CJインターネットジャパンは、「真・三國無双 Online 龍神乱舞」のアップデートを7月18日に実施し、新たに「真・三國無双 Online Z」としてリニューアルする。その「Z」から導入される要素を一足先に体験できたほか、開発プロデューサーにインタビューを行った。
7月18日よりリニューアルされる「真・三國無双 Online Z」では、無双武将のキャラクターモデル全面リニューアルをはじめ、新勢力“晋”の登場による新たなシナリオが展開する。さらに武器を2本装備して出撃できたり、戦場での武器切り替え時に専用のアクション「ブレイクチャージ」ができるといった新システムも追加される。
また、「争奪」の一新やマッチング問題の改善など、既存のシステムにも手が加えられている。さらにスマートフォンやPCブラウザからMy庭園の水やりが行えたり、ゲーム内と連動して仲買でアイテム取引が可能となる“スマートプレイ”にも対応する。
これらリニューアルの内容を一足早くプレイできたので、インプレッションを交えつつ各要素を紹介していこう。記事後半では、本作のプロデューサーを務める越後谷和広氏にリニューアルのポイントなどを伺ったので、その内容もお届けしよう。
「真・三國無双 Online Z」ではここが変わる
武器2本装備システムとブレイクチャージ
1本の武器を駆使して戦うのがこれまでのスタイルだったが、リニューアル後からは2本の武器を装備して戦場に行き、それらを切り替えて戦えるシステムが導入される。攻撃力と移動力の高さを両立した武器は少なかったが、2本の武器を持って行けることで、敵陣に向かう時は移動力の高いものを持ち、敵将を前にしたタイミングで武器を持ち替えて攻撃力の高いもので戦う、といったことが可能になる。
こうした分かりやすい活用方法だけでなく、武器の強化が両方の武器に反映されることもポイント。例えば、武器スロットの後半に「攻撃強化」がある武器でも、前半のスロットに攻撃強化がある武器を持っていけば、早いうちに攻撃力を上げておくことができるのだ。もちろん攻撃強化だけでなく、体力強化や防御強化でも同じことができる。
同じ武器を2本持っていくこともできるので、仮に1本しか上手く扱える武器がないといった場合でも、刻印の違うものを持っていくといった使い道もあるだろう。
武器を切り替える際に覚えておきたいのが、「ブレイクチャージ」と呼ばれる専用の攻撃アクションが発動すること。装備の切り替えをすると、必ずこのブレイクチャージが発動するのだが、発動には一定量の無双ゲージが必要となる。
無双ゲージを使うため無双乱舞発動中はブレイクチャージできないが、それ以外はコンボ中でもダッシュ中でも、あるいはジャンプ中でも発動できる。ただし、コンボをキャンセルしてブレイクチャージを発動することはできても、その逆、ブレイクチャージをブレイクチャージ以外の行動でキャンセルすることはできない。
しかも発動後は硬直時間もあるため、周囲に敵がいる時は武器の切り替えタイミングにも気を使いたいところ。ただ、ブレイクチャージは「ブレイクラッシュ」として、最大5段階まで威力がアップするので、目の前に敵が残っている時に発動してしまったら、敵を倒しきるまでラッシュを続けてみるのもアリだ。
王元姫(オウゲンキ)が操る新武器「ヒョウ(漢字では金へんに票)」
新勢力の「晋」が登場することに合わせて、晋に所属する無双武将たちも登場する。その中のひとり、「新・三國無双 Online Z」のメインビジュアルにも描かれている王元姫の新武器「ヒョウ」は、プレイヤーも使用することができる。
「ヒョウ」には新究極強化「毒牙」が備わっており、名前からも想像できる通り、攻撃した相手を毒状態にすることができる。毒状態にできるのは指揮官クラスの敵だけに限られるが、毒になると体力が継続的に減っていくだけでなく、攻撃や防御、移動能力まで低下するという、自分が使うにはいいが、喰らうとなかなかに厄介な性能だ。
武器の攻撃スタイルも、手数が多い飛び道具タイプとなっており、中距離の敵にも対応できるので扱いやすい。刻印にもよるが、全体的に攻撃範囲も広めなので、比較的複数の敵を相手にしやすい印象を受けた。単体向きの強力な武器を持っている相手には究極強化で対抗するなど、使い慣れればかなり万能な武器かもしれない。
