スクウェア・エニックスが2013年に正式サービスを予定しているPS3/PC用ソフト「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」。12月27日まで行われていたPC版のαテストに参加できたので、スクウェア・エニックス社に特別に掲載の許可をもらい、ファーストインプレッションをお届けする。
「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」(以下、「新生FFXIV」)は、2012年11月11日までサービスが続けられてきた「ファイナルファンタジーXIV」(以下、「旧FFXIV」)のゲーム仕様や根幹システム、ゲームデザインなどを一新して開発されているMMORPG。
10月下旬から断続的にαテストが行われており、12月下旬には、いよいよαテストも最終フェーズを迎えた。今回、そのαテストに参加することができたので、実際にプレイしてみてのインプレッションをお届けする。
なお、お約束ではあるが、ここでお伝えする内容はαテスト段階のものであり、今後のテストや正式サービス時には仕様が変更となる可能性があるので、その点はご容赦いただきたい。
キャラクターを作成し、いざエオルゼアに
ゲーム開始時に行うキャラクタークリエイションでは、男女共通して「身長」「肌の色」「声のタイプ」「髪型」「髪の色」「メッシュの色」「顔のタイプ」「髭や傷あと」「髭や傷あとの色」「顔の輪郭」「眉」「目」「瞳の形」「瞳の色」「鼻の形」「口の形」「フェイスペイント」「ペイントの色」の設定が行える。
それに加え、男性キャラクターであれば「体格」が、女性キャラクターであれば「胸囲」がそれぞれ設定できるようになっている。さらにミコッテを選択すると、「尾の長さ」を5段階で調整することができた。αテストでは実装されていなかったが、「尾の形」という項目も確認できた。
どの項目も、スライダーやカラーピッカーで細かく調整するタイプではなく、事前に用意されたパターンから選択する方式となっていたが、そもそも項目数が豊富なので、MMORPGの中でも平均以上のバリエーションが楽しめる。さらに言えば、βテストでは項目や種類が増えるようなので、この辺りは十分に期待できるだろう。
また「旧FFXIV」もグラフィックは良くできていたが、それよりもクオリティアップしていることが感じられた。筆者は普段、オンラインゲームで男性キャラクターを使うのだが、撮影用にクリエイションしていたミコッテに惹かれ、ついついそちらでプレイを開始してしまったほどだ。
キャラクタークリエイトが終わると、グリダニア、ウルダハ、リムサ・ロミンサという三都市のうち、最初に選択したクラスに合わせた都市からスタートすることになる。αテストはグリダニアから始まるクラスに限定されており、槍術士、弓術士、幻術士の3つから選択することができたので、今回は槍術士でプレイすることに。
グリダニアに降り立つと、まずは基本操作のチュートリアルが開始となる。キーボードの「W」「A」「S」「D」で移動、スペースでジャンプ、クリックしながらマウスを動かして視点移動など、普段からPCでMMORPGをプレイしている人には馴染み深い操作方法にすらチュートリアル(How to)が用意されていた。
本作のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が、インタビュー時に「全員が新規のお客様だと思ってゲームを作っています」と話していた通り、「旧FFXIV」を全く知らなくても、あるいは本作からMMORPGを始めても困らないよう、丁寧に作られていることが伺えた。
なお、αテストではキーボード+マウスでの操作方法のみとなっており、ゲームパッドには対応していないのだが、ゲームパッドモード用の「How to」も用意されているとのこと。
豊富なクエストでテンポよく進む序盤
基本操作やクエストの受注方法を覚えた後は、冒険者としての登録を行うことになる。ここでは、「旧FFXIV」でもお馴染みのエーテライトをはじめ、自分が最初に選択したクラス(筆者の場合は槍術士)のギルド、ショップが並ぶ商店街など、街の主要施設を巡ることになる。
マップは広めなので、初めてプレイする人は覚えるまで大変かもしれないが、マップ画面を開くとクエストの受注・報告などができる場所が表示されるようになっている。序盤からマップに表示される情報量が多いので戸惑うこともありそうだが、目的のものをひとつずつ進めようとすれば、あまり迷う心配はないだろう。
画面右側にはクエスト一覧が表示され、クエスト名をクリックするとその概要が、クエストの目的をクリックすると目的の場所が表示されるようになっている。「旧FFXIV」では、マップにNPCの名前が表示されていたものの、クエスト(ギルドリーヴ)を報告するにはそのNPCを探さなくてはいけなかったので、それと比べるとプレイしやすくなっていると感じた。
また、グリダニアは新市街と旧市街に分かれており、新しく作られた場所も存在する。以前からある場所でも当時と変わっているところがあるので、「旧FFXIV」をプレイしていた人は、街中をウロウロして違いを探してみるのも面白いだろう。
