エヌ・シー・ジャパンがサービス中のオンラインRPG「リネージュ」では、12月2日に「傲慢の塔」がリニューアルされ、冒険がよりスリリングになった。プロデューサーの中村直樹氏にリニューアルの意図や今後の展望を聞いた。
オンラインゲーム黎明期から業界を盛り上げてきた「リネージュ」だが、サービスを開始してから13年目となった今でも、新クラス「ウォリアー」や新コンテンツ「魔族の実験場」の実装といったアップデートが行われ、大いに盛り上がっている。
そんな、「リネージュ」では、2015年を締めくくるにふさわしい大型アップデート「死の神は孤塔に嗤う」が12月2日に行われる。「傲慢の塔」が大幅にリニューアルされるとのことなのだが、その詳細についてプロデューサーの中村直樹氏にインタビューを行った。
――今回のアップデートについて簡単に教えて下さい。
中村氏:今回のアップデート名は「死の神は孤塔に嗤う」で、「傲慢の塔」がリニューアルされます。アップデート名の「死の神」とはボスモンスター「デス グリムリーパー」を、「孤塔」とはリネージュの高難度狩場である「傲慢の塔」を表しています。
「傲慢の塔」のリニューアル以外にも、製作システムの大幅な追加や、新しい変身、さらにUIの修正なども行われます。
「傲慢の塔」が遊びやすくリニューアル!
――新しくなった「傲慢の塔」について紹介してもらえますか?
中村氏:「傲慢の塔」は高レベルのユーザーを対象とした狩場で、実装時に10階層、その後、50階層、100階層と拡張が行われてきました。しかし、高レベル向けの狩場が数多く実装されたことにより、利用されない階層が多くなってしまいました。
今回のアップデートでは、そういった現状を踏まえて、適正なマップ数にリニューアルし、需要と供給のバランスを整えながら、新しい要素を追加しています。
――リニューアルのポイントは?
中村氏:ボスモンスターですね。100階層だったころは、各x0階層(10階や20階など)ごとにボスモンスターが出現していました。ほかの階層にもランダムでボスが出現していたのですが、やはり決まって出現する階層に人気が集中してしまいました。
今回のアップデートで11階層になった「傲慢の塔」では、すべての階層でボスモンスターが出現するようになり、これまで各x0階層で出現していたボスモンスターが出現します。たとえば、1階であれば、10階で出現していた「ディストーション ゼニスクイーン」、2階であれば、20階で出現した「ミストラスト シアー」という具合です。
これまでは、91~99階でランダムに出現していた「ウグヌス」は、今回のアップデートで、10階層のボスモンスターとなりました。そして、ボスモンスターがドロップする素材を用いた新たな武器や防具も実装されます。
たとえば、強化するとダブルヒットの発生確率が高くなる「咆哮のデュアルブレード」、通常のチェーンソードよりも弱点露出の発生確率が高い「殲滅者のチェーンソード」、一定の強化値から攻撃成功のオプションが付与される「激昂のグローブ」など、注目度の高いアイテムが多く登場します。
既存のアイテムですが、「リッチローブ」の能力もリニューアルされ、とても強くなっています。
また、リニューアルにふさわしく多くのボスモンスターのグラフィックも新しくなっています。「アイリス」の髪型がポニーテールになっていたり、ボスモンスターのサイズが大きくなっていたり、いままでとはずいぶん違った印象を受けると思います。ぜひどこが変わったのかチェックしてみてください。
――100階層もあったマップが11階層になってしまって、プレイヤーで混み合ってしまうのではありませんか。
中村氏:階層は減りましたが、もともとの傲慢の塔は各階層が十分な広さを持っていたので、今回のリニューアルで階層が減ってしまってもプレイヤーのみなさんのニーズには十分お応えできると思います。
――リニューアルされた傲慢の塔を攻略するために、何かアドバイスは?
中村氏:8階層と10階層で出現する「サキュバスクイーン」、10階層に出現する新モンスター「パート アスモデウス」には気を付けてください。
「サキュバスクイーン」はヒール魔法の効果を回復ではなくダメージに変える「デスヒール」スキルを使用し、「パート アスモデウス」は「ヒールヘイト」の思考を持っており、ヒール魔法を使用したプレイヤーを積極的にターゲッティングします。
「デスヒール」は、パーティメンバーを助けようとヒールしたのに、ダメージに変わってしまうのですから十分な注意が必要ですね。優秀なヒーラーがいたとしてもポーションは忘れずに持って行ってください。
エリクサーや、あのレアアイテムも製作可能に!
――新しい製作システムとはどのようなものでしょうか?
