9月27日にパッチ3.4「魂を継ぐ者」が実装される「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」。新たな物語の幕開けとなる、本パッチで追加されるストーリーやコンテンツについて、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に伺った。
竜詩戦争の決着という、一つの大きな物語に区切りがついたパッチ3.3「Revenge of the Horde 最期の咆哮」。9月27日に実装されるパッチ3.4では、また新たな物語が紡がれることとなる。
パッチ3.4のメインストーリーでは、闇の戦士、ヴォイド、ハイデリンなど、これまでに散りばめられてきた、いくつもの本作の根幹に関わる重要なワードが紐解かれていくという。
“新章の第0話”と表現される本パッチのメインストーリー以外にも、レイドダンジョン「機工城アレキサンダー:天動編」や新たな討滅戦「女神ソフィア討滅戦」の実装など、やり応えのあるバトルコンテンツが多数追加。
また、新たな高アイテムレベル製作装備が制作可能になるほか、ハウジングにはアパルトメントや水槽の追加、グランドカンパニーにおける新コンテンツとなる小隊機能の実装など、新要素が盛りだくさんの内容となっている。
人々の意志や感情、魂といったものを受け継いで紐解かれる新たな物語
――まずは3周年おめでとうございます!また、14時間生放送もお疲れ様でした。
吉田氏:ありがとうございます。
――14時間生放送の企画などは、やはり開発と同時進行で進められているのですか?
吉田氏:そうですね。特に今回は東京ゲームショウや10月、12月のファンフェスの準備があったので、かなり大変でした(笑)。
――本当にお疲れ様です(笑)。そういえば、本日(インタビュー日:9月8日)「プレイステーション4」の新型や「プレイステーション 4 Pro」が発表されましたが、「ファイナルファンタジーXIV(以下:FFXIV)」ではこちらのマシンスペックを利用した機能の拡張などが行われる予定はありますか?
吉田氏:FFXIVが「プレイステーション 4 Pro」専用のゲームになるというわけではないですし、「プレイステーション 4 Pro」で本作のゲーム体験が何か変わるわけではありません。もちろん、高性能のテレビをお持ちの方から、「より高精細なグラフィックスでFFXIVを楽しみたい!」というお声が多くあれば、Pro用の4K対応を前向きに検討したいとは思っています。
――ありがとうございます。それでは、メインストーリーについてお話を聞かせてください。今回からいよいよ“闇の戦士”たちが動き出すようですが、“魂を継ぐ者”というタイトルにはどのような意味が込められていますか?
吉田氏:パッチ3.3にて、ヒトと竜との長い争いを描いた“竜詩戦争”がフィナーレを迎えました。今回のパッチのメインストーリーは、TVドラマなどでいうところの第3シーズンの第0話に相当するものとなっています。一旦地に落ちてしまった「暁の血盟」の灯ですが、竜詩戦争の中で再びその熱を取り戻すことができました。竜詩戦争に決着がつき、今は彼らが戦う目的にも区切りがついて落ち着いた状態になっています。そこに、今一度さまざまな人々の“想い”というものが光の戦士の元へ集まり、受け継がれていく……これがまず大きなポイントの一つだと思っています。
もちろん光の戦士たちだけではなく、さまざまな人々が竜詩戦争の決着を受けて新たなスタートを切ろうとしています。直接誰かが「俺はあいつの意志を継いで何かをする」と言っているわけではありませんが、さまざまな場所で、さまざまな人々が、何かを“継いで”新しい一歩を踏み出そうとしているのが分かる内容になっています。
――竜詩戦争を含め、これまでの物語で消えてしまった人やモノ、事柄などを受け止めた上での新しい一歩ということですね。
吉田氏:“魂を継ぐ”というのは霊魂的なものだけではなく、たとえば“芸人魂”というように志やその人の在り方、生き様など、さまざまな継ぎ方があると思うんです。今回のお話では、そういった部分がいろいろな局面で感じていただけると思います。
――トレーラーでは、闇の戦士たちが蛮神のクリスタルを使って何かをしようとしていましたが、今回彼らと直接対決することはありますか?
