2014年12月29日、ゲームオンはオンラインFPS「Alliance of Valiant Arms」のオフラインイベント「AVAれ祭2014 -後楽園の陣-」を開催した。
今回開催された「AVAれ祭2014 -後楽園の陣-」では、2014年10月から始まっていた「AVARST2014 Season3」のトーナメントを勝ち抜いた4チームによる爆破/護衛の2つの部門の大会が行われた。
大会の前には運営プロデューサーの井上洋一郎氏らがここまでの予選を振り返ったり、Siotan..さん、シャルお嬢様★さん、びすたぱみゅぱみゅさん、Forza.Takiさんらトップランカー達による解説「AVA論」などの様々な催しを実施。また「祭り」ということで、会場にはまるで縁日のようなアトラクションが多数設置され、射的やわたあめといった出店が並ぶという、ゲームのイベントではなかなか見られない光景が繰り広げられていた。
そんな本物の祭りさながらの盛り上がりの中で行われた、2つ決勝戦の模様をお送りしよう。
逆転に次ぐ逆転、最後に日本一の栄光を手にしたのは……
大会がスタートして行われたのはAVAの特徴的なルールの1つでもある「護衛」部門。プレイヤーは攻撃側と防御側の2チームに分かれ、攻撃側は戦車を修理しながら3つの防衛ラインの突破を目指し、防衛はそれを可能な限り阻止するという、いかに相手を倒しつつ戦車に気を使うか、それぞれにチームごとの役割分担が重要となるルールだ。
ここまでの激戦を潜り抜けて決勝まで勝ち残ったのは、前回大会の覇者「Recycle」と、準優勝チームである「DeToNater」の2チーム。前回大会となる「season2」の決勝でも対戦した因縁のあるチームだが、その際には無敗で予選を突破し、ダブルイリミネーション方式による1戦分のアドバンテージを得られる「Winners」チームとなっていた「Recycle」がアドバンテージを生かした僅差で勝利。だが今大会では「DeToNater」が「Winners」チームとなっている上、両チームの予選での対戦時は攻め側となった「Recycle」が第1防衛ラインの突破に手間取り、そのままズルズルと攻めきれないまま「DeToNater」が勝利を納めるという結果に終わっており、前回大会とは立場が入れ替わった状況で試合はスタートすることとなった。
最初に試合を有利に運んだのは、そのやや有利な立場の「DeToNater」。残り時間を約10分近く残した状態で第2防衛ラインを突破するという抜群のペースで、あっという戦車を進行最終防衛ラインへ近づけていく。中でも一際会場を沸かせたのはチームのスナイパーを務めるMchik選手。属に言う鮮やかなクイックショット(事前に照準の位置に敵が来るようにあわせ、スコープの覗きこみの瞬間とほぼ同時に発砲するテクニック)の連発で次々と相手を仕留めていく様子には、会場に集まった多くのプレイヤー達からは「信じられない」というどよめきが上がっていたほど。護衛のルール上、相手を何人倒したかは試合の勝敗には直接影響はないのだが、試合中ほぼ常に3倍近いキルレシオ(相手を倒した数と倒された数の比率)を維持し続けるという飛び抜けた成績を叩きだしていたことからも、その活躍の凄まじさを伺い知ることができるだろう。
だが、AVAプレイヤーならご存じの通り、難関となるのはこの第2防衛ラインの先。守りが一層厳しくなる最終防衛ラインの突破は容易ではない。「DeToNater」側は、戦車がしばらく停止している場合にのみ使用可能な、相手の位置を把握できるようになる航空偵察を利用して相手を倒し、その間に一気に戦車を進めるという戦術を狙うも、「Recycle」がこれを見事に封殺。航空偵察のタイミングで攻める「DeToNater」側の頭数を逆に減らし、戦車の前進を阻止していく。
