先日大型MMORPG「ブレイドアンドソウル」日本国内での展開を発表したNCJapan。なぜ新たな布陣で挑むこととなったのか、そしてキーワードの「安定感」とは？座談会形式で聞いたロングインタビュー後編をお届けする。
2014年3月8日に開催されたプレミアショウにて、大型アクションMMORPG「ブレイドアンドソウル」の日本でのサービススケジュールや、アニメーション・ノベライズ展開などを発表したNCJapan。それにあわせて既存のタイトルを統括するメンバーも一新された。
今まで全体を統括して見てきた「五條隆将」氏は新作「ブレイドアンドソウル」を、その日本運営チーフプロデューサーの空席を埋めるのが「リネージュ2」を担当してきた「合田真二」氏、そして「リネージュ2」にはプレイヤー歴も長い「FSクヒナ」氏が、そして「タワー オブ アイオン」にはMCやパンストでおなじみの「有吉雅知」氏が担当を務める。サービス期間が最も長い「リネージュ」は、これまで同様「中村直樹」氏が担当となる。
なぜこの布陣で今後の運営を担うのか、これから各タイトルの未来はどうなっていくのか、座談会形式でお届けするインタビューの後半では、彼らの人となりや、それぞれの全く違った「安定感」を垣間見ることができたフリートークが炸裂！
参加者
日本運営チーフプロデューサー 合田真二氏
「リネージュ」中村直樹氏
「リネージュ2」FSクヒナ氏
「タワー オブ アイオン」有吉雅知氏
「ブレイドアンドソウル」五條隆将氏
NCJapan日本運営チーム特別座談会【後編】
それぞれの違った「安定感」が見れたフリートーク
――それではここからは全員で思い出やエピソードなどを自由に語っていただきましょう。まずは「ブレイドアンドソウル」に負けないぞ！というアピールをお願いします。
「リネージュ」中村直樹氏（以下、中村氏）：「リネージュ」はやり方を聞けば3分でプレイできる手軽さですかね。行きたい場所をクリックして、魔法を使いたければFキーを2回押せば発動できるよ、といった良い意味でのわかりやすさが魅力です。
「リネージュ2」FSクヒナ氏（以下、クヒナ氏）：「リネージュ2」も操作のわかりやすさは魅力になっています。プレイヤースキルなどほとんど必要ないので、まったりとプレイすることもできます。コミュニティー「血盟」や攻城戦、オリンピアードなどエンドコンテンツも豊富です。
「タワー オブ アイオン」有吉雅知氏（以下、有吉氏）：「タワー オブ アイオン」はPvPがいつでもできますし、クラスもアタッカー・タンカー・ヒーラーなどそれぞれの役割がしっかりしており、昔ながらのMMORPGを楽しめます。またキャラクターメイキングも負けていないと思います！
――NCJapanのタイトルに出会ったときのエピソードを教えて下さい。
「タワー オブ アイオン」有吉雅知氏有吉氏：実は前の前に務めていた会社が超ブラックで、家に帰れるのが2週間に1回くらいという生活をしていました。そんなとき友人が「リネージュ2」をプレイしており、存在は知っていたのですが、絶対にハマるとわかっていたので敬遠していましたが、友人と同じサーバーで始めて翌日からどっぷりとハマりました。
クヒナ氏：私も友人からの紹介でした。ずっとコンシューマゲーム派でした。「リネージュ」など名前だけは知っていましたが、実際にプレイしてみて衝撃を受けたのを覚えています
日本運営チーフプロデューサー「合田真二」氏（以下、合田氏）：当時自分はものすごくお金がなかったんです(笑)。「リネージュ2」を勧められ、検索したら二つゲームが出てきて、「リネージュ」が有料だったんで、無料の「リネージュ2」をはじめたのがきっかけです。無料だったらやるしかない！って感じでした。それまではPCゲームもオンラインに抵抗があったのと、お金がなかったのでプレイはしていなかったです。
「ブレイドアンドソウル」五條隆将氏（以下、五條氏）：前に務めていた会社が、CGクリエイター向けの情報誌を出版している会社で、編集部がNCJapanにCGグラフィックスについての取材をする機会があり、その後担当スタッフから「リネージュ2」デモ用ディスクをもらったのがきっかけです。当時はFF11で白魔道士をやっており、パーティー組むにも2時間位かかる頃で、ジュノでテレポタクシーばかりで飽きていたこともあり、「リネージュ2」のソーサラーで魔法をボンボン使える爽快感に一気にハマりました。
