新キャラクター「ベンヤ」の実装と今後のアップデートについて「テイルズウィーバー」開発者に聞く―「ベンヤ」を演じる花澤香菜さんへのインタビューも

いよいよ新キャラクターの「ベンヤ」が3月26日に実装となる、ネクソンのオンラインRPG「テイルズウィーバー」について開発陣にインタビューを実施。ベンヤの声を担当する声優・花澤香菜さんへのインタビューもあわせて紹介する。

2014年3月15日に開催されたオフラインイベント「テイルズウィーバー ファン感謝祭 2014」にて、新キャラクター「ベンヤ」の3月26日の実装や新たなPvPコンテンツ「星の戦場」の登場など、さまざまなアップデート情報が公開された。今回のインタビューでは、これらのアップデートの内容についてディレクターのシム・キフン氏、アートディレクターのグ・チャンヘ氏、企画担当のソ・テヨン氏に語ってもらった。

強力でさまざまな使い方ができる「ベンヤ」

ディレクターのシム・キフン氏。
ディレクターのシム・キフン氏。

――まず、NPCであったベンヤが新たなプレイヤーキャラクターとなった経緯を聞かせて下さい。

シム氏:実は「テイルズウィーバー」(以下「テイルズ」)のサービス開始当初から、ベンヤはプレイヤーキャラクターになることが予定されていたんです。初期の計画の中で、唯一プレイヤーキャラクターになっていない存在だったんですが、今回ようやく実装することができました。

――10年目にしてついに実現というわけだったんですね。

シム氏:はい。NPCでは幽霊というコンセプトだったんですが、人間として生き返ることになったのでドット絵も新しく作成することになりました。

――幽霊のままでプレイヤーキャラにという考えはなかったんですか?

ソ氏:ほかのキャラクターと旅とか冒険とかするわけですし、そもそも幽霊のままだと死なないですからね(笑)。それで、人間として生き返らせることにしたわけです。

――ベンヤの性能はどのようなものになりますか?

小柄ながら大きな武器を持つというのも<br />
ベンヤのコンセプトになっているという。
小柄ながら大きな武器を持つというのも
ベンヤのコンセプトになっているという。

シム氏:クールタイムのあるスキルがいくつかありまして、それらをどのように使うかによって戦い方が変わってきます。いろいろな状況に対応できるので、初心者でも使いやすいんじゃないかと思います。

――ベンヤの武器であるデスサイズとホーリーハンマーですが、それぞれの特性や有効な使い方を教えてもらえますか。

シム氏:デスサイズは攻撃中心の武器になっています。特に「ヘルゲート」というスキルは強力で、多数のモンスターに大ダメージを与えることができます。ただし、クールタイムが長めになっているので、使いどころが重要になると思います。ホーリーハンマーは防御重視型で、敵の攻撃による硬直を回避するスキルなども使用できるので、多数の敵がいるところでも安定した戦いができます。

――イケイケな人にはデスサイズ、安全に進みたい人にはホーリーハンマーがおすすめというわけですね。

ソ氏:そうですね。

――ゴーストたちのサポートを受けられる「秘密の小部屋」というものがありますが、これはどのようなものなのでしょうか。

ソ氏:「ソウルダイブ」というスキルを使うと移動できる部屋になります。部屋の中には死神のNPCがいまして、彼を通じてベンヤ専用のチャプターを進行したり、新しいスキルを覚えたりすることができます。また、ベンヤ専用のスキルである「マスタリースキル」もここで習得できるようになっています。

――「マスタリースキル」とはどういったものでしょうか。

ソ氏:ほかのスキルを強化できるベンヤ特有のシステムです。どのスキルを強化していくかによって、ベンヤの性能は大きく変わってくるんですよ。

どのスキルを強化していくかはプレイヤーの自由で、非常に幅の広いキャラクターになっている。

――それは面白いシステムですね。それだけに導入の過程で苦労も多かったと思いますが。

シム氏:内部でテストするとき、プレイヤーがどのスキルをどれくらい強化するか、あらゆるパターンを想定しなければならなかったのが非常に大変でしたね。

――すでに韓国では実装されているわけですが、「マスタリースキル」の部分で想定外の使われ方がされたといったことはありましたか。

シム氏:特定のスキルだけが強化されているということはなく、バランスよく使われていると感じています。その意味では当初の狙い通りといいますか、うまくいったなと思っています。