なお、リニューアルの実施は7月18日だが、新武器「ヒョウ」と、新究極強化「毒牙」の二つだけは、翌週の7月25日に実装となっている。
争奪システムの一新
争奪システムは、これまで個人ごとの勝敗だけが勢力での勝敗を決定づけていたが、リニューアル後は戦闘以外での味方同士の連携要素が加わる。そのひとつとして、争奪の最中、“元老”の役目を担うプレイヤーは、「緊急指令」を提案することができる。
緊急指令をクリアすると所属勢力にバフ、もしくは敵勢力にデバフが掛かるので、有利に争奪を進めることが可能となる。各プレイヤーが一定時間ごとに行える「応援」で緊急指令の達成速度がアップするので、戦闘に自信がないプレイヤーであれば、応援にだけ参加するという貢献の仕方ができるのだ。
元老になると、専用のマントを一定期間使用できるといった特典が付いてくるが、元老になるためには一定の条件が設けられている。そのひとつは、ゲーム内の位が一定以上であること。もうひとつは、前回の争奪で序列に載ることだ。どちらかひとつでも条件を満たせば元老になれるので、元老になりたい場合は積極的にゲームをプレイしてみるといいだろう。
アイテム取引や水やりがブラウザから行える“スマートプレイ”
これまでクライアントを起動してゲーム中で行っていたMy庭園の水やりや、仲買でのアイテム取引などを、PCやスマートフォンのブラウザから行えるようになる。ブラウザ上からは、キャラクターや勢力情報をチェックすることも可能だ。さらに、ブラウザでログインすると自動で無双盤にスタンプを押せる。今後もブラウザならではのサービス拡張が予定されているとのこと。
ゲームと連動しているため、ブラウザからログインするとゲーム本編の接続が切れてしまうのでその点には気を付けたいが、時間のない日にちょっとだけ庭園や仲買を覗きたいときには非常に便利だろう。
新服飾やキャラクターモデルのリニューアル、細かい調整も
晋の王元姫が登場するのに伴い、その服飾も実装される。王元姫の服飾は、これまでと同じように戦場でドロップするので、戦場で衣装箱を見つけたら取り逃さないようにしよう。
「真・三國無双 Online Z」からは、ゲーム中に登場する無双武将のモデルが全て「真・三國無双6」ベースのものへとリニューアルされる。グラフィックに関しては、ロード中の画面にも変更が加えられていたり、オープニングムービーも新しくなったりと、随所に変更が加えられているので、変わった箇所をチェックしてみるのも面白いだろう。
ほかにも、マッチングシステムの改善も行われており、条件が整った相手と自動的に戦える、完全オートマッチングのシステムが追加されている。
この後は、各システム実装の経緯やこだわりなどについて聞いた、開発インタビューをお届けする。
開発プロデューサーへのインタビュー
――まず「真・三國無双 Online Z」としてリニューアルした経緯を教えてください。
越後谷氏:これまでは「○○乱舞」という拡張パックの形で提供してきましたが、リニューアルを行い、ゲームの根幹から変えていきたいという考えがありました。そしてリニューアルしたゲームの内容に合わせ、名前も今までとは違い、タイトルそのものを変えたかったんです。
ただ、元々弊社が持つ「真・三國無双」というタイトルに加えて「Online」が付いており、すでに長めのタイトルだったので(笑)、短いものを付けようと思って出てきたのが「Z」になります。弊社の「無双OROCHI」でも「Z」と付けた過去がありますし、関連性もあるのでこれならアリかなと。そして社内やCJインターネットジャパンさんにも説明して、無事にOKが出たという感じです。
――「Z」にはどのような意味が込められているのでしょうか?
越後谷氏:究極という意味の位置づけもありますし、単純に語呂がカッコいいのも理由のひとつです(笑)。半分は雰囲気で、半分は究極的に仕上げたというリニューアル感が出せるかなという考えです。
――長くサービスが続いているので今さらなお話かもしれませんが、本作はPS3とPCのクロスプラットフォームです。この点において開発の苦労点はあったのでしょうか?
