【G-STAR 2014】韓国NCsoftが大々的にブースを出展。100席規模のシアターブースで新作のロボット+TPS+MMORPG「Project HON」をアピール

オンラインゲームを遊ぶ人にとって、NCsoftといえばファンタジー系のMMORPGに精通したメーカーという印象だろう。そんな同社の次期主力タイトルが“ロボット+TPS+MMORPG”というのだから驚きだ。「G-STAR 2014」の出展内容と共に紹介しよう。

韓国・釜山で開催中のゲームショウ「G-STAR 2014」において、NCsoftが大々的にブース出展を行っている。同社がG-STARに出展するのは3年ぶりなのだが、これは過去を振り返っても最大級の出展内容である。そんな同社のブースの模様を紹介したい。

今回NCsoftは、主に2つの出展タイトルを前面に押し出してアピールしている。ひとつは、100台規模によるプレイアブル出展を行っている、アクションMMORPGの「Lineage Eternal」。韓国において“Lineage”のブランド力は我々日本人の想像を絶するモノがあり、この試遊台は最も長い行列が出来上がっている。

そしてもう一つの出展タイトルは、完全新作として発表された「Project HON」だ。こちらは同じ“100”でも、一度に100人(席)が視聴できる、クローズドのシアターブース(要するに小さな映画館)を展開。同作のコンセプトムービーを堪能できる。

では、そこまでアピールされている「Project HON」がどんなタイトルなのかというと、ロボットをモチーフにした、リアル系グラフィックスのTPS+MMORPGである。しかもプラットフォームは、PC+スマートフォンのマルチ展開だ。

読者もよくご存知のとおり、NCsoftといえば「リネージュ」「タワーオブアイオン」「ブレイドアンドソウル」など、ありとあらゆる“ファンタジー”を極めたメーカーだ。そんな同社にとっての次期主力級のタイトルが“ロボット”というのだから、驚きを禁じ得ない。

ちなみに「G-STAR 2014」の期間中は、ソウルや釜山の一部映画館において、このシアターブースで上映されているものと同じ映像を、最新劇場上映システム“4DX”で体験できる。G-STARに先駆けて開催されたプレス向けカンファレンス「NCSOFT PREMIER」もこの会場で行われ、筆者も視聴したのだが、「これをあのNCsoftが!?」と驚くばかりであった。とりあえずダイジェスト版のムービーを本稿で紹介するので、チェックしてみてほしい。

ロボットを扱ったゲームそのものは日本でもメジャーだが、まずは何を差し置いても大切なのは、ロボットのデザインセンスであろう。その点、本作に登場するロボットの多くは“人型”に拘っている。たとえば背中のブースターを噴射&足に付けた車輪でダッシュを行ったり、飛行タイプのドローン→人型→二輪車に変形するなど、機能性云々よりも、「格好いいからやった」的なこだわりを感じる。コンセプトアート等をじっくり見てもらいたいが、ロボットには煩いであろう日本人の目から見ても、かなり良い感じのセンスではなかろうか。

NCsoftは過去に「Lineage Eternal」「ブレイドアンドソウル」を初めてG-STAR会場で出展した際も、今回のようにシアターブース内でコンセプトムービーを伝えるという手法を採っていた。各タイトルをプレイヤーが実際に遊べるようになるのは数年後で、おそらく今回の「Project HON」もそうなる可能性が高い。なのでゲーム仕様は今後変わっていくのだろうが、それよりも強烈な印象を残したのが、ファンタジー以外のジャンルに挑戦し、それを次期主力級のタイトルとして大々的にアピールする同社の覚悟だ。

NCsoftは今回のG-STAR出展にあたり、「CONQUER THE SPACE」(宇宙を征服)というスローガンを掲げている。ここで指す“宇宙”とは、現在ゲーム業界を巻き込んでいるモバイルゲームであり、同社はこのジャンルを制するべく、チャレンジを試みた。この結末が今後どうなるか。数年後までしっかり見届けたい。

「Project HON」開発者からのコメント

チョウ・ヒョンジン(プロデューサー)

Project HON、男として子供たちが憧れるロボットのロマンを表現したゲーム

プロジェクトHON(魂)は、ゲームが好きな人として、面白くてやりたかったモノたちを集めた世界を作ろうとしました。より大きく見ればゲーマーを越えて、男として、子供ころに憧れたロマンを表現することができる、そんなゲームを作ってみたかったのです。

子供の頃には、ロボットのおもちゃで遊んで、力が強いロボットに憧れていました。しかし、当時のロボットは、子供向けのアニメーションじゃなければ、特殊撮影色が強かったでしょう。そんなうちにCG技術が発展しトランスフォーマーやパシフィックリムのようなロボット映画が出てきました。私が憧れていたあのロボットが生きて動く、それが我慢できなく胸が躍りました。