だが、それでもなんとか残り3mの距離まで進めていた「DeToNater」が防衛線のほんの僅かな隙をついて修理を完了させ、残り40秒近くというタイミングで突破に成功。まずは「DeToNater」が勝利を収め、優勝に向けてリーチをかける。
攻守を交代して行われる次のラウンドでは、序盤こそ第一防衛ラインの突破に時間をかけさせた「DeToNater」が優勢かと思われたが、中盤からじわじわと「Recycle」が追い上げる。オールダウン(相手チームを全て倒した状態)を何度も奪い、戦車を破壊するのに必要となるRPGを徹底的に使わせない連携で戦車の安全を確保し、残り時間に5分近い余裕をもたせた状態で最終防衛ラインを突破。第2戦目への望みを繋ぐ。
そして第2戦でも、先ほどのラウンドで快勝をみせた「Recycle」が勢いそのままに好調な滑り出しを見せる。重要ポイントの1つであるガソリンスタンドにSz.keiya選手が陣取って「DeToNater」の注意を引きつけている間に修理を完了、さらにRPGを取りだそうとする相手を先読みし、既に裏取りができる位置に待ち伏せたほかのメンバーが仕留めていきオールダウンを奪うという理想的な連携で瞬く間に戦車を進めていく。
だがここから「DeToNater」も意地を見せる。徹底して戦車を進ませないよう守りを固め、気がつけば最初のラウンドの再現のように、第2防衛ラインの先で時間だけをじわじわと経過させ、試合のペースを取り戻していく。
そんな膠着状態が続く中、残り時間が2分を切ったところで戦車が一気に最終防衛ラインへと接近。航空偵察も間に合わないという残りわずかな時間で、ラインを突破するギリギリ手前の位置で戦車が停止してしまう。こうなってくると作戦も何もあった状況ではなくなり、お互いとにかく戦車の回りにいる敵を倒し合うという大混戦に発展。そんな中、不意をついた「Recycle」側の修理が成功し、残り時間約30秒というギリギリのタイミングで突破に成功。ついに成績をイーブンへと持ち込む。
再び攻守が入れ替わる第4戦では、個々のプレイヤーの活躍が際立つものに。中でも会場を盛り上げたのは「DeToNater」チームのRaz_Berry選手で、序盤はスナイパーライフル、混戦となった中盤からはショットガンに持ち替えて突撃、RPGとその周囲の護衛に接近し、次々と倒していく鬼のような姿に会場は大盛り上がり。
対する「Recycle」側も、さくたろう..*選手が戦車を修理する相手を狙うのに最適な、戦略上の重要度の高さから激戦区となるビルを徹底して守りきる役割に徹する見事な仕事ぶりを見せ、「DeToNater」の勢いを食い止める。互角の戦いが繰り広げられる中、やがて残り時間3分をきった所で突破直前の位置に戦車が停止するという、奇しくも今後は第3戦の終盤とほぼ同じ状況に。
もはや勝利は目前の「DeToNater」が、ここにきてついにオールダウンを取ることに成功。しかし、修理が完了するかと思われたギリギリのタイミングで、リスポーンで戻ってきた「Recycle」がそれを食い止めるというこの日一番となる熱い攻防が展開。試合終了間近、最後の航空偵察のタイミングにあわせて「DeToNater」はもう一度オールダウンをとっての戦車修理の隙を狙うも、これを1人生き残っていた「Recycle」のYuzuki.*選手が寸前の所で阻止!リスポーンで戻ってきた「Recycle」メンバーも合流し、再び混戦となりかけたところで、タイムアップにより防衛が成立。息つかせないギリギリの戦いを制した「Recycle」が、見事「護衛」部門の連覇を成し遂げた。
日本最強チーム「DeToNator」がその強さを見せつける!
