セイブ・ザ・クイーンでは“ソロ零式”とも言うべき敵将との一騎討ちも!?“漆黒のヴィランズ”完結を迎える「FFXIV」パッチ5.3インタビュー

8月11日にパッチ5.3「クリスタルの残光」の公開が予定されている「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」。同パッチで追加される要素についてプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを行った。

当初、6月16日にリリース予定だったパッチ5.3「クリスタルの残光」だが、新型コロナウイルス感染症の影響で約2ヶ月遅れで8月11日にいよいよ公開となる。パッチ5.2「追憶の凶星」では、新たな一歩を踏み出した第一世界を見届けた闇の戦士一行が、いよいよ原初世界へ帰還する方法を模索する最中、アシエン・エリディブスが不可解な行動を続ける……。その行動の真の思惑とは、暁のメンバーが帰還する方法とは……、すべての問いに答えを出し、“漆黒のヴィランズ編”が完結するのが、今回のパッチ5.3だ。

加えて、「NieR」シリーズを生み出したタッグ、齊藤陽介氏・ヨコオタロウ氏をゲストクリエイターとして迎えた「NieR」シリーズとのクロスオーバーコンテンツ「YoRHa:Dark Apocalypse」第二弾「人形タチノ軍事基地」や、新たな大規模バトルコンテンツが追加される装備強化コンテンツ「セイブ・ザ・クイーン」、新たなクロニクルクエスト「ウェルリト戦役」、新たな蛮族クエスト「ドワーフ族」などなど多数の新コンテンツも追加予定だ。

本稿では、そんなパッチ5.3で追加される新要素の数々をプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に聞いた。なお、今回のインタビューは、新型コロナウイルス感染症に配慮し、オンラインで実施されている。

「FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏

「FFXIV」チームの現状は?

――本日はこのような状況の中ありがとうございます。まずは一プレイヤーとして、新型コロナウィルスの影響もある中「FFXIV」の開発・運営を継続して頂きありがとうございます。

吉田直樹氏(以下、吉田氏):いえいえ、とんでもないです。やっぱりお金をいただいて運営しているサービスですので、サービスを持続するのは最低ラインだと思っています。その中でも多くのプレイヤーの方が、無理にパッチのリリースを急ぐことで僕やスタッフが倒れたりして、「FFXIV」の今後の発展が止まってしまうことを心配してくださる声が多くて本当にありがたかったです。だからこそ、それに甘えるのではなく、そのお声を糧にして開発環境の整備をやってきました。そういう意味では、プレイヤーの皆さんと開発・運営チームが、お互いに気遣いをしながら……というのは「FFXIV」らしいな、と嬉しく感じられた部分でもあります。

――「FFXIV」は、直近のパッチ5.3もそうですが、先々まで計画をされてアップデートを続けていると思うのですが、全体としての状況はいかがでしょうか?

吉田氏:プロデューサーレターでもお知らせしましたが、そこから大きく変わってはいません。今も九割以上のスタッフが在宅のまま、新型コロナウイルスの対策に入る前を100%とすると、大体90~95%くらいまでは復帰している状態です。ただ一点、QAチームは働き方がまちまちで、アルバイトの方達もたくさんいるんです。雇用形態によっては自宅にPCをお渡しできない場合もあって、例えば24人アライアンスレイドのような数十人で繰り返し検証が必要な場合に、どうしても出社が必要になってきます。もちろん手洗いアルコールや非接触型の体温計の準備をしたりはしているのですが、ソーシャルディスタンスに配慮して席を近づけないようにしたりすると、当然ですが、今までのスペースのままでは大規模QAができません。ほかのフロアの部署を借りたりと準備が必要になってくるので、QAだけは効率が落ちたりペースが上がらないというのはあるのですが、それ以外はほぼほぼこれまでと変わらない状態です。

――パッチ5.3も約2ヶ月遅れでの実装となりました。

吉田氏:今回はお待たせしてしまったのですが、開発環境の準備は整い、今後のパッチに関してはこれまでの3.5ヶ月サイクルは守れる状況になりました。QAの効率が若干落ちているので、もしかするとプラス一週間程度かかる可能性はありますが、メジャーパッチの間隔は、ほぼ今まで通りだと思っていただいて大丈夫です。

