ネクソンは、8月30日にユーザーを招いて「Tree of Savior」の先行体験会&座談会を開催した。体験会と座談会の模様と、プレイを通じて判明したシステムを紹介しよう。
本イベントは、日本で本作を初めてお披露目するもので、ゲームプレイのほか開発メンバーとの座談会も行われた。参加者は8月10日から8月17日までの期間に公式サイトで募集され、抽選で選ばれた約20名のユーザーが参加していた。意欲的な参加者が多く、積極的な意見交換が行われた本イベントをレポートする。
冒頭、ネクソンのTree of Savior 運用スタッフの今濱隆一郎氏より、本作の魅力が紹介された。
本作を開発するのは、「グラナド・エスパダ」などを手がけてきたキム・ハッキュ氏が率いるIMC GAMES。舞台となるファンタジー世界は、近年多くのタイトルで採用されている高精細な3Dグラフィックではなく、どこか懐かしい暖かみのある絵画のようなグラフィックになっている。ゲームシステム自体は、オーソドックスでありつつも新しいゲーム体験を提供するものに進化しているそうだ。
本作の特徴のひとつに、数多くのクラスが挙げられる。プレイ開始時は、ソードマン・アーチャー・ウィザード・クレリックの4クラスから選択することになるのだが、転職することで多種多様なクラスに就くことが可能だ。転職ルートによってキャラクターの習得できるスキルも異なるものになっていくため、同じクラスであっても過去にどのようなルートをたどったのかによって異なる強さになる。
本作のフィールドはシームレスに移動するのではなく、各エリアごとにロードするタイプだ。各エリアは、複数の道で接続されており、さらに、低レベルのエリアの隣に高レベルのエリアが存在するフィールド構成となっているため、始めたばかりのプレイヤーが高レベルプレイヤーと自然と接したり、序盤のエリアが閑散としてしまうのを避けることが期待できる。
また、ストーリーにそって展開するメインクエストをこなしていくほかに、プレイヤーが行動することで新たなクエストを発見できるといった試みもなされている。プレイヤーの行動は倒したモンスターの数や入手したアイテム数といった形で情報が冒険日誌に記録され、その結果によって異なるゲーム体験を楽しむことができる。
もちろんアイテムを作ることもでき、製造したアイテムには独自の名前をつけたり、一言を添えることもできるという。
コンパニオンと呼ばれるペットのような要素も存在し、連れて歩けるだけでなく、一部のクラスは上に乗って一緒に戦うこともできる。ステータスは、力・体力・知能・精神・敏捷の5つがあり、ステータスポイントを自由に割り振ることが可能で、どのように振るかによってキャラクターの幅が広がるそうだ。
会場では、ゲストとしてIMC GAMES Vice President Tree of Savior 開発統括のキム・セヨン氏も駆けつけ、挨拶を行った。
ソロプレイとパーティプレイが楽しめた先行体験プレイ
先行体験プレイでは、キャラクター作成から序盤をプレイするソロプレイと、150レベルのキャラクターでパーティを組みダンジョンに挑むパーティプレイの2つのパートに分けてプレイすることができた。限られた時間ではあったが、わかったことをポイントごとに紹介していこう。
自キャラクターが並ぶバラックとキャラクター作成
本作では、アカウントあたり複数のキャラクターを作成でき、作成したキャラクターはバラックと呼ばれる場所に控えている。バラック自体を変更することも可能で、大きなバラックにすればキャラクターの枠を増やすこともできる。
キャラクター作成は、ファンタジー世界の酒場のような画面で行い、ソードマン・アーチャー・ウィザード・クレリックの4クラスを選択可能だ。キャラクターのカスタマイズは、性別と髪型のヘアのみだが、転職した後にクラスごとのコスチュームがもらえるほか、プレイの過程で見た目の変化する装備を獲得したり、一部のアイテムはコンパニオンに装着することも可能とのことで、キャラクターカスタマイズの幅が広がっていくようだ。
ランクとクラス
クラスにはランクが設定されており、ランクが上がる際に次のクラスを選択することができる。パーティプレイで使用した150レベルのキャラクターは4ランクのクラスで、ランクを上げていく際にどのようなクラスを選択してきたかによってもキャラクターが異なる成長をしていくという。
