サーバー改編によってユーザー数が激増!?「リネージュ2」の現状や今後のアップデート予定を運営チームにインタビュー

エヌシージャパンがサービスを行うMMORPG「リネージュ2」。本作では、5月23日に大規模なサーバー改編が実施された。14周年を迎える本作がサーバー改編を行った経緯、そして実施したことによる変化などを、統括プロデューサーの新井友和氏に聞いた。

サーバー改編に踏み切った訳、それによって起こる変化を聞く

新井友和氏
新井友和氏

――本日はよろしくお願いします。まずは、5月23日に行われたサーバー改編について、実施した理由を教えてください。

新井氏:サーバー改編については、2014年頃からずっと検討をしていました。大きなきっかけとなったのは、2017年の“エティス バン エティナ”アップデートです。ここで追加されたコンテンツは多くのプレイヤーで挑戦するもので、そこの討伐があまり進んでいないという状況がありました。

「リネージュ2」の醍醐味である、大人数で強大なボスに挑むというコンセプトが成立しておらず、またお客様からも「サーバー改編をして欲しい」という声が大きくなってきたというタイミングでもあったので、実施することを決めました。

――サーバー改編というとネガティブな印象もありますので、踏み切るには中々勇気がいりますよね。

新井氏:そうですね。人が減っている状況は、プレイヤーの方にとっても私達にとってもよろしくない状況ですから。そこをケアできるよう、アップデートをこまめに実施したり、無料で遊べる新サーバーをオープンしたりと、施策を行っています。

――以前、メガサーバー化も検討しているとのお話もありました。今回はサーバー改編に決定した理由などはありますか?

新井氏:当然メガサーバー化も考えました。ただ「リネージュ2」は、14年サービスを続けているタイトルですから技術的に難しかったというのが理由です。ただ、実施した今となっては、サーバー改編という形で実施して良かったと感じています。メガサーバー化してしまうとチャンネルによっては人がいなかったりする訳で……。やはり、フィールドにプレイヤーの方がたくさんいるっていうのが理想だと思っています。

――オンラインゲームは、サーバー毎に文化が出来上がっていくのが面白さの一つだったりしますもんね。

新井氏:そうですね。今回サーバー改編をしたことで、ゲーム内の仕組みなどもリセットされました。それによって、また新しい気持ちで皆様に「リネージュ2」をプレイして貰えたらと思います。

――元々12サーバーあったものが3サーバーに集約されたわけですが、かなり思い切ったなぁという印象があります。サーバー数の決め手などはありましたか?

新井氏:最初はもう少し多いサーバー数で改編をするという考えもありました。ただ、せっかくやるのであれば、初めから多くのプレイヤーがいる状態の方が良いと思い、3サーバーに決定しました。

――サーバー改編から約1周間ほど経過しましたが、変化などはありましたか?

※本インタビューは5月30日に実施した。

新井氏:野良パーティーが賑わっていることでパーティーマッチングが活性化しています。野良パーティーは、「リネージュ2」における新しい出会いの第一歩なので、ここが活性化しているというのは、非常に良い傾向かなと思います。また、アイテムのトレードや取引回数も増えていて、市場には多くのアイテムがラインナップされていますね。今まで人の少ないサーバーで起こっていた、欲しいアイテムが売っていない、出品したアイテムが売れないという状況は、ほぼ無くなってきたかなと。ただ、相場の変動はかなり大きいですね。皆さん様子を伺っているのかもしれません(笑)。

サーバー改編後の様子。

――改編直後の市場の変動は面白そうですね。

新井氏:なんといってもスタートダッシュがキモですから(笑)。皆さん色々と予想されたり、事前に準備などされていたみたいです。

――血盟数などに変化はありましたか?

新井氏:血盟募集はすごく活性化しています。ここは長くサービスが続いている「リネージュ2」ならではの面白さなのですが、10年以上に渡って続いていた血盟間のいざこざを解消して協力しようという血盟が現れたり、今までに無い文化が生まれてきています。

――それはすごく面白いですね! 以前の同じサーバーの人たちが手を組む、という事例が多いのでしょうか?

