ゲームオンがサービスを行うMMORPG「TERA」では、7周年を記念して2013年5月15日時点の「TERA」を再現した、「クラシックサーバー」が実装される。本サーバーの実装意図や気になる仕様などを、日本運営プロデューサーの廣田瞬一氏に聞いた。
――今回「クラシックサーバー」を設置するに至った経緯を教えてください。
廣田氏:仕様の変化が激しく、削除や変更されたコンテンツが多い「TERA」において、過去のコンテンツやバランスを復活させてほしいという要望は一定数寄せられていました。7周年という一つの節目において、長寿運営タイトルになってきた「TERA」の昔の姿を楽しんでいただきたいという思いがあります。
――世界初プロジェクトと銘打たれていますが、日本が初めて行うのですか?
廣田氏:全世界でサービスしている「TERA」の中で、現状は日本でのみ実施する予定です。開発元のBluehole社も日本に対しては積極的で、日々協議する中でこうしたアイデアが出てきました。大型アップデートがある程度落ち着く時期が日本の周年というタイミングになるのですが、特別なサーバーという環境を提供するには良い時期ではないかと思います。
――「クラシックサーバー」概要やポイントを教えてください。
廣田氏:当時のコンテンツやシステムを完全再現した環境です。他タイトルで同様の施策を実施しているところありますが、根本のシステムやバランス、UIは現行のままに、コンテンツ制限をかけただけのものが多いと思います。「TERA」のクラシックサーバーは細かいバランスや挙動、UIさえも当時のものを体験することができます。
また、「クラシックサーバー」終了後もキャラクター情報やアイテムを引き継ぎ、5年分のアップデートを行います。現行のアップデートに揃えられますが、そのまま新しいサーバーとして遊ぶことができます。
――「ルーキーサーバー」との違いは何でしょう?
廣田氏:「ルーキーサーバー」は期間限定サーバーで、レベリングをスムーズに行えるように支援し、一定レベルまで到達したら通常サーバーに移転する通過点のようなサーバーです。アップデート状態も最新で、新クラスなどが追加された際に、それを支援するケースが多いです。
「クラシックサーバー」は昔のコンテンツやシステム環境が遊べる新サーバーとなります。当時の最高レベルやエンドコンテンツまでそのサーバーで遊ぶことができます。クラシック仕様の期間終了後は通常サーバーとして現在の「TERA」をそのままお楽しみいただけます。
――どのようなプレイヤーをターゲットとしているのでしょうか?
廣田氏:今は「TERA」から離れてしまった方々が、懐かしい環境を通して再び「TERA」に興味を持っていただけるのを期待しています。また、5年ぶりの新サーバーで全員1からのスタートになるため、これから新しく「TERA」を始める方にも気兼ねなく遊んでいただければと思います。
――2013年5月15日時点の「TERA」になるとのことですが、このタイミングを選んだ理由などを教えてください。
廣田氏:2013年2月に月額課金方式から基本無料化したタイミングで、多人数レイドなども入り、多くの人が触れたアップデート時期です。また、サービス開始直後と異なりエンドコンテンツも充実し、ある程度遊びやすい時期であることも選んだ理由になります。
――クライアントは既存のものを使えるのでしょうか?
廣田氏:当時の環境で遊ぶため、ゲームクライアントは既存とは別にダウンロードしていただく必要があります。
――「クラシックサーバー」はいつから遊べるようになりますか?
廣田氏:8月1日より専用のゲームクライアントがダウンロードできるようになり、8月8日定期メンテナンス終了後から一斉に遊べるようになります。
――「クラシックサーバー」の運用スケジュールを教えてください。
廣田氏:9月27日までクラシック環境で遊ぶ事ができ、その日のメンテナンス時に既存の「エリーヌサーバー」と同じ環境にまで5年分のアップデートを行います。以降は通常サーバーとしてそのまま遊ぶ事ができます。
――アップデートで徐々に追いつかせるのではなくクラシック期間終了後、一気に同じ仕様にするというのは、かなり珍しく感じます。この意図を教えてください。
廣田氏:「TERA」は短期間でも多くの仕様が変わるため、数か月~年単位のアップデートをまとめて何度か挟んだ場合、その都度混乱を招く可能性を考慮しました。1ヵ月毎に大量のアップデートをするタイトルは多いですが、その場合最初の環境で遊べる時間も短いため、「TERA」は少し長めのクラシック仕様と、5年分のアップデートを一度にしたらどうなるかという点を見ていただければと思います。
――クラシック仕様は約2ヶ月弱の期間限定になります。レベルが上げやすくなるなどの施策を行う予定はありますか?