越後谷氏:スタートはPCからでしたが、すでにコンシューマでジャンルとしても確立しつつある「無双」シリーズの存在があったことで、操作のベースはコントローラにしようと当初から決まっていました。PCでもコントローラが対応していたので、PS3でもそのまま使えますし、移植することに対して、実はそこまで大きな苦労はありませんでした。
――「Z」の企画はいつ頃から動いていたのでしょうか?
越後谷氏:「龍神乱舞」が出る少し前からですね。次の拡張パックと言うか、大きく何かを変える時はリニューアルが必要だと、その時点で何となくの案がありました。「龍神乱舞」でバトルロイヤルの個人戦を開発していた際に、スタッフたちも感じていた部分だと思いますが、もう少しアクションにアクセントが欲しいなと。そう感じていたものが、今回ようやく実現できた形となります。ちょうど「真・三國無双6」にヴァリアブル攻撃というシステムが入り、それが好評と聞いていたので、採用したいなと考えていました。
――ほかに「無双」シリーズのタイトルで参考にした部分はありますか?
越後谷氏:いえ、システム面ではほとんどありません。もちろんスタッフ同士で話をすることはありますが、ゲームが別物に、「真・三國無双 Online」は対人戦メインになってきています。コンシューマの「無双」シリーズは、無双武将と戦い、三国の歴史を体験することがメインですが、こちらはプレイヤー同士の戦いなので、実はそこまでアクションは参考になりません。コンシューマの「無双」は、極端なことを言ってしまうと「敵は全員吹き飛んでもいい」というバランスなので、調整を逆にしなければいけなかったりします。参考にしたのはプログラム技術や、描画エンジンといったテクノロジーに関してですね。
――「Z」開始時にさまざまな新要素が導入されますが、開発で1番時間が掛かったのはどこでしょうか?
越後谷氏:ダントツで武器の2本持ちです(笑)。毎日のように時間を決めて社内で対戦をして、試行錯誤を重ねていたのですが、その時は普通にゲームを楽しんでいました(笑)。やっぱり自分たちが楽しめないとお客様も楽しめないと思いますので、少なくとも自分たちが遊んで楽しめるもの、自信を思って面白いと言えるものを出す、そういうスタンスで開発しています。実際にブレイクチャージを試していただくと、楽しいと感じてもらえると思います。
この2本持ちのシステムを入れたことで、もっと難しいアクションになってしまうかと危惧していた部分もあるのですが、慣れるまでそんなに時間が掛かりませんし、いざ触ってみると平気でした。1対1のような状況でもない限り、比較的初心者と上級者の差も出にくくなったかなという印象です。もちろんシステムを使いこなした上級者はすごく強いと思いますが、開発内であまりうまくない人と一緒にプレイしていても、それを意識したことはなかったです。
――両プラットフォームで展開しているからこそ何かを感じたということはありますか?
越後谷氏:弊社のほかのオンラインタイトルでも、プレイステーションプラットフォームとPCの両方で展開しているタイトルがあり、両プラットフォームのお客様が交流できるようになっていますが、あまり実例のない形ですよね。特に「真・三國無双 Online」で言えば、コンシューマで展開してきた「無双」シリーズがPCでオンラインゲームになり、それが今度はPS3でもサービスされたことで、「無双」というジャンルで賑わう傾向が一気に増した印象があります。実際にゲームの中でも「『無双』の新しいシリーズが出たよね」といった話をされている場面をよく見かけたので、“チャットロビーとしての無双”というような形としても楽しめる場所なのかなと感じています。
――PS3版ではリニューアル日に合わせてトレジャーボックスが発売されます。特典のサウンドトラックや設定資料集を制作している中でのエピソードはありますか?
