スクウェア・エニックスは、2月25日より「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のβテストを実施する。βテスト開始に先駆け、本作のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを行った。
「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」(以下、新生FFXIV)では、2012年10月下旬から12月27日まで断続的にαテストが行われていた。テスト終了の前日にはニコニコ生放送が配信され、スペックが異なるPCでの動作比較や新情報発表、ゲーム内でのちょっとしたお祭り騒ぎもあり、テストの最後まで盛り上がりを見せていた。
同番組の終了後には、程なくしてβテストのロードマップが公開され、年明けの1月7日にはテスター募集が開始となった。そこから2ヶ月近く、目立った情報更新は行われていなかったが、ついにβテストのフェーズ1が2月25日からスタートすることが明らかとなった。
それに伴い、新たなトレーラーやスクリーンショットなどが公開された。今回、新情報で気になるポイントについて吉田直樹氏に話を伺ったので、その内容をお届けする。
最新のスクリーンショットで気になるポイントについてインタビュー
――今回新たなスクリーンショットを公開されましたが、どの画像にもユーザーインターフェース(UI)が表示されていません。これには何か理由があるのでしょうか?
吉田氏:ゲームとして動いている部分に関しては、α版を含めてたくさん出していますので、今回はシーン紹介をメインにしています。正直なところ、今までは現行プレイヤーの方に向けたPRが多かったのですが、今回は新規の方に「こんな美しい世界がありますよ」といった部分を知っていただくための内容になっています。αテストの範囲に合わせたグリダニアの画像だけでなく、リムサ・ロミンサとウルダハを含めた三都市を公開していますし、UIを無しにしているのもそれが理由です。
やっぱりUIの有無は印象の差がすごく大きく、キャラクターがポーズを取っているスクリーンショットにUIを表示させてしまうと、MMORPGの場合、情報量が多くて一歩引いてしまうと思います。変な例えですが、コミックを読んでいる時にパッとページをめくって、文字が多いと「あっ、後でいいや」となってしまうときがありますよね。今回はキャラクターや世界にフォーカスを当てたかったため、UIを外した画像にしました。
――夜のフィールドで光っているオブジェクトがありますが、クエスト以外でフィールドのオブジェクトを使って何かできるといった要素はありますか?
吉田氏:いえ、オブジェクトを使ったものは、基本的にクエストもしくはFull Active Time Event(F.A.T.E.)の中で発生します。F.A.T.E.はサーバー側でコントロールできる範囲なので想定負荷ですが、フィールド上にアクセスできるオブジェクトを置くと、同時にたくさんの人が操作した場合など、負荷が非常に大きくなってしまいます。そうした負荷の問題に加え、そもそも何か仕掛けを作るなら、人的なリソースコストを掛けないと面白くならないと思っています。
光っている花などがあるのは、夜に対しての工夫のためです。現実では月明かりと星明りだけで周囲が見えるほど明るくはならないので、リアルな夜の世界を作ると、実は真っ黒にしなくてはいけなくなります。それではゲームとして成立しなくなってしまいますので、夜はかなり丁寧に環境設定をしています。
絵作りと言いますか、リアルの観点からするとこの画像も真の夜ではなく、やはり作られた夜。ただ、ゲームをプレイするには支障がなく、なおかつ夜だと感じられるようにしています。例えば空の部分では、遠くに見える木や山の影を塗りつぶすことで、稜線は見えるけど迫ってくるような夜の強さを表現しています。
現実の空ほど暗くないというところもこだわって調整していますので、花のオブジェクトのように光っているものは、周辺が明るくても違和感がないと思えるための工夫として取り入れている面もあります。
ただ、奥の方に行くと本当に真っ暗になる場所もありますので、夜の森は結構怖いですよ。アンビエントやフォグをうまく使ったことで、集落から離れていくと暗くなっていき、少しずつ怖くなっていくような雰囲気は、うまく作れたのではないかと思っています。
――スクリーンショットのほかにフリーカンパニーのコンセプトアートを公開されていますが、こうしたシステム的に重要なビジュアルを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
吉田氏:MMORPGは“多くのプレイヤーと共に”という部分がすごく大きく、フリーカンパニーと「新生FFXIV」どちらのテーマにもマッチしているので、そこを分かりやすく表現しようと考えました。
今回のアートに関しては、僕から発注するときに“ひとつの旗の下に”という雰囲気は絶対に作ってほしいと伝えています。「新生FFXIV」では、カンパニークレストといって、パーツを組み合わせて自分たちのエンブレムを作ることができます。その印象が出るようにというのと、エンブレムは「ファイナルファンタジー」ならではのものにしてもらいました。
後は各キャラクターの装備ですね。いわゆる種族装備をしているものから、レベル50装備の「ダークライト」シリーズを着込んでいるものまで描かれていますが、フリーカンパニーにはコアユーザーもカジュアルユーザーも、そして新規ユーザーもいるので、それを表現したかったというのがあります。
――「FFXIV」と言えば吉田明彦さんのイメージがあるのですが、今回は高橋和哉さんが描かれています。お二人にお願いする分野みたいなものは決めているのでしょうか?
