スクウェア・エニックスが本日3月19日に実施した「ファイナルファンタジーXI」の新規プロジェクト「ヴァナ・ディールプロジェクト」のプレス発表会。本稿では、最終章シナリオ「ヴァナ・ディールの星唄」をはじめ、スマートフォン展開についての発表をまとめていく。
恵比寿ガーデンプレイスにて執り行われた本発表会では、今年5月にサービス14年目を迎える「ファイナルファンタジーXI」のさらなるユーザー満足度向上を図るために発足された、「ヴァナ・ディールプロジェクト」の詳細についてが明かされることとなった。
本発表会では3つの新展開として、「ファイナルファンタジーXI」の最終章シナリオ「ヴァナ・ディールの星唄」、「FF XI」の世界観を使用したスマートフォン向け新作MMORPG「ファイナルファンタジーグランドマスターズ」、モバイル端末に向けて調整されるネイティブアプリ版「ファイナルファンタジーXI」の発表が成された。
会場では主催者代表挨拶として、まずはスクウェア・エニックス 代表取締役社長・松田洋祐氏が登壇。「『ファイナルファンタジーXI』は2002年にサービスを開始して、今年2015年5月16日にサービス14年目を迎えます。ここまで長く続けられたのはプレイヤーの皆様方のご支持と熱い支援の賜物です」と述べた。
スクウェア(当時)の2000年代におけるオンラインプロジェクトの大きな柱として打ち立てられた「FF XI」。当時のインターネット環境における大規模な挑戦であったこと、ビジネス的にも歴代タイトルの中で最も利益貢献を上げたタイトルであること、そしてこれからも会社一丸となって育てていきたいと語り、挨拶を締めくくった。
「FF XI」最終章シナリオ「ヴァナ・ディールの星唄」
同社の「FF XI」プロデューサー・松井聡彦氏より発表された「FF XI」の最終章シナリオ「ヴァナ・ディールの星唄」。
本シナリオは14年にもわたるサービスの集大成として、これまでのストーリーに登場した主要キャラクターが総出演する“究極のシナリオ”を目指しているとし、全3章構成で5月・8月・11月に順次実装される。
本コンテンツは拡張ディスクなどの形態ではなく、毎月のメジャーアップデートの中で実装されるものだが、MMORPG史上で最も壮大なグランドフィナーレを迎えられるよう、開発スタッフ総出で制作を進めていることが松井氏より語られた。
なお、本シナリオは「FF XI」における最後の大型コンテンツとなり、2016年にはPS2/Xbox 360版のサービスが終了(PC版はサービス継続)することも決定。しかし、これにより「FF XI」のサービスが終わるということではなく、これ以降もバランス調整・不具合修正などのコンパクトなバージョンアップを提供していくとのことなので、フォーラムなどでの意見は引き続き歓迎するとしていた。
また、最終章シナリオに向けた大規模キャンペーンとして「ヴァナ・ディール☆大感謝祭」の実施も決定。本キャンペーンはこれまでプレイしてきたユーザーへ向け最大限の感謝の気持ちを込め、よりパワーアップしたゲーム内キャンペーン、最終章シナリオのために復帰するプレイヤーのためのウェルカムバックキャンペーン、さらにゲーム内外でも記念企画や、オールインワンパッケージのディスカウントが予定されている。
この機会に復帰したいというプレイヤーには朗報だ。
スマートフォン向けMMORPG「ファイナルファンタジーグランドマスターズ」
2つ目の発表は、「FF XI」の冒険の舞台となるヴァナ・ディールの世界観を使って展開される、スマートフォン向け本格MMORPG「ファイナルファンタジーグランドマスターズ」。本作は3つのコンセプトとして、
- 「ファイナルファンタジーXI」の世界観で楽しめる
- スマートフォンでプレイできる
- MMOらしさを手軽に体験できる
この上記3点を軸に開発されているタイトルで、開発はクルーズとの協業で進められている。ここでは本作のプロデューサーを務めているスクウェア・エニックスの渕上貴史氏と、クルーズの代表取締役社長・小渕宏二氏が登壇し、「本作の開発を担当できたこと、またスクウェア・エニックス様と共同で開発を進めていることを光栄に思います。『ファイナルファンタジーグランドマスターズ』は私としても相当な手応えを感じる作品となっていますので、ユーザーの皆さんにはリリースまでお待ちいただければと思います」と語った。
続いてクルーズより取締役・古瀬祥一氏、ディレクター・加藤督樹氏が登場し、渕上氏と松井氏を加えた計4名で、本作のタイトル紹介と共に開発の経緯などが語られた。
