「鬼武者Soul」1周年大型アップデート「本能寺の変」やコンシューマ版についてプロデューサーにインタビュー

カプコンが運営する「鬼武者Soul」は、2013年10月19日に正式サービス1周年を迎える戦国シミュレーションRPGだ。本作のプロデューサーにインタビューを行い、今後の展開について伺うことができたので、その内容をお届けしよう。

「鬼武者Soul」は、戦国サバイバルアクションゲーム「鬼武者」シリーズに登場するキャラクターをもとにした戦国シミュレーションRPG。サービスを開始してからの1年間は、積極的なアップデートや、「モンスターハンターシリーズ」や「バイオハザードシリーズ」をはじめとしたカプコンタイトルとのコラボレーションなど、常に多彩な展開を見せてきた。

そして、正式サービス開始から1周年を迎えるタイミングで、本作のプロデューサーには津川宏史氏が就き、カプコンのオンラインゲームの中心人物である杉浦一徳氏はエグゼクティブプロデューサーとして開発に携わることが決定した。

開発体制が一新され、今後はどのような展開を見せるのか。さらに先日開催された「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」でも話題に挙がったタブレット版、コンシューマ版についてなど、気になる話を杉浦氏、津川氏に聞いてきたので、本作のユーザーはぜひチェックしてほしい。

RPGらしい楽しみが増える大型アップデート「本能寺の変」

――大型アップデート「本能寺の変」では多数のコンテンツが追加されますが、その中でも注目してもらいたいものはどれですか?

杉浦一徳氏
杉浦一徳氏

杉浦氏:今回の大型アップデートでは、武将に武器・防具・装飾品などを装備させることが可能になります。そして、武将だけではなく、武器を育てる要素も追加され、よりRPGらしい部分が増えるので注目してほしいです。装備品の中には、日本人の方なら誰もが知っている刀もあるので、ユーザー様にはこちらにも愛着を持って育ててもらえるのではと思っています。

――なぜこのタイミングで、装備システムを追加することになったのでしょうか?

杉浦氏:元々「鬼武者Soul」は、武将をシンプルなカードとは見立てたくないという思いから開発がスタートしています。RPGのキャラクターと同じで、武将ひとりひとりに個性があるべきだと考えていたので、今回の実装に至りました。

――武器の入手方法は、どういった形になるのですか?

杉浦氏:クエストをはじめ、さまざまなところから入手できるように調整しています。少なくとも、課金をしなければ手に入らないということはないので、安心してください。

――「本能寺の変」を実装するにあたり、ユーザーの意見はどのように活かされているのでしょうか?

杉浦氏:ユーザー様からは、「武将を育てるのが楽しい」という意見が多く、サービス開始から1年が経過した今では、武将を育てきった方も数多くいます。その中で、育成でやり込める部分をもっと増やそうということになり、装備システムを搭載しました。この装備システムは「もっと武将に個性を付けたい」というユーザー様のためのコンテンツの追加と言っていいかと思います。

――ユーザーがコア化してくるタイミングに合わせてのアップデートということですね。

杉浦氏:本作はユーザー様の離脱率が低い状態でここまで運営することができましたが、その分長期的にプレイいただいているユーザー様も、自然と増えてきている状況です。また、初心者の方が楽しめるコンテンツは充分に用意されているという認識ですので、実装優先度を上級者に絞りました。

――前回の大型アップデートからわずか2ヶ月と、かなり速いペースでのアップデートですよね。

杉浦氏:2013年に入ってからは2月、4月、6月、そして8月と大型アップデートを実施してきたので、私たちとしては速いというより、これまでのペースを守ってきたという感覚のほうが強いですね。

今後については、「本能寺の変」でストーリーに一区切りがつくので、そこでユーザー様の反応を見つつ、次のアップデートのタイミングを見極めようと考えています。とはいえ、アップデートの内容はこれまでどおり濃いものを提供していくつもりなので、期待して待ってもらえると嬉しいです。

――なるほど。では、今回のアップデートで追加される鬼物語の内容について教えてください。

杉浦氏:前々から1周年のタイミングは織田信長が密接に関わる物語、つまり「本能寺の変」を入れようと考えていたのです。これまでも鬼物語やキャンペーンストーリで織田信長が登場することはあったものの、やはり「本能寺の変」がないと大々的に出せませんし、これがなければ豊臣秀吉も出しにくいので。

ですから、ここからさらに、戦国時代に詳しい方や、長期的にプレイいただいているユーザー様も楽しめるコンテンツになっていくと思いますし、私自身も期待しています。

――「本能寺の変」は史実に沿った形で描かれるのでしょうか?