吉田氏:あります。今回で“闇の戦士篇”は完結でもあります。
――今回で彼らのお話はすべて完結してしまうのですか?
吉田氏:すべて……というニュアンスが当てはまるか難しいところですが、これまで闇の戦士たちがやってきたことの伏線は一旦すべて回収されます。
――ちなみに、ウリエンジェは闇の戦士たちと関わりが深いのでしょうか?
吉田氏:どうでしょうかね(笑)。パッチ2.55のラストから、ウリエンジェの不可解さは始まったと思います。彼の思惑についても今回のストーリーで明かされる……かもしれません。
――かなり気になる部分ですね。また、今回はエオルゼアの根幹に関わる部分も明かされるとのことですが、具体的にはどういった部分になりますか?
吉田氏:“星の意志”とは果たして何なのか、ヴォイドとは何か、原初世界や平行13世界についても語られるので、世界観設定などが好きな人にはたまらないのではないかと思います。
――トレーラーではパパリモの姿がありました。新しく追加させるインスタンスダンジョン(以下:ID)「峻厳渓谷 ゼルファトル」はギラバニア地方と隣接した地域にあります。ギラバニアにはアラミゴがありますし、ストーリーではここを経由してアラミゴ方面へ物語が進行していくのでしょうか?
吉田氏:「峻厳渓谷 ゼルファトル」は、あくまでゼルファトルという山岳地帯の一部にイクサル族たちが拠点を築いていて、冒険者たちはある目的を持ってここに侵攻していくことになります。今回のお話ではこれ以上深く掘り下げることはないのです。ただ、「峻厳渓谷 ゼルファトル」が物語にどう絡まってくるかは、ぜひ本編をプレイして確かめていただければと思います。
「女神ソフィア討滅戦」は天秤がキーポイント!
――続いて、「女神ソフィア討滅戦」について訊かせてください。FFVIに登場する三闘神の女神は、「愛の宣告」や「ゆうわく」など、かなり嫌らしい攻撃を多用してきました。今回の討滅戦では、こういったギミックが本作向けに落とし込まれて実装されているのでしょうか?
吉田氏:次の討滅戦が女神だと発表してから、ユーザーの皆さんがかなり戦々恐々としているのは存じております(笑)。嫌らしさという面では、そこまでとことん再現しているわけではありません。今回は天秤というものにフォーカスしており、「魔神セフィロト討滅戦」は“大縄跳び”と表現していましたが、今回は“脳トレ”になっています。
――脳トレ!謎解きのようなギミックがあるんでしょうか。
吉田氏:最初は訳が分からずやられてしまうかもしれませんが……詳しくは実際にやってみていただければと思います(笑)。
――ちなみに、今回は落ちますか?
吉田氏:落ちます。トレーラーにもありましたが、明らかにフィールドが傾いているので、これで落ちなかったら……(笑)。ただ、今回は落ちたら即終了というわけではありません。
――というと?
吉田氏:落ちても蘇生することができるので、ある程度リカバリーはできると思います。ただ、その分結構な頻度で落としにかかってはいますね。
――ヒーラーのLBが活躍しそうですね。
吉田氏:そうですね。複数人落ちてしまっても、立て直す機会は多くあると思います。といってもあまり落ちすぎてもDPS(1秒あたりのダメージ量)が足りなくなってしまうので、落ちないに越したことはないですね。
あと、「魔神セフィロト討滅戦」はチームプレーが要求されるコンテンツだったのに対して、今回は誰かのミスで巻き添えを食らうというギミックを極力排除しています。どちらかと言えば8人での個人プレーという感じを想定しているので、チーム内の誰か一人がギミックを解ければそのままクリアに繋がると思います。人によっては、「極ニーズヘッグ征竜戦」よりも簡単に感じるのではないかと。
――「極ニーズヘッグ征竜戦」もギミック自体は分かりやすかったですからね。
吉田氏:あれはどちらかというと、DPSチェックで躓く人が多かったと思います。それに、“邪龍の爪/邪龍の牙”のギミックは全員がしっかりと内容を把握していないと突破できないですからね。「女神ソフィア討滅戦」では、そういうギミックは極力排除してあります。
――個人的にも「極ニーズヘッグ征竜戦」は程よい難易度でとても楽しかったです。
吉田氏:「女神ソフィア討滅戦」も、最初こそ訳も分からずに一気に全員が落ちて唖然とするような場面から始まると思いますが、難易度的には程よく仕上がっていると思います。開発チームでも、最終調整後に初見の人を4人混ぜてプレイしましたが、2時間くらいで最終フェーズまで進めたので、そんなに難しくはないはずです。
――今回からレイドファインダーに一部の討滅戦が対応しますが、「女神ソフィア討滅戦」も対応されますか?
