「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」">
杉浦氏:それもありますし、私がカプコンのオンラインゲーム事業に関わったのが約7年前で、そのころは若かったスタッフに力が付いてきたということもあります。また、当初から杉浦自身はその意図もあったので年明け以降は徐々にですが、チームから離れていたので、そろそろ実質的な責任者を表に出すべきかなと。世代交代というと大げさですが、彼にバトンを渡しても問題はないと判断しました。
――先日のカンファレンスではPCやモバイル向けを含め、10タイトル以上の新作を発表しましたよね。今後の新作と「鬼武者Soul」は、どのように差別化しようと考えているのでしょうか?
杉浦氏:おっしゃる通り、オンラインゲームは継続ビジネスですし、ユーザー様の楽しみ方も、本質的には似ている部分が多いと思っています。とはいえ、バトルシステムや収録コンテンツ、さらには世界観など、あらゆる部分がゲームごとで違います。
当たり前ですが、先日発表した「ブレス オブ ファイア6 白竜の守護者たち」はファンタジー色が強く、戦国時代を舞台にした「鬼武者Soul」とは世界観が大きく異なります。各タイトル、オリジナルの機能や要素をそれぞれの作品に加えていきますので、差別化は充分にできるのではないかと考えています。
――すべての作品で、自然に差別化ができていくと。
杉浦氏:私はそもそも、差別化しようと考えたことがあまりないのです。純粋に「鬼武者Soul」という作品はどうすれば面白くなるのか、継続して楽しめるのかしか考えておらず、他の作品と比較しても、意味がないですから。その作品ならではの面白さを追求すれば、自然と他にはないゲームが生まれるはずです。また、それぞれのタイトルで専属のディレクターがいるなど、個別できっちり開発できる体制になっています。
ただ、先程も言ったとおり本質的な部分は同じだと思っているので、「鬼武者Soul」で成功したこと、失敗したことを他のチームに共有して、ブラッシュアップをかけていくつもりです。
――では、カプコンのオンラインゲームを複数同時に遊んでも、飽きることはなさそうですね。
杉浦氏:もちろんです。世界観という点ではユーザー様の好みがはっきり分かれると思うので、戦国好きな方は「鬼武者Soul」、ファンタジーが好きであれば「ブレス・オブ・ファイア6」、ヨーロッパの歴史に興味があれば「百年戦記 ユーロ・ヒストリア」といった具合に、気に入った作品から入ってくれると嬉しいです。アクションもあればシミュレーションもありますし。
――「鬼武者Soul」から少し話が離れますが、話に挙がった「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」に対するユーザーからの反響はどうでしたか?
杉浦氏:ものすごく大きな反響がありまして、特に「モンスターハンター フロンティアG」のPS3/Wii U版は、今まで作品に触れてこなかった人からの反応もあり、良いアピールの場になったのではと感じています。
あとはサプライズとして用意していた「ブレス オブ ファイア6」ですね。カンファレンスが終わった後に「どのタイトルに興味を持ったか」というアンケートを取ったのですが、そこでもトップクラスの人気で「リリースされたらぜひ遊びたい」といった意見もいただきました。
視聴者を見ると「ブレス オブ ファイア6」の支持層は女性の方が多く、実に5割以上を占めていました。オンラインゲームの新しいユーザー層が広がっていることを改めて実感できた、良いカンファレンス結果だったと思います。
――「鬼武者Soul」は現在アジアを中心に海外展開を進めていますが、そちらの状況を教えてください。
杉浦氏:台湾ではナンバーワンのブラウザゲームとして表彰されたりと、非常に高い評価をいただいています。また、売上は日本を凌ぐ規模ですし、ユーザー数にいたっては日本以上と、かなりの盛り上がりを見せています。
実は「鬼武者Soul」を台湾で展開することは開発当初から決まっていて、カプコン台湾を設立した当初から現地のスタッフを関わらせたりと、海外を意識して取り組んできたのです。なので、現在は台湾での運営やローカライズを、すべてカプコン台湾に任せる状態にできています。
――日本とは違った、独自の運営をしているのですね。
杉浦氏:こちらがコントロールするのではなく、自由に運営できる環境を整えました。「自由である代わりに責任を取らなければいけない厳しさがあるよ」と伝えた部分にしっかりと彼らが応えてくれて、今のところ良い結果に結びついていますね。
また、「鬼武者Soul」という戦国時代をモチーフにしたIPが海外で受け入れられたことは、私たちが今後の展開を考える上でも重要になってくると思います。
――カプコン台湾の第1弾タイトルとして「鬼武者Soul」を選んだことに理由はあるのですか?
杉浦氏:オンラインゲームやソーシャルゲームで、もっとも多い世界観というとファンタジーです。しかし、海外の方が日本人の生み出したファンタジーを見たら、きっと違和感があるはずなんです。
そこで、弊社のCS開発副統括である小野(小野義徳氏)から「海外展開をしよう」と言われたときに、日本人が作る日本の文化を題材にした作品で勝負したいと考え、「鬼武者Soul」を提案しました。
――戦国時代を題材にしたゲームとなると「戦国BASARA」もありますが、なぜ「鬼武者」を選んだのでしょうか?