ただ、失った二ヶ月弱の期間は取り戻せないとも考えています。無理に元のスケジュールに追いつこうとすると、パッチリリースの間隔を短くするしかなくなります。そうなるとパッチの規模を縮小するか、メジャーアップデートを一回飛ばすかしないといけません。それは長い目でみると、誰の得にもならないだろうと思っていて、むしろこの失った二ヶ月を、外的要因によって強制的に進化を促された期間だと考えるようにしています。この在宅環境で、開発・運営や宣伝も続けられるようになったので、世界中どこにいてもサービスが提供できるようになりました。例えば大阪から離れられない人にも「FFXIV」チームに参加してもらえるようになったり、海外のデザイナーが参戦するということも可能だと思います。良かったとは決して言えないですが、得るものはあったかと思っています。

――逆境をバネにするというのは「FFXIV」らしいですね。一方、こちらはどうしようもない部分ではありますが、サンディエゴで実施される予定だったファンフェスの中止が発表されました。今後のリアル系のイベントはどうなっていくのでしょうか。

吉田氏:ヨーロッパのファンフェスにせよ日本のファンフェスにせよ、今月中には何らかの結論を出す必要があると思っています。チケットの予約だったり、移動経路や宿の準備を考えると引っ張るのは限界だと思っていて。ただ、経済活動が再開された後の状況をみているとまだまだ不安定で、ギリギリまで状況を見て決断を下したいと思っています。決まり次第プレイヤーの皆さんにはできるだけ早く、どういった形で開催するのかお知らせできるよう準備は進めていますが、もうちょっとだけお時間を頂ければと思います。

元々ファンフェスは、プレイヤーの皆さんと、開発・運営チームが一丸となって楽しくお祭りをすることだと思っています。なので不安を抱えたまま開催するお祭りって楽しいのかな? と思っている部分もあります。これまでのファンフェスは、「その場でしか得られない体験」を重視していましたが、もう一段進化したファンフェスを考える必要があるのかなと思っているので、コミュニティーチーム、宣伝チームを含めてギリギリまで検討しています。

いよいよ完結を迎える「漆黒のヴィランズ」。パッチ5.3「クリスタルの残光」の見どころは?

――それでは、改めてパッチ5.3「クリスタルの残光」についてお聞かせください。パッチ5.2のメインクエストが「そこで終わるの!?」という所で終わっていたので、ついにあの続きが見れるのか……という気持ちです。

吉田氏:今回のパッチ5.3は「漆黒のヴィランズ」完結に当たり、前回はその完結を盛り上げるためにも、大いなる謎を提示したところで終わっていたので、やきもきされている方も多いと思います。特にアシエン・エリディブスは、黒が象徴のアシエンの中で一人だけ白いローブを着ていて、光と闇の調停者を名乗っている。それ故に、どっちつかずの印象があったと思います。他のアシエンに比べてもより一段、何がしたいのかわからないというか。それらが果たして何故なのかということや、そもそもエリディブスという人物がどういった想いでアシエンとして行動してきたのか、彼はいったい人類の歴史に対してどう関与してきたのか? みたいなところというのは全てパッチ5.3できれいに明かされます。受け取り方は、プレイヤーの皆さん次第なのですが、少なくとも僕はすごく納得がいく結末が描けたかなと思っています。

あとはもう一つのテーマに、第一世界との別れがあります。闇の戦士は魂と肉体を持って第一世界に行くことが出来ますが、暁のメンバーは魂だけ分離している状態です。彼らにも帰還が迫っており、いよいよこの第一世界からお別れする物語でもあります。今回は、1キャラクターずつ丁寧に描く必要があったので、メインシナリオはかなり長いです(笑)。ボイス付きセリフのボリュームも過去のパッチと比べて最大収録数だと思うので、是非「漆黒のヴィランズ」のストーリーを気に入ってくださった方は、初日はメインストーリーしかやらないってくらいの覚悟でプレイしてもらえればと思います。クエストとクエストの合間のヒントトークとかも凄く丁寧に描いているので、じっくりとストーリーに没頭して頂けると嬉しいです。