吉田氏:はい。最初から対応されているので、ぜひ練習等に活用していただければと思います。
――ちなみに、報酬は何になりますか?
吉田氏:武器です。
――そろそろアクセサリが来るのでは、という予想もユーザーの間ではありましたが、武器で確定なんですね。
吉田氏:そうですね。最近になってそういった意見もよく頂けるようになったのですが……以前アクセサリを実装した時に「アクセじゃ味気なさすぎる!」というフィードバックをかなり頂いていたので、以降は武器にしていました。
――「極シヴァ討滅戦」以降アクセサリを見なくなったのは、そういった背景もあったのですね。
吉田氏:どうしても指輪が片方空いてしまうという問題もありますし、僕たちもアクセサリのほうが開発的には楽なのですが……ここらへんはまた今回のフィードバックを見つつ調整していきたいと思います。両方だとちょっと大変なので(笑)。
――装備品を作る時、デザインの制作とパラメーターの設定ではどちらのほうが大変ですか?
吉田氏:デザインのほうが大変ですね。パラメーターについては、アイテムレベル(以下:IL)から自動で計算できてしまいますし、それほど時間はかかりません。サブパラメーターに何を付けるかは毎回苦心するところですが、やはりグラフィックスのほうに膨大な時間がかかってしまいます。
武器になるとほかのものとの差別化も必要ですし、そもそもアートワークから描き起こす必要があります。それらを制作した後も、エフェクトの発光や変形など、さまざまな過程を踏まないといけません。防具に比べれば楽ですが、それでもやはり1コンテンツ13ジョブ分の武器を作るとなると、三ヶ月くらいの制作期間が必要になります。モデリングだけでこれくらいの時間が必要となるので、アートワークの制作も含めるともっと長い期間を見積もらなければいけません。
――かなり先の先を見越して制作が進められているんですね……。では、続いてグランドカンパニー関連についてお話を伺います。今回から追加される新コンテンツ「グランドカンパニー小隊」について、改めて概要を教えてください。
吉田氏:お話の導線部分としては、まずグランドカンパニーの中に“冒険者小隊”というものを作ろうという気運が高まります。そこでプレイヤーを中心とした小隊の結成を頼まれるので、同意するとさっそく3人の志願者の面倒を任されます。しかし、小隊を正式に結成するには隊員が4人必要になるので、実際にプレイヤーが活躍してもう1人の志願者を募る……というのが最初のクエストになります。
――プレイヤーの活躍を見て志願者が集まるということですが、具体的な条件はありますか?
吉田氏:志願者が来る条件は、攻略手帳をクリアすることになっています。攻略手帳にはいろいろなカテゴリーと項目があると思いますが、どの項目にも志願者が来る確率が設定されています。また、それぞれにどんな志願者が来るか、というテーブルも設定されています。例えば、ゴールドソーサー系の攻略条件でしか出現しない志願者もいれば、そのほかのでなければ出てこない志願者もいる、という感じです。
――“冒険者の活躍”というものが、攻略手帳と紐づかれているんですね。
吉田氏:そうですね。攻略手帳の条件を達成したタイミングで確率に引っかかっていれば、同時に「あなたの活躍を知ってグランドカンパニーに志願者が現れました」というようなアナウンスが流れます。
また、“小隊部屋”というのが設置されるので、そこで志願者の面接を行います。ここでステータスと容姿、あとはクラスを確認して採用か不採用を決めることができます。あと、一応保留という選択もあります(笑)。
――なんだか本当に就職活動みたいですね(笑)。保留というと、何人かキープしておけるということでしょうか?
