10月17日から19日にかけて、MOBAをベースにしたマルチ対戦アクション「ロード オブ ヴァーミリオン アリーナ」のαテストが行われた。“使い魔”を使役してスキルを繰り出すという、少々独特なプレイフィールをざっくり紹介しよう。
「ロード オブ ヴァーミリオン アリーナ」(以下、LoVA)は、スクウェア・エニックスの人気シリーズ「ロード オブ ヴァーミリオン」の最新作だ。これまでアーケード向けゲームなどで展開されてきたシリーズだが、今作は初めてのWindows PC向け・クライアント型のオンラインゲームとなっている。同社は本作のゲームジャンルを「マルチ対戦アクション」と称しているが、おそらく多くの読者に対しては、海外を中心に大きな盛り上がりを見せる“MOBA”(Multiplayer Online Battle Arena)を例に挙げるのが伝わりやすいと思われる。
もちろん、LoVAには一般的なMOBAと異なる要素も盛り込まれており、たとえば画面は3人称視点で、プレイヤーキャラクターのみならず“使い魔”の運用が鍵を握っている。単なるフォロワーに留まらない、ユニークなタイトルに仕上がりそうな印象だ。
LoVAは先週末に少数向けのαテストが1回行われたばかり。各種ゲームシステム/バランスは今後まだまだ変わっていくと思われるが、LoVAならではのユニークな要素を幾つか確認できたので、本稿で軽く紹介していこう。
※α版の情報を元にしているため、今後の開発状況に応じてゲーム仕様が変わる可能性があります
マナを集めて“使い魔”を召喚/使役して戦う
今回のαテストは、マルチプレイ環境におけるサーバーへの負荷や、ゲームクライアントの安定動作などを確かめるために行われた。そのため、プレイできたのは、ランダムマッチングで7名同士によるチーム戦を行うコンテンツが1種類と、かなり限定された範囲である。
ゲームの主目的は、チームメンバー同士が力を合わせて、敵陣地にある“アルカナコア”を倒すべく進軍すること。今回プレイできたマップの“死都アルカウス”は、両陣地の間に大きく3本のレーン(道)が通じており、その間には小道が入り組んでいたり、さまざまな施設や中立モンスターが配置されている。MOBAの定番マップのスケールを若干大きくしたような地形構造で、経験者がミニマップを見れば、その雰囲気がなんとなくイメージできるだろう。
プレイの流れを見ていくと、まずは本拠地で各々が“使い魔”を召喚するところから始まる。この使い魔は、プレイヤーキャラクターに付き従い共に戦ってくれる、ペットのような存在だ。使い魔はゲーム開始前に準備した“デッキ”(最大6種類)の中から選ぶ形で、召喚するときはその強さに応じた量の“マナ”が必要となる。強力な使い魔は多くのマナが必要になるので、ゲーム開始直後にいきなり召喚することはできない。序盤は低コストの使い魔1~2体を運用することになるだろう。
ゲーム中は、マップ内にいる中立モンスターや、敵キャラクターなどを倒したりしてマナを少しずつ獲得していく。そうして必要な分のマナが集まったら、本拠地に帰還し、より強力な使い魔を召喚する。このようにして戦力を段階的に強化するが、ゲームの主目的はそこではない。自身の強化と進軍のバランス、そしてチームメンバーとのコンビネーションが何より大切だ。
召喚した使い魔に応じてプレイヤーの戦術(スキル)が変わる
“使い魔”の運用について、もう少し補足しよう。1匹の“使い魔”は、攻撃用/防御用のアクティブスキルをそれぞれ1個習得している。同時に召喚できる使い魔は最大4体で、ナンバーキーの“1~4”を押すことで、それぞれに対応した使い魔がスキルを繰り出すというシステムだ。
プレイヤーキャラクター自身は、通常攻撃以外のアクティブスキルを使うことはできないが(リコール/HP全快等の特殊スキルは別途ある)、使い魔を通じて間接的に行える。つまり、現在召喚している使い魔のラインナップに応じて、プレイヤーのスキル戦術が変わってくる(ゲーム中にスキルセットが任意で変えられる)わけで、ここがLoVAにおける大きなポイントだ。
ゲームの序盤は敵味方共に、低コストの使い魔による小競り合いが続くが、終盤では“バハムート”の“ビッグバンフレア”や、“オーディン”の“斬鉄剣”などといったド派手なスキルが飛び交うようになる。また、マナを使って召喚した使い魔を“真化・超真化”させることもでき、ゲーム内の時間が経つにつれ、攻防の激しさも増していくだろう。
使い魔に関してもう一つ触れておきたいのは、種族が“人獣/神族/魔種/海種/不死“に分かれており、デッキ内に同じ種族を多く揃えると、その数に応じてマナのボーナスが得られること。デッキを構成するときは、種族を気にせず強力なアクティブスキルを優先して選ぶか、あるいは種族を揃えてゲーム序盤から高コストの使い魔を召喚するか、頭を悩ませることになりそうだ。
使い魔以外のゲームシステムの多くはMOBAライク
ゲーム中はプレイヤーキャラクター以外にも、敵味方の兵士(ミニオン)が断続的に召喚され、進軍を続けている。ミニオン1体1体は貧弱だが、束になるとばかにならない戦力となる。プレイヤーキャラクターがミニオンを盾にすれば、被害を最小限に抑えつつ戦うことも可能だ。刻一刻と変化する敵味方の動きを見ながら、攻める時と退く時を的確に見極める必要があり、ここに膨大なノウハウが秘められている。
そのほかマップ内には、近寄ってきた敵を自動迎撃する“ガードタワー”、制圧しているチームのミニオンが定期的に召喚される“ミニオンアーク“、陣地を守る門番“ゲートキーパー”、そして本陣の最深部に“アルカナコア”などの施設/NPCが配置。敵チームのプレイヤーキャラクター/使い魔も倒したりすることで、相手チームの“戦況ゲージ“を少しずつ削っていく(画面上部に表示)。先に相手の戦況ゲージをゼロにするか、あるいは制限時間(今回は15分間)の終了後に、より多くの戦況ゲージが残っているチームが勝利となる。
2015年は日本でもこのジャンルが盛り上がることに期待
このようにLoVAでは、アクティブスキルを繰り出す“使い魔”の運用が大きなポイントとなっている。慣れの部分もあるのだろうが、プレイヤーキャラクター自身が直接戦う一般的なMOBAと比べると、スキル使用時に常時ワンクッションが置かれているためか、少々独特なプレイフィールであった。たとえばオンラインRPGで、ペット系のクラスを好んでプレイする人なら、本作を楽しめるのだろうか。
まだβですらない段階なので、ゲームの完成度に対してどうこう言うのは控えるが、少なくとも確実に期待できるのは、「スクウェア・エニックスのロード オブ ヴァーミリオン」という知名度の高いシリーズが採用したことによる、このゲームジャンルの日本国内における認知向上だ。海外では隆盛を極めているゲームジャンルだが、日本で浸透するための足がかりの一つとして、LoVAの動向に引き続き注目したい。
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