まもなくサービス開始となる、ガマニアデジタルエンターテインメントのオンラインブラウザゲーム「あっぱれ!天下御免 乱」。本作の魅力やシステムのポイント、デバックテストの反響などについてスタッフ陣に語ってもらった。
「あっぱれ!天下御免 乱」は、2011年にBaseSonより発売されたPC向けアドベンチャーゲーム「あっぱれ!天下御免」を題材にした、カードバトル形式のオンラインブラウザゲームだ。原作は「某暴れん坊な将軍」「水戸の副将軍様」「遊び人のお奉行」といった、時代劇や歴史小説などでおなじみのヒーローたちが美少女として登場。江戸の文化と現代のハイテクが融合した巨大学園都市「大江戸学園」を舞台に、巨大な悪と戦っていくというユニークな内容で人気を集めた。
本作は、この原作のコンセプトを踏襲しており、プレイヤーは「大江戸学園」の一生徒となって5人の女生徒のいずれかひとりを「推し生徒」に選択。学園の頂点に君臨する「生徒大将軍」を決定する「大江戸学園総選挙」で、その子を勝利させるべく、さまざまな依頼(クエスト)や協力戦などをこなしていくことになる。つまり、自分のお気に入りの女の子を選んで全力で応援するゲームというわけである。
今回のインタビューでは、本作の開発・運営を手がけるガマニアデジタルエンターテインメントの佐塚有希氏、安本英律氏、立山聡瑠氏、大原絵理香氏からゲームの詳細や戦闘システムのポイントなど、さまざまなお話を聞かせてもらったので、その内容を紹介していこう。
シンプルだが奥の深い戦略的な戦闘システム
ゲーム中では女の子たちを「用心棒」として雇い、さまざまな依頼をこなしていくことになる。戦闘に勝利して依頼をクリアするたびに、総選挙の順位を決めるための票が「推し生徒」に加算されていくので、ゲームを遊べば遊ぶほど推し生徒に投票できる。もちろん、経験値や新たな用心棒なども入手できるので、これらを元に自分の部隊を強くしていくのだ。
戦闘時にユニットとして使用する「用心棒」は出撃隊と守備隊に分かれていて、依頼遂行時やPvPなど自分が攻める側のときは出撃隊。PvPで相手を迎え撃つ側のときは守備隊で戦うことになる。攻撃と守備、それぞれ2組のデッキを組むと考えればいいだろう。
戦闘は5回戦制で、先に3ターン先取したほうが勝ちとなる仕組みだ。戦闘を開始すると用心棒たちが奥義などを発動。行動終了時に出撃隊の攻撃力の合計値が相手の防御力の総計を上回っていれば、そのターンは自軍の勝利となる。
用心棒を編成する際には「奥義」と「属性」がポイントになる。奥義は戦闘時に用心棒が使用するスキルのようなもの。ひとりにつき最大で5つの奥義を覚えることが可能で、どれだけ覚えられるかはキャラクターやレアリティによって異なる。
奥義の効果はさまざまで、発動する確率もそれぞれ異なっているが、大別すると2つのタイプに分かれる。ひとつはデフォルトの奥義で、これはどのターンでも発動する可能性があるが、威力はやや抑えめになっている。もうひとつは5回戦のいずれかのターンで1回だけ使えるもので、どのターンにセットするかはプレイヤーの自由となっている。このタイプは強力なものが多いので、5つ揃えてすべてのターンにセットできるようになれば戦闘を有利に進めることができる。
属性は、用心棒の配置を決める際に重要になるものだ。種類は地、水、火、風、光、闇の6種類で、用心棒たちはいずれもこれらの属性のいずれかひとつを持っている。さらに、用心棒のカードを配置する場所にも同じように属性が設定されていて、両方の属性が同じ場合は奥義が発動する確率が20~40%アップするのだ。
