ウェブマネーに聞いたDetonatioNとスポンサー契約を締結したわけ―「e-sports、ゲーム文化の発展にWebMoneyとして少しでも貢献したい」

ウェブマネーが2016年4月に発表した、プロe-Sportsチーム「DetonatioN Gaming(デトネーションゲーミング)」とのスポンサー契約に関する経緯を伺うべく、今回はその担当者・土田耕平氏へのインタビューを実施してきた。

昨今、日本国内でも「e-Sports(エレクトロニック・スポーツ)」への機運が徐々に高まってきており、さまざまな関連企業が盛り上がりの助攻を担うべく、あるいはまだ見ぬブルーオーシャンを目指すべく、ブームの中核で活躍しているスタープレイヤー「プロe-Sportsチーム」とのスポンサー契約に乗り出している。

今回はその一例として、電子マネー「WebMoney」でお馴染みのウェブマネーの担当者のもとへと足を運び、先日同社から発表された“ウェブマネーとプロe-Sportsチーム「DetonatioN Gaming」とのスポンサー契約”に関する経緯を伺ってきた。ブームの裏側を支える陰日向の役割、そして狙いの先で同社が求めるものとは?

「DetonatioN Gamingには、子供たちの希望になってほしい」

土田耕平氏
土田耕平氏

――はじめに土田さんの自己紹介と、御社の事業の簡単な説明からお願いいたします。

土田氏:ウェブマネーでオンラインゲーム運営会社の皆様との共同プロモーションのプロデュースなどを行っている土田耕平と申します。本日は宜しくお願いいたします。弊社は約18年にわたりネット専用のプリペイド式電子マネー「WebMoney」を取り扱っております。

WebMoneyはコンビニエンスストアをはじめとする取扱先にて、お客様が必要金額分(実物は乱数の英数字16桁)を購入することで、オンラインゲームを中心にさまざまな決済の手段として用いることができるものです。

基本的に、WebMoneyはお客様が購入した価格分を限度額として取り扱っておりますので、使いすぎの心配や想定以上の請求などもなく、クレジットカードを持てない若い世代の方々にも安心してお使いいただけるサービスとなっております。

――ご説明ありがとうございます。私もドリームキャストの時代からお世話になっています。

土田氏:それは相当ですね(笑)。私はその頃は弊社には在籍しておりませんでしたが、当時オンラインゲーム黎明期にWebMoneyを採用していただいたのをきっかけとして、その後もさまざまななオンラインゲームにWebMoneyを採用していただいたと聞き及んでいます。

――「オンラインゲームといえばWebMoney」も過言ではなかったと思います。

土田氏:おかげさまで、今でも大勢のオンラインゲームユーザーの方に支持していただいています。

――では、いきなりですが、今回なぜスポンサー契約を結ぼうと考えたのでしょう。

土田氏:ド直球ですね(笑)。そうですね、昨年辺りから「e-Sports」という単語自体がマスメディアを筆頭に取り上げられはじめ、さまざまな動きが活発化してきました。弊社はゲームに支えられてここまで成長してこれた企業ですので、そんなゲーム業界の一つのシーンとなるe-Sportsにも、何らかの関わりを持って貢献できるのではないかと考えたんです。

――そこからスポンサー契約の案が生まれたのですか?

土田氏:いえ、最初から「スポンサー契約をしよう!」と考えていたわけではありません。何分、我々はゲームメーカーでもデバイスメーカーでもない、ゲームとは間接的に関わる決済会社ですので、どのようなアプローチなら、e-Sportsに貢献できるのかが分からなかったんです。

――それでは、きっかけはどのようなことでしたか。

土田氏:アプローチの一つとして「プロチームを応援することで、e-Sports文化に貢献する」という案はありましたが、具体的なきっかけとなったのはDetonatioN Gaming CEO・梅崎伸幸さんとの交流にあったと言えます。

――梅崎さんとの交流ですか?

