CBTからの改善ポイントや今後の展開は―オープンβテストが開始となった「LOCO」の運営プロデューサーにインタビュー!

シーアンドシーメディアが本日4月19日よりオープンβテストを開始した「LOCO」。本作の見所や今後の展開、これまでの行われたテストからの改善点などを伺ったので、インタビュー内容をお届けする。

「LOCO」は、5人1チームでパーティを組んで5対5の対戦を行う、AOS(Aeon of Strife)タイプのゲームだ。リアルタイムに戦況が変化してプレイヤーの行動が勝敗を左右するRTS(リアルタイムストラテジー)のゲーム性や戦略性に加え、PCでオンラインゲームをプレイしている人が違和感なく遊べるよう、MMORPGやFPS(ファーストパーソンシューティング)に近い操作性が採用されている。

プレイヤーはタンカーやヒーラー、ダメージディーラーといった役割が設定されている18種類の「ヒーロー」から、試合ごとに自由にキャラクターを選択し、敵陣にいる大将の撃破を目指していく。

ヒーローのレベルは試合ごとにリセットされるので、育成要素という面は薄いが、その分、ゲームになれるまで順番にヒーローを使ってみたり、一人のヒーローを使い続けてみたりと、さまざまなプレイスタイルで楽しめるのが特徴だ。

今回オープンβテストが開始されたのに伴い、運営プロデューサーの水越進氏にインタビューを行った。また、少しだけではあるが開発会社にもメールインタビューでいくつか話を伺ったので、その内容をお届けしていこう。

「LOCO」運営プロデューサーの水越氏にインタビュー

水越進氏
水越進氏

――まず今後のアップデート内容について教えてください。

水越氏:オープンβテスト(OBT)の段階でプレイできるヒーローの数は18種類ですが、正式サービス開始以降、ひと月に2体ずつぐらいのペースで新しいヒーローを追加していきたいと考えています。日本でのサービス開始に合わせ、開発元に無理を言って、日本オリジナルのヒーローも開発してもらっています。オリジナルヒーローは2体おり、最初の1体目が6月頃、2体目は10月頃に実装できるよう進めているところです。

――日本オリジナルヒーローはどのようなキャラクターなのでしょうか?

水越氏:元々「LOCO」のキャラクターは、いわゆる“洋ゲー”っぽさを感じないようにしていますが、日本オリジナルキャラクターはアニメ好きな層にも受け入れてもらえるようなグラフィックで制作しています。実装はまだ先になりますが、どこかのタイミングでグラフィックだけでもご紹介できればと考えています。現時点でお伝えできるのは、2体とも女性キャラクターということぐらいですが、可愛く仕上がると思います。

――マップやゲームモードなどはいかがでしょうか?

水越氏:正式サービス開始時には、2種類のマップをご用意しております。基本的にはクローズドβテスト(CBT)でお出しした5対5と3対3で戦うマップですが、そのマップをベースに改善を施し、OBTでリニューアルしたものを提供しています。正式サービス以降は、すでに開発済みのマップの仕様やバランスを調整し、それらを順次公開していく予定です。

――マップごとの特徴などはあるのでしょうか?

水越氏:CBTの時は5対5のマップを使用して対戦される方が多かったので、今後も5対5のマップを増やしていこうと検討しているところです。その中でも、マップの中に簡単な陣取り合戦や、FPSで言うキャプチャーザフラッグのようなコンテンツを用意して、本気で対戦するマップと、気軽に戦えるマップを用意したいと考えています。この辺りは、もう少し詳細が決まった段階でご案内させていただきます。

――正式サービス時にはモールが実装されますが、そこで販売されるアイテムラインナップを教えてください。

水越氏:モールで販売するアイテムは、新しくヒーローを追加する場合に購入していただく「ヒーローカード」と、ヒーローに装着する装飾品「アバター」、それからゲーム内マネーや経験値の獲得量を上げるブースター系があります。アバターに分類されるものの中にはペットもありますが、基本的にはこの3つの項目でアイテムを用意しています。

課金アイテムで皆様が一番気にされるのは、対戦に影響を与える武器や強化アイテムの存在だと思いますが、それらを販売する予定はありませんのでご安心ください。「LOCO」は競技性が高いゲームですので、能力を左右するようなアイテムの販売は予定しておりません。

――ということは、ブーストアイテムの対象となるのは対戦中の経験値やお金ではなく、アカウントに紐付いた経験値やゲーム内マネーになるのでしょうか?

