ゲームオンは4月21日、大阪・梅田にあるヒルトン大阪にて「新・天上碑」の正式サービス10周年を記念したオフラインイベント「新・天上碑 感謝祭 ~天壌無窮~」を開催した。
本感謝祭は、2013年のロードマップ発表をはじめ、事前応募によって選ばれたユーザーと共に現状の問題点などを討論することに主眼を置いた、「新・天上碑」では初となる大阪で開催されたイベントだ。
イベントではまず、ゲームオン代表取締役社長のイ・サンヨプ氏が登壇し、開会の挨拶を行った。イ氏は、自身が好きな大阪でイベントを開催できたことの喜びを表しつつ、「『新・天上碑』は、オンラインゲームという言葉にあまり馴染みがない時期、弊社が初めて獲得したゲームです。2002年末までに上手くいかなければ、会社もゲームも閉じようという話もありました。ですがユーザーさんに支えていただき、それを乗り越え、こうして10周年を迎えることができました」と、来場者に感謝を述べた。
続いては、本作の開発元であるGameOn StudioのCEOであるキム・ジョンチャン氏が登壇。イ氏に続き「お客様の顔を直接見られるイベントを開催できて嬉しく思っています」と、イベントを開催できた気持ちを述べた。これまでの開発でも大変なことはあったが、日本だけでなく世界で見ても10年以上続くゲームは珍しく、今後もたくさんの人に楽しんでもらえるコンテンツを提供し、次の10年間も愛してもらえるように開発を続けたいと意気込みを語った。
この後は、ゲームオン第一事業グループ長の石井英貴氏と「新・天上碑」運営プロデューサーの石元一輝氏により、2013年に実装予定の大きな要素をまとめたロードマップが発表された。
まずはこれまでのおさらいとして、2012年から2013年3月までにアップデートした内容の紹介が行われた。昨年は2月に精鋭ダンジョン、5月に江湖修練館、8月に巨鬼迎撃戦、10月に三次仙人、そして今年3月には攻城戦とボイスのリニューアルといったアップデートが行われてきた。ボイスは新しいものも用意しているようで、4月24日にはキャラクター作成時に描かれるストーリーにも小山力也さんによるボイスが加わるとのこと。
2012年のアップデートでゲーム内にどのような影響を与えたのか、2011年から2012年にかけてのユーザーのプレイデータを見つつ検証も行われた。ここでは、名声別のキャラクター分布が公開され、2500~2999の人が半分近くに減り、その分3000以上の人が大きく増えていることが明かされた。石元氏たちは、これは三次仙人の導入による影響が強いと考えているようだ。
この内容を踏まえたうえで、2013年アップデート内容の紹介も行われた。コンセプトとしては、三次仙人になった人に新しい目標やコンテンツを提供しつつ、三次仙人を目指す人のサポートもしていきたいとした。具体的な内容としては、2013年夏に龍のダンジョン、秋に新日本マップ、冬に三次仙人(中級)をそれぞれメインコンテンツとしてアップデートしていくとのこと。
龍のダンジョンは、名号やキャラクターの強さによって段階分けがされ、合計で7つのダンジョンが同時に実装されるという。このダンジョンは普段は閉じた状態だが、モンスターの狩りやアイテム改造といったことをするとポイントが貯まり、一定以上貯まるとダンジョンがオープンする仕組みになっている。
ポイントはサーバーごとに貯まるシステムとなっているので、全プレイヤーが何かするたびに累積ポイントが貯まっていくようだ。ダンジョン内には新たなボスが登場するほか、龍の武器を作るための素材、新規セット防具、新守護牌などが手に入るという。
同じく夏に実装されるサブコンテンツとして「風水システム」と「紫霞神功(しかしんこう)クエスト」の存在も明らかとなった。風水システムは簡単に言えば宝探しで、マップの座標が書かれたアイテムを入手し、それをもとに正解の場所にたどり着くとアイテムがもらえるというもの。
もう一方の紫霞神功クエストは、新たな防御武技を習得できるクエストとなっている。このクエストを開始するためには、一定以上の耐性ステータスが必要になるとのこと。また、このクエストで習得できる武技は耐性と力が上昇するものになっているようだ。クエスト開始に必要な耐性や、習得後に上昇する数値は公開されなかったが、アップデート前に公開テストを行うので、そこでプレイヤーから意見をもらいつつ調整ていきたいとした。