吉田氏:あまり決めていないですね。ただ、こういったコンセプトアートには高橋和哉を起用していて、キャラクターをピンで描き、それらを集合させる絵作りのときには吉田明彦に描いてもらうことは多いです。
二人ともお互いにタッチを合わせようとしているので、そこで面白い効果も出ていますし、今回のイラストも、高橋和哉のサインを外したら吉田明彦って勘違いする人がたくさんいそうだなと思っています(笑)。高橋和哉はそれぐらい描ける人ですし、実は今まで公開してきたアートにも彼が描いたものも多数あります。勘違いされてかわいそうだったので、最近はアートにサインを書くように言っています(笑)。
――確かにタッチが似ていると感じました。
吉田氏:「旧FFXIV」のとき、冒険者ギルドをイメージした横長のアートを公開していたのですが、それも高橋和哉が描いています。正直パッケージに使うか悩むぐらいレベルの高い出来でしたし、僕も純粋に「ファイナルファンタジー」ファンとして彼の絵が好きですね。
――今回のアートをオーダーするときにやり取りしたことはありますか?
吉田氏:この絵に関しては暗さをかなり調整してもらいました。当初、左下の暗い部分の沈み方が極端だったので、あまり沈み込みすぎないように、二人で色のやり取りをしました。そのほかはすごく良く描いてもらって、「ファイナルファンタジー」のテーマカラーである青の印象もキッチリ入れてくれていました。
今回のアートのほかに、もうひとつリミットブレイクをテーマに新しいアートも描いてもらっていますが、そちらは動きで苦労しましたね。すでに描き終わっていますので、それも後日公開させていただく予定です。
同時に公開された3つの動画の見どころは
――画像だけでなく最新トレーラーも公開されました。この動画のコンセプトなどを教えてください。
吉田氏:そもそもこのトレーラーには仕掛けがあって、ベンチマークソフトの映像そのままです。あえて以前公開したリミットブレイクのシーンが入っているのは、今までPR素材だと思って見ていたものが「まさか使っているPCでリアルタイムに動作するなんて!」という効果を狙っています。今回はプリレンダリングは一切無く、すべてインゲームの素材で構成されています。ずいぶん長いこと仕込んで作ってきたので、公開できてよかったです。
また、バトル関連の演出にかなりこだわっていて、F.A.T.E.のイメージを盛り込んだものにしています。F.A.T.E.は、フィールドを歩いていると「この地域にモンスターが発生したので皆さんで倒してください」といったイベントが突発的に発生し、パーティを組まずともイベントの近くに行くだけで自動的に参加でき、与えたダメージなどの貢献度によって一人一人に報酬が分配されるというシステムです。
ソロプレイの延長で、その時に出会った人たちと協力しながらワイワイ戦い、終わったら解散というコンテンツです。解散した後は、それぞれのクエストに戻っていける気軽さ、そしてフィールドを歩いていると何かが起きるというワクワクする部分を感じてほしいと考えました。周りでバトルをしている人がいたり、チョコボに乗って走っている集団にどんどん人が加わってそのままバトルに参加していく姿で、それらを表現しています。
ほかにも、ガッチリ組んだパーティで強敵と戦うコンテンツや、フリーカンパニーでチョコボに乗ってエオルゼアを駆けるなど、「新生FFXIV」のゲームデザインを詰め込んだイメージにしています。gamescomでもリミットブレイクのトレーラーを公開しましたが、そこからグラフィックがどれだけ進化しているかも比較していただける内容になっています。
――映像の最後に出てくるドラゴンは重要な存在だったりするのでしょうか?