新井氏:そのパターンもありますし、サーバー改編前から事前にキャラクターを作って他サーバーを訪問したり、説明会を開催するという血盟もあったみたいですね。

――それでは血盟数なども増えていますか?

新井氏:血盟数もそうですが、新しく血盟に入る人が増えていますね。6月7日までのイベントとして、コミュニティが活性しやすいよう、血盟脱退のペナルティが10分になっています。

――攻城戦は様子を見てとのことでしたが、いつ頃実施できそうですか?

新井氏:6月17日(日)に第一回目の開催を予定しています。

――改編後初めての攻城戦になるので、負荷なども凄そうです。

新井氏:サーバー改編に伴い、機器を全て一新し最新スペックのサーバーを用意しているので恐らく問題ないかと思います。

――サーバー自体を新しくされたんですね!

新井氏:お客様からは、サーバー自体が老朽化しているのではないかという問い合わせもありましたが、今回全て刷新したので問題ない環境をご用意できていると思います。

――その他、サーバー改編で変化があった部分はありましたか?

新井氏:1サーバーあたりの人数が増えたことでレイドボスの挑戦回数は増えていますね。それと併せてパーティーを組んだ回数も大幅に増えています。その他、アイテム売買数や、直接関係はありませんがエンチャント回数も増えています。

サーバー改編による変化をデータで紹介!

今回のインタビューに際し、サーバー改編によって生じた変化をデータで提供してもらうことができたので、ここで紹介しよう。比較対象は、ライブ旧12サーバーと新4サーバー、比較期間は改編前1週間と改編後1週間となっている。

1.キャラ育成アイテムの取引上昇

改編後、キャラクター成長に有効なアイテムAの取引量。パプリオンサーバーで新規キャラクターが増えつつ、改編後のサーバーでもキャラクター育成需要が増したことで取引回数が非常に増えている。パプリオンサーバーは他サーバーと比較してアデナ生産が進んでいないが、取引は行われているとのこと。

結果:以前に比べ約3倍に!

2.パーティーマッチ回数

パーティーが組まれた回数。サーバー改編後、大変盛り上がっており、新たな出会いを求めたり、キャラクター育成に精を出したりし、PT活動も活性化している。足りない職業の補充だけでなく、野良PTも活性化し、どの時間帯でも多くのPT募集が盛んにおこなわれている。

結果:以前に比べ約5倍に!

3.人気ダンジョンの攻略回数

人気のID2種類を比較。PTマッチ増加に伴い、IDへの参加率も向上している。

結果:以前に比べ約1.2倍に!

――サーバー改編と聞くとどうしてもネガティブな印象を持ってしまいますが、良い方向に変化しているんですね。

新井氏:そうですね。そんな状況もあってか、現状復帰してくださる方が非常に増えています。想定の2倍以上の方に、また「リネージュ2」を遊んで頂いています。

――サーバー改編を好意的に捉えてくれた方が、久しぶりに遊びにきているということでしょうか?

新井氏:そのように感じます。「リネージュ2」は、いつ戻ってきても血盟が残っていたり、装備の貸し借りができたりと、継続して遊んでいる方と復帰して遊んでいる方のコミュニケーションが繋がり易いという特徴がありますので。

――「リネージュ2」は、復帰者に優しいゲームなんですね。

新井氏:いつ帰ってきても居場所があるっていうのが魅力ですよね。おかげさまで同時接続数などもだいぶ高くなっています。

――では逆に新規の方はどうでしょう?

新井氏:新規の方は、新しく追加された“パプリオン”の方でプレイしてくださる方が多いですね。

――新サーバーだと皆が同じスタートラインなので遊びやすそうですしね。どういった方が新しく「リネージュ2」を遊ばれるのでしょうか?

新井氏:モバイル向けの「リネージュ2 レボリューション」で「リネージュ2」を知ったという方が多いですね。“パプリオン”が追加されて「じゃあ始めてみようかな」という方が多いです。

――それは中々面白い現象ですね。「リネージュ2 レボリューション」プレイヤーの方の声で多いのはどういった声でしょう?

