キム・ハッキュ氏と今濱隆一郎氏に今後の展開についても聞けた「Tree of Savior」発表会レポート

ネクソンが2016年にサービス開始を予定している「Tree of Savior」。本タイトルのメディア向け発表会、および先行体験会イベントが、本日7月12日に六本木・ニコファーレにて開催された。

本イベントでは、いよいよサービス開始を目前に控えた「Tree of Savior(ToS)」について、2016年のロードマップが公開された。また、8月24日より行われるオープンβテストの新要素の発表や、本作を手掛けるキム・ハッキュ氏へのインタビューも行われた。

こちらでは、インタビューを含めた会場の様子や、メディア向けの先行プレイの所感などをお伝えしていく。ロードマップやオープンβテストでの新要素などは、すでに公開されているこちらの記事をチェックしてほしい。

MMORPG不作の今だからこそ新たな挑戦を

オーウェン・マホニー氏
オーウェン・マホニー氏

ネクソンの代表取締役社長であるオーウェン・マホニー氏の挨拶で開始された本イベント。オーウェン氏は「ゲームビジネスを運営することは、すなわちアートビジネス(芸術)を行うことと同じだと思っています」と切り出し、「成功のためには素晴らしいグラフィック、BGMなどの融合こそがゲームだと思います。故に我々は、高品質なゲームを提供することにこだわりを持っています。」と語った。

また、「高品質なゲームを提供することはもちろん、それらを長期的に運営していきたいとも考えています。それは自社のゲームだけでなく、パブリッシングさせていただいているタイトルについても同じです」とコメント。そのうえで本作について、「『Tree of Savior』は、一見正統派のMMORPGですが、精緻なグラフィックとストーリー性、BGM、そして多彩な職業でこれまでにないゲーム体験を提供できることでしょう。昨今、日本のオンラインゲーム市場では、MMORPGの新作が少なくなってきています。こうした状況だからこそ、我々はより多くのユーザーを魅了できるようにこの『Tree of Savior』のような高品質なMMORPGを長期的に運営していきたいと考えています。」と語った。

キム・ハッキュ氏
キム・ハッキュ氏

続いて、本作の製作を手掛けるIMC Gamesの代表取締役社長 キム・ハッキュ氏が登場。本作についてのコメントを行った。キム氏は、近年では多くのユーザーがモバイルゲームに傾倒していることに触れ、「臨場感溢れる世界の中で、不特定多数の人々と冒険を繰り広げ、さまざまなことを成し遂げていけるのは、PCオンラインゲームの特徴だと思っています」と、MMORPGならではの楽しみを改めて提言。

さらに「『Tree of Savior』を企画しながら、私たちは独特なアイデア、多様なキャラクター、行き届いた演出、美しい世界を描いてくれる背景やサウンドなどの製作に注力してきました」と本作の製作過程に触れ、「日本での発表から今日まで、少し間隔が空いてしまったが、その分ネクソンと密な連携を図り、日本のユーザーにもきっと満足してもらえるような作品に仕上がっていると思います」と、その出来栄えに自信をみせていた。

今濱隆一郎氏
今濱隆一郎氏

両社の挨拶の後は、「Tree of Savior」の日本プロジェクトマネージャー・今濱隆一郎氏から、本作の概要が紹介された。本作は、昔ながらのハック&スラッシュのような“変わらない”要素と、マウスやキーボード、そしてゲームパッドなど、さまざまなユーザビリティの対応という“変わったもの”、そしてノスタルジックながらも高精細なグラフィックの進化やBGMの企画という“進化したもの”の、3つの要素が絶妙にブレンドされて出来上がっていると説明。ここに全52種類という多様な職業が加わることで、今までにないゲームプレイが可能になっているとした。

オープンβテストでの追加要素としては、「大地の塔」などのエンドコンテンツの追加とあわせて、これらに付随する装備品などの報酬も追加されるという。さらに、新たなエンドコンテンツの実装と同時にキャラクターのレベルも引き上げられる。さらに、従来のキャラクター倉庫のほかに、アカウントに紐付いたキャラクターと共有できる「チーム倉庫」も実装される。

また、さまざまな目標を達成して報酬を獲得する「バイボラの翼」では、特定のモンスターを複数倒したり、マップの踏破といったやりこみ要素に対する新たな報酬が追加されるという。くわえて、有料通貨でさまざまな機能を拡張することができる「トークン」機能も用意され、こちらはオープンβテスト時点では自由に体験できるように調整していくという。

クローズドβテストからオープンβテストの変更点としては、モンスターの強さや職業の強さなど、各種バランス調整が実施される。こちらは日本だけでなく、すでにサービスインしているそのほかの国でも、一部共通したアップデートが実施される可能性があるとのことだ。

また、モンスターのリポップ間隔もオープンβテストでは調整される。「倒した先から湧いてくるような間隔になる」と今濱氏は語り、クローズドβテストでのストレス解消を目指しているとことだ。

オープンβテスト以降の要素としては、次の職業となる8次職が実装される。こちらはすでに制作されているようで、近日中に情報の発表もあるかもしれないとのこと。そのほか、キャラクターの能力を底上げする「カードシステム」や、装備を覚醒させてさらに強くする「アイテム超越システム」なども追加される。クエスト関連では、迫りくる敵を制限時間内に迎撃していくディフェンス系のミッションも実装される予定とのこと。

