セガゲームスが現在PC/iOS/Android向けにサービス中の「野球つく!!」。サービス開始1周年のタイミングで行われるアップデートについて、開発スタッフにインタビューを行ったので紹介しよう。
2016年6月2日よりPC版が、6月30日よりiOS/Android版のサービスが始まった「野球つく!!」は、2017年6月でついにサービス開始から1周年を迎えた。
これまでも実在する選手の育成や他プレイヤーとの熾烈なリーグ戦など、「プロ野球チームをつくろう!」シリーズらしさを受け継いだシステムでファンを楽しませてきた本作だが、このタイミングで実装するアップデートで、野球ゲームとしては非常に珍しいギルドシステムが実装されることになった。
今回、開発プロデューサーの徳永剛氏、運営ディレクターの小川卓哉氏に対して行ったインタビューでは、ギルドシステムを実装することになった狙いと、強い思いを聞くことができた。また野球の世界大会「WBC 2017」の盛り上がりなど、直近の出来事についても伺うことができたので、その内容を紹介しよう。
WBC、プロ野球開幕で多くのユーザーを獲得できた
――「野球つく!!」が1周年を迎えたということで、まずはここまでを振り返ってもらいたいと思います。直近では、3月にVer2.0が導入されましたよね。
徳永氏:3月はプロ野球の開幕、WBCの開催と野球がもっとも盛り上がるタイミングで、それに合わせてアップデートも行ったこともあって盛り上がりました。ゲーム内では侍ジャパンのスペシャル選手カードが新たに入り、さらにイベントも非常に好評でしたね。またVer2.0では「ポテンシャル」という選手ごとの特殊能力も加わり、個性を表現できるようになったのも大きかったかなと思います。そのほかには、上級者だけが集まる最上位リーグ「SSリーグ」を新たに作ったことで、ユーザーさんの新たな目標が生まれたのもこのタイミングです。
――「SSリーグ」とは別に初心者向けのリーグも実装されましたよね。
徳永氏:やはり野球に注目が集まる時期ですし、私たちとしても「野球つく!!」を始める方は多いだろうと予想し、実装しました。これが功を奏したのか、3月に始めた多くのユーザーさんに現在も遊んでいただいています。
小川氏:新しいユーザーさんが入ったタイミングとしては、やはりプロ野球開幕前後ですね。あのときは非常に多くの方がなだれ込んできました。
――WBCの開催、プロ野球開幕と大きなイベントが立て続けにあり、盛り上がりの移り変わりという点で特徴はありましたか?
小川氏:WBCと同時期にWEB側で掲示板を立ち上げたんです。ここではやはりWBC関連の話題が盛り上がっていましたし、積極的な議論も行われていました。その直後にプロ野球が始まったわけですが、WBCで活躍した選手をすぐに使いたいという人が多かったですね。しかし「野球つく!!」の選手能力は昨シーズンの成績がベースになっているので、「もっと能力が高くてもいい」というユーザーさんもいました。そのため侍ジャパンカードの中には、あとから能力を上げたものもいくつかあるんです。
――新シーズンに合わせて最新のカードも追加されましたが、こちらの評判はいかがですか?
小川氏:昨シーズンに活躍を見せた選手は引き続き人気が高い印象ですね。最近では歴代のレジェンド選手を多く実装していて、これは往年のファンからの反応が大きいです。公式の掲示板では「次はどの選手が入るんだろう」といつも議論になっていますね。
選手を獲得するイベントとしては激闘JAPANとドリームスカウトの2種類があります。激闘JAPANは人気の高い選手が獲得でき、ドリームスカウトはコストパフォマンスに優れた選手が出やすくなっています。現在のペナントでは、まずドリームスカウトで選手を獲得して有利に進めている人が多い印象です。これから始める人も、この2つのイベントを上手く使い分けてほしいですね。
――続いて4月にもアップデートが行われ、Ver2.1になりましたよね。
徳永氏:3月のアップデートに比べると規模は小さいですが、カードを強化するアイテム「スペシャル野球魂」を追加しました。本作でもっとも強いカードは選手ガチャから入手できますが、「スペシャル野球魂」を利用すれば、イベントなどでもらったカードの能力を底上げできるのです。これはメインのモードであるペナントでしかもらえないのですが、実装後はペナントを頑張るユーザーさんが目に見えて増えましたね。
――ペナントを遊んでほしいという思いは、徳永さんとしても持っていたのですか?
徳永氏:ペナントは1週間という長期間をかけて遊ぶ仕組みになっていて、どうしても途中で脱落する人も出てくるんです。「スペシャル野球魂」は勝てば勝つほど多くもらえるので、上手く促せたと思います。
ギルドでは代表監督の気分を味わえる
――5月のゴールデンウィークイベントなどを経て、今度は6月の大型アップデートが控えています。こちらの詳細についても教えてもらえますか。
小川氏:5月末頃から1周年記念イベントとして、メジャーリーグで活躍する選手をログインボーナスとしてプレゼントしており、まずはダルビッシュ有選手を配布しました。ダルビッシュ選手以外の選手についても現在準備中です。またダルビッシュ選手に関してはほかのイベントでも配布できるようにしたいと考えています。
徳永氏:6月の1ヶ月間は1周年に関連したイベントを立て続けに実施していきます。その中で、6月22日にはVer2.2へのアップデートも行います。こちらは新しく、気の合う仲間とコミュニティを作るギルドシステムを導入します。
――そのギルドシステムについて、詳しく教えてもらえますか?