吉田氏:いえ、そういうわけではありません。集まってきた志願者自体は順番にストックされていきますが、先頭の志願者を採用か不採用か決めないと次の志願者の面接を行えないようになっています。そして、隊員が4人揃うと、いよいよ冒険者小隊として正式に活動が開始されます。
その後、パッチ3.4でやれることは2つ。1つは、小隊のトレーニングです。隊員たちにもレベルがあり、経験値が溜まればレベルが上がり、勝手にステータスは上昇していきます。しかし、プレイヤーが指揮するのはあくまで1つの小隊なので、行えることは個々人のトレーニングではなく、小隊全体の指揮能力を高めたり、知力に相当するような戦術理解度を高めたりというような遊びになっています。
――軍の教官になったようなイメージですね。
吉田氏:もう一つは、正式な小隊活動が開始されると、グランドカンパニーから冒険者小隊に任務が発行されるようになります。プレイヤーは任務に向かわせる隊員を4人選んで小隊を編成するのですが、この選んだ隊員によって小隊の総合的なパラメーターが決定されます。「この任務を達成するにはこのくらいのパラメーターが必要」というような目標値に合わせてトレーニングを繰り返し、送り出した小隊が無事に任務を成功させることでリワードがもらえる、というのが基本的な遊び方ですね。
――小隊には最大で何人在籍できるのでしょうか?
吉田氏:冒険者小隊には最大で8人まで登録させることができます。なので、男女混合ミコッテだけの小隊を作ったりという遊びも可能です。NPCの数が多いので、種族を固めるとなるとかなり大変になりますが……(笑)。
――ちなみに、新種族のアウラも志願者として出現しますか?
吉田氏:はい、アウラも出現します。
――今後、結成した小隊と一緒にIDに行けたりするようになりますか?
吉田氏:冒険者小隊というコンテンツを今回のパッチで終わらせるつもりはありません。今回、志願者たちのレベルを50でカンストさせていたり、ジョブではなくクラスで止めているというのも、今後の機能拡張を見越してのものとなっています。基本的に「グランドカンパニー小隊」というコンテンツはソロでコツコツやるものと考えているので、小隊の中から3名選んで一緒にIDを攻略するという遊びは、今後ぜひ盛り込みたいと思っています。
――その場合、NPCのAIもかなり幅広く作らないといけないのでは?
吉田氏:まだまだ構想段階ですが、簡単な命令を出せればいいかなと考えています。なにせプレイヤーは英雄なわけですから、むしろ部下たちを守ってあげないと(笑)。
――隊員たちは“超える力”を持たない一般の冒険者なわけですからね(笑)。その場合、専用のIDを作ったりしますか?
吉田氏:いえ、既存のIDを使用しようと考えています。そのために、どのIDだったらクリアできるかという協議も重ねています。
――ほかの小隊と対戦したりするような機能の実装は考えていますか。
吉田氏:先述した通りソロ用のコンテンツと考えているので、そういった機能を実装するつもりはありません。
――グランドカンパニー内でチームを組んでほかのカンパニーと戦う遊びはフロントラインで実装されていますが、これ以外にも“グランドカンパニー対グランドカンパニー”というような遊びを実装される予定はありますか?
