ネクソンが運営する「サドンアタック」の「日韓エキシビションマッチ2013」に日本代表として参加したクランizoneの「delpiero」選手、クランNabDの「Matcha」選手、そしてネクソンの広告宣伝チームに所属し、サドンアタックのマーケティングを担当する「坂下智久」氏にロングインタビューを実施してきたのでお伝えしよう。
ネクソンが運営する「サドンアタック」は、多くのクランやプレイヤーたちが、日々腕を磨きながら対人戦を楽しんでいるオンラインFPSタイトルだ。今年の東京ゲームショウ2013の会場にて「日韓エキシビションマッチ2013」日本代表クラン決定戦を、10月13日には韓国・ソウルにて「日韓エキシビションマッチ2013」が開催されたのは記憶に新しい。
本記事では、そんな激戦をくぐり抜けてきたクランizone「delpiero」選手、NabD「Matcha」選手、そして彼らをバックアップしながら見守ってきたネクソン「坂下智久」氏に、これまでの戦いを振り返って、そしてこれからのオンラインFPSの未来を語ってもらったので紹介しよう。
東京ゲームショウ2013 日本代表決定戦
第1試合 NabD VS Kmn-Gaming
コイントス勝利クラン:NabD
第1MAP:クロスポート NabD(R) 6-4 Kmn-Gaming(B)
第2MAP:ドラゴンロード NabD(B) 6-4 Kmn-Gaming(R)
勝利クラン:NabD
第2試合 Adult.V VS iZone
コイントス勝利クラン:Adult.V
第1MAP:ドラゴンロード Adult.V(B) 3-6 iZone(R)
第2MAP:クロスポート Adult.V(B) 6-3 iZone(R)
第3MAP:第3補給倉庫 Adult.V(B) 6-5 iZone(R)
勝利クラン:Adult.V
第3試合 Kmn-Gaming VS iZone
コイントス勝利クラン:iZone
第1MAP:ドラゴンロード Kmn-Gaming(B) 4-6 iZone(R)
第2MAP:クロスポート Kmn-Gaming(R) 5-6 iZone(B)
勝利クラン:iZone
第4試合 NabD VS Adult.V
コイントス勝利クラン:Adult.V
第1MAP:ドラゴンロード NabD(B) 6-5 Adult.V(R)
第2MAP:クロスポート NabD(R) 6-2 Adult.V(B)
勝利クラン:NabD
第5試合
iZone VS Adult.V
コイントス勝利クラン:iZone
第1MAP:クロスポート iZone(R) 6-5 Adult.V(B)
第2MAP:ドラゴンロード iZone(B) 6-2 Adult.V(R)
勝利クラン:iZone
韓国・ソウル「日韓エキシビションマッチ」結果
第1試合 NabD VS introspection
第1MAP:プロバンスNabD 1-6 introspection
第2MAP:第5補給倉庫NabD 4-6 introspection
勝利クラン:introspection
第2試合 iZoNe VS 1st-generation
第1MAP:ドラゴンロードiZoNe 0-6 1st-generation
第2MAP:プロバンスiZoNe 3-6 1st-generation
勝利クラン:1st-generation
第3試合 iZoNe VS introspection
第1MAP:第5補給倉庫iZoNe 3-6 introspection
第2MAP:プロバンスiZoNe 4-6 introspection
勝利クラン:introspection
第4試合 NabD VS 1st-generation
第1MAP:第3補給倉庫NabD 5-6 1st-generation
第2MAP:クロスポートNabD 0-6 1st-generation
勝利クラン:1st-generation
日韓戦を終えて各クランの選手にインタビュー
――東京ゲームショウで開催された「日韓エキシビションマッチ2013」日本代表クラン決定戦を終えての感想は?