越後谷氏:設定資料集は、過去のメインビジュアルや歴代シナリオのビジュアルを見るたびに懐かしく感じますね。「そういえば袁紹を作ったね」とか。パッケージの表には、趙雲や甘寧、夏侯惇といったキャラクターが起用されることが多く、正直に言ってしまうと、おっさんがなかなか出てこないんですよ(笑)。
なので「真・三國無双 Online」で新しいシナリオをやるとき、例えば袁紹がメインのシナリオであれば、パッケージでも袁紹をピン(一人)で立たせてみようといった、コンシューマではあまりできないパッケージを作ることができました。今回の「Z」では王元姫をメインビジュアルに起用しましたが、それも正攻法ではないかなと思っているので、ちょっとした亜流の楽しみ方もありますね。
サウンドトラックについては、過去で名曲と呼ばれていたものを「Z」で新しくアレンジしているものもありますので、改めて聞いてみると楽しんでいただけると思います。
――王元姫が描かれたメインビジュアルを最初に見たときの印象はいかがでしたか?
越後谷氏:実は…これでもポージングが二転三転しています。最初は意外性というか、「無双」らしくないポーズにしてみようとなったんですが、「さすがにこれは…」という話になり、最終的には今のような「無双」らしい王元姫の姿になりました。ただ、どちらもデキが良かったので、場面に応じて使い分けています。
――王元姫を起用するというのは早い段階から決まっていたんでしょうか?
越後谷氏:そこは最初に決めていました。やっぱり新しく追加された武将で一番特徴のあるキャラクターは誰だろうと考えたときに、王元姫かなと。「蒼天乱舞」の時に呂布と貂蝉の二人でメインビジュアルを描いたのですが、その評判も良かったですし、「女性キャラクターもアリだよね」となったので、王元姫を起用することはすんなり決まりました。
――今回追加されるキャラクターの中でお気に入りは誰でしょうか?
越後谷氏:私が音声収録に立ち会った関係もあって、郭淮(カクワイ)でしょうか。「ごほごほっ」と咳き込むシーンは、収録の場にいて大変楽しかったです。
――シナリオは史実に基づいたものでしょうか、それともオリジナルでしょうか?
越後谷氏:半々ぐらいですね。設定としては五丈原の戦いが終わった後、晋の時代に入るところですが、厳密に言えばまだ晋ではないんですよ。ただ、事実上は晋だろうということで、半分オリジナルという感じになっています。
――シナリオの見どころはどこでしょうか?
越後谷氏:新しく登場する無双武将ですね。過去に登場した無双武将も全て「真・三國無双6」ベースのモデルになっていますし、何より新しいキャラクターが登場しますので、まずは彼らと対決していただきたいです。その無双武将たちが持っている武器も新しく登場しますので、個々の無双武将によって攻略の仕方も変わってきますし、キャラクターごとに雰囲気も異なります。晋の勢力だけでなく、蜀と呉の新しい武将もいますので、各勢力に見どころがあります。
――グラフィックエンジンの載せ替えが行われていますが、これはキャラクターモデルの一新と合わせて実施されたのでしょうか?
越後谷氏:モデルの一新が先でした。それと合わせて「真・三國無双6」や「7」の技術も取り入れようということで、エンジンを載せ替えた形になります。
――グラフィックエンジンの載せ替えによって実現できたことや、今後実現できそうなことはありますか?
越後谷氏:これからの幅はかなり広いです。ただ、やはりお客様のマシンスペックの問題がありますので、一気に引き上げることは難しいため、現在は実現できることとスペックの問題、その間を取っています。実現できることを、まだあえてやっていない部分がありますので、市場の平均スペックが上がればもっといろんな表現ができると思います。
――今回のタイミングで必要環境は上がるのでしょうか?
越後谷氏:ほんの少しだけ上がりました。ただ、CPUの最低ラインをPentium 4に、というのは死守しています。もうPentium 4をお使いの方はほとんどいないと思ったのですが、調べてみると意外といらっしゃるので、大きく必要環境は上げていません。
――グラフィックエンジンの載せ替えで苦労されたところはありますか?それともむしろこれからでしょうか。
越後谷氏:新しい技術を入れようとすると、やはりこれからですね。苦労したこととなると、新しい武器などを含めたメモリ管理が大変という、ベタな話になってしまいます(笑)。表現を多くすると絵も多くなってしまいますが、そうすると必要なメモリ量も増えますので、そこのせめぎ合いはありました。
――では今後グラフィック面で力を入れたいと考えているのはどこでしょうか?