中村氏：当時インターネットでメールゲームや「プレイ・バイ・チャット」などで一緒に遊んでいた友人から、ドリームキャストが安くなったのでお誘いを受け、「ファンタシースターオンライン」で遊んでいました。だいぶプレイに飽きた際に、何か面白いゲームないかなと探してたとき「ラグナロクオンライン」を紹介されたんですが、当時の私はなんとなく国産のゲームが好きだったので「リネージュ」を始めました。
――「リネージュ」は思いっきり韓国産ですよね？？
中村氏：当時参考にした「リネージュ」のゲーム紹介には何も書いてなかったんで、まあ気にしなかったんです(笑)。
――なるほど…。みなさんさまざまなエピソードをお持ちですね。次は他のメンバーの長所や短所を他己紹介してみましょう。まずは「リネージュ」担当の中村氏について。
「リネージュ」中村直樹氏五條氏：これまでずっと「リネージュ」を担当しており、まさに今回の座談会のテーマにふさわしい「信頼と安定感」を持っていますね。
合田氏：自分は「リネージュ」や「リネージュ2」についての設定資料などが好きで調べたりするんですが、中村には到底かなわないと思います。2年前の生放送の際に、こたつの前で延々とリネージュについて語っているのを見て、造詣の深さを強く感じ、ホントに勝てないと思いました。
五條氏：あんなにおしゃべりの有吉が横にいても、ほとんど話に食い込んでませんでしたからね(笑)。
有吉氏：うなずくだけが精一杯でした…(笑)。
クヒナ氏：めちゃめちゃリネージュ愛が強いので、オフラインイベントなどでも必ずお客様に「この人は本当にリネージュが好きなんだな」と伝わるんです。ジャポニカ学習帳やNC Dinosのユニフォームなども仕込みもユニークですよね。
有吉氏：中村の独特の世界観は、ゲームに対する「愛」なのでお客様に安心感を与えます。他に「リネージュ」を任せられるのは中村だけだと感じており、私が今一番見習わないといけない人だと思っています。
――続いて「ブレイドアンドソウル」担当の五條氏を他己紹介してください。
「ブレイドアンドソウル」五條隆将氏合田氏：五條が「リネージュ2」のプロデューサーをしている時に一緒だったんですが、とにかく何よりも楽しそうなんですよ。企画に関して相談するときもめちゃくちゃ楽しそうに語るんです。お客様と接点の多いような企画も「これはウケる！」と思えるような、面白いことを提案してくれる人です。
有吉氏：五條は良い意味で「おかしい人」です。発想がどっかズレていて「面白いからやろうよ」という理由で企画を動かします。そこでいろいろ理由をつけて「やらない」のが普通の人だと思いますが…。優しそうでいて誘引力も強いのも最近わかってきました。後は彼は頑張りすぎているんで、身体が心配です。
五條氏：お前のほうが心配だよ(笑)。
有吉氏：特に事業に関しても、いろいろと教えてもらっていたんで師匠のような関係なんですかね。
クヒナ氏：一言で表すと「なんでも屋」のポジションですね。動画を作ったり、ニコ生のセットを作ったり…気付いたらなんでも自分でやっている感じです。とにかく自分の好きなことを突き詰める職人タイプです。
有吉氏：「ブレイドアンドソウル」のTwitterで、バレンタインデーの絵を作ったのも五條なんです(笑)。
五條氏：まだまだゲームも動いていないけど、Twitterあるから何かやろうと。あの大雪の日にチョコチョコ作ってました。
中村氏：発信力がある人だなと思っています。「リネージュ2」のウザンカブログや「ブレイドアンドソウル」のお師匠様Twitterなどをすでに始めていますし、発信力があるということは、伝えることがあるということで、コンテンツへの知識が備わっていて、さらにお客様へ伝えたい思いがあるということが魅力です。
――続いて、日本運営チーフプロデューサーの合田氏についての他己紹介をどうぞ。
日本運営チーフプロデューサー「合田真二」氏クヒナ氏：非常に食にうるさいです。素材や産地、美味しいお店などに詳しいんです(笑)。
五條氏：ニコ生の企画で「ダシルキッチン」をやろうかという話もあったよね…？
有吉氏：彼は私と違って本当にテンパらないんです。以前GMコールの対応をしていて自分がヒートアップしていた時に、「ここはこうしたほうがいいんじゃない？」と冷静に判断してもらったことを覚えています。とてもありがたい存在であります。
中村氏：社内で一番の美声ですかね(笑)。一度一緒にカラオケに行けばわかりますよ。また、お客様に対してもFSとして、MCとしてキッチリと立場を保ちつつ「決して踏み外さない」のに、フレンドリーさも失わないので、今回のテーマの人格としての「安定感」が一番ある人物と言えますね。大きな声を上げているのを見たことがないです。