新井氏:「やることがいっぱいあるね」という意見が多いです。また、オートプレイを前提としていないので、それ故に他の人とコミュニケーションが取りやすいという意見もあります。逆にオートプレイに慣れている方からは、面倒くさいという声もありますが。

――ちなみに“パプリオン”は、アップデート内容や時期などが他のサーバーとずれたりするのでしょうか?

新井氏:そこは同じスパンで入るので、安心してください。

――今回のサーバー改編のコンセプトは、「大人数で遊ぶ楽しさ」にあったと思うのですが、今後そのようなコンテンツを追加する予定はありますか?

新井氏:予定はあります。韓国では「クロフィン」というアップデートが実施され、今後、関連するコンテンツが何かしらお披露目できると思います。

――オリンピアードはいつから実施されますか?

新井氏:6月1日から開始します。1対1の対人最強決定戦ですから、「リネージュ2」の中でも一番盛り上がるコンテンツですね。

――こちらもサーバー改変で大きく変わりそうですね。

新井氏:そうですね。サーバー数が減ったことで英雄になれる人数も大幅に減っていますので……。皆さん武器を強化したり、アイテムを集めたりされています。

――元英雄同士の戦いはかなり熱そうですね。パプリオンでもオリンピアードは開催されるのでしょうか?

新井氏:パプリオンももちろん開催されます。多くのプレイヤーの方が参加可能レベルまで上がっています。

――オリンピアードに参加できるレベルまで、ということですよね。早い人だと何レベルくらいまで到達しているのでしょう?

新井氏:早い人だと98、99レベルあたりですね。一日のプレイタイムが20時間を超える方などもいます。

――すごいですね……!

新井氏:もちろんブーストアイテムが貰えるイベントなども行っていますし、現在は常時経験値2倍っていう理由もありますが(笑)。

ライブサービスのアップデートではセブンサインストーリーがついに終幕!

――ここからは6月7日に実施されるアップデートについて教えてください。

新井氏:ライブサービスでは、セブンサインストーリー最終章のエピソードを交えた「アスタチン製錬所」、ワールドボス“ヘリオス”に1パーティーで挑めるインスタントダンジョン「ヘリオス」、既存レイドボス、“フレヤ”“フリンテッサ”“オルフェン”の上位バージョンなどが追加されます。

新規狩り場「アスタチン製錬所」

――上位バージョンのレイドボスは、既存のものに比べて明確に強化されているのでしょうか?

新井氏:苦戦すること間違いなしです。ただ、サーバー改編で人が増えているということもあり、中々読みづらくもあるのですが。

フレヤ
フリンテッサ
オルフェン

――ドロップアイテムにはどのようなものがありますか?

新井氏:“天使のイアリング”、“天使のネックレス”というアクセサリーがドロップします。特別なボスアクセサリーで段階的に強化が可能です。非常に強力なオプションも付いているので、ぜひ挑戦してみてください。

――ライブサービスでは他に何がありますか?

新井氏:狩り場のリニューアル、日本独自の仕様として経験値テーブルの緩和が実施されます。これによって今まで以上に育成しやすい環境に変化していくはずです。

――ちなみに生放送で、ビッグなイベントを予定しているとお話されていましたが……?

新井氏:「リネージュ2」に異世界の住人がやってきます! 現状お話できるのはここまでになってしまいますが、近々詳細を発表できるはずです。また、それとは別に9月頃に、オリンピアード関連で大きな動きを予定しています。

――おお、それは楽しみです! ちなみに「リネージュ2」は、6月25日で14周年を迎えますが、そこで何かイベントなどは予定していますか?

新井氏:6月20日から14周年関連で動きがあります。また、8月には大型のオフラインイベントを予定しています。これは「リネージュ2」単体ではなく、エヌ・シー・ジャパンタイトル複数によるものです。ユーザー参加型のイベントなどを実施予定です。

新たな道をゆくクラシックサービスのアップデート内容を聞く!