越後谷氏:モデルの細かい質感ですね。例えば布であったら布、金属であったら金属であることが分かるように、質感をもっとハッキリ出せるようにしたいと思います。PS3で発売している「無双」シリーズの新作であれば表現できていますが、まだこちらでは実現できていませんので、いずれそのレベルまで引き上げられたらというのがひとつです。後はマントのなびきや、紐の柔らかさといった表現も取り入れたいと考えています。
――ゲームシステムについてもお伺いします。まず武器の2本持ちを実装される上で気を付けたところはありますか?
越後谷氏:一番気を付けたのは気持ちよく遊べる部分、爽快感は絶対に無くさないようにしました。「真・三國無双 Online」のコンテンツは対戦がメインであり、コンシューマの「無双」のような敵を一気になぎ倒す気持ちよさとは違いますので、プレイヤー同士で戦った時に気持ちいいアクションはどんなものか、そこにこだわって作っています。
――武器の組み合わせのバリエーションが非常に豊富だと思いますが、迷った時にオススメの組み合わせはありますか?
越後谷氏:恐らく皆さんが最初の思いつくのは、攻撃力を3倍にする戦斧の破竹と、使い慣れた武器を重ねるという、オーソドックスな攻め方だと思います。単純ながらも、2本持ちの効果を実感できる1番分かりやすい組み合わせです。これも十分強いのですが、組み合わせる武器の種類も色々あるんですよね。単に攻撃力が3倍と言っても、例えば遠くから狙撃するパターンもあれば、突撃するタイプのもので切り込んでいったりと。それに対して、体力2倍や防御力3倍で耐えきろうといった、攻撃力アップに対するアンチの形でのパワーアップも可能になっています。
――武器を2本持ちで出撃すると、装備を切り替えるタイミングでブレイクチャージが発動します。この要素を入れようと思ったきっかけは何でしょうか?
越後谷氏:武器を持ち替えるだけでは面白くないかな、というのが取っ掛かりです。その後「切り替えの時に何か攻撃を出せたらいいね」というアイディアを元に、少しずつ開発を進めて形にしていきました。
――開発当初とは仕様が違ったりするのでしょうか?
越後谷氏:試行錯誤の繰り返しでしたね。スロットで強化できる能力を持ちこせるのか持ちこせないのか、究極強化の重ね掛けはアリかナシか、そもそもブレイクチャージで出す攻撃はどういうものにするのかといったことを、実際に試してバランス調整したり、仕様を切り替えてみたりの連続でした。ある程度方向性を決めてから、また別の内容を試したこともありますので、だいぶ時間が掛かっています。
――ブレイクチャージを発動するオススメのタイミングはありますか?
越後谷氏:対人戦、しかも1対1の時に一番効果を発揮します。上手くそのシチュエーションに持ち込む必要はありますが、どのタイミングでもブレイクチャージを出せるので、1対1でトドメを刺す際にはかなり有効な攻撃方法になると思います。「こんなタイミングでも出せるのか!」と思う例としては、ダウンしている時、気絶している時がありますので、カウンターとしても便利です。
――ダッシュ中やジャンプ中では通常とは違うアクションのブレイクチャージが出ますが、これを実装する経緯を教えてください。
越後谷氏:最初その2つは存在しなかったんですが、「ここで出せた方がいいんじゃない?」といって、少しずつ増やていった結果です。特にダッシュ中で通常のブレイクチャージを発動すると、走っていたものが突然ゆっくりになってしまうので、気持ちよくなかったんですよ。そうした試行錯誤を重ねた結果のひとつになっています。
――争奪システムも一新されていますが、手を加えようと思ったきっかけから教えてください。
越後谷氏:リニューアルの一環で、争奪も大きく変えたいという意見が出たのがきっかけです。実際にどう変えていくかとなった時、これまでのような「激突」の積み重ねで勝敗が決まるのではなく、勢力対勢力の雰囲気を出したいと考え、陣形というアイディアを採用しました。
――対人戦がメインですが、「応援」や「提案」といった要素も入っています。争奪に参加するのをためらう人もいることが影響しているのでしょうか?
