コーエーテクモゲームスが2013年12月3日にパッケージの販売およびサービス開始を予定している「大航海時代 Online ~Gran Atlas~」を一足早くプレイすることができたので、そのレポートをお届けする。
本作は、“大航海時代”に栄華を誇ったヨーロッパの海洋国家に所属し、大海原へと冒険に繰り出していくオンライン海洋冒険RPG。軍人や海賊、発掘家に生物学者、宝石商といった50種類以上の職業が登場し、条件を満たせばほかの職業に転職もできる。
さらに、100種類以上のスキルを成長させる独自の育成システムや、RPGでありながら生産のような生活系コンテンツをメインにプレイすることも可能など、自由度の高さが特徴だ。
2005年3月にPC版のサービスが開始され、8年以上も運営が行われているが、2013年12月3日からは新たな拡張パック「大航海時代 Online ~Gran Atlas~」のサービスが開始となる。筆者は今回が本作初プレイとなるが、拡張パック発売前というタイミングのいいところで「Gran Atlas」を一足先に体験させてもらうことができたので、実際に触ってみてのレポートをお届けしたい。
「Gran Atlas」での追加要素を体験
まずは「Gran Atlas」で追加される主なコンテンツのうち「ワールドアトラス」について紹介していこう。これは各プレイヤーが海域を調査し、世界地図を制作していくというもの。アムステルダムにいる地理学者・メルカトールに話しかけるとワールドアトラスが始まり、まずは“北海”の地図作成を依頼される。
地図作成の基本は、調査する海域を選び、その調査項目を達成するという流れ。北海の調査では、指定された座標まで実際に赴き、視認スキルを使うことが条件となっていた。北海はワールドアトラスのチュートリアル的な立ち位置であるため、3ヶ所の視認を行うだけで調査完了となったが、条件を満たすと行える北極海の調査はやり応えのある内容になりそうだ。
調査を終えて地図を完成させると、世界中のどこにいても調査済みの海域について、海域内の街の情報や風の強さ、海流の向きなど、情報を確認できるようになるので、今後の航海において役立つ機会が出てくるだろう。
また、「Gran Atlas」では新国家ロシアが登場し、首都であるサンクトペテルブルクに行けるようになる。この街へは、新キャラクター・ゾフィーのエピソードを進行していくことで入港することができる。このエピソードは、メインコンテンツのひとつである「クロノクエスト」にもなっている。
クロノクエストは、前拡張パック「2nd Age」で導入された“ワールドクロック”と密接な関わりを持つ、特別な依頼のこと。これを達成することで特定の年代の知識を得て、さまざまな効果が得られるようになっている。ゾフィーのエピソードはクエストがいくつも続く構成となっており、それぞれクリアすることで「時を知る者」というクロノクエスト専用の称号が獲得できる。
この称号は「16世紀-2」のような表示があり、そこに書かれた年代を把握していると認められた証となるのだ。獲得した称号を名乗ると、称号に書かれた年代にしか存在しない交易品を購入できたり、その時代のガナドールと戦えるようになる。
なお、クロノクエストの称号「時代を知る者」は2個までスタックすることができる。新しくクロノクエストをクリアした際は、現在名乗っていない方を上書きすることもできるので、称号を獲得したらその年代でやりたいことを遊びつくしてから、次のクロノクエストに挑戦するといった形で進めてみるのもいいだろう。
クロノクエストを達成することで、大航海時代には存在しなかった場所や、特定の時期にしか存在しない場所を訪れることも可能だ。その一部として、ポートロイヤルやザナドゥの様子も見せてもらった。
ポートロイヤルは、島内に海賊旗が掲げてあったり、見張り台や敵の侵入を防ぐ石壁など、海賊の街らしさを押さえた作りになっており、NPCの名前も単なる商人ではなく“闇商人”だった。さらに特徴的なのが、街中で流れるBGM「Caribbean Pirate Song」だ。長い間聴いていると…、いや短い時間でも耳に残るぐらい印象的な曲なので、ぜひ公式サイトで試聴してみてほしい。
もう一方のザナドゥは元王朝の都であり、ショップにはモンゴル料理が並んでいたりと、日本ではなかなか馴染みがなさそうな商品を取り扱っているのが見どころ。ちなみに、体験プレイ時に解説をしてくれたスタッフのひとりによると、ザナドゥは北に位置するため夏はここで過ごし、冬はもっと南の都市で過ごしたという元朝の風習から、夏の都とも言われているようだ。ヨーロッパでは、黄金の国ジパングと同じような、なかば伝説上の都のように扱われているとか。
