4周年を目前に控えた「ドラゴンネスト」運営チームにインタビュー-現在彼らが直面している課題と解決のための方策とは?

正式サービスから4周年を迎える、NHN PlayArtのオンラインアクションRPG「ドラゴンネスト」。今回、本作のプロデューサーに就任した西田哲史氏と、オフラインイベントでおなじみの運営チームのYAMAMOTO氏が、「ドラゴンネスト」の現在の問題点や解決に向けた運営の方針、今後のアップデート情報などについて語ってくれたので、その内容を紹介していこう。

ユーザー間に存在する「超えられない壁」の解消を目指す

YAMAMOTO氏
YAMAMOTO氏

まずは、ドラゴンネスト運営チームが認識している課題について説明がなされた。西田、YAMAMOTO両氏によると、「ドラゴンネスト」のユーザー層は次の4つに分類されるのだという。ひとつめはいわゆる「新規・ライト層」で、現在のカンストであるレベル70に到達してはいるが、各種装備がまだ集められていない人たちもこの層に含まれる。次は「ミドル層」で、これはレベル70に到達していて装備もある程度そろっているが、LV.70ネストのクリアに苦戦している人たちのことを指す。

3つめはエンドコンテンツである「ブラックドラゴンネスト」をクリア、もしくは「アレンデルコアネスト」をクリアできる「コア層」。4つめは「ブラックドラゴンネスト」を簡単にクリアできる「強コア層」だ。新規、ライト、ミドルは全ユーザーの70%前後、コア層は15~20%、強コア層は5%程度とのことだが、コア、強コアと新規、ライト、ミドル層との間には、大きな「超えられない壁」があり、この壁の存在が「ドラゴンネスト」運営の最大の問題となっているのだという。

もちろん、キャラクター性能やプレイヤーのスキルなどによって、ある程度の「壁」ができてしまうことは仕方がないと西田、YAMAMOTO両氏とも認めている。ただ、現在はこの「壁」のために新規、ライト、ミドル層の遊べる場が限られてしまっており、さらには「攻略法を理解している人のみパーティー募集」「レアアバターを持っている人のみ、このキャラクターを使っている人のみパーティー募集」など、プレイヤー間の差別まで発生しているそうで、早急の改善が必要なのだとYAMAMOTO氏は語った。

西田氏ら運営チームは、この「超えられない壁」が「格差」と「バランス」の問題によって生じていると分析。これらの問題点を改善し、ライトやミドル層とコア、強コアの人が一緒に楽しくプレイできるようにすべく、以下のような「マニフェスト」を提示した。

課金アイテムの使用有無によるキャラクターステータス差を改善する

西田哲史氏
西田哲史氏

現在、アバター関連などの課金アイテムの使用有無によって、キャラクターステータスに大きな差ができており、これが「格差」を生む要因となっている。そこで、6月までにアイテム入手のガチャである「シュパンボックス・シュパンピュクシス」や「パンドラコイン・パンドラピュクシス」の確率を見直し。今までより「レアアイテム」を入手しやすくし、同時に入手難度も下げる予定とのことだ。

この点について西田氏は課金ユーザーが優遇されるのは当然のこととしつつ、「優遇の幅が大きすぎると感じています」とコメント。もちろん、アバターアイテムは無課金でも入手できるが、入手難度があまりにも高く、しかもパーティーを組むときに最上位のものがそろっていることが要求されがちなため、「どうしてもライトな人は遊びにくくなってしまいます」と語るなど、課金による格差縮小が必要であることを強調していた。

プレイヤースキルの格差を解消するための環境を提供する

ダンジョンの構造やパーティーでの役割などを理解できていないと、なかなかパーティーを組めないという問題があるのだが、現時点ではそういったプレイヤースキルを向上させる場が少なく、一緒に練習するための環境がない。そのため、7月中に初心者向けのギルドシステムを実装。新しいキャラクターを作成すると、このギルドに自動的に所属するようにして、情報提供やユーザー同士の交流のサポートなどをしていくとのことだ。