越後谷氏:争奪の基本は「激突」なので、どうしても強いプレイヤーと戦いづらい、勝ちにくいという部分がありました。なので激突とは別のところ、頭の勝負をゲームの要素として入れてみたかったというのもありますね。
――対戦のマッチングシステムにも手を入れていますが、これは対戦の部屋を覗いて相手を見てから対戦する、といった事態を解消するためでしょうか?
越後谷氏:そうですね。やっぱり強そうな相手の対戦部屋にはなるべく入らず、強い方はせっかく待っているのに誰も来ない状況がありましたので、それを少しでも解消しようと考えました。それだけでなく、自信のないプレイヤー同士、いい勝負をしたいという方もいらっしゃったので、そこも実現できるように調整を加えました。
――従来のシステムも残されていますが、それはどういった理由でしょうか?
越後谷氏:両方試していただいて、より便利だと思った方を使っていただければいいかな、ぐらいの形式にしています。いきなり全て強制にしても違和感があると思いますし、どちらも選んでいただけるようにしました。後は例えば、キャンペーンと連動させて、こちらを利用した方には特典を…といった施策を実施してみるのもいいかなと思っています。
――服飾の追加に関してこだわった部分や、仕上がってきたものにリテイクを出したりといったことがあれば教えてください。
越後谷氏:こだわっているのは、ここ1年ぐらいの傾向を含めてですが、今までは三国文化になるべく沿った衣装を作ってきましたが、最近はだいぶ羽目を外した「これ三国志と関係ないよね?」といったものも作っています。しかもそれが好評をいただいているので、お客様の好みにも近いのかなと。どちらも作っていくべきだと思いますが、今回も三国志とはちょっと離れた衣装がありますので、ぜひ着ていただければと思います。
リテイクに関しては、染色の仕様がありますので、「せっかく染色するのにこの変わり方は良くないよね」と、色のバリエーションについて何度かリテイクを出したことはあります。
――なるほど、デザイン面ではなく色合いに関してですか。
越後谷氏:羽目を外した衣装のデザインは、弊社のCG部門が自由に楽しく作っているので、出来上がってくるものも楽しそうなんですよ。ただ、キャラクターのモーションを考えたとき、肩が衣装にめり込んでしまわないか、といった指摘はしています。
――個人的に期待している衣装はありますか?
越後谷氏:以前から話があって実現できていないことのひとつになりますが、羽の表現が難しいため、羽がバタバタできたらどうなるんだろう、見てみたいなと思っています。後は、誰かがふと「尻尾ってないの?」と言ったこともありますね。ただ、これは柔らかい表現ができるかどうかで大きく印象が違ってきますので、先ほどお話ししたように、マシンスペックが上がって表現できる幅が広くなったタイミングで、柔らかい表現を活用したバリエーションのものを出していけたらいいなと考えています。
――新武器が追加されるのに合わせ、今後既存武器の調整は行っていくのでしょうか?
越後谷氏:はい、それは実施していこうと思っています。まだ開発陣の想像がつかないところですごい技が出てくるかもしれませんし、流行が変わって今まで使われていた武器の使用頻度が下がるといったこともあります。そのため、基本的には使いづらいと感じている武器を引き上げ、なるべくどの武器でも戦えるようにしていきたいと思います。
――公式サイトでは毎週使用率ランキングを出していますよね。
越後谷氏:実は開発チーム内では、1位から最下位までのリストが出ています。その中で中位から下位の部分をなるべく引き上げる形で考えています。
――「Z」のサービスイン後に注目すべき武器はありますか?
越後谷氏:やはり新しく登場する「ヒョウ」ですね。これは実装した瞬間に反響が出るぐらい、戦闘の質が変わるものだと思っています。
――UIの変更もされていますが、具体的にどの辺りが変わっているのでしょうか?
越後谷氏:使い勝手も微調整していますが、どちらかというとデザインがメインですね。武器の2本持ちが実装されるので、今持っている武器はどちらなのか表示しなければいけないため、必要性のある調整も行っています。
――では特別UIにたくさん意見が来ていて、それを反映したという訳ではないんですね。
越後谷氏:機能的にもっと使いやすくという意見はいただいていますが、どちらかと言うと広場の商店を常設してほしいといった意見が多かったりします(笑)。今回のスマートプレイで常に仲買を覗けるようになったので、そういったシステムはスマートプレイを拡充する方向で便利にしていこうと考えています。
――そのスマートプレイについてお伺いします。スマートフォンやPCブラウザから利用できるとのことですが、アプリとして提供されるのでしょうか?