吉田氏:イエロードラゴンですね。ダンジョンのボスとして登場しますが、特別重要という訳ではなく、今後戦えますのでお楽しみに。
――トレーラーのほかに、ゲームパッド解説動画も公開されました。この映像の最後に小さいチョコボが映っていましたが、これはどういった存在になるのでしょうか?
吉田氏:これはミニオンと呼んでいるシステムです。プレイヤーの後ろを付いてくるのですが、ただそれだけです(笑)。このミニオンはたくさん用意しており、コンテンツの報酬であったり、そもそもショップで売っていたりと、いろんな場所で手に入れることができます。ステータスには一切影響はありませんが、アクセサリーの一部のような、連れ歩くペットのような存在ですね。育てたり攻撃してくれたりといった要素はありませんが、その代わりどこでも呼べるようになっています。
MMORPGは一人で続けるのが難しいジャンルですので、ミニオンを全部集めてみようと思っていただけるような、コレクション要素のひとつとして搭載しています。「ファイナルファンタジー」のマスコット的キャラクターはミニオンとして山ほど用意していますし、βテストでもフェーズ1から3体が手に入ります。
以前からお伝えしている、バディと呼ばれるプレイヤーと一緒に戦うチョコボは別で存在していますし、ハウジングの要素を実装した後には、ヒナチョコボを育てられるようにしていきたいとも考えています。そうしたチョコボの育成要素は用意していますが、ミニオンはプレイヤーの後ろを付いてくるだけになっています。だからこそ、僕らも気軽にどんどん足していけるメリットがありますね。
――名前を変えることはできるのでしょうか?
吉田氏:それを実現させるためには、とんでもない数のセーブデータを持たなくてはいけなくなるんです…(苦笑)。そのため、ミニオン固有の名称に加え、プレイヤーのキャラクター名を表示させることで、自分のペットだと分かるようにしています。
――これを実装するために、描画処理が大変だったりといったことはありましたか?
吉田氏:僕が「入れようか!」と言った3日後には仕様がFIXして、2週間後には実装されていました(笑)。今もたくさん作っていますので、ミニオンが入って大変だったことはあまりないですね。
――PC版とPS3版の新しいウォークスルー動画も公開されました。PS3版のグラフィッククオリティは、PC版でいう最高品質、高品質、標準品質のどの辺りになるのでしょうか?
吉田氏:標準品質よりも上になっています。LoD(Level of Detail)を有効にしていますので、遠くに注目しているとローモデルの木が出て、徐々に詳細描画されていく様が分かりますが、カメラの近いところを見る分には、PC版とほぼ区別がつかないのではないかと思っています。夜景は特に違いが分からず、PC版と比べて遜色ない出来になっています。
クオリティはFIXし、あとはフレームレート高速化のための最後の最適化を行っています。このクオリティのグラフィックをスタンドアローンではなく、MMORPGとして楽しめるのは大きな魅力になると考えています。11年前に「ファイナルファンタジーXI」が初めてコンソールゲーム機にMMORPGを提供しましたが、「新生FFXIV」も同じように、今の世代のコンソールゲーマーが初めて触れるMMORPGであってほしいと思っています。
アカウントがPCとPS3のクロスプラットフォームであるため、どちらの機種でも同じキャラクターをプレイすることができますので、腰を据えて遊びたいコンテンツがあるときはPCで、リビングで寝っ転がりながらプレイしたいときはPS3で、といった遊び分けも可能です。
PS3版でβテストに参加できるのはフェーズ3からですが、発売はPC版と同時に行います。UIも専用のものを用意していますので、MMORPGは難しいわけではない、むしろハマれるジャンルであることを提示していけたらと考えています。
ミコッテ男性が一番人気?プロデューサーレターの内容についても聞いた
――βテストでF.A.T.E.に新しいものが追加されるとありましたが、その一例を教えてください。
吉田氏:F.A.T.E.はβテストのフェーズ1で公開するフィールド内に40個ほど実装しており、低レベル帯のものから大規模なものまで、さまざまなバリエーションを用意しています。
まず低レベル帯向けのものでは、F.A.T.E.が発生している範囲に入ると「○○周辺に胞子をまき散らすキノコが大量発生しているので駆除せよ」といったアナウンスが表示され、周りの人と協力して根こそぎやっつけるとクリアというものが多くF.A.T.E.ところで発生するようになっています。
大規模なものだと、盗賊が築いた砦を落とすために戦うグリダニアの兵士たちに協力して、一緒に砦のボスを倒すというものがあります。ボスを倒して砦を占領するとNPCの集落になるのですが、一定時間経つと、今度は盗賊たちが砦を奪い返しに来るF.A.T.E.が発生します。プレイヤーがいなくてもサーバーは当然動いていますし、いずれは取り返されてしまうと思いますので、奪われたり、奪い返したりが続くといったイメージです。
――NPCは戦闘にも協力してくれるのでしょうか?