――開発過程でボツになったスキルとかはありましたか。

ソ氏:死んだモンスターを復活させて召喚するというスキルがあったんですが、近接キャラクターであるベンヤの特性を消すことになってしまうのでボツにしました。

――なるほど。そのほか、ベンヤの開発時に特に気を使ったことはありますか。

シム氏:イソレットの実装時にアクションスロットを初めて導入したわけですが、ユーザーの反応があまり良くなかったんです。当初はベンヤもアクションスロットで操作してもらう予定だったんですが、このままではマズイということになりまして。たくさん用意したスキルをどのように活用してもらうかすごく悩んだ結果、アクションスロットをクイックスロットに設定できるようにしたわけです。

――先日行われた感謝祭では、クイックスロットが2段8個から3段12個になることも、あわせて発表されましたが、この変更の理由を教えてください。

シム氏:アクションスロットをクイックスロットにも登録できるようにしたわけですが、これに対応するには現状のクイックスロットでは狭すぎるとなったんですね。それで、ベンヤの実装に合わせて拡張することになりました。

――この変更が発表されたとき会場がかなり沸いたんですが、日本のユーザーの反応を見て、どのように思われましたか。

シム氏:すごく意外でしたね。あそこまで反応がいいとは思いませんでした。

――ちなみに、韓国でのベンヤの評判を教えてもらえますか。

シム氏:おかげさまで良い評価を得ることができまして、それを見た日本のユーザーの反応も良かったようです。韓国ではまだ実装したばかりということもあって、よく使われていますね。なんといっても全キャラクターの中で突出した強さですし(笑)。

――別のNPCが新たなプレイヤーキャラクターになるという予定はありますでしょうか。

シム氏:新規キャラクターの予定はまったくありません。ただ、あくまで「今のところ」ではありますが(笑)。

――現時点では白紙ということですね。ベンヤについて、これだけは言っておきたいということはありますか。

シム氏:すごく強いです(強調)。その強さを、ぜひ楽しんでもらいたいですね。

「旗取り」が復活する新PvPコンテンツ「星の戦場」

――新PvPコンテンツの「星の戦場」について聞きたいと思います。まずは「旗取り」が復活することになった経緯を教えてください。

企画担当のソ・テヨン氏。
企画担当のソ・テヨン氏。

ソ氏:やはりユーザーのニーズが強かったことが一番の理由ですね。ですので、今回のPvPコンテンツ導入の機会にあわせて復活させることにしました。

――以前の「旗取り」とは異なる、新しくなった部分はどこでしょうか。

ソ氏:以前のマップは広すぎて、ユーザー同士の戦闘が起こらないまま勝負がついてしまうことがけっこうあったので、今回はマップを狭くして、ユーザー同士が戦わなければならないようにしました。

――今回は逃げるのが難しいわけですね。

ソ氏:逃げられないですね。いろいろな所で戦いが発生する、スピーディーな展開を楽しめると思います。やはりPvPなので、開発チームとしても戦闘が発生することを望んでいるんですよ。以前の「旗取り」はその部分で問題があったため、改善することにしたわけです。

――プレイヤーの実力がモロに反映されそうですが、戦闘が苦手なユーザーはどう戦えばいいでしょうか。

ソ氏:ダンジョン専用のアイテムがドロップされるので、それらをうまく使ってもらえれば実力が多少不足していても勝つことができます。相手の魔法を封じたり、動けなくしたり、自分の体力を回復したりとか、いろいろなアイテムが登場するので、使い方次第で逆転を狙えると思います。

――攻城戦はPvPとPvEが混在する形になっていますが、このようなシステムにした理由を教えてください。

ソ氏:ユーザー同士が直接戦うようにすると、キャラクターのバランシングで勝敗が決まってしまうことが多いのですが、PvEの要素を組み込めば、もっと楽しめる形になるのではないかと判断しました。また、以前に「シルバースカル」というPvPを実装した際、ユーザーの反応が今ひとつだったこともあって、今回はPvPとPvEの両方の要素を適用することにしたわけです。

――これは個人的興味なんですが、PvPに対する日本と韓国のユーザーの違いというのはありますか?