Matcha氏:正直、日本で日韓戦が開催されると思っていたんで、ネクソンさんにやられたな!って感じでした。僕がサドンアタックをずっとプレイしてきたのは、韓国のプレイヤーともっと対戦することが目的でもあったので。日本で大会を開催するとその時だけしか対戦できないですが、韓国に行くと練習なども一緒にできたので良かったです。東京ゲームショウでの試合については、NabDは「SAOMT 2013 Spring」の決勝戦でAdult.Vに負け、「SAOMT 2013 Summer」では予選で負けてしまったので、リベンジとして考え、気合を入れて練習していました。
坂下氏:NabDは東京ゲームショウで一敗もせず、完全勝利でしたよね。
Matcha氏:一敗もしたくないという気持ちも強かったし、Adult.Vも全然練習できていなかったらしく、勝って当然というところもありました。
delpiero氏:iZoNeは、NabD・Kmn-Gaming・iZoNeの3クランで対決した去年の日韓エキシビジョンマッチの日本代表決定戦で負けてしまって悔しかった思いがありました。昨年はオンラインでの戦いだったので、今回はオフラインという事で嬉しかったですね。
それとこれは韓国で開催された今年の本戦の時の話なんですが、普段キー設定を「無変換」でセッティングしていたんですが、韓国側のOSでは「無変換」のキーが使用できなくて(笑)。もう少し前もって準備しておけばよかったと思いました。
Matcha氏:OS側のキーボード設定をして、再起動すれば大丈夫なのですが、その行為自体が許されないこともありますからね。
――シードクランとして「SACTL 2013」を前に意気込みは?
Matcha氏:日本代表として韓国で学んだことを生かしたいですね。何よりNabDとiZoNeは長年敵同士として戦ってきており(過去の決勝ではNabDが勝っていますが!)、ここ2年近くは対決することがなかったので、お互い決勝戦で良い試合ができればと思っています。もちろん勝つのはNabDですが(笑)。東京ゲームショウ2013でもなぜかうまいこと対戦できなかったんですよ。
坂下氏:すべて筋書き通りです(笑)。年末に向けて面白い展開になっていけば、と思っています。
――運営側としてはある程度カードの予想や試合の流れなどは考えているんですか?
坂下氏:準決勝の組み合わせ抽選はもちろん公正に行っています。でも「こうなったらいいな」と一番盛り上がるストーリーを勝手に頭で考えてしまって、抽選の結果も想像した通りになることが多いですね(笑)。この春にNabDがAdult.Vに負けたり、夏ではオフライン大会から遠ざかっていたiZoNeが参戦して優勝してくれたことも、とても面白い展開になりましたね。
――「SAOMT 2013 Summer」の会場にMatchaさんは来てましたよね?
Matcha氏:観に行ってました。関西での開催だったんですが、会場は意外と静かでしたね。何より坂下さんがスベった事件が面白かったです(笑)。
――普段はクランメンバーでどんな練習をしているのですか?
delpiero氏:とりあえずは個人のAIM調整や研究をして、「こんなことできるよ」「新しいこんなこと覚えたよ」みたいにメンバーに共有しています。強いクランと戦うときは練習試合でAIM調整メインにして、細かい作戦などは行わないようにしています。
Matcha氏:NabDもiZoNeとあまり変わらないと思いますが、練習していて自分がいちばん気になるのは「報告」です。NabDは昔から「決まった動き」がありません。その代わり「自分が倒されたときに、敵はこう動くかもしれない」といった、生き残ったメンバーへの報告は必ずしようと話しています。そのためにはコミュニケーションを取ることは必須ですね。
delpiero氏:報告に関しては本当に大事ですね。相手が2人残っていて「敵がいた」という報告ではなく、人数がまだどれだけ残っているのか、などを細かく報告することで、聞いた方は瞬時に判断をすることができるんです。
Matcha氏:NabDは報告だけでなくて、聞いた後に瞬時に判断して動くことも課題にしています。自分も疲れているときは動きが遅くなってしまうのですが…。特に韓国のクランメンバーはその部分ではパーフェクトでしたね。試合中に自分が1人生き残ったとき「この後どう動いたらいいのか?」と考えた時点で、負けですね。
――オフラインイベントで一般のユーザーも入場して盛り上がっている場所で集中する秘訣などはありますか?
Matcha氏:秘訣が思い当たらないですね(笑)。慣れというより気にしたら負けだと思っています。
――ソウルで開催された日韓エキシビションマッチの感想は?
