“アラド戦記”の開発元が手がける最新作「Cyphers」が日本展開を検討中?関係者向けのテストプレイの模様をレポート

「Cyhpers」は、アラド戦記の開発元として知られる韓国NEOPLEの最新作である。既にサービスを行っている韓国や中国では大ブームを巻き起こしているのだが、現在、次のサービス国として“日本”を検討しているそうだ。先日、フィードバックを確かめるべく関係者向けのテストプレイがネクソン社内で開催されたので、本稿でレポートしていこう。

本作は、韓国では2011年からサービスが始まっている、チーム対戦型のオンラインゲームだ。広義のゲームジャンルとしては、いわゆる“MOBA”(Multiplayer Online Battle Arena)に属するが、一般的なMOBA系のタイトルと比べると、独創的なシステムも多々含まれている。ざっくり言うと、「アクションゲームの要素を取り込みTPSの操作でMOBAを実現」したのがCyphersというタイトルだ。

Cyphersのメインコンテンツは、5人編成のチーム同士で戦う「攻城戦」である。仲間のキャラクターと力を合わせて、敵チームの本拠地を破壊することがゲームの主目的だ。お互いの本拠地は、大きく分けて3本の道(レーン)で繋がっていて、道中には防衛用のタワーが設置されている。PCのみならず、敵味方のNPCの兵士も多数現れては進軍しており、状況を見ながら攻め時と退き時を的確に判断するのが勝利の秘訣だ。

こういった基本的なゲームコンセプトはMOBAに通じるが、本作ではカメラワークが後方からの三人称視点となっており、TPSライクなプレイフィールとなっているのが大きな特徴である。レティクル(照準)や高低差の概念があるなど、プレイ画面を見ても、MOBAよりもTPSといった方が近いだろう。操作システムもTPS寄りで、WASDキーで移動、左右クリックやWASD周辺のキーを組み合わせて各アクティブスキルを繰り出していく。

照準をはじめ、自分のHPやスキルのクールダウンタイムなど、必要情報が画面中央に集中して配置されて
いる。視線が分散せず集中しやすいのだ
現在最も人気があるマップは、3本のレーンを攻略するMOBAでは定番のタイプ。広さはややコンパクトで、隣の
レーンなどへ素早く援軍に駆けつけられるため、マップ全体を注視する必要がある

もう一つ、一般的なMOBA系のタイトルと大きく異なるのは、1回のゲームプレイに要する時間が「15分前後」と、展開が非常にスピーディーなことだ。PCは“究極スキル”(いわゆるUltimate)を含む総てのスキルを、ゲーム開始直後から使用可能である。雑魚NPCを倒しているだけで、マイキャラのレベルはどんどん上がっていき、ゲームが終了する頃にはレベル40~50に達することも珍しくない(しかも僅か15分で!)。

ただし、自身のレベル上げばかりに気を取られていると、敵本拠地への進軍がおろそかになるばかりか、逆に敵から攻めこまれてしまうだろう。ゲームの主目的は、あくまでも敵本拠地の破壊なので、各メンバーのレベル上げ/進軍/防衛のバランスは、ミニマップと共に注意せねばならない。

一般的なMOBA系のタイトルだと、ゲーム開始直後はレベルを上げながら次第に局地戦などが発生するなど、じっくりと戦術を組み立てる(ことが多い)。だがCyphersでは、ゲーム開始から数分後には、5対5による全面戦争が当たり前のように起こるのだ。詳しくは後述するが、連続コンボなどのキャラクターの瞬間的な操作も重要なゲームなので、プレイ中は一瞬たりとも気が抜けない。端的に言って、非常に“密度が濃い”対戦ゲームである。

ゲーム中は戦闘を経て“コイン”を獲得し、これを集めてアイテムを購入する。アイテム購入はナンバーキーを
押すだけでいつでも行える
マイキャラはゲーム開始時点で2000コインを所持している。これでレベルアップ用のアイテムを買いまくると、
いきなりレベル10からスタートできてしまう

総勢47名!多彩な超能力者が登場

Cyphersのプレイアブルキャラクターは“超能力者”という設定で、アバターアイテムなどのデザインは基本的に和洋折衷なんでもアリだ。グラフィックスそのものは最新タイトルと比べるとやや物足りないが、それと引き換えにアクション性の高さと、必要マシンスペックの低さが綺麗にまとまっている。アクションゲームの本質をスポイルしない匙加減は、「アラド戦記」の経験者ならよく頷ける部分だろう。

現在は計47種のプレイアブルキャラクターが実装されており、今もどんどん増え続けている。さすがに本稿で総てのキャラクターは紹介しきれないので、代表的なキャラクター2名「ルイス」「ターラ」を、プレイムービーと共に紹介しよう。

「氷結のルイス(LOUIS)」

近距離戦闘タイプのオーソドックスなキャラクター。超能力者としての属性は“氷”で、それにより剣やハンマーなどを作り出して攻撃を行う。中でも、相手を氷結状態にして一時的に動けなくさせる“ドライアイス”(左+右クリック)からのコンボは強力。タイマンでは安定して強い。