シム氏:PvPができる場所では日本と韓国のユーザーのどちらも大きな違いはないと思います。ただ、日本のユーザーは韓国のユーザーに比べて一般フィールドでPvPをするのを嫌がる傾向がありますね。

――なるほど、分かりました。「星の戦場」について、そのほかの部分で注目すべきポイントはありますか。

ソ氏:PvPコンテンツではありますが、「テイルズ」の一環として独自のストーリーも用意してあります。ユーザーさんには、このストーリーも楽しんでいただけたらと思います。

フェイズ1はPvPの要素が、フェイズ2はPvEの要素が強くなっているという。

今年のアップデートは既存ユーザー向けが中心に

アートディレクターのグ・チャンヘ氏。
アートディレクターのグ・チャンヘ氏。

――エピソード1、2をプレイできる「記憶の図書館」が夏頃に実装されるそうですが、このコンテンツを導入することになった経緯を聞かせてください。

シム氏:昨年夏のアップデート時にやむなく削除したんですが、いつかは復活させようという計画はずっとあったんです。ユーザーのニーズも強かったので、本格的に導入を進めることになりました。

――同じく夏頃に実装予定である新地域「オルランヌ」の見どころを教えてください。

シム氏:まだ具体的なことは言えませんが、高レベルの上級者向けの地域になります。もちろん、既存の地域にはない新しい要素もたくさん入る予定で、現在いろいろ悩みながら開発を進めているところです。

――今回は既存のユーザーに向けたアップデートが多いと感じますが、その理由を教えてもらえますか。

シム氏:去年は新規ユーザー獲得のためのアップデートをたくさん行ったのですが、そのために既存のユーザー向けのものがあまり実施できませんでした。ですので、今年は高レベルユーザーに向けたアップデートをメインにしようと考えたわけです。

ただ、新規ユーザーの獲得も大切なので、例えばベンヤの場合は初心者のためのチュートリアルを準備していますし、イベントなども断続的に行っていく予定です。先日の感謝祭で発表されたのは「ベンヤに生命の光を」と「ベンヤ生誕記念祭」のふたつだけでしたが、ほかにもさまざまなイベントを用意しているので楽しみにしてもらえればと思います。

オフラインイベントで発表された今後のアップデートのロードマップ。

――そのほかに実施したいと考えていることはありますか。

シム氏:既存のキャラクターをもっと強くできるようになるかも……です。マックスまでレベルアップさせた人たちに向けた「何か」ができたらと考えています。

――日本でのサービスが10周年を迎えたわけですが、振り返ってみての感想を聞かせてください。

シム氏:この10年間、たくさんの変化がありましたが、「テイルズ」が持っているメリットや特徴を失わないように努力してきました。現在もサービスを持続できて、多くのユーザーに愛されているのは、その努力ゆえだと思っています。次は20年を目指してアップデートを続けていきたいですね。

――それでは、最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

シム氏:「テイルズ」を10年間、愛していただき感謝しております。みなさんの愛情に応えるべく、今後もいろいろなアップデートを行っていきますので、これからも「テイルズ」を楽しんでいただけたらと思います。

グ氏:10年間、ありがとうございました。今後も面白い、楽しいコンテンツを開発していきますので、これからもよろしくお願いします。

ソ氏:ベンヤは以前から人気があったので、すごくプレッシャーがありました。努力して作成したキャラクターですので、たくさんの人に愛されてもらいたいですね。

――ありがとうございました。

ベンヤの声を演じる声優・花澤香菜さんにインタビュー

――今回の依頼を聞いたときは、どのように思われましたか。

花澤さん:「テイルズ」はCMで見た事がありまして知っていました。10年間も続いている、プレイヤーさんに愛されている作品に参加できて光栄だと思いました。

――実際に「ベンヤ」を演じた感想を聞かせてください。

花澤さん:プレイヤーさんをナビゲートするようなセリフが多かったのですが、悪魔と会話したり、取り憑かれたりするところは普段のベンヤとギャップがあって面白かったです。

――新主題歌「Heaven’s Tale」を歌うことになった感想を聞かせてください。

花澤:最初は私が歌ってもいいのかなと思ったんですけど、ムービーの絵がものすごくこだわって作られていたので、私もがんばってレコーディングしようと思いました。すごくかっこいいドラマチックな歌なので、いっぱい感情が出せるように気をつけて歌っています。

――この曲の一番のポイントはどこですか。

花澤さん:オープニングのアニメーションと一緒に見ていただけると、より楽しめる部分じゃないかなと思います。

――音楽活動の部分で、今後どのようなことをやっていきたいと思っていますか。

花澤さん:「25」というアルバムを2月26日に出させていただいたのですが、前に出したアルバムより、もっと私個人をフィーチャーしたものになっています。タイトルは25歳という私の年齢とかかっているんですけど、その25年の思い出とか、いろいろなものが詰まったものになっています。ライブも4月から行いますので、ぜひ遊びに来ていただければと思います。

――最後に「テイルズ」のプレイヤーにメッセージをお願いします。

花澤さん:初めて人間として登場するベンヤちゃんを演じさせていただいております。プレイをしている方が楽しめるようにアフレコしましたので、ぜひ声と主題歌を両方聞きながらやっていただきたいと思います。

――ありがとうございました。

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