五條氏：他の人からの紹介にもありましたが、私は何でもかんでも自分一人でやってしまう癖があるんですが、合田にははじめて「頼りにしたい」と感じるようになりました。今まで「誰かに助けて欲しい」と思うことがなかったんですが、そろそろちょっと泣きついてもいいかなと。こんな感情を持ったことが嬉しいです。チームとしても彼がいることでより安定したように感じます。
クヒナ氏：自分と有吉が入社した時に教育係をしたのが合田だったんですが、NCJapanにはあんまりいない「スタンダードなサラリーマン」だと感じましたね。脱線する人をちゃんと常識を持ちながら軌道修正してくれるんです。まさにバランサーと言えます。
合田氏：実はこの会社では怒声を上げたのは一度しかないんです。相手に対して「●●！」って言ってました…。それを見たまわりはもう笑っていましたね(笑)。
――それでは今度はクヒナ氏を他己紹介してください。有吉氏から話すと昔話から始まってしまうのでまずは合田さんから。
有吉氏：素晴らしい判断ですねぇ(笑)。
合田氏：日本運営チーフプロデューサーを務めることになりましたが、人材の補充も間に合っていないため、現在も「リネージュ2」の仕事も手がけているんですが、とにかくクヒナの仕事の早さに驚かされます。自分たちが一週間くらいかけるような仕事も、数日で完了してしまうこともありました。スケジュールよりも圧倒的に早い感覚で仕事をこなすので、他部署に本当に受けがいいんです。すごく頼りになりますね。
クヒナ氏：普段からもう尋常じゃないくらいメールが来るんですよ…。せっかちなのですぐ返してあげたいと思っちゃうんです。
五條氏：これは運営プロデューサーという仕事ではなく、開発コーディネーターの仕事の話になりますが、普段から「リネージュ2」が好きなのは知っていまして、自分が担当を外れることが決まった時に、メンバー全員に「担当やりたい人いますか？」と唐突にメールを送ったんですが、ものすごい早さでクヒナから「やります！」と返事が来たので、これは今後いい流れになっていくな、と直感しました。
中村氏：私はずっと「リネージュ」に集中しまくっているので、あまり一緒にお仕事する機会は少なかったんですが、すごく明るい人だなと感じていました。オフィスでもよく笑っているのを見かけます。
有吉氏：クヒナは絶対に弱音を吐かないし、さらに弱ったところを見せません。ゲーム会社って面白いことを考えて実現するために、キツイ場面を経験することもたくさんあります。それに絶対に負けないんですよね。過去にクヒナが朝番で出勤してきたときにすごい熱があったんですが、「なんでそんな状態で出社して来たの？」と聞いたら「仕事だから」と話していたのが印象的でした。もちろん昼頃に帰しましたけど…。
――じゃあ全員の他己紹介が終わったということで…。
有吉氏：え！？わ、私は？
――ごめんなさい、時間がおしていたんで(笑)。それでは「タワー オブ アイオン」担当の有吉氏の他己紹介をどうぞ。
クヒナ氏：有吉はなかなかダイエットに成功しないし、偏食なんです…。野菜を一切食べないんですよ！それは置いといて…彼はいつもパンストとかいろいろ変なコトしてますが、すっごいすっごい真面目な人なんです。自分の考えがしっかりと決まっており、さらにお客様思いです。「タワー オブ アイオン」のお客様が、現在ちょっと運営に不安を抱えていることについて、生放送を使って徐々に心を開いていこうと本当に一生懸命考えています。
合田氏：有吉は熱くて、もろくて、真面目で、倒れてもすぐ起き上がれるタイプで、最終的には物事を解決に導くんですが、その途中で、彼が一喜一憂して、さらにまわりの人間を巻き込みながら頑張って進んでいく様子を見るのが、私は好きです。
――かなり人間臭いと？
合田氏：「人間」と書くとその横に「有吉」と書けるくらい、人間臭いです。ブレもものすごいですが、ちゃんと最後は解決します。彼こそ「The人間」と言えるかもしれません。
五條氏：この人、全てのことに対していつも「答え」を持っているんです。そのくせによく相談を受けるんですが「そうだよね！」って言って欲しいだけなんです。
――自信がないのですか？
有吉氏：結構相談しているときには、すでに「自分の考えていることは間違っていないよね？」と聞きたいだけのタイミングなんです。物事を結論から言えない人なんですかね…。