水越氏:その通りです。対戦を重ねるごとにゲーム内マネーを獲得できるのですが、その使い道を十分にご提供できていなかったという課題がありました。それがゲームを続けていく動機が薄れてしまう原因の一端にもなっていましたので、ゲーム内マネーでしか買えないものとして、自分の特性を変更するためのアイテムを用意しています。

また、全てではありませんが、課金アイテムとして販売していくランナップの中には、ゲーム内マネーで購入できるものも用意しています。アバターは装飾アイテムであり、あくまで見た目が変わるだけですのでヒーローの強さには影響を与えませんし、見た目にこだわる方に楽しんでいただきたいと考えています。

――アバターのラインナップについても教えてください。

水越氏:ヒーローの全身の見た目が変わるアバターと、頭や肩といった部分的な防具アバター、それから武器のアバターを用意しています。正式サービス以降も、全身のアバターを中心に、ラインナップをどんどん追加していく予定です。

――コラボアバターなどの予定はいかがでしょうか?

水越氏:今すぐ発表できるものはありませんが、「LOCO」は厳密に世界観が定められているわけではありませんので、どんなキャラクターを追加しても、あまり違和感なく楽しんでもらえると思います。現在はアニメコンテンツとタイアップできないかと考え、積極的にお声掛けさせていただいている状況です。開発元もコラボなどに興味を持っていますので、いい形で協業して、実現が決まったものからどんどん導入していきたいと考えています。

――コラボとは別に日本独自のアバターはあるのでしょうか?

水越氏:先ほど申し上げた日本オリジナルヒーローに、新しい装飾アバターを用意しています。元々ヒーロー1体あたりにつき3~4種類の全身アバターがあったのですが、基本的には同じ格好で、色が違うというぐらいの差しかありませんでした。そのため、開発元と話をしながら、ヒーローの見栄えがガラッと変わってしまうようなアバターも開発していこうとなりました。今まで存在した装飾アバターにも変更を加えていますし、新しいアバターも導入しています。

――CBTに参加されたユーザーの反応や、テストを実施しての感触はいかがでしたか?

水越氏:大きな反省点として、環境準備が十分ではなかったところがあります。なかなかサーバーに接続できなかったり、ラグが発生してしまったこともあり、お客様からはかなり厳しいご意見をいただきました。

ほかには、ヒーローの能力やNPCのバランスについて、具体的なご要望をいただいております。過去に実施したテストは本当に限られた人数の方だけしかプレイできないものでしたが、今回CBTでいろんな方にプレイしていただいた中で、「LOCO」のようなAOSタイプのゲームをすでにご存じで、しかもやり込んでいる方にプレイしていただけたと感じています。AOSはトップビュー(俯瞰視点)のタイトルがほとんどだと思いますが、「LOCO」はTPS視点ですので、それゆえの戦略性や、時には難しさといったものに対して、新鮮なご意見もいただけました。

――CBTでの意見をもとに改善した要素を教えてください。

水越氏:まずは環境整備に重点を置いて改善を行いました。サーバーに接続できないとゲームを評価していただく以前の問題になってしまいますので、その対応をキッチリと行ってからサービスに臨んでいます。

後はログインしたらすぐに対戦したいという意見がありました。これまでの仕様ですと、ログイン後はタウンと呼ばれる場所に行き、そこで対戦するためのルームを作成するのですが、この手順を省略してすぐに対戦できるよう、ロビー機能を実装しました。ただ、タウンの存在は「LOCO」のいちコンテンツとして魅力のあるものだと思っていますので、ここはなくさず、ユーザーさんで任意に行き来ができるようなシステムに変更しています。

――確かにログインしてすぐにロビーというタイトルが多い印象です。

水越氏:せっかくお金を使って装飾アバターを使っても、魅せる場所がないのはもったいない気がしてしまいます。もちろん対戦中のキャラクターにアバターの姿が反映されますが、対戦ではゲームをプレイすることに夢中になることが多いです。そのため、アバターを披露する場としてもそうですし、スポーツ後の休憩所のような、コミュニケーションの場としても活用していただけると考えています。

――ロビーチャットよりも気軽に話せそうですね。

水越氏:そうですね。ロビーチャットでは「こういった発言していいのかな?」と不安になってしまったり、レスをもらえなくて落ち込んでしまったりといったこともあります。そういったロビーチャットよりは、一度対戦をした後に、あの試合はどうだったというような感じでチャットをしていただく方が、ハードルは低いのかなと思います。

――そのほかにも実装内容があれば教えてください。

水越氏:これまではUS版のクライアントを使っており、CBTのタイミングでは何とか日本語表示に対応できたレベルで、見栄えの部分はまだ不完全でした。そういったところもご指摘いただきましたし、表示される日本語が読みづらいと迷ってしまう場面もあると思いますので、さらなるローカライズやフォントの調整、日本語音声の導入といった改善を行っています。

ヒーローのボイスに関しては、著名な声優さんを起用させていただいておりますので、このヒーローはこの人が喋っているのか、といったところも楽しんでいただければと思います。

――ほかのAOSジャンルのタイトルを意識した部分はありますか?

