【オンゲをめぐる】第5回は「ディヴァイン・グリモワール」で3分間の決闘を果たす

新旧・ジャンルを問わず、さまざまなオンラインゲームのプレイレビューを、毎月15日に紹介していく連載企画【オンゲをめぐる】。第5回目は、ベクターがサービス中の「ディヴァイン・グリモワール」をピックアップ!

毎週5食、近所の汁なし担担麺。大丈夫、まだ大丈夫。贅肉と健康を賭け金にしたデッドレースは、まだ終わらせない――。自分自身を騙すのに最適なOnlineGamerの連載企画【オンゲをめぐる】は、「私が」「オンラインゲームを」「毎月1本」「プレイして」「ちょっと感想をかく」、小腹が空いたときにイチオシの企画です。

5月の病と書いて「五月病(ごがつびょう)」。五月晴れ(さつきばれ)、五月雨(さみだれ)と、明媚な読み方が麗しい五の月にあって、なんと安直な音でしょう。しかし、時期も意味も内包したこの言葉には、ある種の機能美すら感じてしまいます。というわけで、前置きはまったく関係ないけれど「ディヴァイン・グリモワール」をご紹介!

あっ、麻婆豆腐もオススメです。

第5回「ディヴァイン・グリモワール」

第5回で紹介しますのは、ベクターがサービス中のファンタジーRPG「ディヴァイン・グリモワール」。公式サイトのキャッチフレーズ“決着3分!攻防10マス!”からは、手軽に遊べるコンパクトさが想起させられますが、さてさて。

本作はユニットを召喚して戦う、ターン制の戦略カードバトルゲームです。ただし、一般的なTCG(トレーディングカードゲーム)系のタイトルとは趣も異なり、最大4人での協力・対戦プレイにも対応しています。使用するユニットはゲームをプレイしたり、ガチャを使って収集することができるようです。

しかも、今回はタイミングがよかった。期間中(4月20日~6月1日)にゲームをはじめた人を対象にした「勝利の剣ネヴァン&初心者応援カードプレゼントキャンペーン」により、なんか強そうなカード「勝利の剣ネヴァン(★4)」がもらえました。ネヴァンの振り向きの角度に、クリエイターの気合が込められていますね。

それにしても、ブラウザゲームというのはすごい手軽に遊べます。クライアント型と比べると準備時間すらも必要としません。あれ、思い返すとブラウザタイプのゲームも10年くらいやってなかった気もしてきて……。もしかして、OGameぶり……?

そんなことはさておき、ポータルサイトからちょろちょろっとログインし、サーバーを選択してゲームをはじめると、さっそくチュートリアルがスタート。戦闘画面では、【自身の英雄】と【相手の英雄】の間に“10マス×2列”の戦場が存在しています。

戦闘の流れは……

1.味方のターン(デッキからカードを1枚ドロー/手札からユニット召喚・スキル発動)
2.味方のユニットの行動(配置された列で2マス前進・前方2マスまでにいる敵に攻撃)
3.相手のターン
4.相手のユニットの行動
5.味方のターン......以下、交互に進行

勝敗は「相手の英雄のHPを0にすること」で……

1.相手の英雄を攻撃できる位置までユニットが移動
2.以降、ターン毎に攻撃を与える(攻撃力3なら、英雄のHPは10→7へ)
3.ユニットを排除されないよう工夫&工夫
3.無事、相手の英雄のHPを0にできたら勝利!

これが原則のルール。ジャンル的にはタワーディフェンスに区分できます。配置されたユニットは、2マス前進+各々の特色を活かして自動で行動するため、そのユニットの持ちうる能力、同列にいる敵ユニットとの戦闘結果は、配置前から予測が立てられます。むしろ、一部の確率を除けばすべてが予測通りに動くゲームなので、頭で考えてから操作しなくてはなりません。

戦場では、自身と相手の間に横たわる10マスをいかに“計算”するかが大事ですし、1列目・2列目は特殊なスキルを有したユニット以外は干渉(攻撃・邪魔など)できないので、列の違いは“まったく別の戦場である”と想定しておく必要もあります。手軽でいて知的なこのシステムは、「ディヴァイン・グリモワール」ならではのゲーム性というほかありません。

また、相手に10マスを進められ、相手のユニットがこちらの英雄に密着してしまうと、【自身の英雄―相手のユニット―味方のユニット】となります。が、このままターンを進めても味方ユニットは前方に進んでしまうので、背後を攻撃できるスキルを持つユニットを確保していないと詰みです。結局のところ、戦場が敵ユニットで溢れかえろうとも、相手の英雄に乾坤一擲の打撃さえ与えられれば勝利なのです。