この後の紹介プレイでは、本作にて男性キャラクターのボイスを担当する酒井広大さんと、女性キャラクターのボイスを担当する濱田みづきさんが登壇し、実機プレイを披露してくれた。

ミッションの内容としては、とある森の中で魔物に捕らえられてしまった人々を救出することが目的となっている。仲間が捕らえられている扉を開けるための方法を探して、特定のNPCを助けたり、オブジェクトや敵を破壊するといったギミックも用意されている。その中に、扉が解錠されるまで敵の侵入を防ぐというミッションが用意されていた。一連のクエストの中に複数のミッションが用意されているので、“お使い”と評されがちのこの手のクエストでも毎回違った緊張感でプレイできそうだった。

一足先にオープンβテストバージョンをプレイ!キム氏と今濱氏へのインタビューにも注目

今回、7次職であるキャノニアとウォーロックに触れることができたので、少しだがこれら2職のプレイフィールを紹介する。

キャノニアは巨大な大砲による砲撃や榴弾による爆撃など、とにかく広範囲かつ大火力が特徴の攻撃的な職業となっている。一度の多くの敵にダメージを与える攻撃を持っているほか、地点を指定しての爆撃などが可能だ。若干の取り回しの悪さのスキルのリキャストの遅さがネックになるものの、火力は申し分ない。また、威力は砲撃系に劣るものの、連射性と速度に優れたボウガン系のスキルも使用できるので、状況に応じて使い分けていこう。

ウォーロックは、名前の通り多彩な魔法を操る職業。こちらもキャノニア同様に優秀な範囲攻撃スキルを多く持つのだが、それよりも設置系のスキルが多彩な点に注目したい。指定地点を一定時間攻撃し続けるスキルを3つ持ち、さらに自分の周囲に悪霊を展開し、近づいてきた敵を自動的に攻撃させるというものもある。また、魔術師らしく巨大な悪魔らしきモンスターを呼び出して使役することも可能。先述したディフェンス系のミッションでは、非常に有益になりそうな職業だと感じた。

最後に、キム氏と今濱氏にインタビューを行うことができたので、こちらについてもぜひ目を通しておいてほしい。今後のサービス展開はもちろん、昨今のオンラインゲーム事情を引き合いに出した質問もされており、短いながらも非常に濃厚な内容となっている。

キム・ハッキュ氏&今濱隆一郎氏インタビュー

――「Tree of Savior」の見どころを教えてください。

キム氏:やはり多様なキャラクターとグラフィックに注目してもらいたいですね。また、効率を重視するのではなく、1つのキャラクターをじっくりと仕上げていくようなゲームデザインとなっているので、そこも昨今のMMORPGにはない魅力だと思っています。

――日本サービスへの意気込みを聞かせてください。

キム氏:まず、不具合やバグの修正、クライアントの最適化など、安定したサービスを重視しています。日本ユーザーにもストレスなくプレイしてもらえると思います。

――さまざまな楽しみを体験できるのがMMORPGの強みだと思いますが、ユーザーたちの交流を活性化させるために考えたコンテンツなどはありますか。

キム氏:少し細かな内容となってしまいますが、各キャラクターのスキルがそれ単体で完結するのではなく、ほかのキャラクターのスキルと組み合わせることでより効果的なシナジーを得られるようになっています。

今濱氏:また、本作でもほかの作品と同様にギルドを作ることができます。ギルドではサーバーを超えてのギルド対戦が可能なほか、このシステムはインスタンス型のダンジョンにも適応されているので、サーバーを超えて複数のプレイヤーとダンジョンを攻略できるようになっています。

コミュニティという面に関しては、実は「Tree of Savior」のギルドはかなり敷居もハードルも高い内容になっています。ギルドよりもやや敷居を低くした、緩いコミュニティの形成がまだコンテンツとしてありません。ですので、今後はそういった緩めのコミュニティコンテンツを、公式サイトのフレンドコミュニティなどでサポートしていこうと考えています。

――ダンジョンや各種コンテンツなど、日本向けに調整を行う予定はありますか?

キム氏:基本的には、グローバルサービスのアップデートを基準にしています。しかし、サービス開始以降はユーザーの声を取り入れつつ、細かな調整を行っていく予定です。

――ここ最近の日本のオンラインゲームでは、極端に親切な作りでないとユーザーが離れていってしまう傾向にあります。そういったユーザーは、「Tree of Savior」を難しく不親切なゲームと考えてしまうかもしれません。この傾向についてどう思われますか。また、何か対策などは考えられていますか?

今濱氏:まず、私たちはただ流れに沿っていくだけの簡単なゲームが面白いものだと考えてはいません。難しいことですが、いろいろな選択肢があり、その中から最適なものを選んでいくことがゲームの面白さだと思います。「Tree of Savior」は、もしかしたら今の市場には合わないかもしれません。少なくとも流行ではないと思われますが、ゲームの根本的な面白さをしっかりと内包した作りになっていると思います。

ですが、それでも「やっぱり難しい!わからない!」というユーザーはいると思いますので、そういったユーザーに向けてはウェブコンテンツや動画などでサポートしていければと思います。

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