水越氏:私自身は、今言われているAOSやMOBA、DotAといったジャンルに強いこだわりは持っておりません。先ほど申し上げた通り、マッチメイクによってその場で会ったユーザーさん同士が気軽に対戦を楽しめるようなゲームにしたいと思っているため、そこを意識して進めています。とはいえ、基本的なルールや対戦の方式は同じジャンルのものを採用していますので、海外タイトルでAOSなどをプレイされている方にも楽しんでもらえると思っています。

――ジャンルに拘らずカジュアルチームバトルとしているのも、その辺りが関係しているのでしょうか?

水越氏:その通りです。AOSであることを謳っても、すでに確立されている著名タイトルとして「League of Legends」(以下、「LoL」)などがあります。「LOCO」のヒーロー数は18体おり、それだけでも全キャラをしっかり遊んで特性を掴むのは大変ですし、私自身は少ないとは思っておりませんが、「LoL」と比べると数が少ないというのも事実です。

ただ、確立されているジャンルの中で、「LoL」では大会に出て優勝したいというコアなユーザーさんが多いと思いますが、「LOCO」はもう少し手軽に遊べるタイトルであることを目指しています。このジャンルの中でナンバーワンを目指すよりも、業界全体を踏まえてAOSや対戦ゲームの存在を大きくしていきたいと思っています。

例えば、最近ではセガさんが「カオス ヒーローズ オンライン」のサービスを開始されていますし、タイトル単体ではなく、ジャンル全体として何かできたら面白いかなと考えています。よくe-Sportsでは複数のタイトルをプレイして競い合うこともありますし、皆さんと上手く盛り上げていきたいと思います。

大会というお話をしましたが、もちろん「LOCO」でもユーザーさんが大会で自分の名前を残したいとか、ランキングで順位を決めたいといったことを希望されるのであれば、上手くサポートしていきたいですし、ユーザーさんと上手くお付き合いをしながら「LOCO」を育てていけたらと思っています。

――CBTからキャラクターのバランス調整も行っていると思いますが、その状況はいかがでしょうか?

水越氏:ヒーロー間のバランスについては、開発元も特に気にしているポイントです。ユーザーさんのプレイ方法などによって変わってくる部分もありますが、特定のキャラクターが明らかに強いといったことが続いてしまうと、皆さんがそのキャラクターを選んで面白味が半減してしまいます。そのため、ユーザーさんからのフィードバックはもちろん、戦績なども見つつ、定期的にアップデートという形で調整していく予定です。

――ほかに改善点はありますか?

水越氏:CBTでチュートリアルが分かりづらいとご指摘いただいており、そこも修正しております。ゲーム内の修正だけでなく、公式サイトでも遊び方を紹介するプレイガイドを準備しているところです。戦略などゲームの濃い内容については、掲示板をはじめ、ユーザーさんが交流できる場所で意見交換をしながら盛り上がっていただきたいと考えています。

開発スタッフへのメールインタビュー

記事の途中ではあるが、本インタビューの実施前に、開発会社のDanal Gamesにメールインタビューを行ったので、その内容も紹介しておこう。

――開発で一番こだわったポイントはどこでしょうか?

Danal Games:やはりヒーロー間の対戦が重要ですので、バランスに一番こだわって開発しました。後はユーザーさんとの距離感をできるだけ縮められるよう、新しいゲーム内のUIを用意したりと、カルチャライズにも力を入れています。それから、スピード感ある戦闘も「LOCO」の魅力ですので、演出などバトルにもこだわっています。

――開発の苦労点を教えてください。

Danal Games:パブリッシャーと開発で上手く協力し、ゲームが好きなユーザーさんにアピールできるよう、CBT以降のバージョンでは大きなリニューアルを施しました。限られた日程での開発でしたので、そういう部分は結構苦労しました。

――今後はどんな要素を追加していきたいと考えていますか?

