オンラインゲーム運営会社の仕事を中学生にどうやって伝える?ネクソンが「1日社員体験・すごろく制作イベント」を開催

去る8月22日、ネクソンが主催する「1日社員体験・すごろく制作イベント」が行われた。オンラインゲーム運営会社の仕事を“中学生が分かるように”体験してもらうという目的で選ばれた「すごろく作り」だが、思いのほか好評だったようだ。

一口にオンラインゲームの運営会社といってもさまざまだが、ネクソンのように世界展開を行う大企業になると、自社の利益を追求するだけでなく、いわゆる社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibilityの略)も求められるようになる。同社がそのための活動を積極的に行っているのをご存知だろうか。

一般的にはボランティアと混同されやすいCSRだが、ネクソンの活動は「オンラインゲームを安心して遊べるようにするための認知向上」と説明するのが分かりやすいかもしれない。具体的には、ネチケットに関する講演を小中学校で行ったり、小冊子「あんしんガイド」の配布、特設サイト上での「あんしんスクール」の開校などがある。

こういった活動は、直接の形で利益に結びつきにくいこともあり、力を入れているオンラインゲーム運営会社は(日本国内では)それほど多くない。そんな中、ネクソンが8月22日に、CSR活動の一環として中学生向けの「1日社員体験イベント」を開催したので紹介してみよう。

オンラインゲームの運営業務を中学生が体験。テーマは「すごろく作り」?

我々OnlineGamer読者が「オンラインゲームの運営会社で社員体験」と聞くと、“企画書の作成“、“アバターアイテムのデザイン”、“GM用ツールを体験”辺りをイメージするかもしれない。しかし今回の対象年齢層は中学生ということで(※別の日程で小学生向けにも行われている)、彼等にそういった業務を直接体験してもらうのは、いささかハードルが高い。そこで今回選ばれた題材は「すごろく製作」。サイコロを振ってゴールを目指す、あの“双六”だ。

「すごろく作りでオンラインゲームの運営会社の仕事が分かるの?」と思うだろうが、これが意外と共通する部分が多いらしい。何より、チームの仲間と共にすごろくを制作し、改善していくプロセスには、オンラインゲーム運営会社の本質、すなわち“人を楽しませるためのモノ作り”のノウハウが詰まっているのだ。しかも、完成したすごろくで遊べてしまうというオマケ付き。小中学生でも分かるように、オンラインゲーム運営会社の仕事を体験してもらうには、ぴったりの題材というわけだ。

コンセプトを決めたうえで制作&ブラッシュアップを繰り返す

1日体験入社の会場には、事前応募者の中から選ばれた30名弱の中学生が集まった。中学生たちは4名で1組となり、それにネクソンの社員が1~2名加わり、チームを主導していく。また、イベント全体を進行するスタッフもいて、すごろくを面白くするためのアドバイスを随時行う。すごろく制作の流れとしては、ざっくり言うとこのような感じだ。

  • すごろくのコンセプト(世界観、物語)を考える
  • テーマに沿った内容や情報を集める
  • すごろくの基本ルールを考える
  • マスで発生するイベントを考える
  • すごろくボードにマスなどを貼り付けて製作
  • テストプレイを経てブラッシュアップ

そしてネクソンも社員が同じような考え方で仕事を行っていることを説明。たとえば「メイプルストーリー」のコンセプト(世界観、物語)は“可愛い”系なので、ゲーム内イベントもそれに沿う形でアイデアを集める。マスで発生するイベントも、こういった考えで作るのだ。もちろん、テーマが変わればコンセプトも変わるわけで、「マビノギ英雄伝」なら格好いい系で、といった具合に変化する。

すごろく制作がある程度進んだら、チーム内でのテストプレイ(βテスト)を経て、ゲームバランスを調整していく。プレイ時間が短いと感じたらコマの数を増やしたり、逆に長すぎるのならコマを数を減らす。遊んでいて面白くないと感じたら、その原因を掘り下げて考え、マスで発生するイベントを変えてみたり、分岐ルートを作ったりするのだ。テストプレイ&改善作業をひたすら繰り返し完成度を高めていくのが大切だが、その一方で、定められた納期内に仕上げることの大切さも説明していた。

各チームは昼食などを挟みつつ、約3時間を掛けてすごろくを完成。その後は、各チームの班長によるプレゼンテーションや、他チームが作ったすごろくを実際に遊んだりして楽しんでいた。単純にすごろくを遊ぶだけでも楽しいが、他のチームがどういったイベントを盛り込んでいたかなど、ゲームデザインの面でも興味津々のようだった。

共同作業で得られる大切なコト

すごろく作りを一通り体験した後は、ネクソンの社員が実際に仕事を行っている様子がムービーで紹介されたり、ネクソン社員への質問コーナーなどが設けられた。対応してくれたネクソンの社員は、つい先程まで同じチームですごろくを作ってくれた仲間なので、みな遠慮なく質問をぶつけていたようだ。

大半の参加者同士が初顔合わせということで、打ち解けられないか少し心配していたのだが、いざ蓋を開けてみると同じネクソンのゲーム好きということで、昼食を迎える頃にはすっかり意気投合していた。また、一方のネクソンの社員にとっても、自分たちが提供するオンラインゲームがどうやって遊ばれているか、より一層実感できたかもしれない。

あともう一つ、これは個人的に感じたことだが、学校教育では何事に対しても、一つの回答を求められてしまいがちである。それだけに、今回のように仲間と共同作業を行い、改善させていくというプロセスでは、大切なことが得られるのではないだろうか。例えば今回のすごろく制作を、学校教育のカリキュラムに取り入れてみるのも面白いかも?などと思った次第。

こういった感じで、ネクソンの「1日社員体験・すごろく制作イベント」っは終始和やかなムードで終了。もし本稿を読んでネクソンのCSR活動に興味を持ったら、とりあえず公式ページ内にある「あんしんスクール」に目を通してみよう。また9月15日には、小中学生向けのクリエイター向け支援活動「みらいクリエイターズプロジェクト」のイベントが開催され、ここではプログラミングツールを用いてのオリジナルミニゲームの制作が行われる。こちらは8月29日まで募集受付が行われているので、詳しくは公式ページから参照できる告知ページを参照してもらいたい。

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