――今のお話の中でも「お別れ」という言葉がありましたが、サンクレッドとリーンにも別れが来るのですよね。サンクレッドは「希望の園エデン」のストーリーにも絡んでくるので、その辺がどうなるのかが気になります。

吉田氏:ちょっと開発者視点にはなってしまいますが、だからこそ共鳴編のラストから準備はしていて、大人目線のウリエンジェとサンクレッドは、「もう、あの子は一人でも立派に自分の足で、この世界を生きていけるだろう」となりましたよね。寄り添ってくれるというか、仲のいい友達も出来ましたし、ここから先は本当の意味で、リーンの物語になると思っていてください。

――もう本当にお別れなんだなぁっていう気持ちが強くなってきますね。

吉田氏:そうですね。ただそうは言ってもみんな異邦人ではあるので……。そもそも無事に帰れるのかという部分も焦点になるのですが、絆が切れる訳ではありませんし、どんな言葉を残して第一世界と別れていくのか、そのあたりはしっかり石川(メインシナリオライターの石川夏子氏)が書いてくれたので、じっくりと楽しんでくれると嬉しいです。

――今回のパッチタイトル「クリスタルの残光」ですが、ストレートに受け取ると結構不穏ですよね。

吉田氏:「漆黒のヴィランズ」は、闇を取り戻すという物語ではあるのですけが、その物語を通じて、強く生きていくための“道標の光”みたいなものは色々なキャラクターに灯っていったんじゃないかと思います。その象徴の一つが、どんな時でもそびえ立つクリスタルタワーの輝きもそうだと思いますし、ルナルたち「夜の民」にもこの先の道標は見えたと思います。闇の戦士や暁たちが残した光、もちろん水晶公の光でもありますけど、その光を総称して“クリスタルの残光”と呼んでいます。その先に何が残るかみたいなところを見ていただけると嬉しいかなと。そんな想いが込められています。

――個人的には、ルナルがすごく好きなキャラクターなので、パッチ5.2を遊んで「ルナルかわいそう」という気持ちが大きかったです。

吉田氏:ルナル好きは多いですからね。これ以上は、楽しみを奪ってしまうので言えないですが、ルナルの動向にもご注目ください。

――不穏繋がりでいうと、パッチ5.2では、水上歩行を失敗したウリエンジェや、それを助けたサンクレッドの体調不良のような描写もありました。

吉田氏:ああいった伏線もきれいに回収しているので、プレイして頂ければわかると思います。

――前回のお話で衝撃的だったのは、やはり超える力の正体でしょうか。振り返ってみると、パッチ2.0の時点でアレンヴァルドが不思議な夢をみて暁を紹介されたという話があったりしましたが、この設定は初期のころから構想されていたのでしょうか?

吉田氏:超える力がどういったものなのか、誰に与えられたもので、何に紐づいてるのかみたいな部分はざっくりとは決めていました。ただ決め過ぎるとストーリー構築の足枷にもなるので、超える力には能力のバリエーションがあり、その力の内容が少しずつ違うという便利な設定を作りました。光の戦士が持っている超える力は、「過去をみる力であって過去は変えられない」とか、ベースのルールは決めてあります。でも、それ以外はその都度話し合い、世界設定の織田がそれをうまく統合するという後はアドリブで進めてきました。結構、うまく噛み合わせられたんじゃないかと思います。

――そうなんですね! 設定がしっかりはまってくる感じがあったので、初期段階から練りに練っているのかと思っていました。

吉田氏:それは無理ですね(苦笑)。テレビドラマシリーズの脚本と一緒で、サービス開始直後は、最悪のケースを想定して、いつエンディングを迎えてもいいように柔軟性を持たせます。その後、運営とサービスが資金的にも安定でき、改めてその時点で目標を遠くまで見定めるようになりました。資金が無ければ運営が続けられない。でも、人気や面白さが無ければ、資金を集められない。運営を続けたいからこそ、ビジネスという観点を疎かにしない、というのが「FFXIV」の考え方です。だからこそ「FFXIV」では、運営を続けていくためにも長期的に計画を立て、それをしっかり実現していくことで、これを達成しようとしています。この先、もっともっと世界の真相に迫っていくことになるので、パッチ5.3だけでなく、その先も楽しみにしていてください。