廣田氏:当時は今よりレベリングや装備強化が大変な時期で、限られた期間の中でクラシックを十分に遊んでいただくためにもレベルアップや装備強化を支援するイベントは実施する予定です。
――クラシック仕様終了後も同じキャラクターをそのまま使えますか?
廣田氏:キャラクター情報などは引き継いでそのまま使えるようにする予定です。一部のアイテムはイベントで配布する関係やアップデートでの仕様変更の都合上、削除させていただく可能性もあります。
――「クラシックサーバー」で育てたキャラクターを「エリーヌサーバー」に移動することはできるのでしょうか?
廣田氏:今回“0”からの新サーバーとなりますので、両サーバー間での移転は一定期間まで制限させていただく予定です。
――「クラシックサーバー」でアップデートが追いついた後はサーバー統合などを行う予定はありますか?
廣田氏:アップデート時にすぐサーバー統合の予定は今のところありませんが、新サーバーだけで満足に遊べない状況などが発生した場合は将来的にサーバー統合させていただく可能性もあります。
――「TERA」は大規模コンテンツのために一度、全サーバーを統合しています。「クラシックサーバー」の導入により人口が分散してしまうといったことは無いのでしょうか?
廣田氏:そうした懸念も勿論ありますが、ギルド対戦は新サーバーであることでフラットな環境で参加し易くなる可能性があることや、「古竜ベルゴス(30人レイド)」は参加人数が緩和され装備の性能も当時より上がっています。また、通常のダンジョンや戦場は「エリーヌサーバー」ともマッチングは可能です。
――「クラシックサーバー」は、クラシック仕様終了後は既存サーバーと同一のアップデート状態になるのでしょうか?
廣田氏:はい、既存サーバーと同じ環境まで5年分のアップデートを一度に行います。新クラスは5種類追加され、レベルキャップも65に引き上げられ、ダンジョンなどのコンテンツやアイテム/装備やシステムも同一に揃えられます。
――「TERA」はアップデートでIDが廃止されたりしますが、差別化として「クラシックサーバー」でのみ遊べるダンジョンとして残すなどの施策を行う予定はありますか?
廣田氏:アップデート後は同じ環境になりますので、サーバー別にコンテンツを分ける予定は今のところありません。
――課金アイテムなどはどのような扱いになりますか?
廣田氏:「TERA」はWEBアイテムモールから便利アイテムを交換する形ですが、クラシック期間中は既存サーバー用の便利アイテムはゲーム内へ入れ込みや使用ができません。クラシック専用の便利アイテムは別途、少数提供する予定です。
――「クラシックサーバー」に関して、今後の展望をお聞かせください。
廣田氏:クラシック期間中は当時のコンテンツになるべく触れられるよう、イベント等で支援させていただきます。通常サーバー化後は既存サーバーと同じアップデートになるので環境に追いつき易くなるよう状況を見て別途支援なども検討していきたいと思います。
――最後に読者の方へメッセージをお願いします。
廣田氏:過去の「TERA」を遊べるまたとない特別な期間となります。当時の「TERA」を懐かしんでいただいたり、既存サーバーとの違いを見るなど思い思いに遊んでいただければ嬉しいです。5年ぶりの新サーバーですので、TERAに興味はあるけど今から途中参加するのは……と思っていた方も始めやすいタイミングです。美しい「黎明の島」があの頃の姿のまま皆さんを待っていますので、8月8日の開始を楽しみにお待ちください。
――ありがとうございました。
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