吉田氏:それもないですね。やっぱり自分のチームが負けてしまうと嫌だな、と思う人も多いので、こうした勝敗がはっきりと付いてしまうチーム対戦の遊びは、あまり日本のレギュレーションには合わないのかなと考えています。グランドカンパニーはあくまで個人の帰属意識として発展させていこうと思っています。
新式武器のILは防具と一緒!AAの差はDPSにかなりの影響が
――防具に比べて武器についてはこれまでかなり慎重な調整を行っていたと思います。今回、パッチ2.5以来となる新式武器が実装されますが、こちらの意図を教えてください。
吉田氏:本当はパッチ3.2で新しい新式武器を追加しようと考えていたんです。ただ、パッチ3.2の実装期間があまり長くなく、レイドの早期攻略に大きな戦力となるであろう製作武器のバランス調整についても苦労していたので、その時は見送りになってしまいました。
DPSに寄与するパラメーターの上昇で、最も影響するのがやはり武器なんです。武器のILは、例えば5上がっただけでもかなり違ってきます。そのうえマテリアの禁断装着でサブパラメーターを引き上げることができるので、防具を強化するよりも影響力が大きいんです。また、クラフトできる新式武器が前提で攻略などが行われるとギルがないユーザーが困ってしまうという側面もあり、これまでは避けてきました。
しかし、いつまでも怖がって避けてもいられませんので、今回「アレキサンダー」のフィナーレである“天動編”も実装されるということもあり、丁度いい機会なのではと思い追加しました。前回の「機工城アレキサンダー:律動編」が難しいというフィードバックも頂いていたので、もう少しプレイヤーが戦えるような武器をクラフターの皆さんに渡してもいいんじゃないかな、と。それでクリアしてもらっても良いと思いますし、結果、新式武器が強すぎたとしても次回実装の目安になりますので。
――ということは、かなり実用的な性能になっているのですか?
吉田氏:はい。武器も防具と同じILになっています。
――プレイヤーの間では、「女神ソフィア討滅戦」の報酬が武器なので、武器だけILが低いのでは?と心配する声も出てましたね。
吉田氏:そうですね(笑)。懸念されている人もかなり多くいましたが、ILは防具とバッチリ揃っているのでめちゃくちゃ強いと思います。僕は、ここは選択肢だと考えていて、最速で新式武器を禁断して振り回すのも良いし、「女神ソフィア討滅戦」自体伝承強化武器でも勝てると思うので、まずは女神武器を取りに行ってもいいと思います。
あと、レシピもそんなに難しくはしていません。武器だけ極端に作りにくかったり、武器だけすごくレアな素材が必要ということもなく、パッチ3.4で追加される新式装備と同じバランスにしています。基本的な製作難易度のバランスもパッチ3.2で実装された新式とイメージは揃えるようにしてあります。なので、クラフターの方はどんどん製作してマーケットに出品し、欲しい人はアクアポリスで貯めたギルを存分に放出して頂ければと思います。
――なるほど。今回の装備は攻略などの環境にどう影響してくるか、というフィードバックも兼ねているんですね。
吉田氏:そうですね。当然レイドのクリア率にも影響してくるだろうし、皆さんの平均的なDPS数値もがらっと変わってくると思います。オートアタック(以下:AA)の仕様変更や全滅時のリキャストタイマーリセットも実装され、コンテンツにチャレンジする上での効率はかなり良くなっています。
――今お話にも上がったAAについてですが、DPSにかなりの差があるということで今回仕様変更されましたが、やはり運営チームで具体的なデータなどを集計しているのでしょうか?
吉田氏:もちろんしています。基本的にはレイドを見ていますが、すべてのコンテンツで集計することができます。個々人によってボスに対してのDPSが数十%以上の差がある場合も多く、「機工城アレキサンダー:律動編」の2層で同じジョブなのに50%近く差が開いているケースもあります。こうした結果から、やはりレベル60時のスキル回しが難しすぎるんだなと痛感しました。このうちの一定割合は、AAの打ち漏らしも含まれます。
スキル回しがいつでも完璧にこなせるという人はAAの打ち漏らしもほぼないと思いますが、そうでない人はやはりギミック処理などで中断させられてしまうとパニックになり上手くスキルが回せず、しかもAAも漏らしてしまう二重苦に陥ってしまうようです。あとはフェイスターゲット(以下:FT)の仕様もデバイス差が激しく、PCのゲーミングデバイスで遊んでいる人はマクロとしてインターフェース自体に組み込んでワンボタンで繰り出すことができますが、これはPS4のコントローラーでは不可能です。
FTを連打するというのは、結局AAを打ち漏らしたくなかったり、PvPで背面を取られたくなかったりするからやるのであって、こうした現状はあまり健全ではないと考えました。ですので、これら2つの仕様を変更することで、AAのためにFTを連打する手間を省き、FTの仕様を変更することでPvPにおいておかしな挙動で攻撃するようなことのない、ベストな調整をしようというのが今回の意図になります。
これによってプレイヤースキルの差が縮まるのが嫌だと考える人もいると思いますが、依然としてスキル回しの差ははっきりとしていますし、レイドである以上プレイヤーのスキルが問われる場面は如実に出てくるので、ご留意いただければと思います。
――離れすぎているDPSの差を一歩縮める役割にもなっているんですね。それでは「機工城アレキサンダー:天動編」について、今回時間操作というアレキサンダーの特徴が組み込まれるとのことですが、これはギミック面かストーリー面、どちらのことでしょうか?
