ゲームオンは2月23、24日の2日間に渡って、東京・六本木のニコファーレにて同社の人気オンラインFPS「Alliance of Valiant Arms」の世界大会「AIC2013」を開催した。ここでは、日本代表の2クランも出場した24日の決勝トーナメントの模様をリポートする。
「AIC2013」は「Alliance of Valiant Arms」の世界最強クランを決定するオフラインイベントで、日本、韓国、中国、台湾、ヨーロッパの計5カ国・地域から6クランが出場。23日にまず予選リーグが行われ、以下の結果のとおり「ahq_e-SportsClub」(台湾)、「DeTonator」(日本)、「Astrick-」(韓国)、「CoolBoys」(日本)の4クランが決勝トーナメントへの進出を果たした。
1次予選リーグ
ahq_e-SportsClub(台湾):4勝0敗→決勝トーナメント進出
Astrick-(韓国):2勝2敗
CoolBoys(日本):2勝2敗
Sec,KILL(中国):1勝3敗
CrackHeads(EU):1勝3敗→1次予選敗退
1位のクランは決勝トーナメント1位シード、2~4位のクランは2次予選へ
2次予選リーグ
DeTonator(日本):3勝0敗
Astrick-(韓国):2勝1敗
CoolBoys(日本):1勝2敗
Sec,KILL(中国):0勝3敗
1~3位のクランが決勝トーナメントへ
決勝トーナメントはステップラダーといわれる形式になっていて、まず2次予選の2位と3位のクランが準々決勝を戦い、勝者が2次予選1位のクランと準決勝で対戦。準決勝の勝者が1次予選1位のクランと優勝を争う。
対戦形式は5人対5人の爆破ルールによる13ラウンド7本先取マッチで、準々決勝と準決勝は2マップ先取で勝利となる3セットマッチ。決勝は3マップを取ったほうが勝利となる5セットマッチで勝敗を決する。
ちなみに本大会はニコニコ生放送、USTREAM、Stickamによる実況生配信も行われ、前日の予選リーグは3チャンネル合計で約7万人が視聴。決勝トーナメントはその倍近い約13万人が視聴するなどネット配信のほうも大きな盛り上がりを見せた(数字はいずれも主催者発表)。
韓国の強豪Astrick-に日本代表のCoolBoysが挑む!
準々決勝では日本代表のCoolBoysと韓国代表のAstrick-が対戦。Astrick-は日本のクラン相手に不敗を誇っている屈指の強豪だが、今大会には中心選手がふたり参加できなかったそうで、調整不足がたたったのか予選で3敗するなど不安定な戦いを見せていた。
それだけにアップセットが期待されたのだが、フタを開けてみるとAstrick-がCoolBoysを圧倒。第1マップの「AIRPLANE」を7-3で難なく奪取すると、第2マップの「INDIA」でもファーストキルを取って数定優位を作る安定した試合運びを見せ、6ラウンド連取で一気にリーチをかけることに成功する。
CoolBoysも相手の攻めをしのいで2ラウンドを取り返し、10ラウンドも3オン5から1オン1に持ち込むなどの反撃を見せるが、Astrick-の牙城を崩すことはできず。トータル7-3で2マップ目も取ったAstrick-が順当に準決勝へとコマを進めた。
日本最強クランのDeTonator、悲願のAstrick-越えなるか?
準決勝でAstrick-を迎え撃つのは、「2012AVARST Season3」の護衛・爆破両部門で優勝するなど日本最強クランとして知られるDeTonatorだ。両者は前日の2次予選でも対戦したのだが、このときはDeTonator がなんと0-6から7連続でラウンドを取るという奇跡の大逆転劇でファーストマップを奪取。勢いに乗ってそのまま第2マップも取り、打倒Astrick-を果たした初めての日本のクランとなった。
前日の勝利がフロックではないことを示したいDeTonatorと雪辱を果たしたいAstrick-。日韓を代表する両クランによる勝負は息詰まる熱戦となった。第1マップの「BLACK SCENT」では守備側のAstrick-がOran選手のスーパーなクイックショットやeNyo選手のヘッドショットなどで3ラウンドを先取するが、DeTonatorもShaka選手の活躍を軸にした連携で3ラウンドを取り返し、3-3のタイに戻す。
攻守を入れ替えての後半戦。Astrick-がまたも最初の2ラウンドを連取するが、ここからDeTonatorが怒涛の反撃を見せる。まず、2ラウンドを取り返してイーブンに戻すと、11ラウンドではNicoRob1N選手がeNyo選手との1オン1を制して勝利。12ラウンドも3オン2からShaka選手とeNyo選手がそれぞれキルを奪って押し切り、7-5で第1マップを制したのだった。
第2マップの「AIRPLANE」も一進一退で、前半戦は有利となる守備側のDeTonatorが優位に進めて4-2で折り返す。後半戦も互いに1ラウンドずつ取り合いDeTonatorの5-3となるが、ここから守備側になったAstrick-がラッシュ。一気に3ラウンドを取って逆転で王手をかけることに成功する。攻撃側がやや不利なマップだけに勝負は3マップ目に持ち込まれるかと思われた。
しかし、打倒Astrick-に執念を燃やすDeTonatorは12ラウンドでShaka選手がギリギリで1オン1を制して6-6に持ち込む。そして迎えた運命の 13ラウンド。DeTonator はいち早くC4を設置すると3オン3から鮮やかな立ち回りで一気に敵を殲滅することに成功。7-6で第2マップも取り、予選リーグに続いてAstrick-を破るという快挙を達成したのだった。
ともに無敗で勝ち上がった2クランが決勝で激突!