街の主要施設を巡るクエストの後も、次々と新しいクエストが発生する。クエストの報酬ではギル(お金)やアイテムのほかにも、一般的なMMORPGと同じく経験値が獲得できるようになっているので、序盤はそれらを順にこなしていくだけでサクサク進むようになっている。
クエストは「モンスターを何体倒してくれ」「このアイテムを集めてきてくれ」といった、いわゆるおつかい系のクエストが多いものの、中にはちょっとしたサブストーリーが用意されているものもある。
例えば盗賊の退治をお願いされるクエストでは、「盗賊が実は依頼人の○○だった!」という展開が待っていた。ひとまずそのクエスト内で話は完結するのだが、「もしかしたら続きがあるかも…?」と思わせてくれるのもニクいところだ。クエストでのセリフは、コンシューマゲームのように吹き出しで表示されるので、物語に入っていきやすいというのもあるだろう。
クエストでは当然敵と戦うこともあるので、バトルについても触れていこう。バトルは、左クリックやTabキーなどでモンスターを選択して、そのまま右クリックで通常攻撃を開始したり、キーボードの1~0と、0の隣にある「ー」キーに設定されたスキルを発動して戦うのが基本となる。
過去の記事でもお伝えしているので知っている人もいると思うが、改めて説明すると、本作ではウェポンスキル(WS)を使うためのTPが最初から溜まっており、いきなりWSを発動して攻撃できるのが特徴だ。「旧FFXIV」では通常攻撃によってTPを溜める必要があったので、バトルのテンポは間違いなく良くなっている。
自分のステータスを一時的に強化するタイプのスキルは別だが、攻撃技となるWSのクールダウンタイム(待機時間)は全て共通で3秒間という短い時間なので、その点もテンポのよさに一役買ってくれている。クールダウンタイムは成長と共に短くなっていくというので、ゲームを進めていけばさらに遊びやすくなっていくのだろう。
戦闘で気になったのは、通常攻撃にあたる「オートアタック」が発生しないときがあったこと。ただ、これはWS発動中にはオートアタックが発生しないαテスト用の仕様だというので、今後のテストで最終的な仕様が実装された際に再度触れてみたい。
ほかにも、敵との距離感が掴みづらく、スムーズに敵を攻撃できなかったこともあった。ここは慣れやプレイヤースキルの問題にもなってくるが、ある程度まで近づいていれば、システムで自動的に残りの距離を詰めてくれた方が遊びやすいと思う人も出てきそうだ。戦闘以外の、クエスト関連アイテムを調べる際には、システムで補ってくれると特にありがたいと感じる。
レスポンス速度は向上、要求スペックは低下で遊びやすく
クエストを進めたりしてレベルが10に達すると、最初のクラスクエストが受けられるようになる。これをクリアすることで「アーマリーシステム」が解放され、ほかのクラスに変更できるようになる。
クラスは、槍術士のような接近戦タイプのファイター、幻術士のような遠距離タイプのソーサラー、園芸師のようなアイテム採集を行うギャザラー、革細工師のようなアイテムを製作するクラフターの4つに大別できる。せっかくクラスが変更できるようになったので、グリダニアにギルドがある革細工師と園芸師で、製作と採集も試してみた。
各ギルドに行ってクラス変更を申請すると、そのクラスで使える装備と、革細工師(クラフター)であれば製作手帳が、園芸師(ギャザラー)であれば採集手帳が手に入る。今後は、わざわざギルドへ行かずとも、メインアームを変えるだけで装備に対応したクラスに変更することができ、これがアーマリーシステムの特徴ともなっている。
最初のクラスクエストを終えた段階で、アーマリーシステムと同時に解放されるものに「ギアセット」がある。これはクラスごとに合った装備のセットを設定しておくと、ギアセットを変えるだけで各クラスに適した装備に変更できるというもの。戦闘のクラスと採集・製作系のクラスでは装備の構成が大きく変わるので、装備をまとめて手軽に変えられるのは非常に便利だ。
ギアセットの使い方は自由なので、戦闘をメインで遊ぼうと考えている人は、槍術士、弓術士、幻術士と、ファイター&ソーサラーだけの装備を設定しても問題ない。もちろんひとつのクラス、例えば槍術士に限定してプレイするという人でも、パーティー向け装備、ソロ向け装備など、同じクラス内で複数の使い道を用意するのもアリだろう。
肝心の製作では、クラスチェンジをした段階ではアクションバーに何も設定されていないので、まずはアクションメニューから「作業」のコマンドを登録する必要がある。その後は、製作手帳を開き、作りたいアイテムを選択して、素材に設定された耐久の値がなくならないように作業していく。
ギャザラーの各クラスのレベルが上がっていくと、作業のほかにもさまざまなアクションを覚えるので、ゲームを進めていくと、それらを駆使して高品質なものを作れるかがポイントとなってくる。
「旧FFXIV」と比べると、素材をひとつずつ選ぶ必要がなく、作業の面倒な手間が省かれている。製作だけでなく、装備品の変更時などにも感じたが、操作に対するレスポンスも全体的に良くなっていたので、クライアントの処理が遅いことでストレスを感じることはほとんどないだろう。
製作開始までの流れは「手帳を開く→作りたいアイテムを選択→製作開始ボタンを押す」と、簡略化されて分かりやすい。 作りたいアイテムをクリックすると、必要な素材やアイテムの所持数などが一目で分かるようになっているのがポイント。 |