さらに、パーティープレイに必要となる情報や用語などを8月中に公式サイトに掲載。実装から一定期間が経過したダンジョンやボスの攻略方法なども動画で紹介する予定で、これらを参考にすることで初心者でも手軽にプレイヤースキルの向上をはかれるようにするという。また、LV.70ネストをクリアしたことがないユーザーと、何度もクリアしたことがあるコアユーザーが組んでダンジョンをクリアすれば報酬が増えるといった、新規とベテランが一緒に楽しめる仕組みも考えているそうだ。

スキルバランスを調整してキャラクターの性能差を改善する

バランス面での問題は3つで、ひとつめはスキルバランスの悪さによって、キャラクターの性能に大きな差ができてしまっていること。これは、どのオンラインゲームでも起きていることだが、「ドラゴンネスト」の場合は「使えるキャラと使えないキャラが、あまりにもハッキリと分かれすぎている」と西田氏は語る。

この問題を解消すべく、PvPやPvEにともなうスキルバランスの調整を開発会社に提案。もちろん、これまでもさまざまな調整を提案してきたが、これからは提案の内容や調整の進捗状況などを公式サイト上で明かせる範囲で公開するなど、確定前の情報もできるだけユーザーに知らせていくようにするそうだ。

ダンジョンの難易度などのコンテンツバランスを調整する

ふたつめはダンジョンの難易度やギミックなどのコンテンツバランスの問題。現在、ボスダンジョンだけでなく、通常のダンジョンもストレスを感じるギミックが多く、毎回解くのが面倒なことから、プレイ意欲がそがれる原因になっているのだという。実際、最近のアップデートで実装されたダンジョンもギミックが複雑だったため、簡略化の調整が入ったそうだ。

こういったプレイ環境を変えていくため、カンストプレイヤーすべてが挑戦でき、クリアすればキャラクター強化につながるようなコンテンツの導入を提案していくという。ただ、ゲーム全体の難易度を下げるわけではなく、ボスダンジョンは高難度のままだが、通常ダンジョンはもっとプレイしやすくするなど、住み分けの幅を広げるための措置なので、コア層の人は安心してほしいとのことだ。また、これらの調整の進捗状況も公開していきたいと西田氏は述べた。

コンテンツのクリア報酬バランスを調整する

バランス面における最後の問題はクリア報酬バランスに関するもの。現在、LV.70ネストに挑戦するための装備がLV.70ネストをクリアしないと手に入らないなど、プレイサイクルに矛盾が生じており、コンテンツ内容とクリア報酬のバランスが悪いというユーザーの声が非常に多いのだという。

そこで、これまではアップデート後にバランス調整を行っていたが、今後はアップデート前に報酬のバランスをもっとよく見て、コンテンツ内容に見合ったドロップ率に調整。同時に、調整の進捗状況も公式サイトで随時公開していくとYAMAMOTO氏は述べた。

このように、今後運営チームは開発会社への提案の内容や調整の進捗状況といった情報をできるだけオープンにしていくと表明。詳細は未定だが、週イチや月イチくらいでの情報更新を考えているとのことなので、自分たちの要望がどの程度伝わっているかなど、これまで知ることができなかった情報をいち早くチェックできるようになる。ユーザーにとっては非常にありがたいと言えるだろう。

もちろん検討の結果、実現しなかったということもありうるが、それでも「ユーザー側に状況がまったく見えず、アップデートの直前になって分かるよりもよいはず」と西田・YAMAMOTO両氏は主張。また、実現しなかった場合は「理由も含めてキチンと説明し、別の調整方法を考えさせていただくとか、ちゃんとお知らせしていかなければと考えています」とも語っていた。

ちなみに、これらのマニフェストに関する情報は5月21日に公開される4周年特設サイトで公開される予定なので、あわせてチェックしておこう。

上記の問題改善の一環として4周年イベントを企画

「ドラゴンネスト」4周年を記念したイベントも行われる。上述の「格差」「バランス」問題のフォローを目的としたもので、新規、既存、回帰ユーザーに向けて、それぞれにイベントが実施される予定だ。基本的にはWebイベントだが、初登場の新武器アバターセットのプレゼントや無料Webショップなどを計画中で、このイベントを利用すれば、装備を手軽に集められ、装備集めの先のコンテンツをすぐに楽しむことができる。

無料Webショップは5月21日から1ヶ月の期間限定開設となる予定で、Webショップで使用するポイントは毎日ログイン時に入手できる。アバターのもらえるパンドラコインやランダムのアイテムが出るシュパンボックス、倉庫の拡張など、さまざまなものを購入できるとのことなので楽しみにしておこう。