映画は、しかし...なぜそのようなロボットを題材にしたしっかりとしたゲームを作れなかったのだろうか、そんなことを考えながら、本当にきちんとしたものを作ってみたいと思うようになりました。そんなロマンを満たすために、まず悩んだ部分は、人にはないロボットだけのユニークな動きや、特性のことでした。人をキャラクター基盤とする場合、ヘッドショット1発、2、3発当たって死んでしまいますが、メカであれば長く耐え、それに伴う様々な被撃反応を見せるでしょう。また、人の構造では行うことができない素敵な動きもすることが出来ます。

キム・ボンチャン(企画室長)

TPSジャンルを超えた新たな挑戦、Next Challenge

コンピュータ技術の発展で、プレイヤーの好みはターン制からリアルタイム、ターゲットからノンターゲットに進化し続けております。プレイヤーは、コンピュータゲームにおいて、より直感的で高速な相互作用を期待しています。直感的で高速な相互作用を最もよく表しているゲームがFPS TPSなどのシューティングゲームです。

しかし、シューティングが持つ限界と欠点も明らかです。私は一人のゲーマーとしてシューティングジャンルが非常に好きです。しかし、年を取るにつれ反射神経がついていかず、死んでくれるモンスターの役割しかできなくなりました。シューティングが与えるゲームプレイの楽しさは明らかなのですが、熟練度の格差に応じてヘッドショットが中心となるゲーム、そのように認識されることがとても切なく感じました。だからシューティングの基本的なゲームプレイをベースにもっと多様な人たちが、その中での役割を担い、プレイヤー間の相互作用が起こりえるゲームを構想しました。

プレイヤーの役割は、さまざまな状況で多くの意思決定を生みます。人間という物理的限界ではなく、メカニックというコンセプトの拡張は、シューティングゲームでより多くの想像力と可能性を提供します。レベルと状況が提供してくれる様々な選択の中で、シューティングゲームの本質をよく守り、効率的かつ効果的な意思決定、 UI 、打撃感や襲撃感、調和された複数の要素がゲームの楽しさの本質によく溶け出すことができるように悩んで、さらに悩んで、開発を続けています。

北米では、すでに撮影にRPGを融合する試みが進められています。その中でそれなりに成功し、結果を出したゲームもあります。これらのRPGメカニズムが加わったシューティングゲームが将来的には普遍的なゲームのジャンルになると考えています。

Project 魂は個人のシュートティング力だけが優先していた既存のシューティングゲームの文法から発展し、単純な既存のゲームの踏襲ではなく、より細分化された意思決定、プレイヤーの役割を提供し、個人的なゲームプレイから離れてプレイヤー同士の相互作用により、共にプレイする楽しさを与える体験を提供することでしょう。

Project魂は、既存のシューティングやRPGで体感できなかった新しいものを提供するゲームになるでしょう。

ヤン・ジホ(グラフィックチーム長)

終わりがない戦争の中に蘇える英雄メカニック兵器

「メカニック」です。様々な戦術のために武器とパーツを交換し、戦いに有利な状況を作るために変身をするなど、コンセプト的にもゲームプレイ的にメカニックという要素がシューティングジャンルにおいて、持続的なプレイを促すに最適な要素だと思いました。

映画トランスフォーマーを見ると、巨大ロボットが変身するという事実だけで、想像力と興味を刺激するでしょう?単に変身するということだけでなく、その変身が戦術的プレイにつながる可能性ある、そんなデザインにとても深く悩みこみました。実際にはそのようなデザイン的なコンセプトがまだ100 %反映されたのではありません。

圧倒的である事と、ロボットらしさも問題なのですが、そのデザインが「かっこいいか」かが感じられるかという部分が、未だ今後も私たちが解決しなければならない部分だと思っております。限界を破る挑戦は避けられない選択です。

写実的な光を表現するレンダリング処理、ボリューム感のある自然なエフェクト、過剰なネットワーク負荷を軽減するためのいくつかのトリックたち、メカニックに使用された膨大な数の骨( Bone )とアニメーションの分散処理、シューティングの素早い操作感に対応するゲームロジック...小さいながらも決しておろそかに出来ない、このすべての技術が集まり、今のプロジェクト魂となり、今までに無かった新しい経験をプレイヤーに提供できるようになったと思います。
まだ改善すべき部分は多いのですが、プロジェクト魂は、今まで見られなかった次世代ゲームの新しいビジョンを提示することができると確信しています。

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