中村氏:これまで、ログインスタンプキャンペーンなどでプレゼントしていた「ピュアエリクサー」を利用する製作システムが登場します。
なんと「エリクサー」を製作することができるんです。すぐに利用できる人は少ないと思いますが、これからもイベントなどで配布していくので是非作ってみてください。「ピュアエリクサー」 は「傲慢の塔」のボスモンスターのほか、各地のボスモンスターがドロップします。
――装備アイテムはどうでしょうか?
中村氏:2001年の昔から魔法防御(MR)を獲得する代表的アイテムだった「マジックヘルム」の上位アイテム「ディヴァイン マジックヘルム」が登場し、製作することが可能になります。「ディヴァイン マジックヘルム」は、防御力(AC)と魔法防御(MR)の両方が強くなっています。
他にもブラックミスリルアローに地/水/火/風の各属性攻撃力を追加する「属性ブラックミスリルアロー」を、1本あたり5アデナで作ることができます。属性を付与し、モンスターの弱点を突けば、より効率的に狩りが行えるようになるので、弓を使うプレイヤーにとっては大きな変化になります。
――他にも製作できるようになったアイテムはありますか?
中村氏:「アントクイーン ゴールデンウイング」 「アントクイーン シルバーウイング」や「堕落のローブ」「堕落のマント」といった、これまでボスモンスターのドロップアイテムだったレアアイテムが製作可能になりました。
目玉は四賢者(カスパー/セマ/バルタザール/メルキオール)から手に入れることのできる各種「帽子」ですね。素材を集めるのは大変ですが、たとえば、「バルタザールの帽子」であれば1億アデナ以上で取引されることもあるレアアイテムなので、多くのプレイヤーが注目するのではないでしょうか。
新たなHEROランクや、感情表現も可能に!
――その他の注目ポイントは?
今回のアップデートで、他にも特徴的な更新はありますか?
中村氏:リネージュの象徴的なシステム「変身」にHEROランクが追加されます。これまではレベルごとにランクがわかれていたのですが、そこにHEROという特別な枠が追加されるんです。
HEROランクで利用できる変身は「真デスナイト」です。「真デスナイト」は以前から使用することができたのですが、今回のアップデートではグラフィックが進化した「真デスナイト」を使用可能です。
さらに、変身時の能力に「レベル82能力」と「レベル85能力」が追加されます。これまで最高だった「レベル80能力」を上回る力を是非体験してみてください。
UIにも細かい変更が入って、より使いやすくなります。とくにパーティやペット・サモン関係のUIは、わかりやすく、使いやすくなっています。
さらに、本作にも感情表示機能が追加されます。Ctrl+Dで呼び出せる行動ウィンドウに感情の項目が追加されます。アニメーションする吹き出しで、今まで以上に会話が弾むと思いますよ。4つの感情をAlt+A/S/D/Fのショートカットに登録し、利用できるので使ってみてください。
――他にも、何かありますか?
中村氏:実は、新しい装備箇所として「ゲートル(下半身鎧)」が追加されるんです。アイテムは「アイアン ゲートル」が1種類のみですが、韓国ではすでに新しいゲートルアイテムが登場しているので、今後に期待してください。
リネージュの現状とこれから
――11月4日に「魔族の実験場」が実装されましたが、ユーザーの反応はいかがですか?
中村氏:実装当日に大きな不具合が発生してしまい心苦しいのですが、狩場自体には良い評価をいただいています。「魔族の実験場」は、台湾サービスにもありますが、日本で実装されたのはモンスターの能力や報酬に調整を加えた日本バージョンとなっており、内容も異なっています。
韓国サービスには無い、海外の独自コンテンツは調整がしやすいので、プレイヤーの皆さんにの反応などを見ながら、修正を検討しています。報酬の「サクリファイス武器」に関してもアップデートを企画中です。
――2015年に5回のアップデートが行われた「リネージュ」ですが、2016年はいかがでしょうか?
中村氏:先月に韓国で実施された「シーズン4」のアップデートが、2016年で最大のアップデートで、大きな話題になると思います。プレイヤーの皆さんの高い期待も感じているので、応えられるよう気合を入れてがんばりたいです。
ですが、ゲームのシステム上どうしてもアップデートしておかなければならないものもあります。まずは、キャラクターのステータスリニューアルで、3月までに実装できれば良いのですが……。あくまで目標です。
「シーズン4」のアップデートの前に、サーバー間でひとつの対戦エリアを共有するシステムが実装されます。面白いコンテンツになっているので、楽しみにお待ちください。
日本運営としても「シーズン4」の早い実装を目指しているので、来年はいくつかのイベントをスキップしてでもアップデートの開発や検証の間隔を短くしたいと考えています。
――最後に読者に向けてコメントをお願いします。
中村氏:おかげさまで、来年リネージュは正式サービス後14周年を迎えます。サービス終了(休止も!)の予定など全くありませんので、みんなでゲームを楽しんでください。
――ありがとうございました。
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