本作は「ファイナルファンタジーXI」をベースとし、FFシリーズならではの世界観に基づいた、壮大な物語を体験できる完全新作のMMORPG。プレイヤーはヴァナ・ディールで最強の冒険者“グランドマスター”を目指すため、世界中を飛空艇で駆け巡りながら、仲間とともに強大な敵に立ち向かい、物語の核心へと迫っていく。
本作を最初に企画した渕上氏は、松井氏に企画の相談をした時が一番緊張していたと述べていたが、松井氏は「FF XI」開発陣とも同じようなゲームを構想していたこと、渕上氏の目が勝気に溢れていたことを理由に、渕上氏にヴァナ・ディールの新たな世界を任せたという。
対して、クルーズ側も非常にモチベーションが高いらしく、開発スタッフには「FF XI」のハイレベルなプレイヤーはもちろん、「FF XI」をきっかけに現実で結婚した人など、本プロジェクトに対する理解度の高い人、言い換えれば「FF XI」が大好きな開発スタッフで構成しているとのことで、松井氏から見ても「楽しんで開発に携わっているのが分かる」ような環境であるとか。
渕上氏と松井氏は物語や設定などの監修をしているようだが、仕様書と見間違うほどの量で出てきた企画書と、監修がいらないくらい「FF XI」らしいものが出てきたことから、「多少窮屈な設定は壊していいです!」と新たな作品の創出に期待をかけたとしていた。
また、タイトル付けには特に難航したとのことで、色々あったなかでゲーム内における最強の称号の名を採用し、シリーズ経験者・未経験者を問わず参入しやすいようにしたという。略称のグラマスも実に言いやすい。
なお、「ファイナルファンタジーグランドマスターズ」はクエストをプレイし、装備の獲得・強化を進めながら、次のクエストに挑んでいくというゲームサイクルとなっており、同じクエストを受けている人とリアルタイムでプレイやコミュニケーションが図れる仕組みだ。
また、「FF XI」の名に恥じない本格的MMORPGの作りでありながらも、スマートフォンゲーム=1人で気軽にプレイすることが多いという前提があるため、1人でも手軽にサクサクと遊べるような設計にしているとか。ただし、ゲームに出現するボスは強く、1人で倒しても4人で倒しても各々の獲得報酬が減らない&変わらないという仕様のようなので、“気軽に多人数プレイ”という気持ちで参加するのが大切そうだ。
ちなみに、来月4月には早くもβテストの実施が決定されている。開発は現在進行中なものの、キャラクターやゲームデザインについてはほぼ完成していて、軽量化や通信料などのブラッシュアップを進めているのが現状らしい。ベータ版の時点で完成版に近くものをリリースし、ユーザーからのフィードバックを得た後にさらなる改善を施していくというから、相応に期待をしていても良さそうだ。
ネイティブアプリ版「FF XI」
最後に発表されたのは、モバイル端末で遊べるネイティブアプリ版「FF XI」。松井氏は「FF XI」について「サービス開始から14年もの歳月が経ち、ゲーム機の前で腰を落ち着けてプレイすることが少なくなった」というユーザーからの声を聞く機会があったことから、今回の企画に乗り出したとしている。
アプリ版の配信はネクソンが担当し、2016年に日本・韓国に向けサービスを開始、以降は順次ワールドワイドでの配信展開を予定していることが明かされた。
アプリ版の基本システムはコンシューマ版「FF XI」を踏襲しつつ、こちらもスマートフォン端末にあわせて改善案を適用していくという。具体的には、戦闘のレスポンスの向上、お馴染みのシステムを残しつつブラッシュアップ、パーティ編成の手間を軽減できるシステムの搭載、ソロプレイでも快適に遊べるようフェイスシステムを充実、コミュニティ面ではリンクシェルに加え、MMORPGでは普遍的なギルドシステムなどを盛り込むという。
また、日々のログインが楽しめるよう、イベント企画のほかにも「ダイナミックイベント」という、天候、ワールド状況などのさまざまな要因が絡む突発イベントで、プレイの楽しみを提供していくようだ。
なお、アプリ版は現行でサービスしているプラットフォームとの互換性(キャラクターなど)はなく、プレイの際は完全新規でキャラクターを作ることとなる。しかし、既存プレイヤーには何らかの形で引継ぎ要素を提供していきたいと松井氏は語った。そのほか、利用料金についても現在検討中としており、ローンチタイミングの状況で見極めていくと同時に、新規のプレイヤーでも入りやすいような提供方法にしていきたいとし、発表を締めくくった。
(C) 2002–2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.