もちろん、予測を揺るがす方法はさまざまにあります。それが英雄の職業ごとのスキル(ユニットの攻撃力を上げたり、ユニットに魔法を撃ってダメージを与えたり)や、ユニットを配置する場所・タイミングなどのプレイング、そしてカードをどのように組んでいくかのデッキ構築です。

ユニットは基本的に、相手のユニット/英雄に与えるダメージ値「攻撃力」、自身がやられてしまうまでのHP「体力」、カードを引いてから“戦場に配置できるまでのターン数を表す「待機時間」”という3種のステータスを持っています。そのほか近距離・遠距離攻撃や、飛行タイプや設置物など、付加される属性も多彩です。

特に待機時間は重要で、「待機時間5の超レアなカード」を引いても、場に出すまでに5ターン待たなければなりません。カードは使用すること自体にコストが設定されていないので、「待機時間0のユニットを5枚同時展開できる人vs待機時間5のユニットが出せればオマエなんかボコだから!な人」がファイトすると、後者は何もできないままに敗北することもあります。

英雄自身の装備を強化したり、施設のレベルアップを目指すのも大事。

おそらく未プレイの人は、「1ターンでどれくらい戦況が変わっていくのか」が分からないと思われますが、上述したフローチャートで進んでいく戦場はとても流動的で、ユニットやスキルによって戦況が一瞬で変化します。文字にするとややこしくなってしまうゲームですが、実際にプレイしてみるとスンナリ理解できる仕組みなので、既によく分からなくても安心してよしです。

なお、ゲームでは1人用の壮大なストーリーを進めたり、最大4人(戦場は最大4列)でダンジョンに挑んだり、競技場で1vs1や2vs2の対人バトルを行うことができます。協力・対戦も気軽にマッチングできるので、楽しみに合わせて遊んでみるのがいいでしょう。

最初は楽なストーリーモード。進んでいくほどに「あれ?敵、つよくね?」となってきます。
みんなで潜れるダンジョン。なめてかかった難易度ノーマルの味は、誰しもが忘れないでしょう。

僕って今、かつてないほど最適解だから――

今日も今日とて隣の席のささみくんを誘い、「ディヴァイン・グリモワール」を2人でプレイします。ささみくんは最近ベクターさんと懇意になってきたというのに、本作をまだプレイしたことがないと言うのです。なんと不甲斐ない後輩でしょうか。

さて、最初のチュートリアルをササッとこなし、2人でダンジョンへと潜り、レベルを上げながらゲーム性を把握することに務めます。そして、まだ早いかと思いましたが、早速対戦をしました。基本的に2人とも、“隣のコイツを一方的にボコして精神的優位に立ちたがるマン”なのです。

1戦目:筆者の「能力が超つよい!コストが超おもい!デッキ」が見事に炸裂! 場に1枚もカードを出せないまま敗北。

ささみ:(指をさしながら、大爆笑で煽ってくる)

2戦目:不覚! 右クリックで画面を縮小してしまい、痛恨を立て直せないまま敗北。

ささみ:(腕を組みながら、上から目線で煽ってくる)

3戦目:重甲ユニット(打撃ダメージを-1)がちょお強い! 初勝利!

私:「重甲っ! 重甲いれてないからー! 重甲いれてないからそうやって負けるの!!」

4戦目:騎馬ユニット(移動力+2)で英雄に速攻&肉薄! またまた勝利。

私:「騎馬っ! せっかく重甲いれたのにー! 騎馬をおろそかにするからー! よーく考えようね? 頭でっ!!」

ちなみに、ここまでチュートリアルを含めて、全てのバトルが3分前後で終わっています。戦闘終了時に勝敗と時間が表示されるのでまちがいありません。戦闘している最中は「けっこう濃密な戦闘だなー」と感じているのですが、いずれも最後に数分以内で終わっていると知らされると、体感で時間のズレを感じてしまうほどです。

そして今回の「ディヴァイン・グリモワール」は非常にマズイことに、2人ともハマってしまいました。オフィス内のピリピリしたお仕事の空気をそっちのけで、「警戒がいないと詰むね!」「加速と減速、ヤバくね?」「ネヴァンやめろ、ネヴァンくんな!」「なんでそっちばっか良いカードでんだよ!」と大はしゃぎ。やらない仕事、あびせる罵声、すぎてく時間、かえりも討論……。