場所の属性はターンごとにランダムで変化するので、切り札となる奥義をセットしたターンに用心棒と場の属性が一致すれば、その奥義が発動する可能性がアップするなど、ちょっとしたギャンブル的な要素を楽しめる。また、クエストによっては特定の属性が場に登場しなかったり、逆にすべての場が1種類の属性になったりするとのことだ。
奥義の効果によって上昇した数値が、戦闘終了まで持ち越されるのも面白いところ。例えば、最初のターンに攻撃力を大幅に上げる奥義が発動したとしよう。次のターン以降も数値は上昇したままなので、戦いで優位に立てるわけだ。ただし、奥義の効果を封じる奥義などもあるため、敵がそれを使ったことによって、せっかくの奥義の効果がムダになるということもありうる。どのターンにどの奥義をセットするか。互いの戦略を読み合う奥の深い駆け引きを楽しめるのだ。
PvPや協力プレイなども楽しめる
依頼をクリアしたときに「宝珠」というアイテムが手に入ることもある。これは全部で8種類あり、コンプリートすると特別なアイテムなどのボーナスを獲得できる。
宝珠は対戦プレイで相手から奪うことも可能なので、宝珠をめぐって熱いバトルが展開されることになりそうだ。また、ほかのプレイヤーとランダムで戦い、そこで5連勝か10連勝すると報酬がもらえる「道場」というエリアも用意しているとのことだ。
同じ女の子を押しているプレイヤーたちで協力して戦う、期間限定のレイドボスも登場する。レイドボスはそれぞれの「推し生徒」の陣営に同時に出現。倒した陣営はその分の票を得られるが、倒し損ねると票が入らないという仕組みだ。
注目すべきは各プレイヤーが自分の与えたダメージの分だけ、それぞれ票を得られること。例えば、HPが100万のボスがいたとする。特定のプレイヤーがこのボスを倒したときに合計70万のダメージを与えていた場合、そのプレイヤーはボス撃破で得られる票数の70%を自身が投票したことになるのだ。選挙終了時に投票数のランキングが発表され、上位のプレイヤーには特典があるので、出現したら逃がさずに倒したいところだ。
本作のシステムについてスタッフ陣は、票を集めるためだけに何かをさせるようにはしたくなかったと強調。そのため、依頼をこなしたりレイドボスと戦ったりと、何かをしていれば自然と票が入ってくるようにしたのだという。ソロプレイで、いろいろなキャラクターを集めたりするだけでも自分の属する陣営に貢献できるので、自分なりの楽しみ方をしてほしいとのことだ。
ちなみに、以下のような本作オリジナルのキャラクターも多数登場する。これらのキャラクターの大江戸学園での生活ぶりや、原作のキャラクターとの絡みなどを描いた四コママンガの制作も考えているそうなので、そういったゲーム以外の展開も大いに期待したいところだ。
デバックテストの反響や正式サービス後の展開についてインタビュー
――システムについて、いくつか確認しておきたいと思います。まず、推し生徒を途中で変えることはできますか?
安本氏:このゲームは4カ月が1サイクルになっていまして、ひとつの周回が終わると「推し生徒」が入れ替わるので、そのときに変更できます。
――推し生徒が1位になった場合、どのような特典がありますか?
安本氏:詳しくはまだお話できないのですが、もちろんそれ相応の報酬を用意しておりますので期待してもらえたらと思います。
――戦闘についてですが、ターンごとに用心棒を入れ替えることは可能ですか?
安本氏:最初に相手の並びを見て編成外のキャラクターと入れ替えることは可能ですが、2ターン目以降に入れ替えることはできません。
――宝珠のブロック機能のようなものはありますか?