後半から行われた「爆破」部門の決勝戦は「DeToNator」と「Galactic」という共にAVAを代表する強豪クラン同士の戦いに。爆破部門は、制限時間以内に爆弾が爆発するか、相手チームを全滅させることで勝敗が決まるルールで、リスポーンがないため先ほどとは打って変わり静かな緊張感に満ちた戦いが展開されることになるのが特徴だ。
なお「DeToNator」は護衛部門の準優勝を果たしたチームと同クランなのだが、メンバー構成は全く別。こちらも「爆破」部門の大会では4連覇中という圧倒的な強さを誇るチームだ。だが対する「Galactic」もそれに見劣りしない数々の入賞実績を誇るクランで、この2チームはかつて同じクランに所属していたメンバー同士ということもあり、「DeToNator」とは頻繁に練習試合を行っているという互いの手の内を知り尽くした関係。練習試合の成績は5分5分ということもあり、力関係は互角といってもいいだろう。
しかし、いざ試合がスタートすると、防衛側となった王者「DeToNator」がその貫禄を見せつける。第1ラウンドで開幕早々に2人を倒し、その数の有利を活かす形でストレートの勝利を飾ったのを皮切りに、次々と勝利を重ねていく。
試合が開始してしばらくは「Galactic」側が人数有利を作る場面も少なくないのだが、「DeToNator」は残りが1人、2人になってから個々の粘りが凄まじい。中でも「今日は負ける気がしないくらいエイムの調子がいい」と自信を覗かせていたリーダーのDarkよっぴー選手が言葉通りの活躍。ラウンド終盤の2対1の不利な状況からも、気がつけば相手2人を仕留めての逆転勝利を何度も決め、その凄まじい強さには会場の誰もが魅入っていたほどだ。7-1という、昨年のAVA祭りの決勝戦を彷彿とさせる圧倒的な差で第1試合を制し、まずは「DeToNator」優勝へ大きく大手をかける。
だが攻守を交代しての第2試合の最初のラウンドでは、多人数で確実に相手を仕留めていく戦法が炸裂し、「Galactic」が初のリードを奪うことに成功。先ほどとは攻守が入れ替わっていることもあり、これで流れが変わるかに思えた。
だが、そこはさすがの「DeToNator」。次のラウンドをあっさりストレートで取り返すと、AksyS選手がスナイパーライフルで1ラウンド4キルを達成し、一時期は11キル1デスという相手の気力をそぎ取る凄まじいキルレシオを叩き出すという乗りに乗った状態に。
「Galactic」も意地をみせ、そこからなんとか1本は取り返すも、絶好調の「DeToNator」の流れを食い止めることはできず、最終的には7-2という大差で「DeToNator」が2戦目も制し、大会5連覇という偉業を達成。マップと装備の構成から3戦目以降は「Galactic」側が有利とされていたため、「DeToNator」は2戦目で一気に勝負を狙うという作戦だったそうだが、まさにその言葉の通りの結果となった。
大会の終わりには、それぞれの部門の入賞チームに向けた表彰式も行われ、優勝賞金や賞品、トロフィーなどが井上運営プロデューサーから各チームに送られた。
それぞれの部門での優勝チームに今の気持ちを尋ねられ、Recycleのリーダーであるさくたろう..*選手は、「本当に疲れきった感じです(笑)。いい勝負ができ、勝てたのは奇跡に近いかなと。つぎは3連覇を目指します!」と謙虚なコメント。
一方の「DeToNator」リーダー・Darkよっぴー選手は、「日本ではこうしていい結果を残すことができましたが、世界大会ではまだ力不足を実感しました。やらなくてはいけないことはまだまだ多いので、AVAというゲームへの理解をより一層高めていかなくてはいけないと思っています。世界一を目指します!」と、早くも次の世界大会に向けた意気込みを語りつつ、「ここまで来たのはサポートしてくれている企業や、大会を運営している関係者、見に来てくれている人のお陰だと思っています」とこれまで大会やチームを支えてくれた人々への感謝の気持ちも忘れなかった。
最後は井上運営プロデューサーが「振り返ってみると非常に勉強や参考になるシーンの連続だったんじゃないかと思います。ゲームを作る我々自身も見る目を養い、更なる高みがある場を作っていきます」と今回の大会を総括しつつ、今後の運営に向けた意気込みを語り、今年も数々の名勝負を生み出した“祭り”は盛大に締めくくられた。
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