なお、生産職としては6ランクでアルケミストを選択できるそうだ。生産職が上位ランクに位置している理由は、序盤に生産職が選べてしまうと戦闘面での優劣が際立ってしまうからだそうで、本作では生産職であっても戦闘を楽しむことができるという。
レベルが上がるとステータスポイントやスキルポイントを手に入れることができ、その場で好きな能力やスキルに割り振ることが可能だ。どれに振るかによっても個性を出すことができる。
基本操作
操作は、やや特殊で、「Z」キーで物理攻撃、「X」キーでジャンプ、「矢印」キーで移動、「スペース」キーで会話、「A~;」キーでスキルやアイテムなどのショートカットといった具合だ。ドロップアイテムは自動で拾ってくれ、落ちているアイテムもキャラクターが触れることで入手できる。
基本的にキーボードだけで操作できるのだが、実際に遊んでみたところ慣れるのに時間がかかると感じた。ジョイパッドにも対応しているので、ゲームプレイはジョイパッド、チャットはキーボードというスタイルが良いかもしれない。
戦闘
筆者はアーチャーを選択。正面にいる近くのモンスターを自動でターゲットしてくれるので、モンスターに近づいて「Z」キーを押すだけで攻撃できる。倒したあとは自動で次の敵をターゲットしてくれるので遠距離職なら楽にプレイできる……と思ったのだが、思ったよりも攻撃力が低く、そのままだとモンスターに囲まれてしまう。どうやら攻撃をしながら移動するスタイルが良いらしい。
今までのMMORPGの場合、序盤は片手間に遊んでもサクサク進められるケースが多いのだが、本作の場合は、苦戦を強いられることもあり、手応えのあるプレイを楽しむことができた。
現状だと進むにつれてパーティプレイの重要度が高まると感じたのだが、質疑応答ではソロプレイもケアしていくとの回答があったので、今後の調整次第で変わりそうである。
マップとモンスター
フィールドは、暖かみのある美しいグラフィックで描かれており、登場するモンスターも可愛らしく、参加したユーザーからの評価も上々だった。反面、スキル発動のグラフィクなどは、もう少し派手なものが良いといった意見もあったので、今後の調整に期待したい。
網目状につながったマップも独特で、他のMMORPGであればボスが待ち受けているような場所が空き地だったりする。将来、冒険日誌のデータに応じた独自のクエストが発生し、そのプレイヤーのみが挑むことのできるモンスターなどが登場する際に使用されるのかもしれない。
地図は、自身で歩いたエリアが描かれていき、これから冒険するエリアがどんな地形なのかを知ることができない。新しいエリアを自身の足で冒険する楽しさがありそうだ。
各種UIを紹介
気になる要素が詰め込まれた各種UIを画面とあわせて紹介しよう。UIはオンラインゲームに慣れ親しんだ人ならすぐに理解できるはずだ。
インベントリ画面。装備可能部位は13箇所。 | |
冒険日誌。アイテムの個数やマップの到達率など多彩なデータを確認できる。 | |
チャット定型文とゲーム設定画面。チャットはポーズとメッセージをキーに設定可能。 | |
パーティ画面。パーティ募集の細かな設定や「親しさによる」といった項目が気になる。 |
ダンジョンのボスに挑むパーティプレイ
パーティプレイでは、各テーブルごとに5名程度のプレイヤーでパーティを組み「ギンクラス討伐」「サラマンダー討伐」「魔術師の塔2F到達」の3つのミッションに挑むことになった。
ダンジョンでクエストを受けながら進むのだが、パーティメンバーの場所がミニマップに表示されないことと、5つのパーティが同時に同じダンジョンに入ってしまいパーティメンバーとの区別がつかなくなってしまったことが重なり、参加者全員の勢いでクリアする形になってしまった。
ダンジョン内はMMO形式になっているのだが、ボス戦はインスタンス形式が採用されている。ボスの出現エリアにいないパーティメンバーが置いて行かれてしまうなど気になる点も多かったが、みんなでワイワイと戦うのはオンラインゲームならではの楽しさを改めて感じることができた。
座談会では、パーティメンバーの特徴をひと目で分かるようにして欲しいといった意見もあり、多様なクラスが存在する本作だからこそ、わかりやすい形で改善してくれることを期待したい。