中村氏：MCなどで前に出る機会も多い彼ですが、実はものすごくまわりに気遣いできる人ですよ。全体の会議などで人の意見に関して相槌を一番打ってくれるのは有吉なんです。フォローもしっかりしますし、適当に受け答えをしているわけでなく、「なるほど」と思ったところでしっかりリアクションしてくれるのも、話している方に対してはとてもホッとしますね。
――NCJapan全社のイベントなどでも司会進行役などを担当することも多いですよね。
五條氏：声もデカイからちょうどいいよね。
有吉氏：このコーナー、イヤですねぇ…(笑)。
――続きまして、みなさんも携わっている「オンラインゲーム」の未来について、どのように考えますか？
有吉氏：オンラインゲームはゲームの究極の形になっていくと想像します。映画でもあるような「リアルとの融合、リアルへの追求」が実現していると思いますよ。現在のゲームではキャラクターを操って冒険などを疑似体験しますが、実際にゲームで斬られたらリアルでも斬られる、ような現実世界と境目がないような未来になって欲しいなと考えます。
クヒナ氏：私も有吉と同じく、よりリアルに近づいていくのは遠くない未来に実現すると思っています。「リネージュ2」でも日本だけではなく世界中の人と会話できたり、「セカンドライフ」のようにゲーム内で生活しながらショッピングができたり、勉強できたりと社会に結びつき、よりリアルに、家ですべてのことができるオンラインゲームができると楽しいですね。
合田氏：腕などに端末を付けて、スイッチを押した瞬間に景色や時間、空間を含めてすべてリアルに切り替わるような、パラレルワールドを体験できるような未来があるといいかなと思っています。ちょっと遠い未来かもしれませんね。
五條氏：ゲームというのは、どこかで技術革新がないといけないと考えています。現在オンラインゲームが抱えている技術的な限界が克服されれば、リアリティの追求だけでなく、人と人のコミュニケーションも含めて、運営が抱えている問題がひとつひとつ解決されるのではと考えます。サーバーのスペックやロジックを見直せば「ワールド」という概念もなくなり、通信処理速度が上がれば他の世界のより多くの人と楽しめたり、ものすごい数でのPvPなども実現できると思います。さらにダイナミックな世界が広がるかもしれません。でもそうなると運営は大変ですね(笑)。
中村氏：五條も話していましたが、進化は技術のブレイクスルーにあると思います。過去に2Dのゲームが3Dに変わって、操作体系からできることなども変わっていきましたが、現在はそのブレイクスルーが停滞しています。それが今後変わっていったときにひょっとしたら「オンライン」といった形式もなくなるかもしれませんし、全体的にどんなゲームであってもオンライン状態が当たり前、現在ではオフラインでのみ完結するタイトルは少なくなってきていると感じます。オンライン専門で仕事をしていた我々がオフラインに食い込んでいかなければならないですね。
――それでは、みなさんが思っている「OnlineGamer」について一言どうぞ。
有吉氏：共にオンラインゲームのイメージを変えていく仲間だと思っています。まだまだ日本ではオンラインゲームについてネガティブなイメージを払拭しきれていません。サードプレイス（家庭、仕事、もうひとつの趣味などを楽しめる場所のこと）にオンラインゲームを選んでくれる人が増えるように、媒体として伝えていく大切な存在だと思います。
クヒナ氏：今回初めてメディアの取材を受けたんですが、先日のパンストの動画を見たときに「すごい会社だな…」と思いました。NCJapanも似たようなところがあるので、ぜひ今後も五條と有吉と組んであんなことをやってもらいたいと思っています。
合田氏：以前攻略記事では真面目な対応をしたことを覚えていますが、次はパンスト以外で破天荒なパンチの効いた企画に参加したいと思っていますので、よろしくお願いします。
五條氏：（細山田さんは）なんか同じ匂いを感じるんですよね。私たちの中ではOnlineGamer＝細山田さんなんで、これからももっともっと面白いことをしたいですね。
中村氏：OnlineGamerのトップページの右下のスケジュールにぜひアップデート情報を追加できるようにしてもらいたいですね。あと「サービス終了」が多いのが気になります…。
五條氏：ま、まさかのダメ出しですね！？
――ちょっと考えます…！ありがとうございました。
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