越後谷氏:いえ、ウェブサイトにアクセスする形となります。そのため普段お使いのPCブラウザでも利用できますし、スマートフォンの場合もブラウザからアクセスしていただくことになります。
――このサービスの開発経緯について教えてください。
越後谷氏:実は我々のチームの中でも、遅くまで仕事をしているとログインするのが面倒に感じるという話がありました。やっぱり家に帰ってPCを付け、クライアントを起動してログインするのは、それなりに遊ぼうという気持ちが必要ですよね。最近はかなりスマートフォンが普及していますので、それに対応できればもう少し軽い気持ちでログインできるかなと思ったんです。タイミングが良ければ外出時に仲買の品を覗いたり、そんなことができればいいね、というのがベースになっています。
――開発時に苦労したところはありますか?
越後谷氏:ウェブからゲームのデータベースを参照することが、技術的な部分でハードルが高かったですね。今まではPCもしくはPS3からログインしてプレイすることを基準にしていたので、ウェブからでもログインできるようにする、設計の仕方を考えるのが大変でした。
――今後も機能を追加していく予定はあるのでしょうか?
越後谷氏:これも入れてほしい、という要素はチーム内にもありますし、まだまだ追加していく予定です。ゲーム中の操作もまだできないこと、例えば鍛冶職人のところに行って武器を鍛えるといったことも実現できていませんので、ゆくゆくはそこもフォローしていきたいと思っています。
――アプリではなくウェブにしてよかったことはありますか?
越後谷氏:アプリの審査をしなくて済みますので、アプリと比べると気軽にバージョンアップができると思います。ゲームのクライアントとは別のタイミングでアップデートできる可能性もあるので、動きやすい状態というのはひとつのメリットですね。
――このスマートプレイについてですが、ゲームのクライアントとブラウザ、同時にログインするというのは実現可能でしょうか?
越後谷氏:今は難しいです。ただ、開発チームでも同じ声はありましたので、何とか実現できないかと考えています。多重ログインを許可してしまうと弊害がありますので、そこをクリアにしなければいけないなと。実際に触っていただくと、プレイしながら仲買で買い物をしたいという方は、恐らくかなりの割合でいらっしゃると思うので、検討しているところです。
――確かに問題を解決しないままでは不正利用に繋がってしまう可能性も出てきますよね。
越後谷氏:そうなんです。スマートプレイはちょっと使い方を間違えると危険なものなので、皆様にもしっかり管理していただければと思います。
――今後についてお伺いします。ほかの作品とのコラボレーション予定についても教えて下さい。
越後谷氏:まずは弊社内でできる範囲、例えばコンシューマの「無双」シリーズであったり、過去にも実施した「NINJA GAIDEN」などを含めて、できるところからやっていきたいと考えています。
――「龍神乱舞」開発中にリニューアルが必要と考えていたとのことですが、現状、次の大型アップデートで手を加えようと考えていることはありますか?
越後谷氏:ここからは地に足を付けて、ベースを作り上げることの想いが強いです。「Z」という形で仕上げたものを提供させていただきますが、ここからはお客様と仕上げていく段階に移るのかなと。流行が変わったりといった変遷を経て見えてくるものがあると思いますので、今は出来上がったものをご覧いただきたいと考えています。
――仮定の話ですが、次の大型アップデートではどのようなサブタイトルにされる予定でしょうか?
越後谷氏:恐らくですが、また“乱舞”を付けて「真・三國無双 Online Z ○○乱舞」のようにしようかなと思っています。ここから先の拡張も何度か行う予定ですので、今のところアルファベットを変えるようなところまでは考えていないです(笑)。
――最後にユーザーの方へメッセージをお願いします。
越後谷氏:中身をリニューアルした「真・三國無双 Online Z」では遊び方が大きく変わりましたので、新しい気持ちで遊んでいただければと思います。これを機に、今まで遊んでいたけど今は休止している方や、これから遊ぼうと思っていただけた方も、ぜひいらっしゃってください。
――ありがとうございました。
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