吉田氏:してくれますよ。そのF.A.T.E.に参加している人数が少ないとガンガンNPCが加勢してくれますし、逆にプレイヤーの人数が増えればNPCが減っていくという、バランサーの役目を担っています。NPCの動作をF.A.T.E.専用に作っていたり、「助けてくれ!」といったセリフを言いながら戦っていたりと、細かいところも凝っていますし、新鮮味を感じていただけると思います。
――F.A.T.E.はランダムで発生するなど、システム的にはどうなっているのでしょうか?
吉田氏:ランダムではありませんが、NPCがイベント発生のトリガーになっていて、狙って出せるF.A.T.E.もありますし、もちろん自然発生でしか起きないものもあります。あとはサーバーの人数や、前回の成功・不成功を見て発生率が変わるようにしています。人がいないところで頻繁にF.A.T.E.が発生してもクリアできませんし、サーバーに負荷がかかるだけになってしまいますので、状況によってF.A.T.E.の発生頻度が下がる場合もあります。さすがに12時間待たないと始まらない、といったレベルではありませんので、その点はご安心下さい。
――ベンチマークの画面も出されていましたが、オプション設定をどれくらい調整できるのでしょうか?
吉田氏:αテストに参加いただいた方は、ゲーム内のオプションがどれくらいあるかご存知だと思いますが、βテストでは項目がもう少し増えています。ベンチマークでもそれらのオプション設定を変えることができるので、本番とほぼ同じ環境でPCの性能を試していただけるようになっています。
仮に最高品質の設定で「やや重い」のような判定が出たとき、シャドウを切ってみたり、キャラクター移動時の効果を自分だけにしてみたりと、単純に品質のプリセットを変えるだけでなく、どのオプションをオフにしたら快適に動くかを細かく試すことができます。個別にオプションを切ってみて、その結果「快適」となっても、自分がそのクオリティでゲームをプレイして満足できるのかなど、何度も見返すことができます。
すでに必要環境の底は確定させましたので、あとはハードの進化に伴って天辺を上げていくだけです。例えば5年後に「『FFXIV』のグラフィックも古くなったよね」と感じさせないよう、今回だけではなく、上限はずっと上げていこうと考えています。
――ニコニコ生放送でも水の表現に関するオプションが追加されるという話がありましたね。
吉田氏:ハイエンドPC向けの超高品質に関してはまだ作業していますので、本番ギリギリまでクオリティを上げていきます。ベンチマークも1つだけでなく、正式サービス開始直前には、キャラクタークリエイションができるものを公開させていただく予定で、そちらにはオプションを最大まで付けていきたいと思っています。
――キャラクタークリエイションのベンチマークで作ったデータは引継ぎ可能でしょうか?
吉田氏:その設定をPCに出力していただければ、「新生FFXIV」のサービスが始まるタイミングでゲームに取り込めるようにする予定です。
――βテストからは全種族が使用可能となりますが、社内での人気とプレイヤーからの期待が高いもの、それぞれいかがでしょうか?