積極的な意見交換が行われた座談会
座談会は、パーティを組んだテーブルごとに意見を出し合い発表し、キム氏がそれに答える形がとられた。
どのテーブルからも似たような意見が出され、グラフィックやBGMが良かったといった意見が多かった反面、メンバーの場所がわからないといったパーティプレイのやりづらさや、独特な操作方法への指摘が多かった。その他には、チャットがしづらい、パーティで連携している感じがしない、ヘイト管理をしっかりとしたい、エモーションがもっと欲しいといった声も聞くことができた。
ユーザーの声に応える形でキム氏が回答。チャットについては、シール(チャット欄にアイコンを表示することができる)などで補完しようと考えていたそうだが、キャラクターの表情が変わるような形式も検討するとの発言があったほか、パーティプレイでのメンバーの位置表示はクローズドβテストまでに改善するとの力強い答えも。
パーティメンバーの表示に関しては、同じチャンネルで遊ぶプレイヤーが増えるほど見分けがつかなくなるのだが、本作では、チャンネルあたりのプレイヤー数を100~150人程度と想定しており、その人数以上になると自動的にチャンネルが増えていくシステムになっているとのことだ。なので、実際のサービスでは、今回のパーティプレイのような状況はなかなか発生しないのかもしれない。
質疑応答
質疑応答のコーナーでは参加者からの率直な質問がキム氏に投げかけられた。
対人要素の有無については、5対5のPvPを計画しており、勝利者には名前の横に等級のようなものが表示されるという。冒険日誌内の各種ランキングの上位者にはクーポンなどを配る計画もあるそうだ。
ギルドについては、テンプラーというクラスのみが設立でき、拠点を持ったり、共同生産が行えるようになるという。また、ギルドで討伐するボスなども存在するそうだ。
エンドコンテンツに関しては、コンテンツの消費速度よりも導入速度が上回るようにしたいとしつつも、レベルキャップを開放し続けるよりは、既存コンテンツをもっと面白くすることに力を入れたいと回答。カンストユーザーに向けてはレイドボスなどのコンテンツを用意しているという。
ボスを倒すと手に入ることがあるボスカードについての質問も出た。特定のスキルを使用する際にボスカードが必要になり、ソーサラーであれば悪魔系のカードをつかって召喚可能だ。同じカードを集めて合成すると星の数が増え、能力が上昇する。余ったカードを使ってユーザー同士でカードバトルを楽しむことが可能だ。カードバトルは、ボスの名前の長さや足の本数などを競うユニークなものだという。もちろん、カードなどのコレクション要素も備えている。
課金体系に関する質問も行われたが、課金方法については一切決まっておらず、各種テストなどの結果を踏まえて検討していくとの回答があった。
オープンワールドMMORPG
広大な世界で自由に冒険が楽しめるタイプのゲームをオープンワールドと呼ぶが、本作はオープンワールドMMORPGを謳っている。
本作では、クラス選択の幅の広さ、ステータスの割り振りによるキャラクター自体の個性の自由度はもちろんだが、プレイヤー自身の選択した行動がクエストに影響し、自分だけのストーリーが展開される点がオープンワールドならではのシステムだと感じられた。
通常のMMORPGであれば、多くの経験値を稼げる狩場で繰り返しプレイすることも多いだろう。本作であれば、同じ狩場でモンスターを狩り続ければ、近隣のNPCから感謝され新たなクエストが発生する可能性がある反面、その地域のライバル関係にある別の地域のクエストは受けづらくなるといったシステムも実現できそうである。
2016年中のサービス開始が予定されているが、10月1日から実施されるクローズドβの意見を踏まえて今後のスケジュールが決定されていくものと思われる。すでに何度かテストが実施されている韓国でもクローズドβの状態ということもあり、今回の体験会でも荒削りな点が多く目についた本作だが、美麗グラフィックや高いアクション性が注目される市場で異彩を放ってもらいたい。
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