【オンゲをめぐる】第9回は「フィギュアヘッズ」で知的に競う

新旧・ジャンルを問わず、さまざまなオンラインゲームのプレイレビューを、毎月15日に紹介していく連載企画【オンゲをめぐる】。第9回目は、スクウェア・エニックスがサービス中のロボットFPS「フィギュアヘッズ」をピックアップ!

業界関係者なら本日から、一般来場者なら週末からはじまる「東京ゲームショウ2016」。年に1回の催しが開かれているというのに、「掲載日なの!掲載日なの!」と、毎月15日掲載を推し進めてしまったちょっと可哀そうなOnlineGamerの連載企画【オンゲをめぐる】は、「私が」「オンラインゲームを」「毎月1本」「プレイして」「ちょっと感想をかく」、嵐が過ぎ去った後にこっそり目を通してほしい企画記事です。

自身の手足というものは、四肢で繋がった延長線上の身体情報であるからこそ、人は生まれながらにして直観でその操作を学び、習熟していけます。技術的な用途を除けば、「自分の身体の手足の使い方が分からない」という人はそう多くはないでしょう。しかし、仮にその手足が離れ離れの遠隔操作で動かすものであれば、その動作は普遍たりえるのでしょうか? その答えはきっと「フィギュアヘッズ」にあるのです。

というわけでとりあえずみなさん、東京ゲームショウ2016には足を運びましょうね!

第9回「フィギュアヘッズ」

第9回で紹介しますのは、スクウェア・エニックスがサービスしている「フィギュアヘッズ」。AI機体を指揮して戦うロボット×シューター×ストラテジーのBOTgameです。

恐らくほとんどの人が聞き覚えないだろうこのジャンルは、簡単に言うと「プレイヤー機体を操りながら、同時に2機のAI僚機に指示を与えて銃撃戦を行っていく」というものです。視点はTPS(第3人称)、プレイヤー数は最大5vs5(AI含むと15vs15に!)、反射神経を要するアクション性と、思考力が決め手となるシミュレーション性がカギを握っています。

ストーリーを要約すると「隕石が振ってきて地球はさあ大変。復興してたら2Foot(ロボット)を操作して戦わせる遊びが若者の間で大流行。それに目を付けた企業がお金をドドーンと投資したら世界中で競技になりました!」みたいな感じです。

世界観を形作っているさまざまなバックグランドの設定も細やかで、「運営組織がプレイヤーにライセンスを発行して競技に出てもらう」「企業はロボットの商品開発および提供でウハウハ」といった相関関係があり、リアリティに華を添えています。

ゲーム中は遠隔操作の2足歩行ロボット「2Foot」を操作する2Footバトルのプレイヤー「Ranks(ランクス)」となり、バトルに興じます。2Footには多種多様な武装、軽量級・中量級・重量級の違い、アタッカーやサポートなど運用面のロールも存在します。

また、「機械ばっかで油臭い」と敬遠することなかれです。2Footにはゲームタイトルと同じ名を冠するシステム「Figureheads」が備わっているのです。これは高度な人工知能と音声会話システムにより、的確な状況報告とコミュニケーションを可能にしたシステムのことで、アバターを着せ替えたり、学習プログラムによって2Footの性能を向上することもできます。

要は“2次元美少女プログラム(美男子も)がプレイヤーのお供になってくれる”ということですね。各企業の広報ビジュアルも気合が入ってます。やったね。

本作のシューターとしての立ち位置は競技性、つまり“e-Sports”を意識したものとなっており、スピーディで直観的な操作性と、オブジェクトを利用したルールが練り込まれています。ただ、詳しくは後述ですが、“同伴するAI僚機を使いこなすのが滅茶苦茶難しい”ために、誰もが数時間のプレイですんなり対戦環境に入れるかというと、NOかもしれません。

そのほか、サービス開始以降は同社の往年の名作「ゼノギアス」とのコラボからはじまり、「NO MORE 映画泥棒」「スクールガールストライカーズ」「フロントミッション5」と、多彩な展開が成されています。第64機動戦隊“地獄の壁”のヴァンツァー「フロスト」なんて、開幕の「ギュイイィィン!」の音も、同時に鳴り響くバトルBGMも、イーグレットが飛んでいって、機体に当たったときのSEも余裕で脳内再生できるくらい、心の隙間にノックダウンです。

システム周辺に関してはオンラインゲームよろしく、シングルモードがあって、ミッションがあって、ショップがあって、チャットがあって、コミュニティがあってとボリューミーで、インタフェースをガチャガチャと動かしているだけで時間が潰れてしまいます。

Figureheadsのアバターを含め、大体のアイテムはゲーム内通貨、もしくはプレイ報酬で入手することができるので、対戦環境におけるステータス面の差異も至ってフェアなものです。安心です。それではフェアに腕の差でぶっ○ろされにいきましょう。

ミサイルが降ってきたから、僕は爆散した

今回はTGS 2016スペシャル! というわけではありませんが、我がOnlinGamer編集部内の新展開として、新たに新鮮な新人「ヨッシー」が入社してくれました。彼はオンラインゲームを専門に遊んでいる人なので、今後はさまざまな記事展開で活躍してくれることでしょう。