delpiero氏:会場では日本と違って防音ボックスでプレイできるので、まわりの音がまったく聞こえなくて集中はしやすいですね。自分は会場の盛り上がりなどはあまり気にならないです。
Matcha氏:本当に防音ボックス内ではなんにも聞こえないです。ヘッドセットとイヤホンを外すとなんとなく実況の声が聞こえたりするくらいです。ただ机や椅子、モニター、PCのスペックなどは日本のほうが優れていると思います。
坂下氏:韓国ではサドンアタックだけでなくオンラインゲームの大会のネット番組がたくさん放送されているので、日本と違ってセットを組んでそのままスタジオに保管しておけるんです。でも会場の一体感で言うと防音ボックスのない日本の会場ももいいと思いますよ。
delpiero氏:自分は日本のスタイル好きですよ。
Matcha氏:自分も日本のスタイルは好きですね。実況解説の声や、グレネードを投げた時の「Fire in the hole」というかけ声が後ろで聞こえると、ちょっと移動したり、自分が隠れているときに投げ物(投擲アイテム)の音がしたら飛び出したり…と環境を利用した強さもあるのかと思います。
delpiero氏:Matchaが出てくるから(手榴弾の)ピン抜こうぜ!みたいなフェイクもできますしね(笑)。皆が同じ環境なら問題ないと思います。
――試合の内容などはどうでしたか?
Matcha氏:僕は韓国クランと戦うのは4、5回目なんですが毎回勝てなかったんですが、2009年のe-Sports.unitedでのオンライン対戦では接戦で良い試合ができたんです。が、去年、今年で比べてみると日本がむしろ劣化しているような試合内容でした。自分としては1年間もっと変えるべきところがあったなという感想を持っています。
delpiero氏:iZoNeはマスターが日韓戦に出たいと強く望んでいて、自分たちなら勝てる!といった気持ちで練習試合や本番を迎えたのですが、やはり差は大きかったですね。帰国してから、メンバーは気持ちを切り替えて韓国代表の選手たちのようにプレイしてみよう!みたいに空気が変わりました。マスターも「今年で辞める」と言っていたんですが負けず嫌いに火が着いたのか「来年も出場する」と言っていました(笑)。
Matcha氏:韓国クラン「introspection」の選手と話す機会があったんですが、彼から「日本のプレイスタイルじゃ俺らに勝てない」と言われました。今回の日韓戦のルール「5ラウンド交代の6本先取」で、日本のスタイルは「スロー・スロー・スロー・スロー・スロー・スロー」で動きが遅いと言われましたね。韓国のスタイルは「ファースト・スロー・スロー・ファースト・スロー」と1ラウンド目はまずファーストで、取られるまでそのままファーストで攻める、といった作戦です。見ている人はAIMでゴリ押していると思えるかもしれませんが、考えた上で各自が動いていると感じますね。ただ、韓国のプレイスタイルを真似だけしても、やはりやり込まないと変わらないとは思っています。
delpiero氏:なぜ自分たちの動きが「スロー」なのかと考えたとき、日本のプレイヤーは相手の配置を見て「あの場所が手薄だからこう攻めよう」と結構考えてしまい、その場所から動けないことが多いんです。ですが韓国の選手は配置を読む前に撃ってくるので、今までの作戦が通用せずにつぶされることも多いです。
――日本と韓国のプレイヤーでは対戦するとかなり違いを感じますか?
Matcha氏:僕はもともと突っ込んでいくのが得意なので、韓国の選手とプレイするのは楽しいですよ。
delpiero氏:本当に違う強さを持っていますね。日本のプレイヤーは堅実で、当てる技術はすごいと思います。
Matcha氏:前日に韓国クラン「Euro!」と一緒にPCBAN(韓国のネットカフェ)で練習試合をしたんですが、声がけはスゴかったですね。自分自身の士気だけでなく、相手の士気を下げる効果もあると思います。
坂下氏:サドンアタックに限らず、日本の選手が海外の選手に負けるパターンとしては、CTの時に慎重に下がって守っていて、どんどん攻めてくる相手に撃ち負けてしまうことが多いです。海外の選手はどんどん攻めて1対1で撃ち合って負けなければいい、そこで勝てば数的優位が作れる、という感じできますので。今回日本への配信の調整のために事前に韓国を訪れたときに、元プレイヤーで開発会社に務めるスタッフと話したのですが、「今回はトップ1&2のクランが出場するので、もし日本が1ラウンドも取れなかったらこのエキシビションマッチは、日本にとってマイナスなのではないか?」と本気で心配されましたね(笑)。
Matcha氏:ジャパンスタイルとコリアンスタイルが存在する、と話していましたね。僕とiZoneのリーダーとintrospection、1st-generationのリーダーと一緒に韓国メディアの取材を受けたとき、introspectionが1年前までは日本のようなスタイルで大会に出ていて全然勝てなかったという話をしていました。
――じゃあ今回の日韓戦はかなり勉強になったということですね。
Matcha氏:勉強にはなりましたね。ただ、NabDとiZoneの2クランだけが変わっても日本のレベル自体は変わらないと思います。全体の風潮が変わっていけば強いプレイヤーも生まれやすくなりますし、どんなクランに入っても活躍していけると思います。
坂下氏:結果に関してはそんなに絶望感はありません。むしろ慣れない環境の中で2泊3日過ごし、アウェーの環境の中で格上の相手と戦った日本代表の選手たちはよく頑張ってくれたなと感心しました。
delpiero氏:純粋に楽しかったですね。
Matcha氏:もっと韓国の選手と試合がしたかったですね。
坂下氏:当日はまさに修学旅行みたいでしたよ(笑)。あと今回は韓国側の受け入れ体制も素晴らしかったですね。練習場所だけでなく、練習相手として韓国のトップクランをわざわざ派遣してくれました。
――韓国のクランメンバー同士の雰囲気はどうでしたか?