LV.80開放や新キャラクターの追加などのアップデート情報も公開

6月以降に実施が予定されている、さまざまなアップデート情報も公開された。それらの内容を簡単に紹介しておこう。

6月のアップデート

  • エンドコンテンツ「ブラックドラゴンネストハードコア」実装
  • エンジニア系とパラディン系(予定)職業のスキル改変
  • 1次職のスキル2種ずつ、計14種類が強化
  • エピック上級竜珠の合成時に得られる能力が自分で選択できるようになる
  • セット効果付きのエピック等級装備の完成品がドロップするようになる

注目すべきはエンジニア系とパラディン系のスキル改変で、特にエンジニアは大きく変わっているようだ。1次職のスキル強化も見どころのひとつ。スキルのレベルを上げると使用時に追加攻撃や追加効果が発生するようになるというもので、これにより1次職のスキル価値が上がり、新しい戦い方やスキルの育て方ができるようになるそうだ。

7月のアップデート

  • LV.80キャップ開放
  • 新ステージが8種類追加
  • 新EXスキルが28種類追加

いよいよLV.80キャップの開放が実施。さらに、新たなエリアとして火山地帯のステージが8種類追加される。火山なのでマグマに触れるとダメージを受けるなどの仕掛けはあると思われるが、YAMAMOTO氏によると「わずらわしいギミックはほとんどない」ように調整するそうだ。

LV.80キャップの開放にあわせて、各職業ひとつずつ計28種類の新EXスキルも追加される。今回はついに3次職のスキルが強化。超1級のスキルが、さらに強化されるそうなので期待しておこう。

8月のアップデート

  • 新ネストダンジョン「ボルケーノネスト(仮)」実装
  • 新キャラクター「レンシア(仮)」追加

新ネストダンジョン「ボルケーノネスト(仮)」は7月に開放される新エリアの火山地帯と関連していて、ここでは「火の鳥フェニックス(仮)」と戦うことになる。もちろん、LV.80のエピック装備も同時に実装される予定だ。

さらに、新キャラクター「レンシア(仮)」が実装。槍使いの女性キャラで、アカデミックやカーリーと同じく、物理と魔法のスキルを使用できるという。妹がいること、ちょっとドジっ娘らしいことは分かっているが、詳しい性格やストーリー、演じる声優などは今のところ不明だ。戦い方や使える魔法の種類などもまだ分かっていないが、前回アサシンが強すぎて、ほかのキャラクターとの差がつきすぎてしまったことから、「今回は同じ轍を踏まないよう調整するつもりです」と西田氏は語っていた。

9月以降のアップデート

なんと、ネストボスを操作できる新コンテンツが年内に実装される予定とのこと。今回公開された開発画面はNPCのキャラクターと戦っているというもので、内容はまったくの未定だ。ただ、ダンジョンに侵入してきたプレイヤーキャラクターと戦うといった、これまでにないユニークなPvPも楽しめるかもしれないとのことなので続報に期待したいところだ。

また、農場も作物を入手するだけでなく、まったりとコミュニケーションを楽しめるようなものに改変するそうで、こちらも年内に実装される予定とのことだ。

最後に西田氏とYAMAMOTO氏がユーザーにメッセージ。西田氏は「爽快感のあるアクション、キャラごとのストーリー、豊富なアバターなどのいい部分は伸ばしつつ、格差やバランスといった問題部分は、この4周年や今後のアップデートをきっかけに解消していきたいと考えています。すべてのお客様がいつ戻ってきても、いつ始めても楽しめるようにしていきますので、これからも作っていきたいと思っているので引き続きよろしくお願いします」とコメント。YAMAMOTO氏も「4年経ちましたが、まだまだいろいろな問題が残っていますので、新しい運営体制のもとで、お客様に楽しく遊んでもらえるようにさまざまな改善等を継続して行っていきます」と力強く語ってくれた。

現在の課題にしっかりと向き合った上で、解決策をマニフェストという形で提示した西田氏とYAMAMOTO氏。多くのオンラインゲームが今回挙げられた課題と同じような問題を抱えているだけに、今後「ドラゴンネスト」がどのように変わっていくのか、大いに注目していきたい。

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