杉浦氏:明智左馬介と明智光秀が織田信長と対峙する点は変わりませんが、そこから先は独自の解釈が加わっています。

――織田信長が登場するとなると、昔からの「鬼武者」ファンにも期待している人は多いかと思います。過去作品とのつながりはあるのでしょうか?

杉浦氏:世の人々に仇なす「幻魔王」としての立ち位置は変わりません。ですが、既に昔からの「鬼武者」を再現したストーリーはサブ的なイベントクエストとして実装済みで、本作のメインストーリー自体はパラレルワールドとして作っている面もあるので、ストーリーの内容は独自の展開となっています。

既存のファンの方からすれば意外性を感じられるのではないかと思います。コンシューマの「鬼武者」は明智左馬之助や柳生十兵衛の追体験として、織田信長と対峙する見せ方でした。今回は戦国時代の領主の1人として戦うことになるので、織田信長の見え方も変わってくるのではないでしょうか。

――俯瞰の視点で、客観的に物語を楽しめるのは本作の魅力ですよね。

杉浦氏:そうですね。元々はここまで凝るつもりもなかったのですが、スタッフの頑張りもあり、「鬼物語」のクオリティはとても良いものになりました。加えてユーザー様からは「ストーリーが面白い」という意見も頂いているので、非常に良い手応えを感じています。

ただし一点だけ、ボイスに関してはこれまでどおり大塚明夫さんです。サービス開始時に作成したPVの時から大塚さんにお願いしていましたし、ファンのかたも望んでいるはずなので、そこは外していません。

――大塚さん自身にも、織田信長へのこだわりがあるのでしょうか?

杉浦氏:ええ。大塚さんはコンシューマ版の1作目から関わっており、インタビューでも思い入れの強さをコメントいただきましたし、そこは本当にありがたいことだと思っています。

――ここまでの1年間で、ユーザーからの評価が高かったコンテンツは、やはり「鬼物語」になるのですか?

杉浦氏:もちろん人それぞれにはなります。「鬼物語」以外にも「合戦」のスキル構成などのカスタマイズ要素や、私たちが開発開始時から力を入れていた「城下町」に対しても良い評価が多いです。

もうひとつ良い評価を頂いているのはイラストですね。イラストは著名な方に描いてもらっていることもあり、クオリティの高いものを提供できていると自負しています。ですから、イラストが評価されることは素直に嬉しいです。

――イラストというと、今回のアップデートでも新規武将が追加されますが、どなたがイラストを担当したのでしょうか?

杉浦氏:織田信長や明智光秀は、すでに参加してくださっている、タケダサナさんが担当しています。タケダさん以外にも、評判の良かったイラストレーターの方が中心となってキャラクターをデザインしています。

新しいイラストレーターさんに依頼するよりも、この1年間で素晴らしいイラストを描いてきた方に依頼したほうが、ユーザー様も満足してくれるのではと考えました。

――1年を通して作品に関わっていると、ゲームへの理解も深まってくるのではないでしょうか?

杉浦氏:それは確実にありますね。イラストレーターの方々は、私たちが直接言わなくても試行錯誤してくださいますし、本作に対する思いの強さを感じました。また、多数のイラストレーターさんが参加することもあってか、互いに刺激しあう環境が偶然にもできていたみたいで、同じ職業だからこその相乗効果があるようです。

――1年を通して大型アップデートを繰り返してきて、さらに今回も多数のコンテンツが追加されますが、アイディアが尽きることはないのですか?

杉浦氏:私たちはあくまで、ソーシャルゲームではなく、本格的なオンラインゲームとして開発を進めています。オンラインゲームは拡張性がとても高いですし、アイディアが尽きることはないですね。むしろ、「茶会」「婚姻」「家紋」などの戦国時代らしい要素を追加しきれていないという思いのほうが強いです。開発を始めた時から溜めているネタのストックもかなり残っています。

もちろん、既存のコンテンツもリファインの余地があるはずですし、ユーザー様の意見からヒントをもらうこともありますので、まだまだやるべきことは多いですね。

――では、この1年のうちにやりたかったものの、実現できなかったコンテンツもあるのですか?

杉浦氏:ユーザー様に公約したものの中で唯一実現できていないオークション機能「競売」ですね。こちらに関しては、技術的に困難で時間がかかるため、他のコンテンツを優先した部分がありますが、ユーザー様のプレイ状況を見ていると、そこまで優先度は高くないと判断したので、優先順位を下げている段階です。

――コンテンツの実装する、しないは、ユーザーの状況を見ながら考えていると。

杉浦氏:やはりユーザー様の声や日々のプレイデータで実装するコンテンツの議論や判断は変わってきますね。「競売」の優先度を下げた一方で、ユーザー様からの要望が多かったコンテンツリファインを行ったケースもありますし、そこは臨機応変に対応しています。

タブレット版、そしてコンシューマ版はどう展開するのか

――8月1日の「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」でマルチデバイス展開の発表がありましたが、タブレット版はいつサービスをはじめるのでしょうか?