徳永氏:今までオーナー同士のつながりが薄く、すべてがライバルという関係性でした。これによりまた新しいコミュニケーションが生まれると思いますし、掲示板も一層盛り上がってくれればと期待しています。ギルドに所属するメリットとしては、同じギルドに所属するメンバーから1人選手を借りることができるのです。日本代表の監督になって、たくさんのチームから選手を招集するイメージですね。我々はこれをレンタルシステムと呼んでおり、これを使って、さらに強いドリームチームが作れるようになります。
――自分の選手がほかの人に使ってもらえるとなると、育成にも力が入りそうですね。
徳永氏:ギルドメンバーはどんな選手を欲しがっているのかを考えていくと、育成の幅も広がると思います。今までだとすべての能力が高い選手が重宝されていましたが、今後はなにか1つの能力に特化した選手も使われるようになるのではと予想しています。代走や守備のスペシャリストはもちろん、打撃に特化した選手を作ってもらって、DHに入れてみるのも面白そうですね。
小川氏:ピッチャーにも同じことが言えて、1人で遊んでいるとどうしても先発のエースピッチャーを育てがちですが、これからは中継ぎのピッチャーを積極的に育ててみるのもいいと思います。
――「個性的な選手を育てたからギルドに入れて」みたいな、新しい交流も生まれるかと思います。
徳永氏:そうなってくれると嬉しいですね。ギルドを管理している人が「セカンドの選手募集中」とアピールしたり、今までとは違う出会い、遊び方が提供できると思います。あとは上手く育成できた選手を自慢したい思いは、どのユーザーさんにもあると思うんです。そういった、自慢の選手を披露する場にもなるかと期待しています。
――仲間を集めるための方法は、どんなものを用意しているのですか?
徳永氏:募集要項を細かく設定できるようになっていて、遊べる時間帯やファンの球団を決めておきます。それを元に自分から募集をかけたり、ほかのユーザーさんがそれを検索して応募してきたりといった具合でメンバーを集めます。もちろん公式掲示板も利用していいので、積極的に勧誘を行ってほしいです。
――ギルド用の掲示板もあるのですか?
徳永氏:ギルドを組んだ時点で、専用の掲示板をすぐに使えるようになります。これを利用して普段の交流はもちろん、誰がどんな選手を持っているのかを話し合ってもらいたいです。
――ギルドを結成するまでは分かりました。では、結成したギルドではどんな遊びができるのでしょう。
徳永氏:ギルト対ギルドで競い合う「共闘!オールスターズ」が新たに実装されます。まずはイベントが始まったら、参加する自分のチームを作ります。これは先ほどから紹介しているレンタルシステムを駆使してのものになります。チームはコスト100以内で作るシステムになっていますが、ほかの人からレンタルした選手はコスト0になっているのです。つまりレンタルシステムを上手く使えば、自分の選手もより積極的に使えるようになります。
そしてほかのギルドと対戦して、勝利するとポイントが入手できます。このポイント数で順位を決めていく流れです。同じギルド内でもユーザーさんによって出来上がるチームはまったく違うと思いますし、思い思いの編成でギルドに貢献してほしいです。
――例えば同じ選手を、同時に複数のユーザーが借りることもできるのですか?
徳永氏:それも問題ありませんし、貸し出す側のユーザーさんも問題なく使用できます。肝心の自分自身が使えなかったり、誰か1人しか得できない状況を作るとギルド内もギクシャクしてしまいますからね(笑)。
――なるほど(笑)。ちなみに「共闘!オールスターズ」に参加すると、なにかメリットはあるのですか? 例えば特別なアイテムが手に入ったりだとか。
徳永氏:「共闘!オールスターズ」でしか獲得できないスキルであったり、ホームタウン用の施設などを用意する予定です。ランキングで上位になればより良いアイテムが手に入るので、気の合う仲間と協力してください。
――それはギルドに入っていれば、全員に等しく送られるのですか?
徳永氏:そこに関してはギルド全体で頑張るもの、個人で頑張るものの2種類を用意する予定です。ギルド全体へのプレゼントを豪華にしすぎると、あまりプレイしない人が得をしてしまいます。個人向けのプレゼントもしっかり用意することで、頑張ってプレイした人が報われるように調整しています。
――そもそも、野球ゲームでGvGというのは珍しいと思いますが、なぜ実装しようと考えたのでしょう。
徳永氏:実はこれもWBCが関連していて、さまざまなチームから選手を集める代表監督の気分をゲームで味わえないものかといつも考えていたのです。それに加えて、野球好きの人が集まって理想のチームを語り合うって、とても面白いんですよね。GvGであれば、ゲーム内でこの2つを同時に実現できるのではと考えて実装することにしました。
――1周年のタイミングだけあって、スタッフとしても肝いりのシステムになっていそうですね。
徳永氏:ユーザーさんからどう受け入れられるのか分からないので、賭けの部分もありますけどね。今までのシリーズは対戦が中心で、「他人は敵」という考え方でした。そこにいきなり協力の要素が入るわけですから、我々としても上手く誘導してかなければいけないと感じています。
小川氏:掲示板を通して分かったこととしては、その人なりの野球愛をぶつけたい人が「野球つく!!」内にも相当数いるんです。同じ野球好きが集まってゲームを遊ぶわけですから、より良いコミュニティができるのではと思います。
つくろう選手の強化も簡単に
――ギルドシステム以外では、どんなアップデートを予定していますか?