採集に関しては、今回プレイできた園芸師の場合、専用のアビリティを使って良木と呼ばれるポイントを見つけ、そこでアイテムを採集する形となる。ひとつの良木から複数種のアイテムが採れるようになっているので、その中から欲しいアイテムを選択することができる。
良木から採れるアイテムや、そのアイテムが採れる確率が表示されているので、目当てのアイテムが手に入るかどうか一発で分かるようになっていた。同じ良木から再びアイテムが採れるようになるスピードは早かったが、αテストでは、ほかのプレイヤーとひとつの良木から採れるアイテム数が共有されていた。開発からのコメントを見ると、βテストからはこの仕様も変更になるとのことで、さらに快適にプレイできそうだ。
ここまでプレイしてUI周りで気になったのは、キーボードの「C」でキャラクター画面、「B」で所持品、「M」でマップを表示させるといったショートカットキーについてだ。一般的なMMORPGと似通っており、馴染みやすくはなっているが、それでも各種ウィンドウを開くものだけで10個以上存在するので、MMORPGが初めてという人が使いこなそうとすると大変に感じてしまうだろう。
画面右下にあるアイコンからも同じようにウィンドウを開くことができ、アイコンの上にマウスカーソルを乗せるとアイコンの説明も表示されるので、せっかくであれば、その説明に「キャラクター(C)」「所持品(B)」など、ショートカットキーも書いてあると覚えやすいのではないかと思った。
ちなみに筆者は自宅と編集部の両方でプレイしていたので、最後に大まかなプレイ環境についてもお伝えしよう。
自宅PC | 編集部PC | |
---|---|---|
OS | Windows 7 Home Premium 64bit | Windows 7 Home Premium 64bit |
CPU | Intel Core i7-870 2.93GHz | Intel Core i5-2400 3.10GHz |
メモリ | 12GB | 8GB |
グラフィックボード | ATI Radeon HD 5850 | GeForce GT 440 |
プレイ時の解像度 | 1280×780 | 1600×900 |
編集部のPCに搭載している「GeForce GT 440」は低価格帯のグラフィックボードであるため、1600×900の解像度で、なおかつグラフィックの設定をプリセットで「最高品質」にするとさすがにカクカクしてしまったが、ひとつ下の「高品質」では問題なくプレイすることができた。
一方、「旧FFXIV」用に自作した自宅のPCでは、使用しているモニタの都合上、解像度は1280×780でプレイしていたのだが、プリセットで「最高品質」にしても重さを感じることはなかった。当時ミドルクラスのグラフィックボード「ATI Radeon HD 5850」では、「旧FFXIV」の設定を最高品質にするとまともにプレイできないほど重かったことを考えると、クオリティを維持しつつ、動作に必要なスペックが下がっていることが伺える。
おおよそではあるが、プレイ中に40~50人程度のキャラクターが表示されても動作に影響はなかったことから、最適化なども順調に進んでいるのだろう。人が集まっているところであればもっと多くの人数が表示されるのだが、軽い重いとは別のところで、キャラクター名が画面中に溢れ出てしまうので、その点はやや見づらいと感じた。設定でキャラクター名を非表示にすることもできるのだが、名前を出しておきたい人にとっては、表示できるキャラクター数が多いゆえの影響もありそうだ。
なお、コンフィグでは、名前の表示/非表示のほかにも、カメラの操作方法やサウンドのボリューム、グラフィックの解像度などを設定できる。「旧FFXIV」のように解像度を変える場合はクライアント起動前にやらなければいけない必要もなく、プレイ中に設定を変えればそのまま反映されるので、こういった細かい点でも遊びやすくなっている。
ここまで実際にプレイしての印象をお伝えしてきたが、「旧FFXIV」サービス初期にプレイしていた頃を思い出すと、比べ物にならないほど変わっており、当時やめてしまった人にこそ触ってほしいと感じた。前作を考慮せず、MMORPG単体として見ても、チュートリアルの手厚さや豊富なクエストなど、序盤の導線はしっかりと作られている。このグラフィックのクオリティで遊べるMMORPGと考えると、αテストという現時点でも、来年の有力タイトルとして期待できる仕上がりになっている。
ただ、MMORPGをプレイしている人が馴染みやすくなっている反面、αテストなのでプレイできる範囲がかなり制限されていたこともあって、FFらしさを感じるコンテンツが少なかった印象もある。また、αテスター専用フォーラムでは多数のフィードバックが寄せられているので、それらがβテスト以降でどれだけ実装されるのかも含め、今後の展開を楽しみにしたい。
(C) 2010 - 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. LOGO ILLUSTRATION: (C) 2010, 2014, 2016, 2018, 2021 YOSHITAKA AMANO