津川宏史氏
津川宏史氏

津川氏:現在開発を進めておりまして、順調に行けば「本能寺の変」と同じく10 月下旬~11月にはスタートできればと考えています。内容は画面のレイアウトが一部異なる程度で、スマートフォン版を同じ感覚で遊べるように調整しています。

――スマートフォン版から遅れたのは、やはり調整に時間がかかったからなのですか?

津川氏:一番の問題は解像度でしたね。最新のiPadに採用されているRetinaディスプレイはかなりの高解像度ですし、スマートフォン版と同様にプレイできるよう時間を割きました。

――端末の性能が向上していくことは、開発に影響あるのですか?

津川氏:画面の大きさは多少影響しますが、高性能になることは良いことだと考えています。スペックが上がり動きが軽くなれば、当然「鬼武者Soul」をはじめとしたゲームも遊びやすくなりますし。

――「本能寺の変」や、これから先のアップデートは、スマートフォン版も同時に行われるという認識でいいのですか?

杉浦氏:PC版とスマートフォン版は同じサーバーを使用しているので、アップデートも同時になります。

――次に、コンシューマ版の開発状況はいかがでしょうか。

津川氏:8月1日のカンファレンスでも触れましたが、コンシューマ版は今冬にサービスを開始する予定です。技術的な問題で移植作業が遅れていたのですが、現在は目処もついてきたところです。

杉浦氏:2014年の年明けにはスタートできればと考えています。

――コンシューマで展開するにあたり、意識したことはありますか?

津川氏:PCやスマートフォンと違い、ハードによってはコントローラーやタッチパネルで操作することになるので、どうしたら快適に遊べるかを考えています。移植の難易度もスマートフォンとはまったく違いますし、注意しながら開発を進めています。

杉浦氏:なので、PC版の開発とは別に、移植のためのチームを作りました。

――専属のチームを作ってでも移植する理由を教えてください。

杉浦氏:コンシューマには「フリー・トゥ・プレイ」の作品がまだまだ少ないので、配信してみたらユーザー様からどういう反応があるか、僕たち自身も興味がありました。魅力ももちろんありますが、今後の展開を占ううえでのテストという意味もあるのです。もしもこのテストが成功すれば、第二、第三のハードへ展開する可能性も、大いにあると思います。

――ちなみに、コンシューマ版ではPC版などで利用していたアカウントで遊べるのですか?

杉浦氏:アカウントの共有はできません。コンシューマ版は、これから始めようと思っている方がメインになるかと考えています。

――分かりました。そういえば、プロデューサーが杉浦さんから津川さんへ変わるという話ですが、こちらはコンシューマ版への展開を意識しての変更なのでしょうか?

杉浦氏:個人的な理由で大変恐縮ですが、他タイトルのプロデューサーを兼務していて、全体的に私が多忙になってきたからですね(笑)。肩書は変わりますが、津川は元々「鬼武者Soul」のアシスタントプロデューサーを担当していたので、作品への関わり方はこれまでとほぼ同じです。私もサブとしてフォローを続ける予定ですので、運営の方針やゲームの仕様が変わるということもないです。

――多忙になったのは、やはりカンファレンスで発表した作品も要因にはあるのでしょうか?

10作品以上のオンラインゲームが発表された<br />
「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」
10作品以上のオンラインゲームが発表された
「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」

杉浦氏:それもありますし、私がカプコンのオンラインゲーム事業に関わったのが約7年前で、そのころは若かったスタッフに力が付いてきたということもあります。また、当初から杉浦自身はその意図もあったので年明け以降は徐々にですが、チームから離れていたので、そろそろ実質的な責任者を表に出すべきかなと。世代交代というと大げさですが、彼にバトンを渡しても問題はないと判断しました。

――先日のカンファレンスではPCやモバイル向けを含め、10タイトル以上の新作を発表しましたよね。今後の新作と「鬼武者Soul」は、どのように差別化しようと考えているのでしょうか?