土田氏:事の始まりは、日本オンラインゲーム協会(Japan Online Game Association/通称JOGA)さんが主催した、e-Sportsに関連するセミナーに出席したときでした。そのとき梅崎さんが講演していらっしゃいまして、流れで名刺を交換する機会に恵まれたんです。

その後、梅崎さんとは情報交換を含めて何度もお話してきましたし、前述したe-Sportsシーンも到来しましたので、ウェブマネーとして“DetonatioN Gamingさんともう一段階上の付き合い”をしていくために、この度のスポンサー契約に至ったわけです。

――スポンサーありきではなく、人と人との繋がりから実ったわけですね。

土田氏:そうなります。

――しかし、御社の社名は大会などの協賛企業としてはよく見かけてきましたが、特定の団体とのスポンサーとなると、今回が初の試みになりますよね?

土田氏:ウェブマネーによる特定の団体とのスポンサードは、今回が初ですね。

――やはり、協賛などのスポンサードとは勝手が違うものなのでしょうか。

土田氏:DetonatioN Gamingさんと正式に契約を結んだのが今年春からのことなので、我々としても本格的な活動はこれからとなってしまい、いろいろ模索しながらお話を進めています。ですが、基本的には資金をはじめとする団体支援を主としておりますので、野球やサッカーなどで知られるスポンサードと特別勝手が違うということもありません。

――つまり、チームに御社の広告柱になってもらうということですよね。

土田氏:DetonatioN Gamingさんの新しいユニフォームには、弊社のロゴが掲出されています。それによって「WebMoney」の露出等に協力してもらうわけです。

それに、我々としては“単にスポンサー契約をした”だけで終わらせず、DetonatioNの協力のもとで、e-Sportsの日本国内における認知度を向上させていき、ゆくゆくはマーケットを広げていくお手伝いなども進められたらと考えています。

――土田さんから見て、DetonatioN Gamingはどのようなチームですか?

土田氏:梅崎さんのパーソナリティはもちろんですが、国内で見ても彼らが一番勢いを感じさせてくれますし、バリエーション豊かなゲームタイトルに挑戦されていますので、そういった部分に魅力を感じています。ただ、個人的には彼らにもっともっと有名になってほしいですね。

――もっと有名に、ですか?

土田氏:これは単純な利益の話ではありません。現状、日本国内におけるe-Sportsは、やや“この言葉自体が先行している”ように感じています。さまざまな形で普及活動が試みられていますが、e-Sportsの該当タイトル以外のゲームユーザーさんへは訴求しきれてはいません。海外の浸透度と比べると、日本だけ取り残されているかのようです。

――論じるわけではありませんが、日本のおけるゲームはいまだに母親に「ゲームを止めて勉強しなさい!」と言われるイメージといいますか、ゲームに恒常的に触れていない世代にはとっては“悪”な印象はあると思います。そういう層へのアプローチとして、スターの存在が不可欠かもしれませんね。

土田氏:そのために、彼らには憧れの存在として、e-Sportsという文化を牽引するスタープレイヤーになっていただきたいんです。どんなスポーツでも1人、あるいは1チーム突出した存在が出ると、その選手をきっかけとして競技あるいはジャンルそのものがお茶の間に浸透するように、より多くの世代にカッコいいと思ってもらいたいのです。少なくとも、私は彼らにそのポテンシャルを感じています。

――アジア圏内における「なりたい職業 1位:プロゲーマー」というのは、それらのe-Sportsの概念や文化が地域に根付き、しっかりと発展したゆえですしね。

土田氏:韓国では“プロe-Sportsチームのトッププレイヤーの結婚式”が一大イベントになるくらいですから。全然、日本とは扱いが違っています。なので1人、もしくは1チームでもいいので、そういうスタープレイヤーがゲームユーザーさん、あるいは一般の方々にインパクトを与えてくれれば、e-Sportsというものがより浸透していくはずです。

――私も期待しております。続いて、DetonatioN Gamingはタイトル毎にプロチームを抱えた団体ですが、御社では特定のチームとの付き合いはあるのでしょうか。

土田氏:まずは日本で初の「フルタイム・給与制」で、ゲーミングハウスにて共同生活を行っていることで話題のプロチーム「DetonatioN FocusMe(フォーカスミー)」さんと懇意にさせていただいています。

彼らの専門タイトルは先日、日本サーバーも稼働を開始した、全世界で人気のPCオンラインゲーム「League of Legends(通称:LoL)」です。WebMoneyはPCプラットフォームのタイトルへのサービス提供を主としておりますし、LoLの日本サーバーではWebMoney決済に対応しております。ゲーミングハウスには、私も実際に足を運んだことがありますよ。

――そのときの雰囲気はいかがでしたか?