吉田氏:プレイヤーが期待しているのは、やっぱりミコッテ男性だと思います。いわゆる「ファイナルファンタジー」スタンダードなイケメンも作れますし、いかついおじさんキャラも作れます。ポーズを取っている姿を見てもキャラ立ちしていますので、ミコッテ男性が一番人気ではないでしょうか。ただ、これでミコッテ男性を使ったら負けだなと思っている方もいる気がしますね(笑)。
開発チームだと、ルガディンやララフェルを使っているスタッフが多いです。ハイランダーやルガディンの女性は、ガッチリした装備をまとって戦うとカッコいいので、僕はかなりアリだと思います。
――ミコッテの尻尾のように、種族ごとに固有のカスタマイズ部分はあるのでしょうか?
吉田氏:エレゼンとララフェルは耳の角度が違うものなどを選択できるようになっています。ヒューランとルガディンは筋肉のシェーダを変えられるので、どの種族にも何かしら固有のカスタマイズパーツを用意しています。
種族一覧
――プロデューサーレターで髪の色数が増えるとありましたが、カラーピッカーにしなかったのは理由があるのでしょうか?
吉田氏:カラーピッカーにしようという案は当然出ていますが、僕が却下しています。思い通りの色ってまず作れないですし、結局中間カラーは不必要なデータになってしまうので、よくあるRGBのパレットスライダーは絶対にやめてほしいと開発チームに話をしています。そのため、一色ずつ選べるようにしていますし、βテストでは色数を192色に増やす予定です。全てのカスタムパーツが使えるのはフェーズ3からですが、その時にはキャラクタークリエイションで3日間ぐらい悩んでいただきたいですね。
――βテストではレベル上限が35ですが、期間中に到達可能な範囲でしょうか?
吉田氏:いけると思います。レベルだけでしたら、早くて12時間くらいでしょうか…クエストなどのメッセージを読んでいったらもう少しかかりそうですが、十分到達できると思います。
――落下ダメージも搭載されますが、一撃死することもあるのでしょうか?
吉田氏:HPは1で止まるようにしました。ただ、バトル中にモンスターから逃れるために高所から落下するとHPは1でストップしませんので、戦闘中の移動は注意が必要になると思います。
ちなみにβテストから、このモンスターに攻撃すると近くにいる別のモンスターも付いてくるといった、モンスターのリンクが見えるようになっています。ヘイト(敵視)が誰に乗っているのかといったことも、「ファイナルファンタジーXII」のように視覚的に把握することが可能です。この機能はオン・オフできますので、邪魔だと感じたら切っていただくこともできます。
フェーズ3から公開となるリムサ・ロミンサとウルダハのこだわり
インタビュー時には、βテストの開発環境に近い特別バージョンを用いて、新しくなったウルダハとリムサ・ロミンサのウォークスルー体験も行えた。βテストでこの二都市を訪れることができるのはフェーズ3からとなるが、マップのこだわりなどについても話を聞くことができたので、最後にその内容をお届けしよう。
――グリダニア同様、ウルダハとリムサ・ロミンサにも手が加えられていますが、一番のこだわりはどこでしょうか?
吉田氏:遠くが霞んで見える雰囲気や、似たような建造物でも手前と奥ではぼやけ方が違っていたりと、奥行きにすごくこだわっています。時間変化に伴って景色が変わるところや、太陽が木の影に入った時の陰影もそうですし、ここまでのグラフィックがスタンドアローンではなく、MMORPGで体験できるのは大きな売りだと思っています。
リムサ・ロミンサに関しては、海洋都市国家で強力な海軍がいる設定ですが、「旧FFXIV」では造船所ひとつなかったので、新しく作りました。造船所で軍艦が作られ、湾を通って港に納品されるという、イメージのリアリティをしっかりゲーム中に表現できていると思います。
その場所からPvPをプレイするコロセウムにも船が出ているのですが、港町というと、荒くれやならず者が多そうな印象を受けますよね。PvPをプレイするために人が集まってくれれば、そういった雰囲気になりそうだというように、プレイヤーのプレイスタイルと場所を想定して、実際にキャラクターがいたらどんな絵になるかまで計算して作っています。
――造船所ではプレイヤーも船が作れるのでしょうか?