クロノクエストでは大航海時代に存在しなかった場所を訪れることもできるので、新しく追加されたところを巡ったり、そこに関連する歴史を調べてみるのも面白そうだ。
こうした大航海時代とは少し離れた内容を体験できるのが「Gran Atlas」の大きな魅力のひとつだが、遺跡ダンジョンのリニューアルなども行われている。新ダンジョンも登場するが、それはかなり高レベル向けの内容となっているというので、今回はギザのピラミッドをプレイすることに。
「Gran Atlas」からは、遺跡ダンジョン内にさまざまな仕掛けが登場し、陸上戦をしなくても攻略可能になるといった調整が加えられている。ギザのピラミッドにはさまざまな色の炎が灯った燭台が用意されており、それを調べることで宝箱のカギが開いたり、次のフロアへの道が拓けたり、場合によっては敵を全滅させるといった効果が得られるようになっていた。
仕掛けを解くには考古学スキルや美術スキルなど、仕掛けに応じたスキルが必要になるが、戦闘をほとんどしてこなかった人でも、これまでの冒険で育ててきたスキルを活用することで攻略を進めることができる。ただ、敵を全滅させる仕掛けを解くには謎解きを行う必要があるなど一筋縄ではいかず、答えを間違うと戦闘で敵を全滅させなくてはいけなくなることも。
その際も、新アイテムの「脱出用ロープ」があればダンジョンの最初に戻ることができるようになっているので、強敵と遭遇してしまった場合でも、倒されずに逃げ帰ることが可能だ。
なお、すでに本作をプレイしている人なら知っていると思うが、ダンジョンをクリアすると“遺跡探検度”という数値が貯まっていく。これを貯めることで称号を獲得できるといったメリットがあるが、「Gran Atlas」からは、さらに新しい称号を獲得できるようになっている。新しい称号は、仕掛けを解きやすくなる効果が得られるとのことだ。
隠し通路の先には宝箱がたくさんあったり、逆に敵がたくさんいたりとさまざま。既存のダンジョンにも新しい仕掛けだけでなく隠し通路が追加されている場合もあるので、攻略済みの場所も再度訪れてみるといいだろう。
「Gran Atlas」から始めるプレイヤーにも優しく
ここまで「Gran Atlas」の主要な追加要素についてお伝えしてきたが、今回プレイできなかったものの中にも、ワールドを超えてプレイが楽しめる「クロスワールド」をはじめ、「自宅生産システム」や「新賞金首システム」など、まだまだいくつもの新要素が用意されている。
「自宅生産システム」は、自宅(アパルタメント)に待機させている副官に生産指示を出し、完成したものを各所の銀行から受け取れるというもの。このシステムでは、自宅の倉庫にあるものだけでなく、プライベートファームの産出品を素材にすることも可能となっている。
また「新賞金首システム」では海賊の賞金額ランキングが導入され、海賊や討伐者たちが自分の力を示せるコンテンツに変化する。海賊行為による被害やペナルティは大幅に軽減されるというので、気軽に自分の腕を試せるコンテンツとなってくれそうだ。
今回の拡張パックというタイミングで、初心者ガイドも充実が図られている。ゲーム内でさまざまなシステムが学べる「航海者養成学校」で行われるカリキュラムが、“クリアしなければいけないもの”と“クリアしなくてもいいもの”に分類され、より分かりやすくなっているとのこと。
チュートリアルのような各システムの説明を再度チェックできるよう「ヘルプノート」が追加されたのも、細かいながら便利な部分だろう。これまでは会計スキルが必要だった交易品の相場も、初心者を意識してスキルがなくても確認できるようになっているなど、新規プレイヤー向けの調整も行われている。
冒頭でも述べたように、筆者は今回の先行プレイで初めて本作に触れたため、船の舵取りなど、独特な操作面で少し戸惑ってしまった時がある。ただ、この独特な仕様も、実際に舵を取っているような感覚を意識して作っているという。それを聞いて「なるほど」と思ったし、細かいこだわりがあるというのは、クロノクエストで訪れる場所を見た際にも実感した部分だ。
今回は「Gran Atlas」でのアップデート内容をプレイすることが目的だったため、既存コンテンツにはほとんど触れられていないが、海上で行える釣りを始め、スキルの多さ、特に生産や生活に関するものが多いことには驚いた。長く続くタイトルだと新しくプレイを始めることに敷居の高さを感じてしまうかもしれないが、無料体験期間が設けられているので、歴史や航海に興味がある人、細かいこだわりをプラスに感じる人には一度プレイしてほしいと思う。
(C)2005-2022 コーエーテクモゲームス All rights reserved.