続いて秋に実装予定の新日本マップについて。前回導入された東の国は出雲がテーマになっていたが、今回は平安京をコンセプトにしているという。難易度は東の国よりも高くなるとのことだが、チベットとどちらが上になるかなど、まだまだ調整中の部分が多いようだ。
三次仙人になった人が目指す三次仙人(中級)についての情報も公開された。三次仙人(中級)になるためには、複数のフェーズからなるクエストを攻略する必要がある。専用武技も用意されているようで、天神掌と鬼神掌でそれぞれ効果の違う武技が習得可能となっている。新日本マップだけでなく、各アップデートごとに公開テストを実施し、フィードバックをもらって調整してから導入したいとのことなので、今後の展開を楽しみにしていこう。
最後はコラボレーション情報も少しだけ公開となった。すでにタツノコプロとのコラボ第一弾が実施されたが、1年というスパンで、今後もタツノコプロの別作品ともコラボを展開していく予定だという。具体的なタイトル名は公開されなかったので、こちらも続報を待とう。
各種発表の後には、事前に寄せられた質問(というより要望)に石元氏と石井氏が答えるアンケートQ&Aのコーナーへと移った。1つ目に読み上げられたのは、以前と比べてGMの存在感が薄くなっていることと、オフラインイベントを関東と関西で同時に、あるいは全国8都市同時で開催してほしいというもの。
今回初めて大阪でオフラインイベントが開催となったように、できるだけ広い地域の、多くの人と出会いたいため、同時開催や開催地域の拡大は可能な限り検討していきたいとのこと。実際に今回の大阪での開催も、多くの要望があってようやく実現したというので、要望の声が多ければ多いほど実現に近づくかもしれない。三次仙人や攻城戦リニューアルといった大掛かりな内容を実装したので、今後はGMイベントも積極的にやっていきたいという。
2つ目は、幽玄場の調整に関する意見が飛び出した。課金狩場であるにもかかわらず、誰か1名でも入室していると快適に狩りができないため、モンスターの数を増やしてほしいということだ。こちらの要望に関しては、モンスターの数を増やすと通信量が増え、ラグなどの問題が発生してくるため、いったんモンスターを1.5倍か2倍にして、様子を見つつさらに調整を行っていきたいとした。
3つ目は洛陽のような街が増えてほしいという要望。これに対する返答は、洛陽規模の新しい街を作るのは難しいが、今年追加される日本マップにNPCを複数設置したりと、洛陽のほかにも拠点となる街を作っていきたいとのこと。
4つ目は新サーバーの設置と、肉の日イベントについての意見だった。新サーバーについては、統合して今のサーバーになっているものも多いため、新しいサーバーを出すとなると運用が難しいとのこと。そのため、単に新サーバーを出すだけではダメだと考えているようで、新たな出会いに関する希望を叶えるためだったら、24時間公開テストサーバーみたいなものがあっても面白いかなという結論に。
ちょっと緩めな意見の肉の日イベントについては、ドロップする肉を「肉引換券」がドロップするようにしてほしいというものだった。これは引換券と肉を交換する際、リストの追加や入れ替えを検討しなければいけないが、システムそのものは難しくないので、実装する方向で考えたいという。
最後には、地下でも天山でも闘魂可能になったり、特務1時間4倍を実装するなど、日課をまとめて欲しいという内容と、武技スロットを拡張してほしいという意見が寄せられていた。日課については、闘魂を可能にすることは可能なので前向きに検討していきたいとした一方で、特務はバランス調整問題上、難しいとのこと。
ただ、イベント後半での話し合いでは、一定の制限は付けつつも、逆天符の重ね掛けを可能にするなどで対応したらどうかという意見も飛び出していたので、何らかの調整が入ることに期待したいところだ。武技スロットの拡張はUI(ユーザーインターフェース)の問題になるため、開発が可能か確認する必要があるものの、プレイスタイルに合わせて切り替えられるよう、前向きに検討していきたいとした。
Q&Aでは事前に寄せられていた内容に答える形だったが、この後は「これからの新・天上碑を考える会」として、会場を訪れた人から直接意見をもらう形での話し合いが進行していった。
まずは議題として、3月のアップデートに対して取られたアンケート結果が公開された。イベント全般の評価が高い反面、攻城戦のリニューアルに不満を持った方が多いようで、最初は攻城戦の改善に対する意見が募集された。