杉浦氏:コンシューマタイトルでは東アジアで活躍している金城武さんが主人公を演じたこともあり、台湾などのアジア地域では「鬼武者」の人気が非常に高かったからです。日本でも一定の成功を収めつつ海外へも広げていこうと考えたとき、やはり元の人気が高い「鬼武者」を選ぶべきだろうと考えました。
また、PS2で発売された「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」のプロデューサーは小野でしたし、弟子である私が同じIPを使うのも面白い流れでしたね。
――今後は台湾以外への展開も考えているのですか?
杉浦氏:計画中の段階なので詳細は明かせませんが、さまざまな国からオファーが来ていますし、積極的に展開していこうと思います。
ただ、日本のスタッフがある程度サポートしなければ難しい国もあると思いますが、海外に気を取られて日本の運営が疎かになることは絶対に避けなければいけません。日本の開発状況を見ながらの展開となります。
――地域としては、やはりアジアが中心になるのですか?
杉浦氏:特定の地域に限定するつもりはなく、マーケットとして成立するのであれば、どの地域でも前向きに検討したいと考えています。オファー自体は、アジア以外からも来ていますよ。
――今後海外への展開が進んでいくとして、日本でのアップデートなどが遅れる可能性はあるのでしょうか?
杉浦氏:結論から言うと、まったく影響しません。まずは日本でアップデートを行い、それを海外へも配信していく流れになります。アップデートを行うタイミングも現地のチームに任せてあるので、日本の開発チームは今後も日本版のみに注力する形です。
――それでは次に、日本国内での展開について教えてください。この1年間はカプコンタイトルとのコラボレーションが盛んでしたが、今後もコラボレーションは行っていくのでしょうか?
杉浦氏:そうですね。ただ、カプコンだけですと人気のあるキャラクターは限定されてしまいますよね。ユーザー様からも「またモリガンかよ!」と言われかねないですし(笑)。今後は人気のあるキャラクターを軸にしながら、他社様とのコラボレーションも行い、ユーザー様を飽きさせないようにしたいですね。
――今後発売されるカプコンタイトルも、順次登場してくるのでしょうか?
杉浦氏:実は、新作か旧作かという点はあまり意識していないんです。人気のある作品であっても、「鬼武者Soul」で活かせなければ意味がありませんし、上手い切り口を見つけなければいけません。何も考えずに新しい作品をゲーム内に詰め込むのではなく、ユーザー様が「なるほど」と思っていただけることを優先していこうと考えています。
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8月にコラボイベントが実施された「ファイナルファイト」のキャラクター。 杉浦氏いわく、「ファイナルファイト」が理由もなく登場するのではなく、 しっかりと理由づけしたストーリーを考えたうえで実装したそうだ。 |
――10月にはオリジナル・サウンドトラックを発売されますが、こういった展開は他にも動いているのでしょうか?
杉浦氏:詳しいことは後日発表しますが、ものすごく大きなものを準備しています。本当に大きくて、会議室の机では収まらないほどです(笑)。
津川氏:2014年初頭には発表できると思いますので、期待してください。あとは画集なども検討していければと考えています。
杉浦氏:一言でグッズ展開と言っても難しく、特にオンラインゲームのユーザー様からは「そういうことよりもゲーム自体の内容に力を入れてほしい」という意見をいただきます。また、「ゲーム内アイテムの特典のほうが嬉しい」という方も大勢います。
最近では初めからマーチャンダイズを考えているブラウザゲームも見受けられますが、杉浦自身はゲームはゲーム内を優先すべきだと考えています。
――ゲーム内容の充実が最優先であると。
津川氏:これからも大型イベントや新規コンテンツを順次追加する予定ですし、ユーザー様の声に合わせてリファインもかけていきます。スマートフォン版もかなりのボリュームとなっているので、まずはゲームを楽しんでもらえたらと思います。
1年目は新しいコンテンツの実装を優先していたため、ユーザー様の声をフォローしきれなかった部分があり、そこは大きな反省点だと思っています。2年目はしっかりとフォローし、より長く遊べるゲームに仕上げていきたいです。
――それでは、最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
津川氏:今後もチャネリングやタブレット、コンシューマと遊べる機会を増やしていくので、多くの人に「鬼武者Soul」を遊んでもらいたいですね。私たちはこれからも、末永く遊べる環境を作っていけるよう頑張りますので、よろしくお願いします。年末にかけてさまざまなコラボレーションを用意していますので、そちらにもご期待ください。
杉浦氏:「鬼武者Soul」はカプコンのブラウザゲーム第1弾であり、非常に思い入れのあるタイトルです。ここまでは順調にサービスをできていますし、開発チームのモチベーションもすごく高いので、これからも安定した運営をしていければと思います。スマートフォン版のサービスもようやく始まりましたし、この機会に新規のユーザー様が増えてくるよう努力していきます。
――ありがとうございました。
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