――それでは続いてクラシックサービスのアップデート概要を教えてください。

新井氏:アップデートタイトルが「Aden Crossroad」となり、“分かれ道”という意味のアップデートになります。以前から「『リネージュ2』のライブサービスとクラシックサービスは違う進化を遂げていきます」とお話していましたが、今回のアップデートが大きな分かれ道となります。

今回のアップデートの中でも大きな要素となるのが、“属性システム”です。ライブサービスでも属性システムはありましたが、それをさらに具現化し育成を楽しむという要素を追加したものになります。

――具体的にどのようなシステムになるのでしょうか?

新井氏:水、風、地、火という4つの属性があり、その属性ごとに4種類の精霊が存在します。精霊にはレベルが存在し、レベルを上げていくことで属性攻撃力や属性耐性を上げることが可能です。

――精霊は1キャラクターにつき1属性になるのでしょうか?

新井氏:4つの精霊が1キャラクターに紐づくので、好きな属性を育成することが可能です。「リネージュ2」の醍醐味である“育成”という部分をさらに掘り下げたコンテンツとなります。

――精霊はどうやって育成するのでしょうか?

新井氏:既存の狩り場に新しく属性狩場が追加されます。そこで、例えば火の精霊を育てようとすると風属性の狩場でレベリングをするといったように、相反する属性の狩場でレベル上げをするイメージですね。

――属性が有利な場所で狩りを行うことになるので、狩り自体はサクサク進めていけそうですね。育成することで精霊の姿も変わっていくんでしょうか。

新井氏:そうですね。三段階まで大きくなります。

――属性値はPvPなどにも反映されますか?

新井氏:もちろんです。なので攻城戦なども大きく変わっていきます。全ての属性をまんべんなく強化するか、それとも1つの属性を特化して育てるかなど、プレイヤー毎の個性が出てくるのではないでしょうか。

――精霊のレベルは最大幾つになるのでしょう?

新井氏:各進化段階ごとに最大10レベルです。最大まで育てようとするとかなり大変だと思います。

――精霊はゲーム画面にも反映されますか?

新井氏:残念ながら反映はされません。ただ、“アガシオン”というアイテムを装備することでフィールド上に反映することができます。アガシオンを手に入れるためには“四大精霊王”を倒すクエストをクリアしたときに貰えるアイテムが必要になります。

――四大精霊王というボスが追加されるのですね。

新井氏:そうですね。4つの属性それぞれにレイドボスが追加されます。その属性を管理する神という位置づけです。

――フィールドボスのようなイメージですか?

新井氏:四大精霊王はインスタントダンジョンに登場します。相当強いので初めはすぐにやられてしまうと思います。そもそも属性攻撃がメインになるので、精霊を強化していることが前提になります。

イグニス ネブラ
ペトラム キングプロチェラ

――なるほど、まずは精霊の育成からということですね。

新井氏:そうですね。韓国では、属性システムの導入から3ヶ月後くらいに四大精霊王が実装されたので、ある程度育成が進んでいたんですよね。日本では全ての内容が一度に実装されるので、少し事情が違ってきます。

――6月7日に全て実装されるんですね。運営としてもかなり大変なのではないでしょうか……。

新井氏:加えてライブサービスのアップデートもあるので、サービスチームの面々は皆、死にそうになっています(笑)。ただ、お客様にとっては、遊ぶコンテンツが多いほうが絶対に良いと思っていますので、実装できるものは早めに提供したいなと思っています。

――四大精霊王からは、何か目玉となるドロップアイテムはありますか?

新井氏:それぞれ属性に付随する属性のネックレスが低確率でドロップします。

――クラシックサービスの今後の展望などをお聞かせ下さい。

新井氏:クラシックサービスでは、今回の属性システムの他にも色々と新しいコンテンツをお披露目できるようにサービスチーム一同頑張っております。まずは、6月7日に実施されるアップデートを十分に堪能してもらいつつ、今後のアップデートを楽しみにしていてください。

――それでは最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします。

新井氏:「リネージュ2」は、今年で14周年を迎えます。これからもドンドン楽しくなる「リネージュ2」を作っていきますので、今後共よろしくおねがいします。

――ありがとうございました。

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