Matcha氏:メンバー同士は仲良かったですよ。ただ負けず嫌いのようで「オレがナンバー1だ!」とみんなで言い合っていて、誰に聞いても「オレが韓国ナンバー1だ」と話していました。
坂下氏:韓国のサドンアタックの公式サイト内にあるコンテンツ「SATV(サドンアタックの専門番組)」でも日本代表を取り上げてくれましたし、かなりウェルカムな印象でした。Matchaくんも多くの方から握手を求められてましたよ。
――韓国メディアからはどんな質問をされました?
Matcha氏:韓国のプレイヤーについてや、会場の防音ボックスでプレイした感想などを聞かれましたね。ちなみにintrospectionと1st-generationのメンバーは来年には兵役に就く人が多く、「来年は勝てるよ」って言われました(笑)。韓国の情報サイト「FPSKorea」にはかなり多くの質問をされましたね。
――逆に韓国クランを日本に呼んで対戦したいなど、要望はありますか?
坂下氏:去年は韓国代表がこちらに来てくれたんですが、ベストメンバーと戦うにはこちらが向こうに行ったほうがいいのかもしれませんね。また番組もカッコ良く作ってくれていたのでそれを考えても韓国に行ったほうが良いと思いますね。
Matcha氏:僕らのクランが必ず行けるとは限りませんが、韓国に行って対戦をしたほうが、メンバーの経験にもなりますね。でもネクソンさん的にはメリットがないかもしれませんが…。
坂下氏:いや、そんなことはなく、韓国からも日本に向けて配信ができるわけですし、東京ゲームショウの会場で開催するのとどちらがより効率的で効果的かを考えて、来年も開催するのか、開催するとしたら開催地はどこにするのかを決めたいと思います。
Matcha氏:ただあと一日、予備日が欲しかったですね(笑)。
――韓国のFPS専門チャンネルのような番組などは欲しいと思いますか?
Matcha氏:ニコニコ生放送のように、プレイヤー自身が配信することが最近多くなってきましたが、ちょっとお小遣い稼ぎができるサイトがあると嬉しいですね。
坂下氏:韓国の番組では試合の間にCMが流れています。サドンアタックの試合配信のときは飲料メーカーがスポンサーとして協賛しています。e-sports系で活躍するクランは、スポンサーをつけて活動しているところも多いですね。日本のサドンアタックに関してはそのようなクランはないですが…。
Matcha氏:僕はスポンサーをつけてお金がもらえればOK、みたいな考えが嫌いなんです。クランメンバー全員が、仕事や学業、プライベートのやらなきゃいけないこともあわせて全てしっかりとやったうえで、さらにスポンサーの役に立つ活動もできると思えればスポンサーをつけることは考えられるんですが、「もらえれるならやりたい」みたいな軽い気持ちでやってしまってはダメだと思うんですよね。
delpiero氏:特定の企業のデバイスだけを使わなければならないとなると、ちょっとツラいですね。
Matcha氏:特に日本ではゲームのプロプレイヤーの定義がないので、その定義を決めるために僕たちがいろいろ活動するのは、いいことだと思っています。
delpiero氏:元プロゲーマーってプロフィールに書けるしね。
――サドンアタックの今後についての展望などはありますか?
