韓国・釜山で行われたゲームショウ「G-STAR 2014」において、大作オンラインゲーム「キングダムアンダーファイア2」のPS4版がお披露目された。2015年夏の発売に向けて、開発会社BLUESIDEのCEOに意気込みなどを伺ってきた。
BLUESIDEが開発中の「キングダムアンダーファイア2」(以下、KUF2)は、MMORPGとRTSを融合させた斬新なオンラインゲームである。そのKUF2のステージイベントが、韓国・釜山で開催されているゲームショウ「G-STAR 2014」のSony Computer Entertainment Korea(以下、SCEK)のブースにて行われた。
ステージイベントではKUF2の魅力があらためて紹介されると共に、PS4・韓国語版の発売時期が2015年の夏であることが、BLUESIDEのCEO兼プロデューサーを務めるSangYoun Lee氏により直接語られた。現在、韓国ではPS4が大きな盛り上がりを見せているが、その一方で韓国語へのローカライズなどを含めると、タイトルのラインナップがまだまだ不足している。このまま開発が順調に進み、2015年夏にKUF2がFree to Playのタイトルとして登場すれば、PS4のキラータイトルになる可能性が十分にあるだろう。
SCEKブースでのステージイベントの終了直後、SangYoun Lee氏への取材を行ったので、その内容を紹介しよう。なお、KUF2の基本的なゲームシステムに関しては、東京ゲームショウ2014関連記事で紹介しているので、未読の方は先にご覧頂きたい。
KUF2の開発を本格的に開始されたのは、今から6年近く前の2008年頃である。当初は“MO+RTS”のゲームジャンルとして、2012年にリリースする予定で作られていたのだが、各国のゲーム市場を調査した結果、MMO要素が不可欠だと判断し、発売直前に大胆な方針転換を決断。その結果、開発期間・費用共に大きく増してしまったわけだが、それだけに今回のステージイベントでファンに対して発売時期を直接伝えることができたのは、Lee氏にとって感無量だったとのことだ。
韓国のゲーム市場は、数年前からモバイルゲームが席巻しており、1~2年前の時点ではライト一辺倒だったのだが、少しずつ“ミドルコア”寄りになってきている。例えばNCsoftやNEXONは、この動向を先読みし、ミドルコア向けのモバイルゲームを続々と開発しているのだが、こういった動きはKUF2にも追い風になっているとLee氏は考えているようだ。
気になる話だったので詳しく聞いてみた。氏の話をまとめると、ライトなモバイルゲームで新たに“ゲーム”という娯楽に初めて触れる人は大勢いるが、その中には、より高いゲーム性を求めるニーズが必ず表れてくる。そういった人に対する受け皿として、ミドルコアなモバイルゲームを展開するNCsoftやNEXONの姿勢は、ある意味で正しいが、それだけではカバーしきれないとのことである。
たとえばスマートフォンは画面サイズやバッテリーなどに限界があり、PCオンラインゲームやコンソール機でなければ得られないゲーム体験は、これからも求められる。また、モバイルゲームによってゲーム市場そのものが拡大しており、長い目で見ればKUF2のようなハイクオリティなゲームに対するニーズも必ず高まる。Lee氏は、韓国でモバイルゲームが盛り上がりを見せた数年前から、この信念を持ち続けており、最近になってそれがようやく表立って現れてきたと。「2015年夏」というリリース時期も、タイミング的にも追い風だと感じているそうだ。
今回の発表はPS4版に関するものだったので、PC版の進捗についても聞いてみた。PC版の開発作業そのものは問題なく、後は各国のパブリッシャーとの足並みを調整している段階だそうだ。ゲームの基本システムはほぼ完成しており、現在は細かなバグフィックスと、オンラインゲームとして長く遊んでもらうためのサイクルコンテンツの開発に注力しているという。
具体的なサービススケジュールに関しては、まずは中国で、クローズドβテストに関する情報を近日中に発表予定。その後はオープンβテストを、中国と韓国のどちらで先に行うか検討している段階だそうだ。気になる日本版に関してだが、中国や韓国よりは遅れてしまうものの、それでも2015年内にサービスできるよう努力しているとの回答であった。
弊誌では今から2か月前の東京ゲームショウ2014の際に、このKUF2を詳しく取材している。ゲームの基本システムは当時から大きくアップグレードされていない、というか、既にほぼ完成されている。とはいえ、せっかくの取材の機会なので何か新情報が得られないか相談したところ、PvP系コンテンツを実機プレイで紹介してもらえた。PvP中の画面撮影は行えなかったが、どんな雰囲気かざっくり紹介してみたい。
KUF2のPvPは大きく分けて2種類があり、ヒーローのみを操作するプレイヤーが最大16vs16で戦うゲームモードと、部隊を含めて操作するプレイヤーが最大4vs.4で戦うゲームモードがある。今回の取材時は、よりKUF2らしいPvPということで、部隊を率いたPvPモードを見せてもらった。
本作のゲームエンジンは、その気になればマップ内に最大1万体以上のユニットでも処理できるが、あまりに多すぎると逆にプレイヤーが混乱してしまうので、あえて数を抑えている。今回取材したPvPモードでもユニット数は大分抑えているそうだが、ざっと見ても画面内に500~1000近くのユニットがわらわらと動いている。カメラワークを引いて俯瞰すると“戦場”そのものの臨場感だ。
このPvPモードにおいて一人のプレイヤーは、“ヒーロー+3つの部隊”を操作し、それが最大4vs4で集まってバトルを繰り広げる。各部隊は個性たっぷりで、見上げるほどの大きさのジャイアント部隊が真正面から敵を踏み潰したり、高台を確保したカタパルト部隊が一方的に攻撃したり、飛空艇に乗った砲撃ユニットが地形を飛び越えて相手本陣を強襲したりと、部隊によってさまざまな戦術が繰り出せる。
もちろん部隊同士には相性があり、状況によっては“詰んで”しまいそうにも思えるが、実はプレイヤーは3つの部隊の他に、ストック用の部隊を7つ所持しており、適宜入れ替えることが可能だ。たとえば上述のカタパルト部隊に対しては、素早く移動できる部隊に切り替えたうえで、懐に潜り込ませるといった戦術を採ればよい。見た目的にはRTSに近いものの、PS4のコントローラで快適に操作できており、UIにもかなりの自信があるようだ。
ちなみに部隊に関してだが、人間やエルフなどの種族ごとに、クラスチェンジ用のツリーが用意されている。同じ人間でも最初はノービスだが、剣士・弓兵・騎兵・砲兵などに派生しつつグレードアップさせられるのだ。しかも人間やデミヒューマンだけでなく、オークや巨大サソリのようなモンスター類にも、立派なツリーが用意されている。これらのツリーの種類は20種、クラスの種類に関しては、正式サービス開始時点で140種類を実装し、今後どんどん増やしていく構えだ。KUF2は本当に長らく待たされたタイトルだが、いよいよ完成に近づいていることが実感できた「G-STAR 2014」の出展であった。