吉田氏:ハウジングを実装した後になりますが、ハウジングで自分たちのアジトを持ち、その中に工房を設けることで、カンパニークラフトとして船や飛空艇が作れるようにアップデートしていくつもりです。造船所では船が完成した後、進水式をして港に納品されるまでの流れを想像して、リムサまでの軍艦納品想定ルートの崖に落石防止のネットを張ったりと、細かいところにもこだわっていますね。
――ウルダハに関してはいかがですか?
吉田氏:「新生FFXIV」に搭載しているエンジンを活用した光の表現もこだわっていますので、ウルダハで上を見上げた時に、建物が強い日光を浴びてハレーションするようにしています。ウルダハは地域的に乾燥していて、日差しも強いので、「うわっ、眩しい!」と感じるような空気感を出していこうと開発チームと話をしました。
街の構造としても、元々のウルダハは入り口と建物が分かりにくかったので、先があるならドアをできるだけ開けた状態にしました。「旧FFXIV」ではシームレスにこだわりすぎていて、マップを裏読みするためにドアが閉じていないと読み込めないという、いわゆる開発都合でプレイしづらい部分が多かったので、そういったところは修正・調整しています。
ほかにも、お店の前で呼び込みをしている店員さんがいたり、重要な建物には看板などのオブジェクトを付けたりと、人々が生活している感じが出るようにしています。貧民街に近づいていくと質素な姿をしたNPCがいたり、マダムが使用人に荷物を持たせてショッピングを楽しんでいたりします。ウルダハは金が全ての都市という設定なので、それに合わせたNPCやアニメーションを作っています。
――街中のほか、フィールドに関してはいかがでしょうか。
吉田氏:マップのデザイン的なこだわりでは、ゾーンを隔てる崖、ゾーンウォールはゾーンウォールであるとはっきり分かるように作っています。遠くに霞んで集落のようなものが見えるとなった時、実際に行ってみたら何かがあったという、冒険が待っていると感じられる部分は全てのマップに盛り込んでいます。
NPCの配置も最終決定までいけましたので、街や物語の設定に合わせてキャラクターたちが存在しています。例えばグリダニアにはエレゼンが多いですが、(エレゼンの)シェーダーが迫害されているクエストがあったり、奥地に行くとシェーダーたちが野党になっているといった、世界のリアルさを遊びとして作っています。
――最後にβテストを待っているユーザーにメッセージをお願いします。
吉田氏:「旧FFXIV」のサービスを一時停止してから約3ヶ月、その間にαテストを実施させていただきました。そこからも2ヶ月近くが経ち、本当に長らくお待たせいたしましたが、ついにβテストが始まります。フェーズ1、2ではいろいろとテストをさせていただく項目がありますので、プレイヤーの皆さんにはぜひ、楽しみながらテストに参加していただきたいと思います。
フェーズ1と2ではNDA(秘密保持契約)がありますので、フィードバックがあるところはフォーラムへお送りいただきたいです。フェーズ3からはNDAも解禁となります。
「FFXIV」を好きで応援していただいている方は、一緒に「新生FFXIV」を作り上げていくことに参加していただけたら嬉しいです。僕らも徹底的に作りこみ、たくさんの方にプレイしていただけるよう、引き続き頑張りますので、よろしくお願いいたします。
インタビュー内容は以上となる。実機でのウォークスルーの際には、太陽と建物の位置関係だけでなく、建物の突起物まで計算されて影ができており、インタビューの話にもあった通りこだわって作られていることが感じられた。室内ライティングはまだ途中だったようで、開発スタッフは見せたくないと話していたようだが、訪れてみた酒場は特に違和感なく、しっかりと雰囲気も作られていたように思う。
フィールドにある橋の下では、支柱の隙間とキャラクターの体格を考えたとき、通れそうだと思っても通れない場所があり、絶賛開発中であることも伺えたが、早速吉田氏が修正するようチェックしていたので、こうしてひとつずつ改善されていくのだろう。
当初βテストの開始は2月中旬予定となっており、25日開始というとほんの少し遅れ気味ではあるが、ここまできたら最高の世界を作り上げてくれることに期待したい。
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