「炎の魔女ターラ(TARA)」

“炎”の属性を持つ、遠距離攻撃タイプの超能力者。プレイフィールはTPSそのもので、高台などの安全な場所から一方的に攻撃できるのが強み。どちらかというと対人戦より、タワーや本拠地などを攻めるときに大活躍するキャラクターだ。

新たなキャラクターが追加されるときは毎回立派なPVが作られ、プレイヤー間で大きな盛り上がりを見せているとのこと。とくに人気があるキャラクターは、イラスト投稿やコスプレなどの二次創作も活発で、この辺りは日本のゲーマーの盛り上がりにも通じるモノがありそうだ。

アバターアイテムには性能が付加されている。リアルマネーで購入するタイプと、ゲーム内金銭を集めて購入する
タイプがあり、どちらもほぼ同性能に設定されているそうだ

“MOBA”以外のゲームモード/コンテンツも用意

Cyphersのメインコンテンツは先述した「殲滅戦」だが、その他のゲームモードも用意されている。オンラインRPG風のロビーエリアが用意されているのは大きなポイントで、ゲーム全体として見ると“MOBA”の範疇に囚われていないことが分かる。

「攻城戦(PvE)」

メインコンテンツの攻城戦に関しては、コンピュータAIと戦うゲームモードも選べる。初心者のプレイヤーにとっては、いきなり生身の人間相手に戦うのはハードルを感じさせるが、こういったコンテンツで練習を積むと良いだろう。

「殲滅戦」

敵本拠地の破壊ではなく、相手チームのキャラクターのキル数を競うというコンテンツ。純粋なPvPモードといえる内容だ。今回のテストプレイでは韓国版のサーバーにログインしてマッチングを行ったのだが、思い切りコテンパンにやられてしまった……。

「進撃戦」

ひたすら押し寄せてくるNPCを撃退する、ステージクリア型の、いわゆるディフェンスゲームの内容。MOBAとは異なるゲームモードも用意されているわけだ。

「トワイライト」(ロビー用のエリア)

ロビー用エリアはオンラインRPG風の作りで、プレイヤー達がバトルの合間にまったり過ごしている。韓国版の一般サーバーに接続したところ、何気にチャンネル番号が“152”と書かれていてびっくり。

日本でもMOBAのブームが来ることを期待!

プレゼンテーションを行ったNEOPLEのチェ・ホンソン氏
プレゼンテーションを行ったNEOPLEのチェ・ホンソン氏

最後に、プレイ時の感想などを少々。Cyphersを本格的にプレイするのは今回が初めてだったが、殲滅戦を1回終えるころには基本システムは一通り理解でき、とても遊びやすいと感じた。画面中央にクールダウンタイムなどの情報が集約されていたり、ショップで購入できるアイテムの一覧が画面下部に表示されていたりと、ユーザーインタフェースは独特なのだが、実際に遊んでみるとシンプルかつ理にかなっていることが分かる。

アクションゲームとしての手応えも上々で、練習モードで会得した基本コンボを殲滅戦などで使いこなせるようになってからは、ゲームの魅力にグイグイと引きこまれていった気がする。1回のプレイ時間が15分前後と短いので、就寝前など「あともう1回!」と続けてしまいそうだ。

特筆すべきは、MOBA以外のゲームモードや、オンラインRPG風のロビールームも用意されているところだ。なんだかんだいってもMOBAは“対戦ゲーム”なので、プレイヤーがヒートアップするとギスギスしてしまいがちだが、それ以外のプレイスタイルを許容しているのはCyphersの素晴らしい点の一つだと思う。キャラクターの魅力もたっぷりとあり、一般的なMOBA系のタイトルと比べても、日本人のゲーマーの受けが良いかもしれない。

……というか、個人的には、かつてG-Star2011やG-Star2012会場にCyphersが出展された際、他のどのタイトルよりも盛り上がっていたのを目の当たりにしているので、「どうして今までローカライズしてくれなかったの!」という気持ちだ。そんなCyphersが、日本でのサービスに向けて本格的に検討してくれているのは、とても嬉しい。これに尽きる。

ワールドワイドでは「League of Legends」(LoL)を筆頭にMOBAが花盛りだが、少なくとも日本における現状としては、大ブレイクの一歩手前といった感が否めないだろう。今後LoLは日本サーバーが導入予定で、そのほかにもTPSライクなMOBAという意味では、「LORD of VERMILION ARENA」(スクウェア・エニックス)や、「クロスワールド」(アソビモ)などの新作タイトルが登場する。もちろん、「カオス ヒーローズ オンライン」や「コアマスターズ」といったタイトルも着実にプレイヤーを獲得しているわけで、それらと共に、仮にこのCyphersのサービスが行われれば、来年あたりに日本でもMOBAが大ブレイクする可能性はあるかもしれない。MOBAの始祖である「WarCraft3」のMOD“Defence of the Ancients”の頃からのファンとしては、是非、そうなってほしいと願う。

まだ日本でのサービス展開が決定したわけではないので早とちりは禁物だが、とりあえず「アラド戦記の開発会社の最新作が、日本でもサービスされるかもしれない」という点を、頭の片隅にでも入れておいてほしい。いずれ良い報せが聞けることを大いに期待したいところだ。

※注:本稿に記載されている日本語名称は総て仮のバージョン。動画は韓国版のサービス用に作られたものです

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