安本氏:1時間だけ守備隊の奥義の発動率が100%になるアイテムなどを用意してあります。7つ集めていて、残り1つを探している間にほかのユーザーに奪われたくないといったときに使ってもらえればと思います。
――PvPで対戦相手から票を奪うことはできないんですよね。
安本氏:はい。そういった仕組みも考えたのですが、票は特定のグループみんなで共有しているものですから。例えばひとりが狙い撃ちされたとして、ユーザーさんが負け続けることで、みんなが集めた票が失われていくというのはユーザーさんにとってあまり好ましくないと考えまして、負けても票は奪われない仕様にしました。
――キャラクターの声はどうなりますでしょうか。
安本氏:今のところ予定はしていません。オリジナルキャラクターも含めて、全部用意したいんですけどね。(佐塚氏に向かって)なんとかしてください(笑)。
佐塚氏:(苦笑しつつ)将来的には実装を検討していきたいですね。
――期待しています。それではデバックテストの反響について教えて下さい。
佐塚氏:評判は半々という印象ですね。入り自体はライトですし、絵もかわいい子が多いので原作ファンも含めて、そういった部分で好きだと言ってくださる方がかなりいらっしゃいました。ただ、機能的な部分では手厳しい声もけっこうありまして、そういった意見を参考にして現在修正をかけています。
安本氏:弊社が今までリリースしていたブラウザゲームは、いわゆる「村ゲー」と呼ばれる戦略シミュレーション型が主だったので、「ゲーム内容が予想と違った」という意見はありました。ただ、「村ゲーは難しくて…」というユーザーさんには自分のペースで遊べるので面白いと言っていただけました。
――特に改善した部分はどこでしょうか。
佐塚氏:戦闘における奥義のバランスですね。特に特定の属性のカードだけで編成する単色編成のデッキが強すぎて、どうやっても倒せないと。デッキを1種類だけの属性で編成するのがユーザーさんのメインの遊び方になってしまっていて、そこを見直してほしいという意見がかなり多かったです。私どもとしても、単色編成も選択肢としてあるのは良いとは思いますが、攻略方法が一択になってしまうようだと問題があると考えています。どんな編成が最強か分からないくらいが理想的なバランスだと思いますので、この部分に関しては大幅に変更しました。
――そんなに単色のデッキは強かったんですか?
安本氏:自分でも試してみたところ1戦も勝てませんでしたので、これはマズイと(笑)。さんざん頭を悩ましながら調整をかけました。
――なるほど。そのほかに目立った意見はありましたか?
佐塚氏:最初は奥義が未発動のときでも演出を入れていたのですが、その部分でテンポが悪いという意見もけっこうありましたね。
安本氏:ですから、奥義が成功したときだけしっかり見せてあげるようにしました。また、ボタンの配置などもプレイしやすいよう全面的に改修しています。
――さまざまな改善が図られているわけですね。では、好評だった部分はどこでしょう。
安本氏:奥義の発動率が変化するところなどは、なかなか好評をいただいています。より強くするためには「場」の属性が重要になるとか、基本は簡単な操作で進むけれども、攻略法を追求できる余地を残すようなゲームを考えていたので、その部分で面白いと言っていただけたのは非常に嬉しかったですね。
――正式サービス開始の予定を教えていただけますか?
大原氏:大江戸学園体験入学(全員参加型テスト)が6月27日から。体験入学の結果をもって近日中に正式サービスの開始を予定しています。
立山氏:もちろん、変更が入る可能性もありますが、よほどのことがない限り、大きな遅延なくスケジュール通りにいきたいと思っています。
――サービス開始後はどのような運営をしたいとお考えですか?
佐塚氏:キャラクターに愛着を持っていただけるよう運営していきたいと考えています。その一環として、先ほど安本からサイクルが変わると「推し生徒」が入れ替わるという話がありましたが、1週目で1位を取ったキャラクター以外の4人はユーザーさんの選挙で決めようと考えています。
安本氏:1週目の途中で実際にユーザーさんに投票してもらおうと思っています。この形なら、よりユーザーさんの声を反映した形でスタートできますし。もちろん、2週目に向けてのシステムの改善や新機能の実装なども行っていきます。
立山氏:あと考えている施策はコラボですね。弊社はほかのタイトルでもコラボはよくやっているので、今回も力を入れていきたいです。
大原氏:マーケティングでも、カフェとタイアップしてオリジナルメニューを出したりとか、ゲームの雰囲気を取り入れたタイアップをいろいろやっていきたいですね。
――ありがとうございました。
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