土田氏:メンバーの練習風景を拝見しましたが、物静かに集中してプレイされている印象でした。

――なんかこう、オーラとか見えましたか?

土田氏:それはどうでしょう(笑)。本当に集中してプレイされている姿だったので、いわゆる体を動かすスポーツ選手に見られるオーラではなかったような気もします。ただし、大会などの檀上で拝見する際は、それぞれプロらしい迫力がありました。

――ちなみに、今後ウェブマネーとDetonatioN GamingによるPR活動は予定されていますか。

土田氏:現在、DetonatioN Gamingさんの公式サイトで「WebMoney その使い方とは!?」というPR記事を掲載させていただいておりますが、今後は動画企画やリアルイベントなども進めていこうかと考えております。特にLoLには若い学生のユーザーさんが多いようなので、クレジットカードを持てない彼らに安心して利用してもらえるよう、努めていきたいです。

――昨今はプリペイドサービスを一足飛びにして、スマートフォン上のプラットフォームで課金しすぎてしまうケースが社会問題にもなっていましたが、そういった面で考えることはありましたか?

土田氏:我々が危惧しているのは、スマートフォンからゲームをはじめた世代が、問題に挙げられているような課金の危険性を知って、「どうせ、PCゲームもそうなんでしょ」と思ってしまうことにあります。同時に、このままいくとスマートフォン世代にWebMoneyというサービスを認知していただけなくなるので、“今の10代がサービスの移り変わりの節目でWebMoneyに戻ってこられるよう”、周知いただける取り組みを進めていきます。

啓蒙と言っては偉そうに聞こえてしまうかもしれませんが、「WebMoneyなら、おこづかいの範囲内で遊べる」という認知がより広まっていくと大変うれしいですね。

――少し抽象的な質問になりますが、土田さんは現在のe-Sportsシーンをどう見られていますか。

土田氏:私としましては「League of Legends」だったり、「Hearthstone」だったり、それらの特定のタイトルに紐付いている概念がe-Sportsなのではなく、ゲームユーザーさんが昔からずっと続けてきている「友達とゲームで一緒に対戦する」くらいの簡単なことが、e-Sportsという考えの発達段階になってくれればと思っています。

現代はネットやデバイスの発達によって、いつでもどこでも手軽に全世界で対戦プレイを楽しむことができます。それによって、世界的にはe-Sportsという言葉も広い意味で捉えられています。ですが、日本国内では競技だからスポーツ、スポーツだからe-Sportsと、言葉の意味が押し込められ、定義が狭められていて、すこし堅苦しく感じてしまうんです。

――誰しもの当たり前のゲーム体験がe-Sportsの原点であるのに、現状はルールを設定され、それが狭義な意味合いに当てはめられている、そういうことでしょうか。

土田氏:日本におけるe-Sportsは“e-Sportsというもの”として広められていますが、一度それらを見直して、日本人らしい言葉や、日本人らしい概念で、改めて省みてみるのもいいのかもしれません。我々をはじめとする企業や組織がそれらの概念を先行させるのではなく、興味関心から裾野が広がっていくユーザー主導のかたちが望ましいです。

そうなると、さまざまなゲームユーザーさんは、それぞれのゲーム経験をもってe-Sportsをより身近なものとして捉えてくれる気がします。そこに気付くと、もはやブームという枠には収まらない、より実感しやすい概念へのブレイクスルーが可能になると思っているんです。きっと、e-Sportsという横文字が固いんですよ。

――それでは最後に、ウェブマネーとしての格好の良い締めの一言をいただけますでしょうか?

土田氏:無茶ぶりですね(笑)。はい、ウェブマネーは創業当時からゲーム分野で事業を進め、多くのお客様に愛顧にしていただいております。今後はDetonatioN Gamingさんへのスポンサードを通して、e-Sportsの発展に寄与していくこと、そしてe-Sportsのみならずゲーム業界に少しでも貢献していければと考えておりますので、今後ともWebMoneyをどうぞよろしくお願いいたします。

――それではインタビューは終了です。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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