吉田氏:両方ですね。「サーバークライアント型のゲームでこんなことやるのか!」と驚かせられるようなものを用意しています。時間ネタについてはトレーラーにも入れてないので、ぜひ実際にやってみて体験してもらえればと思います。ストーリーとの噛み合わせをすごく意識していて、ストーリーを進めていて「え?今のどういうこと?」といった場面がコンテンツをやっていると解ける、というようになっています。
――MMORPGで過去にないような要素が盛り込まれているということで、非常に楽しみです。
吉田氏:「機工城アレキサンダー:律動編」の、カットシーン無しの合体ですらかなり珍しいですからね(笑)。合体ネタはそこで使っちゃったので、トレーラーにも映っていましたが、今回は変形するボスがいます。変形するだけじゃ戦っていてもつまらないので、それに飛び乗って戦うというギミックもあり、これはガチガチのMMOスタッフじゃないからこそ出てくるアイデアでもあると思うので、ノーマルのほうはぜひわいわい楽しんでください。
――今からチャレンジするのが楽しみです。では、パッチ3.45の内容となりますが、アニマウェポンは次回パラメーターの引き上げはもちろん、見た目の変化などはありますか?
吉田氏:今回パッチ3.45で予定されているアニマウェポンは、アイテムレベルの強化がメインになります。見た目の変化も用意してあります。
――個人的に好きだったのですが、ゾディアックウェポンであったような、いわゆる“輝き集め”的なものは今回実装されないのですか?
吉田氏:どうでしょう、詳しいことは言えません(笑)。ただ、アニマウェポンは前回をなぞるような形にはなっているのは事実で、さすがにもう限界かなとは思っています。次期拡張パッケージ後に始まるTime To Winなコンテンツは、今までと毛色を変えていこうと話しています。
――重ねてパッチ3.45の内容となりますが、ディープダンジョンにジョブ別スコアランキングが実装されるということで、こちらのスコアの算出方法が決まっていますか?
吉田氏:もちろん決まっています。具体的には、宝箱を何個開けたかや、どれくらいの敵を倒したか、どのフロアまで下りたかなどもスコアに影響しますし、何人で挑んだかも重要になります。なるべく深く下り、いかに死なずに、少ない人数で攻略するかが、スコアが高くなる一番のポイントになると思います。スコアは何回でも登録可能なので、ぜひ自分のベストを尽くしてみてください。
――わかりました。それでは、最後にユーザーに向けてメッセージをお願いいたします。
吉田氏:冒頭でも触れたように、今回のパッチは新しい物語が動き出す新章となっています。今まではハイデリンやゾディアークなど、大きな謎の上にある問題、例えば蛮族問題や人同士の争いなどを何となく解決しきました。今を生きている人たちの思想や価値観の違い、そこから生じる軋轢やぶつかり合いについてはこれからも描いていきたいテーマの一つですが、ここからはいよいよ、世界(ハイデリン)とは何なのかというような一段深い謎にフォーカスされていきます。
当然それらの謎も明らかにされますし、そのうえで光の戦士たちがどうするかという、大きな問題に進むための第一歩になっています。今までコツコツ積み上げてきた伏線なども回収され、「ファイナルファンタジーXIV」という世界が今後どういった世界になっていくのかといった予想も立てられるのではないかと思います。
また、偶数パッチなのでレイド中心と思われる人もいるかもしれませんが、冒険者小隊をはじめとしたさまざまなコンテンツや、クラフターやギャザラーの人たちについては作るものが山ほどあるので、ぜひ自身の趣味にあったものを遊んでいただければと思います。
――ありがとうございました。
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