ちなみに彼はこれまでFPSを遊んだことがなかった人ですが、奇しくも同社が販売中の「オーバーウォッチ」にハマったというのです。ナイスタイミング。そのため、ここは先輩として、ゲーマーとして、その腕前の格付けをハッキリさせておくことにしました。彼が調子に乗る前に、「調子に乗るんじゃねえぞ?」とお灸を据えるのが、今回の我々(私&隣の席のささみ君)の目的なのです。最低ですね。

まずは3人とも、いそいそとチュートリアルからスタート。

ゲームルールは「カジュアルマッチ」「ランクマッチ」「プライベートマッチ」「クランマッチ」「企業対抗戦」とありましたので、友人とグループを組んで挑めるカジュアルマッチに挑戦です。ささみだけは本作リリース前の記事展開からのプレイヤーでしたが、その腕前は知れたもの。そして誰もシングルモードをプレイしていません。それが悲劇の引き金だとも知らず――

「生まれてきてごめんなさい(3人より、残り2人のチームメンバーだった人たちへ)」

ビックリするくらい話になりませんでしたね。そもそも各オブジェクトの果たしている役割、マップ内の進行ルートとそれぞれの局地戦の戦況をしっかりと理解し、AI機体に対する進行や攻撃の指示を身に付けないといけませんでした。また初期装備というのも手痛く、まずは対戦に行く前にシングルモードで操作に慣れ、同時にいろいろなパーツを入手するのがベストな選択肢でした。

ですが、カジュアルマッチと言えどリンク――いえ、ランクスとしては引き下がれません!

「俺、ショットガンとかマジ得意なんで」とのたまった戦犯(ささみ)のリザルトです。

一般的にロボットゲームというと、ハイスピードで高機動なイメージが想起されるかと思いますが、本作の挙動は実に人間的で、ブーストやジャンプといったアクションはあらず、走って(それほど速くない)、壁に張り付いて(カバーアクション)、半身だけ出して撃ってと、全般的に人間臭い動きです。2Footの名の通り、地に足ついたイメージですね。

個人的にボーダーを壊しちゃったゲームや、複数のギアたちが戦争しちゃうゲームを体験しているので、挙動やルールに関してはスルッと呑み込めましたが、それでもやはり「随伴するAI僚機をどのように動かすか?」は専門領域に当たりますので、操作と思考が非常に大変です。

初心者は大概、ミサイルにやられる気がします。気を付けて。

バトル中は僚機に「随伴」「移動」「移動攻撃」「膝射」といったコマンドが用意されており、マウスカーソルや全体マップを使って指示を出していきます。自身が操作する2Footは倒される度にリスポーン時間が増加しますが、僚機は常に30秒固定ですので、クリアリングから一斉突撃まで、彼らをどうやって動かし、死なせていくのかが大切になるわけです。

これを上手く使うと、僚機単独でオブジェクトを取りに行ったり、味方の僚機を集めて大攻勢に見せかけた後、プレイヤー機で敵のコアへ突撃(通称:コア凸)をかけるなどの戦術も可能になります。まあ、最初のうちは難しく考えず、周囲に火力を集中するのがベストでしょうが。

ヨッシーは一言でいうと爽やかメンです。5分に1回「F○ck!」とか言うくらいです。

いくつもの激戦を乗り越え、最低限の装備と知識を蓄え、戦士の面構えになってきた3人。ときには開始1分くらいでLOSEしたり、マップを眺めるだけの機械になっていたこともありましたが、着実に一歩ずつ、その足を踏みしめ、勝利の栄光に近づいていきます。

「この3人で勝ちたい!」。そんな気持ちを持っていた人はおそらく誰一人としていませんでしたが、それでも3人で勝った事実を持たなければ、この日は帰れませんでした。時計の針が残酷なまでに残業時間を刻んでいきます。その空しさに耐えつつ、そして……

やっと、家に、帰れるんだなって――。

「フィギュアヘッズ」の感想、それとご挨拶

「フィギュアヘッズ」の知的な部分が欠片も伝えられていない紹介と相成りましたが、そもそも初心者の頃からそこにフォーカスして遊びはじめると、すごく難しい印象だけが頭に残ってしまうと思います。まず最初にシングルモードをある程度クリアすることを前提としてゲームを遊んでみると、私たちほど苦労はしないはずなので、頑張って!

そもそもチーム戦という性質上、個々人の腕前や活躍にはある程度左右されるものの、カジュアルマッチを遊ぶ分にはプレッシャーを感じなくて大丈夫です。バトル時間も最大15分とテンポ良く楽しめるので、気軽にプレイするのが正解でしょう。見た感じ、コミュニティもいい具合に活性化していた印象なので、思い切ってチャットでコミュニケーションをとってみれば、ランクスとしての新しいキャリアがはじまるかも?

というわけで! 今後もジャンルや記事の切り口も含めて、さまざま方向でオンラインゲームの魅力をお届けしていきます。毎月15日掲載を予定しておりますので、頭の片隅で覚えていましたら、この連載企画【オンゲをめぐる】に目を通していただけると幸いです。おしまい!

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