杉浦氏:おっしゃる通り、オンラインゲームは継続ビジネスですし、ユーザー様の楽しみ方も、本質的には似ている部分が多いと思っています。とはいえ、バトルシステムや収録コンテンツ、さらには世界観など、あらゆる部分がゲームごとで違います。

当たり前ですが、先日発表した「ブレス オブ ファイア6 白竜の守護者たち」はファンタジー色が強く、戦国時代を舞台にした「鬼武者Soul」とは世界観が大きく異なります。各タイトル、オリジナルの機能や要素をそれぞれの作品に加えていきますので、差別化は充分にできるのではないかと考えています。

――すべての作品で、自然に差別化ができていくと。

杉浦氏:私はそもそも、差別化しようと考えたことがあまりないのです。純粋に「鬼武者Soul」という作品はどうすれば面白くなるのか、継続して楽しめるのかしか考えておらず、他の作品と比較しても、意味がないですから。その作品ならではの面白さを追求すれば、自然と他にはないゲームが生まれるはずです。また、それぞれのタイトルで専属のディレクターがいるなど、個別できっちり開発できる体制になっています。

ただ、先程も言ったとおり本質的な部分は同じだと思っているので、「鬼武者Soul」で成功したこと、失敗したことを他のチームに共有して、ブラッシュアップをかけていくつもりです。

――では、カプコンのオンラインゲームを複数同時に遊んでも、飽きることはなさそうですね。

杉浦氏:もちろんです。世界観という点ではユーザー様の好みがはっきり分かれると思うので、戦国好きな方は「鬼武者Soul」、ファンタジーが好きであれば「ブレス・オブ・ファイア6」、ヨーロッパの歴史に興味があれば「百年戦記 ユーロ・ヒストリア」といった具合に、気に入った作品から入ってくれると嬉しいです。アクションもあればシミュレーションもありますし。

――「鬼武者Soul」から少し話が離れますが、話に挙がった「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」に対するユーザーからの反響はどうでしたか?

杉浦氏:ものすごく大きな反響がありまして、特に「モンスターハンター フロンティアG」のPS3/Wii U版は、今まで作品に触れてこなかった人からの反応もあり、良いアピールの場になったのではと感じています。

あとはサプライズとして用意していた「ブレス オブ ファイア6」ですね。カンファレンスが終わった後に「どのタイトルに興味を持ったか」というアンケートを取ったのですが、そこでもトップクラスの人気で「リリースされたらぜひ遊びたい」といった意見もいただきました。

視聴者を見ると「ブレス オブ ファイア6」の支持層は女性の方が多く、実に5割以上を占めていました。オンラインゲームの新しいユーザー層が広がっていることを改めて実感できた、良いカンファレンス結果だったと思います。

今後の海外展開のプランは、そして日本への影響は

――「鬼武者Soul」は現在アジアを中心に海外展開を進めていますが、そちらの状況を教えてください。

杉浦氏:台湾ではナンバーワンのブラウザゲームとして表彰されたりと、非常に高い評価をいただいています。また、売上は日本を凌ぐ規模ですし、ユーザー数にいたっては日本以上と、かなりの盛り上がりを見せています。

実は「鬼武者Soul」を台湾で展開することは開発当初から決まっていて、カプコン台湾を設立した当初から現地のスタッフを関わらせたりと、海外を意識して取り組んできたのです。なので、現在は台湾での運営やローカライズを、すべてカプコン台湾に任せる状態にできています。

――日本とは違った、独自の運営をしているのですね。

杉浦氏:こちらがコントロールするのではなく、自由に運営できる環境を整えました。「自由である代わりに責任を取らなければいけない厳しさがあるよ」と伝えた部分にしっかりと彼らが応えてくれて、今のところ良い結果に結びついていますね。

また、「鬼武者Soul」という戦国時代をモチーフにしたIPが海外で受け入れられたことは、私たちが今後の展開を考える上でも重要になってくると思います。

――カプコン台湾の第1弾タイトルとして「鬼武者Soul」を選んだことに理由はあるのですか?

杉浦氏:オンラインゲームやソーシャルゲームで、もっとも多い世界観というとファンタジーです。しかし、海外の方が日本人の生み出したファンタジーを見たら、きっと違和感があるはずなんです。

そこで、弊社のCS開発副統括である小野(小野義徳氏)から「海外展開をしよう」と言われたときに、日本人が作る日本の文化を題材にした作品で勝負したいと考え、「鬼武者Soul」を提案しました。

――戦国時代を題材にしたゲームとなると「戦国BASARA」もありますが、なぜ「鬼武者」を選んだのでしょうか?

杉浦氏:コンシューマタイトルでは東アジアで活躍している金城武さんが主人公を演じたこともあり、台湾などのアジア地域では「鬼武者」の人気が非常に高かったからです。日本でも一定の成功を収めつつ海外へも広げていこうと考えたとき、やはり元の人気が高い「鬼武者」を選ぶべきだろうと考えました。

また、PS2で発売された「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」のプロデューサーは小野でしたし、弟子である私が同じIPを使うのも面白い流れでしたね。

――今後は台湾以外への展開も考えているのですか?