原則、本企画は記事を読んでくれた人がちょっとプレイしてみたいと思ってもらえるように、また仕事内容の総コストも踏まえて、「数時間のプレイで遊べる範囲で、ゲームの魅力を伝えたい」という裏の命題を設定しております。が、今回は例外のケースへと発展してまったことで、プレイ2日目に突入することになってしまったのです。そういう日もあるよね。

そして、決戦は後日。【レベル上げてデッキ枚数が計15枚になったら格付けバトル! 術のわたしvs力のささみ】へ……。

風が心地いい。気温もほどよい。今日はいい日です。こういう日は、脳筋を叩き潰すのにちょうどいい――。そんな風に、私たちの闘いは穏やかに幕を開けました。

ささみ:はやく準備してくださいよ~。
筆者:ぶっころ!

私たちはここまで、“ただ単純にユニットを配置すること”がいかに愚かなことかを学び、各々で試行を錯誤してきました。私は重甲持ちをタンク役にしつつ、弓兵や魔術師やゴースト、職業「術師」の切り札「ファイアボール(指定ユニットに4ダメージ+毎ターン1ダメージ)」で連距離から削るオールレンジ戦法。ユニットは13枚、スキルはファイアボール×2枚に留めています。

一方のささみは、重甲や大型アタッカーを戦士のスキルで能力強化し、個の強さで戦線を抜いていく脳筋戦法。遠距離ユニットは少量で、タンクとアタッカーを兼任させる攻め攻めの構えです。ユニットは11枚、スキルはユニット強化系×4枚。両者共に同じプレイ回数でカードパックを引いただけなので、カードプールは乏しく、出たとこ勝負の構築です。ある意味、シールド戦・リミテッド戦に近しい環境といえるでしょう。

2人とも、キャンペーンでもらった強力な美少女メインアタッカー「勝利の剣ネヴァン」「猫剣聖」が戦場の主役として躍り出ます。ささみが戦士スキルで強化したネヴァンは、より強力なフィニッシャーと化してしまいますが、「どんどん燃やしちゃおうねー(ファイアボール)」の策により、彼が手塩にかけて育てた作物をすぐに灰にしていきます。

また、遠距離ユニットを重視していた私は、【敵ユニット―味方タンク―空きマス―遠距離ユニット】と遠距離火力でダメージを加算できるケースがとても多く、戦線を有利に推し進めることができました。同時に、15枚デッキにスキルカード×4枚はやはり多かったようで、ささみくんには慢性的な“ユニットが足りない病”が降りかかります。あわれです。

それでも、ダメなときはそれダメですね。ドローのタイミングやプレイングの巧拙で勝敗はガラッと変わってしまうので、「勝つためのデッキ構築÷負けないためのデッキ構築」の比率に頭を悩まされてしまうのです。でも、延々とデッキ構築を考え込んでしまうこの時間こそ、カードゲームの醍醐味ですよね? というわけで今回は勝ち越しました!

ささみ:課金するわ。
筆者:ぶっころ!

「ディヴァイン・グリモワール」の感想

今回私たちが「ディヴァイン・グリモワール」にハマった理由は、「ゲームをはじめてから、ゲームのコアな魅力に辿りつくまでが非常に短時間」という点にあったと思います。一般的なカードゲームでは特殊なスキルは特殊なカードが持つことが多く、それらを収集するまでにプレイを重ねていかなければなりません。これに関しては、エンドコンテンツ重視のMMORPGなども該当しそうですが。

ただ、本作では「ほとんどのカードが勝敗を変える立役者になれる!」ことで、ゲームをはじめたばかりでも、はじめから戦略を思考させてくれるゲームデザインになっています。体感は濃密。時間は3分。手軽なシンプルさを保ちつつも、ゲーム性の奥深さ・強靭さはかなりのもの。内容が想像しづらいジャンルだからこそ、遊んでみなければ分からないものだと知れました。

というわけで! 今後もジャンルや記事の切り口も含めて、さまざま方向でオンラインゲームの魅力をお届けしていきます。毎月15日掲載を予定しておりますので、頭の片隅で覚えていましたら、この連載企画【オンゲをめぐる】に目を通していただけると幸いです。おしまい!

ダンジョンの難易度ノーマル……いきなり難し過ぎるんですけどっ!!
ディヴァイン・グリモワールサービス終了

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