かくして決勝は台湾代表のahq_e-SportsClub(以下「ahq」) と日本代表のDeTonator という顔合わせとなった。ahqは1次予選リーグを4戦全勝で突破。対するDeTonatorも2次予選から無敗での勝ち上がりとあって好ゲームが期待された。
第1マップの「HAMMER BLOW」はDeTonatorの先攻でスタート。前半戦は互いに2マップを取ったあと、ahqが連続で撃ち合いを制して4-2で折り返す。後半戦はahqが最初のラウンドを先取するが、DeTonatorも8,9ラウンドを取って4-5とするなど互角の攻防が続いた。
勝負を分けたのは第10ラウンドだった。互いに撃ち合って2オン2となるが、ここでahq のTWN_47.ahq選手がジャンプしてのワンショットキルでShaka選手を撃破。残るNicoRob1N選手も倒し、ついにリーチをかけることに成功したのだ。DeTonator も11ラウンドをDark_yp選手のダブルキルで取り、12ラウンドも先手を取って4オン3とするが、ここからahqが連続で3キルを決めて逆転。そのまま押し切ってラウンドを取り、7-5で第1マップを制した。
第2マップの「INDIA」も立ち上がりは互角だったが、ahqは計算された動きと見事な立ち回りでDeTonatorをジリジリと引き離していき5-3とリードと奪う。さらに、3オン3からの撃ち合いでDeTonatorを圧倒して9ラウンドを取ると、10ラウンドもTWN_47.ahq選手が連続でヘッドショットを決めるなど、鬼のような攻撃で一気に勝利。7-3でこのマップも連取し、優勝に王手をかけた。
第3マップは「AIRPLANE」。後がなくなったDeTonatorは前半戦を3-3のタイで折り返と、7ラウンドでは2オン1からTWN_AR.ahq選手をうまく挟み込んで撃破。第8ラウンドも今大会でMVP級の活躍を見せるShaka選手が1オン1で勝利し5-3とリードする。
しかし、ここからahqが恐るべき強さを見せる。3オン3から立て続けにキルを取って9ラウンドをゲットし、10ラウンドもTWN_47.ahq選手がダブルキルを決めてスコアは5-5のタイに。さらに、11ラウンドも3オン3からの一気の攻めで取り、ついにマッチポイントを奪った。完全に勢いに乗ったahq は果敢な攻めで撃ち合いに持ち込み12ラウンドも圧勝。3マップ連取でDeTonatorをねじ伏せ、見事に世界一の座に輝いた。
試合終了後、勝利の感想を聞かれたリーダーのTWN_DP.ahq選手は「本当にうれしいです。皆さん、ありがとうございました。試合を楽しめたのとチーム全員が忠実にプレイできたのが良かったのだと思います」と通訳を介してコメント。そのほかのメンバーも「興奮しています」「努力の成果をお見せできました。夢が叶ってうれしいです」など、それぞれ喜びの言葉を述べた。
決して一方的ではなかったが、試合後にDeTonatorのリーダーであるDark_yp選手が「レベルの差を感じざるを得ない試合内容でした」と語ったように、個々の射撃スキルとチームの連携のどちらもahq_e-SportsClub が1枚上をいっていた。特に驚かされたのが相手に機先を制されたときの対応で、ファーストキルを奪われたり不意の急襲を受けたりしても、すぐに体勢を立て直して反撃に移り、キルを奪い返すなどして不利をくつがえす場面が何度も見られた。
解説を務めた井上プロデューサーも「ahqのほうが射撃技術で撃ち勝つシーンが多かったように感じました。動きも圧倒的に速い。この速さは世界大会じゃないと経験できない、日本では経験できないものでした。(彼らのプレイを)今後は日本のチームがマネをして、そのレベルに追いつき、その中で切磋琢磨して世界に向かっていってほしいと思います」と、日本のプレイヤーのさらなる奮起とレベルアップに期待を寄せた。
新たなオンライントーナメントの開催も発表
最後に大会の途中で井上プロデューサーより発表された新トーナメントの情報も紹介しておこう。「AVA」推奨モデルPCでおなじみの「Alienware」が主催する「Alienware Battle Grounds 2013」が3月17日(日)から3週間にわたって開催されるのだが、このイベントにて最大128クラン、総勢1152名がエントリーできる賞金制のオンライントーナメントを実施するそうだ。
爆破・護衛以外のミッションで戦うことになるなど、従来の公式大会とはまったく違うルールになっていて、井上氏によると即席のクランでも勝つチャンスは十分にあるとのこと。すでにエントリー受付は開始されているので、我と思う人はクランを作ってチャレンジしてみては?
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