徳永氏:現在はレベル5のスキルがもっとも強力ですが、さらに1段階高いレベル6のスキルが登場します。このスキルも「共闘!オールスターズ」のみで獲得でき、どれか1つの能力を一気に上げるものが揃っています。なにかの能力に特化した選手を育成しやすくなるので、それを使ってまた「共闘!オールスターズ」に参戦という循環が生まれると思います。これに合わせてスキルスロットが現在の4から8へ、2倍に増えます。スキルが増えれば当然個性的な選手も生まれやすくなるので、時にはギルドメンバーと相談しながら、理想の選手を作ってもらいたいです。
――「共闘!オールスターズ」で手に入れたスキルは、ほかのモードでも使用できるのですか?
徳永氏:はい。1度手に入ればどのモードでも使用できるので安心してください。あとはオリジナルのつくろう選手にもアップデートが入り、強化する手段が増えます。本作では選手を留学させるのが効率的な育成の手段ですが、今度からつくろう選手も留学させることが可能になります。さらに特殊能力もポテンシャルも覚えるため、現役選手とは違う個性を発揮できます。
また、つくろう選手はチームに1人しか入れることができなかったところを拡大します。これはユーザーさんからの要望も多かったポイントで、現役選手とオリジナル選手の共演も簡単になります。
――自分が理想とするチームを作りやすくなると。
徳永氏:ユーザーさんの中にはつくろう選手に自分自身の名前を付けている人も多く、子供のころの「プロ野球選手になりたい」という夢を投影させているようです。思い入れのあるつくろう選手をチームに組み込みやすくなるので、ぜひ利用してもらいたいです。
小川氏:つくろう選手にこだわりを持っている人も多く、通常なら引退するところを延長させて、長く使っているケースも見受けられます。引退を回避し、契約期間を伸ばすためには「契約延長チケット」が必要になりますが、これはなかなか手に入らないアイテムです。しかし使われている選手のランキングを見てみると、トップ5の中につくろう選手が入っているんです。
――それと本作では、選手だけでなく監督も多数登場します。こちらは今後どんな展開を予定していますか?
小川氏:最近では山田久志監督や野村謙二郎監督を配布させていただいて、今後も有名な監督を入れていこうと考えています。個人的にはノムさん(野村克也監督)とかも出したいと思っていますが、そこはユーザーさんの声も聞きながら、慎重に選んでいきたいです。
――ではここからさらに先の話になりますが、「野球つく!!」でやりたいことや目標はありますか?
徳永氏:今年の大きなテーマとして「仲間」を掲げていて、GvGの実装もその一環です。同じ野球好きのユーザーさんを見つけて、時に語り合ったり、時に苦労を共にしたりと絆を深めていってもらいたいですし、我々としてもこの部分をもっと強く押し出していきたいです。そして8月には選手データの更新もありますので、こちらも楽しみにしてもらいたいです。
アップデートとしてはよりシンプルに、遊びやすくすることを目標にしています。GvGが実装されることでユーザーさんがやることも増えるため、アニメーションの高速化など、短時間で遊べるように改良を加えていこうと考えています。ほかにもトレードやFA、ドラフトなどの要素はゲームに実装できていませんので、これらもゲーム内で再現できないか、検討を続けていきます。
――すでに交流戦も始まっていますが、今年のプロ野球に期待していることはありますか?
徳永氏:一昨年が「トリプルスリー」、昨年が「神ってる」と2年連続で流行語大賞を獲得しているので、今年もなにか流行語が生まれないかなと期待しています(笑)。流行語になるということは、それだけ野球への注目も集まっているということだと思います。「野球つく!!」もその波に乗っていきたいですね。
小川氏:今年は2,000本安打を達成しそうな選手が多いので、ぜひ多くの記録を作って盛り上がってほしいですね。もちろん記録が生まれれば、「野球つく!!」でも特別なカードなどを配布していきたいです。
――それでは最後に、ゲームを遊んでいる方へのメッセージがあればお願いします。
小川氏:今回のアップデートで仲間との交流が加わることで、プロ野球と連動するだけでなく、生活の中の一部になってくれればと期待しています。
徳永氏:現実のプロ野球も日々進化しているので、それに合わせてゲームもいろいろな要素を取り入れ、「最強のプロ野球ゲーム」を目指して頑張っていきたいです。ぜひこれからも応援をよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
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