装は見送らせていただきました。
この2つはスキル調整と言うよりも新システムの実装ですし、テスト時にはいくつか問題が発生していましたので、別の機会にしっかりしたものを実装します。もちろん、実装時にはソーサラー使用ユーザーにもう一度スキルリセット権を付与できるようにしたいと考えています。
山本氏:特設サイトなどでは情報が掲載されてたのですが、テスト中は「精霊システム」などについてはまったく言及できず、プレイヤーの皆さんにもアナウンスもできていなかったので、この場を借りて報告させていただきます。
――今後の実装をお楽しみに! ということですね。では、最後にプレイヤーの皆さんにメッセージをお願いします。
中村氏:今回のアップデートは、「ラグナロクオンライン」の本来の魅力である職業の自由度を3次職でも感じられるよう、かなり力を入れて各種調整を行なっています。プレイヤーの皆さんにとっては、ゲームバランスなどが変化することによって新たに生まれる楽しみが数多くあると思いますので、ぜひ恐れずに挑戦してみてください。
――ありがとうございました。
インタビューを終えて
インタビューで中村氏と山本氏がおっしゃっていたように、本作には多数の職業が用意されており、さらに同一職業でもスキル取得方向やステータスの振り分け方でもさまざまな楽しみが生まれるというのが、「ラグナロクオンライン」の10年前から続くおもしろさの1つだ。
聖職・アコライトが本来の回復・補助役ではなく、STR値を高めた「殴りアコ」になり、そこから修行僧「モンク」という2次職に発展したり、本来強くなるために職業に就くのが当たり前と思われていたのに、無職の「ノービス」状態を続けるプレイヤーのために「スーパーノービス」が用意されたりと、本作の世界に生きるプレイヤーたちが、それぞれに個性を発揮しやすい土壌が備わっている。
今後、3次職はこれまでのような万能職ではなくなる。しかし、それによりさらに職業としての特徴が発揮され、それらを上手くミックスしたパーティプレイでは、これまでになかった戦い方やコミュニケーションが生まれるのではないだろうか。大型アップデート実装日となる11月24日が非常に待ち遠しい。
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