Danal Games:まず、ヒーローをもっと追加したいというのがあります。ヒーローを追加することで戦闘のバリエーションが増えますし、ユーザーさんにより面白い戦闘を体験してもらえるようにしていきたいと考えています。また、ヒーローを追加した分、そのヒーローに愛着を持っていただけるよう、アバターも追加していきたいと思っています。

「LOCO」に登場するヒーローの一部。

ほかには、このジャンルを初めてプレイされるユーザーさんに向けて、チュートリアルをもっと分かりやすくリニューアルしたり、AI戦でゲームの流れを体験していただけるようにしていきたいと考えています。

――ほかのAOSタイトルを意識した点はありますか?

Danal Games:開発側では、3つのゲームを意識しました。まずは「LoL」です。このタイトルはすでに多くのユーザーを獲得されているので、参考にすべき点はたくさんあると考えています。続いて「Dota2」では、ヒーロー間のバランスが秀逸であるため、「LOCO」でもバランス調整の参考にしながら開発しました。

もうひとつは「Chaos Online」(日本ではセガが「カオス ヒーローズ オンライン」としてサービス中のタイトル)です。こちらは日本でも「LOCO」と同じ時期にサービスされるタイトルですので、日本においてAOSが普及するきっかけとなるタイトルになるのではと思い、我々も注目しています。

――「LOCO」を日本向けに提供するにあたって意識した点はどこでしょうか?

Danal Games:可愛らしい2D寄りな日本風のイラストにすることや、日本だけのヒーローを開発すること、日本のゲーム市場を理解して、それをゲームに反映させることなどを意識しました。韓国では対戦ゲームが一般的ですが、日本ではユーザーさん同士で戦うことがあまり好まれない面もあると伺っておりますので、自国のユーザーベースで開発しつつも、どれだけ日本のユーザーさんが楽しめるものに変えていけるかを重要視しています。

――開発会社からご返答をいただいたうえでお伺いしたいのですが、Danal Gamesはゲームがメインではなく、モバイル決済やデジタルコンテンツの企業ですよね。

水越氏:そうですね。ですがそれをデメリットとは考えていません。ゲーム開発会社さんの中には、「これはこういうゲームなんだ」というように、作ったゲームに対する思い入れが強く、日本ユーザーさんが望んでいる方向に調整していただくのが難しい場合もあります。その分、ゲームのコンセプトがすごく明確なので、日本に合うかどうかの判断をしやすいというメリットもあります。

Danal Gamesさんは、日本ユーザーさんが望んでいるものに対して理解してくれていますし、「LOCO」は残念ながら他国ではサービス終了となっていますが、このまま終わらせたくないという熱い想いも持っています。他国でサービスが終了しているのもマイナス要素と捉えておらず、その分のリソースを日本に集中してもらっています。

弊社で運用しているTwitterでは、Youtubeなどに掲載しているプロモーションムービーなどを視聴されたヨーロッパの方から、「うちの国でもサービスしないの?」といったお問い合わせをいただいたこともあります。日本を皮切りに「LOCO」が認知されていけば、再度ワールドワイドで展開していくことも可能ではないかと思っています。

――いよいよ正式サービス開始となりますが、これからプレイする方に向けてヒーロー選びのポイントを教えていただけますか。

水越氏:AOSなどのゲームが初めてという方は、見た目が気に入ったヒーローを選んでプレイしていただければ問題ありません。ヒーローの選択画面にもキャラクターの情報は表示されますし、「このキャラはどういう特徴を持っているんだろう?」といった興味を持っていただくことが、プレイのモチベーションになると思います。

そうして気に入ったヒーローをとことん使いこんでもいいですし、順番に各ヒーローを試してみるのもアリだと思います。自分のキャラクターを育てていくMMORPGとは異なり、毎回レベルが1からスタートしますので、試合ごとにどうやってヒーローをうまく育てていくか、ほかのプレイヤーとどうやって協力して勝利するかを楽しんでいただきたいです。

――最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。

水越氏:MobaやDotA、AOSなど、最近いろんな呼ばれ方をしているジャンルですが、初めて日本に入ってくるタイトルですので、暗黙の了解となっているローカルルールもありませんし、あまり構えずに、気軽にプレイしていただきたいと思っております。もちろんAOSのようなジャンルのゲーム性は持っていますので、やり込み要素はありますし、「LOCO」ならではの要素としてTPS視点による戦略性もあります。MMORPGでは戦争や攻城戦といったコンテンツがあると思いますが、そういった感覚でプレイできるゲームですので、ぜひご体験ください。

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