弱小(少人数の)派閥や城の数に関する問題では、単純に城の数を増やすというだけでなく、派閥の人数や名声帯によって攻められる城を変えて、それぞれの城によって得られるメリットを変えてはどうかといった意見が飛び出した。
また、参加する人は二次仙人や三次仙人が多く、未転生だったりするとすぐに倒されてしまうことについては、今あるハンデが機能していないため、これを改善していきたいということに。派閥に入っても、せっかくの週末コンテンツに参加しにくい印象があっては良くないため、より参加しやすい形にしていきたいということとなった。
攻城戦以外のところでは、三次仙人についての意見も募られた。ここでは、「三次仙人などで上位を繋ぎとめるだけでは、新しいユーザーは入ってこないと思う」といったストレートな意見が挙がった。
この意見を述べた人は、βテスト当初から「新・天上碑」をプレイし、今は年齢が50代になるが、長年本作をプレイしているのは、楽に遊べるからだという。「新・天上碑」のほかにもアクション要素の高いオンラインゲームをいくつかプレイしたが、楽に遊べる部分が魅力のため、最終的には本作に戻ってきているようだ。ただ、楽に遊べるのが魅力ではあるものの、単純にコンテンツを増やすだけでなく、最近の若い人に人気があるゲームの部分を上手く取り込んでいく必要があるのではとコメントした。
そのほか、仙人から二次仙人、二次仙人から三次仙人に変わるためのクエストが面倒だという率直な意見もあった。クエストを楽しみにしている人もいると思うので、一概に短縮するのがいいとは言えないと前置きしつつ、クエストの内容にやり応えがあるのはいいけれど、手数が多いと面倒に感じてしまうと意見をまとめた。
運営側としても、以前のようにパラメーターが一定以上であればスイッチひとつで終わってしまうのは面白くないため、単純に条件を変えるだけでなく、たどり着く結果は同じでも、「そこに至るまでの選択肢が複数あってもいいかなと思っています」返答した。
ほかにもUIの改善など、長年プレイしているユーザーが多かったためか、具体的な改善内容が多数挙がっていた。この場で出た意見が確定という訳ではなく、今後ゲームオンで調整が行われ、ユーザーにも再度アンケートをお願いして改善を進めていくようだが、非常に充実した話し合いだったように思う。
イベントの最後には、さまざまな賞品が当たるプレゼント抽選会も行われた。パーカーやグッズ詰め合わせといったもののほかに、本作のイラストレーターに似顔絵を描いてもらい、本人が希望すればゲーム内にもNPCとして実装されるというサプライズプレゼントも2名分用意されていた。当選した2人は、ゲーム内に参加することも即OKを出したようだ(一人はお子さんになるかもしれないが)。
イベント終了後には、短い時間ながら石井氏と石元氏に話を伺うことができたので、その内容もお届けしよう。
石井氏と石元氏へのショートインタビュー
――「新・天上碑」初の大阪でのイベントでしたが、手応えはいかがでしたか?
石元氏:大阪で開催することも、こうしたユーザーさんとのやり取りをメインにした形式も初めてでしたが、建設的な話し合いができて良かったです。もっと過激な発言が出ると思っていたのですが、すごく充実した内容になりました。
――厳しい意見もありましたが、もっと辛辣な意見が出ると想像していたんですか?
石井氏:長年プレイしてくれている方が多いタイトルですので、その分運営に対する不満も溜まっているかなと考えていました。ですが実際には、ゲームコンテンツに対する意見をたくさんいただくことができました。
石元氏:たとえ厳しい言い方でも、ゲームに関する話であればどんな内容でも問題ありませんでした。今回いただいた意見に対して確定することまではできなかったのですが、こうした形で提案させていただきますと言えたのはよかったかなと思います。オフラインイベントは毎回終わった後は「やってよかったな」と思うのですが、やるまでが大変なんですよね(笑)。
石井氏:今回こうして大阪でのイベント開催というチャレンジをさせてもらえたのは嬉しかったですね。東京でも何度か開催していますが、関西のお客様の声を汲み取ることができなかったので、そういう意味でも大阪で開催できてよかったです。
石元氏:また機会があればやっていきたいですね。
石井氏:8大都市、やりたいですね(笑)。
――大阪で実施することになったのは、やはり要望が多かったからでしょうか?