delpiero氏:日韓戦を今後もやる前提なら、ルールなども韓国と一緒にしてもらいたいですね。普段のクラン戦のルールだと楽しむ前に試合が終わってしまうんで、バランスが難しいですね。
Matcha氏:ルールの統一はして欲しいんですが、1から10まで網羅している「ルールブック」を作ればいいのかなと考えています。ルールブックに書いてあること以外はOK、のように。韓国に行ったときにネクソンさんからルールブックをもらったんですが、「トラブルの際はその場で進言しないと自分の非になる」というような記述も、便利でしたね。
坂下氏:ルールについては、同じゲームとはいえ環境がまったく違うので全て同じにするというのはなかなか難しいんです。それにエキシビションマッチは「韓国クランに勝つこと」だけが目標ではなく、あくまでもエキシビション。日本のプレイヤーに楽しんでもらうことが一番重要な目的です。誤解されているプレイヤーの皆さんが多いようですが、韓国代表に勝つ事が日本のサドンアタックのゴールのではありません。大会としては日韓エキシビションマッチより、SACTLのほうが何倍も重要だと考えていますし、力を入れて開催しています。もちろん「どうしても韓国に勝ちたいんだ!」という意志が日本のユーザーの中でもっと強くなってくれば、状況も変わってくる可能性はありますけどね。
――運営側に要求することはありますか?
Matcha氏:僕は不満という不満はないですね。強いて言えば昔から言っているチート対策ですかね。日韓戦やイベントなどもしっかりと運営してくれていますし、満足しています。
delpiero氏:一年を通して毎月イベントもあるし、本当に満足です。
坂下氏:チート対策に関しては、技術的にイタチごっこになってしまう部分もありますが、根本的な解決ができるよう最善を尽くしています。会社として動いていることもありますので、また発表できるときがきたらお伝えしたいと思います。
――サドンアタックだけでなく他メーカーのオンラインFPSの未来について展望はありますか?
Matcha氏:いろいろなオンラインFPSの決勝大会を同じ会場で開催して欲しいな、といつか実現しないかなと心のどこかで思っています。未来のFPSと言うと「ア○ザーデ○」を思い出しますが(笑)。
―delpiero氏:若いときはいろいろなFPSを遊んでいたんですが、最近はサドンアタックしか遊んでないので他のFPSの大会に出ても活躍できないと思います。
―Matcha氏:僕はもともとゲームが苦手だったんで。サドンアタック以外のFPSではクロスファイアで適当に遊んでたら適当に勝っちゃって韓国に行ってました。――コンシューマ機でのオンラインFPSについて
Matcha氏:実はプレイステーションもXboxも全然遊んだことないんです。一番最初にプレイしたFPSは「Halo」でしたね。
――やはりゲームパッドでのプレイは難しいですか?
Matcha氏:できないですね。
delpiero氏:「コール オブ デューティー」シリーズなどをプレイしている友達に「絶対マウスで撃ったほうが当たるよ!」って言っています。
坂下氏:日本はコンシューマーゲームが古くから根付いていますから、極端な言い方をするとわざわざPCでゲームをする必要はあまりないですよね。でもそんな中でただ唯一PCでプレイする必然性がジャンルと言えば、FPSだと思うんです。コンシューマーでFPSに出会ったという方々が、PCでプレイする必然性に気付いて、どんどんPCに移ってきていただけると有難いのですが(笑)。
――サドンアタックのオフラインイベントのこれからの在り方について
delpiero氏:ネットカフェで定期的に爆破メインのSAACC(Sudden Attack Alienware Clan Challenge)も開催しているので、特に要望はないですね。
Matcha氏:SANCC(Sudden Attack Net Cafe Cup)やSAGCC(女性のみが参加可能な大会:Sudden Attack Girls Challenge Cup)など、サドンアタックはさまざまな大会が開催されていますが、序盤で負けてしまうとつまらなくて帰ってしまう人も多いので、そのケアができればと思いますね。自分がスタッフのときは参加者とコミュニケーションが取れるんですが、実況解説の担当になってしまうと、ちょっとできないのが残念ですね。
――オフラインイベントに観客として来て、その後サドンアタックを始めてクランメンバーになったプレイヤーとかはいますか?
坂下氏:昔から知り合いだったのかなと思っていた人たちが、実はNCCで出会って仲良くなってクランを組んだということもあるようなので驚きますね。男女の出会いも含めたくさんの出会いがあるみたいで、皆さんが楽しんでくれていると思うと開催している方も嬉しいですよ。
Matcha氏:NabDにいるあるメンバーをクランに入れた理由も、NCCで知り合ったからなんです。彼とはずっと仲が悪かったんですが、実際にNCCで会って話したら案外良い子で、その後仲良くなってNabDに誘いました。
――春と夏の大会をオフラインにしたけど、それについてはどう感じました?
