DMM.comが12月16日よりサービス開始した「V.D.-バニッシュメント・デイ-」。今回、本作のプロデューサーの土田俊郎氏と、音楽担当の下村陽子氏にインタビューを行った。
「V.D.-バニッシュメント・デイ-」は、配置や装備などのさまざまな要因が勝敗を分ける戦略性の高いタクティカルバトルRPG。大地震直後に地図から姿を消してしまった日本を舞台にしており、プレイヤーは教師となって、生徒である少年少女と共にレイマン・インダストリーと呼ばれる企業から日本を解放していくことになる。
ここでは、数々の名作を作り上げてきた本作のプロデューサーの土田俊郎氏と、音楽担当の下村陽子氏にインタビューを行ったのでその内容をお届けする。
バトルではキャラクターの配置が重要
――土田さんはロボット系のゲームを制作しているイメージだったので可愛い女の子が出るゲームを制作しているのが意外でした。
土田氏:可愛いキャラクターが嫌いというわけではありません(笑)。ただ、少年少女たちが戦う理由や、そのときの心の動きは真面目に制作しています。ストーリーの展開的にはシリアスになっていまして、そういう意味では下村さんに作曲して頂くときに徐々にストーリーがハードになってくるので、意識して制作してくださいと頼みました。
――キャラクターの入手方法はどのようになっていますか?
土田氏:“エージェント”というアイテムを使って、資源をあげることでランダムでキャラクターをスカウトしてきます。1個の“エージェント”につき1回スカウトすることが可能です。
――キャラクター合成などの要素はありますか?
土田氏:本作ではバトルをプレイすることを楽しんでいただきたいので、敵を倒して経験値を獲得することが成長の中心になっています。また、キャラクター合成をすることでレベルの上限が上げることができます。
――キャラクターの進化はあるのでしょうか?
土田氏:育てているキャラクターに愛着をもっていただきたいので、考えていきたいですね。
――登場キャラクターは何人いますか?
土田氏:キャラクターの数が多いと、思い入れがなくなってしまうので、最初は多くはありません。ただ、本作には自分たちの部隊のほかにも、さまざまな部隊が日本を解放するために戦っています。そういう人たちといがみ合ったり、助けあったりしていくストーリーが展開していくなかで、ほかの部隊のキャラクターたちをスカウトできるようになります。最終的にそれなりに多くのキャラクターをスカウトできるようになる予定です。
――登場キャラクターにはジョブなどが設定されていますか?
土田氏:基本はスナイパー、アサルト、ヘビーガンナーで3すくみになっています。メディックとエンジニアは得意な敵、不得意な敵はありませんが、その変わりに特別な能力を持っています。
――ということはバトルでの配置が重要になってくるのでしょうか?
土田氏:バトルがはじまると敵と味方が向かい合った状態になるのですが、プレイヤーはGOボタンを押すだけであとは自動的に進んでいきます。戦闘するフィールドは敵と味方それぞれに前列4、後列4の計8マスで構成されており、各マスにキャラクターを配置します。キャラクターのジョブや配置する場所によって攻撃の仕方が異なり、例えばアサルトやヘビーガンナーを後列に配置してしまうと基本的に攻撃はできませんが、キャラクターによってはスキルの発動が可能です。配置はバトルのターンが終了するごとに変更できます。
また、後列のキャラクターが敵のターゲットになった場合、前列にキャラクターがいれば、守ることができます。ですので、攻撃されたくないキャラクターの前に誰かを盾として置いておくのも有効な戦術です。メディックには、回復範囲があり、そこに配置したキャラを1ターンに1回だけ体力を回復してくれます。ピンチになったキャラクターは、メディックの回復範囲に配置してあげるといいでしょう。ただメディック本人は打たれ弱いので、味方に守ってもらわないとすぐ倒されてしまいます。
――スナイパーは前列にいた場合に攻撃しますか?
土田氏:スナイパーは攻撃するのは後列、アサルトとヘビーガンナーは前列になります。攻撃しない列に配置するとスキルを発動するキャラクターもいますので、それぞれの特性に合わせて配置を考えると戦略の幅は広がります。
――配置によって攻撃する順番が変わることがあるのでしょうか?
土田氏:配置では変わりませんがエンジニアのスキル効果で味方の行動する順番を早くしたり、敵の動きを遅くしたりできます。
――ストーリーを進めていくと選択肢があるようですが、選択次第でストーリーに変化はありますか?
土田氏:選択によって入手できるものが変わったり、展開が変わるということはありません。選択肢は、自分が会話に参加する感じを演出するためのものです。
――日本を解放していくストーリーということでしたが、47都道府県分あるのでしょうか?
土田氏:それだとあまりにも多すぎたので九州北、九州南のように分かれているところもあります。都道府県のなかにはストーリーがないところもありますが、そこはイベントなどで追加するかも知れません。
――課金アイテムはどのようなものがありますか?