杉浦氏:計画中の段階なので詳細は明かせませんが、さまざまな国からオファーが来ていますし、積極的に展開していこうと思います。

ただ、日本のスタッフがある程度サポートしなければ難しい国もあると思いますが、海外に気を取られて日本の運営が疎かになることは絶対に避けなければいけません。日本の開発状況を見ながらの展開となります。

――地域としては、やはりアジアが中心になるのですか?

杉浦氏:特定の地域に限定するつもりはなく、マーケットとして成立するのであれば、どの地域でも前向きに検討したいと考えています。オファー自体は、アジア以外からも来ていますよ。

――今後海外への展開が進んでいくとして、日本でのアップデートなどが遅れる可能性はあるのでしょうか?

杉浦氏:結論から言うと、まったく影響しません。まずは日本でアップデートを行い、それを海外へも配信していく流れになります。アップデートを行うタイミングも現地のチームに任せてあるので、日本の開発チームは今後も日本版のみに注力する形です。

日本ではコンテンツの充実が最優先

――それでは次に、日本国内での展開について教えてください。この1年間はカプコンタイトルとのコラボレーションが盛んでしたが、今後もコラボレーションは行っていくのでしょうか?

杉浦氏:そうですね。ただ、カプコンだけですと人気のあるキャラクターは限定されてしまいますよね。ユーザー様からも「またモリガンかよ!」と言われかねないですし(笑)。今後は人気のあるキャラクターを軸にしながら、他社様とのコラボレーションも行い、ユーザー様を飽きさせないようにしたいですね。

――今後発売されるカプコンタイトルも、順次登場してくるのでしょうか?

杉浦氏:実は、新作か旧作かという点はあまり意識していないんです。人気のある作品であっても、「鬼武者Soul」で活かせなければ意味がありませんし、上手い切り口を見つけなければいけません。何も考えずに新しい作品をゲーム内に詰め込むのではなく、ユーザー様が「なるほど」と思っていただけることを優先していこうと考えています。

8月にコラボイベントが実施された「ファイナルファイト」のキャラクター。
杉浦氏いわく、「ファイナルファイト」が理由もなく登場するのではなく、
しっかりと理由づけしたストーリーを考えたうえで実装したそうだ。

――10月にはオリジナル・サウンドトラックを発売されますが、こういった展開は他にも動いているのでしょうか?

杉浦氏:詳しいことは後日発表しますが、ものすごく大きなものを準備しています。本当に大きくて、会議室の机では収まらないほどです(笑)。

津川氏:2014年初頭には発表できると思いますので、期待してください。あとは画集なども検討していければと考えています。

杉浦氏:一言でグッズ展開と言っても難しく、特にオンラインゲームのユーザー様からは「そういうことよりもゲーム自体の内容に力を入れてほしい」という意見をいただきます。また、「ゲーム内アイテムの特典のほうが嬉しい」という方も大勢います。

最近では初めからマーチャンダイズを考えているブラウザゲームも見受けられますが、杉浦自身はゲームはゲーム内を優先すべきだと考えています。

――ゲーム内容の充実が最優先であると。

津川氏:これからも大型イベントや新規コンテンツを順次追加する予定ですし、ユーザー様の声に合わせてリファインもかけていきます。スマートフォン版もかなりのボリュームとなっているので、まずはゲームを楽しんでもらえたらと思います。

1年目は新しいコンテンツの実装を優先していたため、ユーザー様の声をフォローしきれなかった部分があり、そこは大きな反省点だと思っています。2年目はしっかりとフォローし、より長く遊べるゲームに仕上げていきたいです。

――それでは、最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

津川氏:今後もチャネリングやタブレット、コンシューマと遊べる機会を増やしていくので、多くの人に「鬼武者Soul」を遊んでもらいたいですね。私たちはこれからも、末永く遊べる環境を作っていけるよう頑張りますので、よろしくお願いします。年末にかけてさまざまなコラボレーションを用意していますので、そちらにもご期待ください。

杉浦氏:「鬼武者Soul」はカプコンのブラウザゲーム第1弾であり、非常に思い入れのあるタイトルです。ここまでは順調にサービスをできていますし、開発チームのモチベーションもすごく高いので、これからも安定した運営をしていければと思います。スマートフォン版のサービスもようやく始まりましたし、この機会に新規のユーザー様が増えてくるよう努力していきます。

――ありがとうございました。

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