Matcha氏:僕は嬉しいですよ。
delpiero氏:もちろん嬉しいです。
Matcha氏:会場のノリに関しては慣れない部分もあると思いますが、試合の内容によって歓声も上がっていましたしね。
delpiero氏:自分は東京に住んでいるんで、近くの方がいいですが、他の都市で開催すれば各地のユーザーも増えると思うんでいいですよね。
坂下氏:東京以外でオフライン大会を開催する目的の一つは、まずその都市なら来られるというプレイヤーの皆さんに生で大会を観て楽しんでもらうことでした。でも実際に開催してみると「東京で開催するとそれを理由に東京に遊びに行けるから、東京で開催して欲しい!」といった意見も頂きましたね。
今年は名古屋と神戸で開催しましたが、その他でたくさんの来場者が見込めそうなところは札幌ですかね。ただ、選手、スタッフ全員が飛行機での移動になりますので、実現するのは難しいかもしれません。
あと、これだけオフラインイベントを開催していると、正直身体がもたないんです(笑)。SANCCもあるので毎週末のように全国を飛び回っていてスタッフも結構疲弊しています…(笑)。でも、参加して下さっている皆さんがとても喜んでくれているので、来年以降も頑張っていきたいと思います!
――毎回来場者はスゴイですよね。
坂下氏:それはこのタイトルのスゴさでもあり、弊社の前に運営されていたゲームヤロウさんが築いてきたものが大きいと思います。でもそろそろネクソンに移管して良かったところもあるね!という声をいただけるように頑張っていきたいです。
――「SAOMT 2013 Summer」では通路にも来場者があふれていましたよね?会場ではユーザーとどんな話をするんですか?
Matcha氏:覚えてないですが、適当な話を適当にしていました。いつも通りですけど(笑)。自分と分かって話しかけてくれる人や、自分から話しかけることもありましたね。
delpiero氏:自分は選手だったのであまり来場者とたくさん話すことができなかったんですが、大阪に住んでいるネットの友達とかと話すことはできたので、開催地域はどこがいい、って決めることはできないかもです。
――これからオンラインFPSをはじめるユーザーに向けてメッセージをお願いします。
delpiero氏:「どうすればうまくなれますか?」という質問に対してうまい人の動画や配信を見て、当てることやどう動いているのか、などを良く観察することが大事だと話しています。
Matcha氏:まずゲーム性を理解することと、これから始める人は「FPSがどういったゲームか、どうしたら自分が勝つことができるのか」などを考えながら、皆がどうプレイしているのかを理解しながら、自分のプレイスタイルやゲーミングデバイスやグラフィックボードの設定などを、自分のプレイしやすいように時間を費やして合うものを探すことが大事だと思います。
またサドンアタックに関しては気軽にプレイできますし、ロビーチャットで募集しているクランに入ったり、他のプレイヤーとコミュニケーションを取って楽しむことも重要です。自分のやりやすい環境が見つかったらとにかくプレイしまくることも大事ですね。
――上位を目指して頑張っている各クランに向けて
Matcha氏:まあ、ぜいぜい頑張ってください(笑)。
delpiero氏:最近ピークタイムに対戦相手がいないので強いクランを作ってください。最近は対戦相手募集をTwitterで流しているクランも多いのですが、昔使っていたLimechatのようなツールがゲーム内で流行ればいいですね。
Matcha氏:過去にクラン募集用のチャンネルで「ここに集まれ!」って募集したんですが、最初の2~3日で誰も来なくなってしまうんです。
delpiero氏:やっぱりいろいろなクランと練習したいですね。NabDと練習してもどうしても読み合いになってしまうので…(笑)。
Matcha氏:うまくなりたいのであれば強いクランと戦うのがいいんですが、強いクランは自分たちより弱いクランとはやりたくない、といった考えの人もいるかもしれないですが、それを乗り越えて強くなってもらいたいですね。
――とにかく練習すれば必ず経験値になると?