土田氏:新たな兵士をスカウトしてくるのに必要なエージェント、新たな武器を開発するのに必要なフェロー、あとキャラクター達は出撃を繰り返していくとスタミナを消費していくので、それを回復するナースなどがあります。
疾走感と悲壮感が融合した音楽作り
――下村さんはファンタジー系の楽曲を多く作っている印象がありましたが、今回の作曲するにあたって気を使ったところを教えてください。
下村氏:今回が特別にというわけではないのですが、私の音楽というよりはゲームに合ってる音楽をとにかく作りたいという思いがありました。プロデューサーが土田さんなので、ヘビーでシリアスな雰囲気を意識しました。
――土田さんと下村さんでゲームを制作するのは久しぶりだと思いますが、打ち合わせは多かったのでしょうか?
土田氏:常に打ち合わせをしているわけではなく、最初にお会いしたときに「キャラクターは可愛らしいのですが、ストーリーはハードな展開になると思います」という話をしました。そのあとは2行ぐらいの文章で、「戦闘に行く前に流す曲でこういう感じにしてください」という軽い指示だけでした。
下村氏:最初に打ち合わせをしたときに頭のなかでイメージができていて、そういうときは大体ゲームの内容とあってることが多いので、そのまま曲にしました。
思い出したんですが、ほとんどの曲がOKをもらっていたのに1つだけ使われなかった曲がありまして(笑)。その曲がすごく可愛らしい曲だったんですよね。土田さんから「可愛いすぎます!」って言われましたね。
――その曲はどこで使われるものだったのでしょうか?
土田氏:不安になったときの曲、怒っているときの曲などさまざまな曲を作って頂いたなかで、コミカルなことをしているときに流れる曲をお願いしていました。
下村氏:普通に楽しい雰囲気の曲を作ったはずなんですけど……。普通に楽しい曲だと楽しすぎたのかなと思いましたね(笑)。
――本作は全体で何曲ぐらいの作ったのでしょうか?
土田氏:10曲以上お願いしています。
下村氏:バトルの曲だけで4曲もあるんですよ(笑)。
土田氏:バトルのシチュエーションによって変わることもあるので、そこも演出的には面白い部分だと思います。危険な場面でも疾走感ある曲を作って頂いたので、戦闘がすごく楽しくなっています。
――今回、作曲するうえで影響を受けた曲はありますか?
下村氏:実は今回はまったくないんですよね。土田さんに参考になる曲はありますかと聞いたところ「すべてお任せします」とのことだったので、なにも意識せずに制作しました。実際に曲を作り始めるときに「こんな曲がいいじゃないかな」と思うことはあるのですが、今回は土田さんと話をしているときに頭に思い浮かんだものを形にしています。
――指示書のようなものはあったのでしょうか?
下村氏:絵やシナリオは頂いていました。
土田氏:先に見せていたのがキャラクターの絵だったので、曲が柔らかくなりすぎないか心配していましたが、自分の想像どおりの曲ができていました。
――作曲するにあたって苦労した点は?
下村氏:やはり締切ですかね(笑)。今回は曲を制作するにあたって困ったということはなかったですね。
――どのような点を心がけましたが?
下村氏:やはりヘビーだったり、悲しい雰囲気のメロディーにすることです。悲壮感があるけどプレイしていて気持ちいいという感覚は残したいと思いました。あと、本作は生演奏を収録させて頂いたので、かなり攻めている曲が多いと思います。
土田氏:打ち込みで作った曲がクローズドβテストでは流れていましたが、正式サービスのときには生演奏で収録した曲が流れます。
バトルとキャラクター集めの楽しさを追求
――本作の見所などを教えてください。
土田氏:バトルとキャラクター集めの楽しさを追求したゲームにしたいと思って制作しています。ブラウザゲームなので、簡単な作りにしてありますが、迫力のあるバトルが楽しめるようになっています。
下村氏:今回は土田さんとご一緒させて頂いているということで、できるだけ土田さんの作る世界観を壊さないように頑張って作りました。ゲームと一緒に音楽も聞いて頂けるとうれしいです。
土田氏:ストーリーの流れが本当に曲とマッチしているので、ミュートにしないで聞いて頂きたいですね。
――今後のアップデート予定について教えてください。
土田氏:来年の春頃までにどんどんストーリーやキャラクターを追加していく予定です。それ以外は今後の楽しみに取っておいて欲しいと思います。
――下村さんの曲も今後増えていくのでしょうか?
土田氏:シチュエーションによって流れる曲が変わるので増えていく予定です。
――最後の今後の意気込みをお願い致します。
土田氏:本作は、コンソールのRPGのように、ストーリーを進めながらキャラクター達を成長させて敵を倒してくという作りになっていてストーリーに添って遊んでいくだけでも楽しめるように意識して制作をしていますので、そういうゲームが好きな方は是非とも遊んでみていただきたいです。一方でオンラインゲームということで、お客様の声を聞きながら新しい要素を追加していくことも考えています。
気に入ってくださったお客様により楽しんでいただくようなことも色々と考えていきたいので、そちらも期待していただきたいですね。
下村氏:音楽はずっと使われていくものなので、追加されるということはあまりないと思うのですが、このゲームには長くサービスをして頂き、音楽をどんどん追加してヘビーな世界に引き込んで欲しいと思います(笑)。
――ありがとうございました。
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