石元氏:2~3年前から、オフラインイベントに関するアンケートを取るたびに、関東に次いで大阪が多かったんです。正直に言ってしまうとコストの問題もあるのですが、今回こそ大阪でやりたいという気持ちが強かったです。
石井氏:単純な来場者数だけで考えれば、東京の方が効果は高いですが、支えてくれている人たちと多く出会えるよう、いろんなところに行きたいと社長に伝え、ようやく実現した形になります。
――今年3月のアップデートに関するアンケートが発表され、そのうち攻城戦に関する話し合いが行われましたが、比較的評価の高かったイベントについての展望についても教えてください。
石元氏:GMが介入しない形のシステムイベントは多々やっていくと思いますが、大きな内容として攻城戦のリニューアルや三次仙人の実装が行われましたので、今後はGMがゲームを盛り上げてユーザーさんを引っ張っていくことも考えています。継続的に、かつ今までよりも多くイベントを開催していきたいという気持ちが強いです。
石井氏:ほかのゲームと比べてコミュニティが強いタイトルで、新規の方がプレイされると、すでにプレイされているユーザーさん自身がその方を逃したくないという感じで、積極的にゲームに誘ってくれているんです。そのため、今遊んでいる方が喜んでくれるものだけでなく、新規の方が遊びやすいイベントですとか、コラボレーションで目を引けるようにしていきたいと思っています。
――イベント中、ユーザーさんから寄せられた意見で一番印象に残ったのは何でしょうか?
石元氏:二次仙人や三次仙人になるための「クエストが面倒」ですね。すごく長くプレイしてくださっている方なのに、面倒だから上を目指さないんだとビックリしましたし、その前に座っている人もウンウンという感じで頷いていたので、クエストを面倒に感じている人がいることを知ったのが一番の衝撃でした。
石井氏:我々からすると、難易度を上げて簡単にはたどり着けないからこそ、レアリティを感じてもらえるようにと考えていたんですが、簡単操作に魅力を感じている人からしたら、手順が多いことは面倒に感じるんだなあと驚きましたね。
あとはUIなどのご意見は生で聞くことがあまりなく、しかも10年使ってこその意見だったので、それを聞けたのはすごく嬉しかったですね。連絡帳やメールといった機能があり、そこにイベントの感想や意見などはいただけるのですが、UIなどの意見はなかなかいただけないので貴重な機会になりました。
――抽選会の最後に、ユーザーがNPCとして参加できる権利がありましたが、これを実施するきっかけみたいなものはあったのでしょうか?
石井氏:オフラインイベントだと高額賞品を用意したり…となりがちですが、今回はいろんな方にいきわたるよう、お土産も配らせていただきました。そこでネットキャッシュやウェブマネーといったお金ばかりになってしまっても仕方ないですし、ゲームを10年続けてくれた方がどうしたら喜んでくれるのかと考えたんです。
「新・天上碑」のイラストレーターさんは人気が高く、公式サイトに新しいキャラクターが増えるたびに、好意的なコメントをたくさんいただけています。ですので、もういっそ「あなたもゲーム内に入れますよ」という感じでやってみたいなと考えました。ゲーム内に、というのは敬遠されるかと思ったのですが、当選されたお二人とも即決で「ぜひ」と言っていただけました。
――そのキャラクターの実装時期はいつ頃になりそうでしょうか?
石井氏:イラストレーターさんが1枚上げるのに、どうしても数ヶ月かかってしまうので、夏はタイミング的にギリギリになってしまいます。日本の新マップを秋に実装予定ですので、できればそこまでに入れたいなと考えています。
石元氏:10周年としてやらせていただいたので、遅くとも年内に実装できるように進めていきたいと思っています。
――ありがとうございました。
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