Matcha氏:僕なんか昔に比べてゲームをする時間が少なくなりましたし、飛び抜けて強いわけでもありません。ただ経験でカバーできる面も多いです。闇雲にプレイするより、しっかりと考えてプレイすることが大事だと思います。たとえば練習を真面目にやっているのに大会では勝てないクランは、練習で全てを出してしまいすぎなんです。そうすると大会本番で動きも読まれますし、いざというときの対応ができません。こちらも相手が好き勝手できないように動いているので、それをつぶされたときに勝てないんです。作戦は使うのはいいですが、使う相手を選んだほうがいいですね。
delpiero氏:自分たちよりちょっと弱いクランに作戦を試してみるのもいいですね。
Matcha氏:作戦を一度見せてしまうとそれをつぶすために動いてくるので、iZoneやNabDはこれまでの配信などで作戦がバレているので、毎回動きを変えていっています。
delpiero氏:誰がどこを守っている、スナイパーの配置などある程度分かってしまうので大変なんです。
Matcha氏:それが通用しないのが韓国のプレイヤーですね。ひとりひとりが何でもできるんです。
――ちなみに2人は昔からFPSは得意だったんですか?
Matcha氏:僕は「GunZOnline」をプレイしているときから名前が売れ始めましたね。当時はチャットで煽りまくっていたんで、気付いたら天狗になってました(笑)。サドンアタックを初めた時も最初は下手くそでした。
delpiero氏:彼は当時「おまえさんず」というクランの2軍にいたんです。自分はすでにkaminageさんと同じクランでプレイしていました。
Matcha氏:当時は彼らをスゲーなーと思っていましたが、チャットで結構煽っていました(笑)。が、4ヶ月後くらいには一緒にプレイしていました。正直NabDを結成した際も自分が穴だと感じていましたし、なんで自分がマスターになったんだろうと思っていました。
delpiero氏:自分は昔「メイプルストーリー」を遊んでいた時に友人から「スペシャルフォース」に誘われたんです。最初はボコボコにされて、PCのスペックも低かったんでずっとスナイパーやってました。クラン戦でもVCとかもしたことなくて、めっちゃプレイしまくって階級も大佐クラスになってやっとクランに入ってサドンアタックを始めました。
Matcha氏:サドンアタックを始めたときはAIMはしっかりとできたんですが動きがまったくわからなくてとにかく突っ込んでいました。
――日韓戦が終わって、日本のユーザーからどんな意見をもらいました?
Matcha氏:ニコニコ生放送内では今年はよくやったと賞賛をもらいました。今までは自分の敵ばっかりだったのに…(笑)。温かい言葉をたくさんもらってほっこりしていました。
delpiero氏:ゲーム内のチャットでも「今度のSACTLも頑張って!」みたいな応援のメッセージをもらいました。
坂下氏:僕が見た印象だと「今年も負けたのか」「去年と同じこと言われて負けている」という意見もあったんですが、こういった悪口ではない「意見」が出てきているのは、良いことだと認識しています。選手にも責任感が出てくるし、厳しい目で見られているからこそ、良い結果が出た時は感動もすると思います。
――最後に何か告知などがありましたらどうぞ。
坂下氏:年末のSACTLはサドンアタックにとって一年で最も重要な大会です。今年は賞金を200万に引き上げましたが、ただ賞金で釣って参加者を増やすというわけではないんです。既に毎回抽選になるくらいの応募クランは確保できていますので。高額な「賞金」を用意するには企業としてそれなりのプロセスを経なければならず、それほど簡単なことではありません。でも、1,028クラン×5人という多くのプレイヤーがしのぎを削って練習し真剣に臨んでいる大会を、見事勝ち進んで頂点に立とうとするプレイヤーの皆さんを本当に尊敬していますし、ベスト4まで勝ち進んだクランの皆さんの為に、オフラインの良いステージを用意し、この金額を賞金として用意するのは当然のことではないかと思っています。と、いうことで、年末に用意した最高のステージの、しかも決勝戦で、日本代表の2クランが対戦することになったりしたら、かなり熱い最高のストーリーになると思うのですが…。どうですかね?Matchaさん(笑)。
Matcha氏:そして僕は引退する…と(笑)。
坂下氏:ひとつ心配なのが、今活躍している彼らが同世代なので、誰かが引退したらみんな一気に抜けてしまうんではないかということですね。
Matcha氏:それは僕も気になっています。まあ僕は来年も続けているんではないでしょうか。まだ決めていないですが…(笑)。
――ありがとうございました。
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