――ゼノスについてですが、彼は超越者としてアシエンと同じ「不滅なる者」になっていたり、アーモロートの終末の風景を記憶していたり、一体何者なんだと驚かされています。パッチ5.3では彼がキーパーソンだったりするのでしょうか?

吉田氏:パッチ5.3で鍵を握るかと言われるとそうではないのですが、登場しないとは言わないです。エメトセルクの直系ですからね……彼は。ソル帝の孫、ヴァリスの息子です。ある意味、彼はオリジナルのアシエンの血を継いでいるのか……そういう風に見方を変えると色々と納得できる部分もあると思います。

「人形タチノ軍事基地」では「NieR」のルールでバトルが展開!?

――続いて、パッチ5.3でいよいよ続編が楽しめる「YoRHa:Dark Apocalypse」第二弾「人形タチノ軍事基地」についてお聞かせください。まずはこちらの概要や見どころについて教えてください。

吉田氏:見どころはやっぱり、「NieR」シリーズから次はどんなキャラクターが出てくるのかという部分だったり、公開したアートワークにも登場していたバンカーの中ってどうなっているの? っていう部分だったりですよね。特に「NieR:Automata」をプレイした方にとっては、「おいおい、これどう繋がってるの!?」みたいなところもあると思います。そこはマップサイドでも拘っていて、色々な妄想や連想が掻き立てられるようになっているんじゃないかと思います。

「FFXIV」ファン、「NieR」ファンどちらにも驚いて欲しいというところが強くあり、終盤に物語が大きく展開していくのですが……。あまり喋るとそれも削がれますし。バンカーのアートワークを出す際にも迷ったくらいで(苦笑)。

――確かにあのイラストは驚きでした。あのバンカーはやはり、私たちが知っているあのバンカーと同一なのでしょうか。

吉田氏:うぐぐ……さぁどうでしょう。これ以上はナイショにしておきます(笑)。

――なるほど。ではストーリーに関してはプレイを楽しみに待ちたいと思います。

吉田氏:そうですね。ボスに関しては、今までは「FFXIV」のルールの中に「NieR」が入ってきたという形でしたが、今回は「NieR」のルールの中で「FFXIV」のシステムが動いているみたいな感じになっています。どっちも遊んでいないと「何言ってんだ、吉田……」って思われるかもしれませんが(笑)。とにかく、地面とかじゃなくてボスや周囲をよく見ていた方がいいです。

――パッチ5.1の時もそのようなお話がありましたけど、今回は「NieR」の雰囲気がより濃く出てきそうですね。

吉田氏:アクションゲームを攻略する時は、やっぱり敵の行動パターン見て動きを予測していくと思うのです。今回は、そういったアクション部分は見どころだと思います。ボスが向いている方向とか、ギミックがどう動いているのかっていう所はアンフェアにならないよう念入りに調整を繰り返して作っているます。ただ、アクションと聞くとめちゃくちゃ忙しいものを想像するかもしれませんが、そこはやっぱり「FFXIV」なので安心してください。

――第一弾の「複製サレタ工場廃墟」の時点で、巨大なエンゲルスと戦えたり、9Sが敵として登場したり驚かされることばかりでした。今回も敵として登場するキャラクターには期待していても大丈夫ですか?

吉田氏:それは大丈夫です。保証します。

――後は、BGMもかなり凝っていましたよね。「Weight of the World」と「プレリュード」のコラボ楽曲なんかはめちゃくちゃカッコよくて、ぜひサントラにも収録して欲しいなって思っているのですが、今回はBGMはいかがですか?

吉田氏:BGMは今回も力を入れて作っているので、「NieR」世界が音からも楽しめるようになっていますし、ちゃんと音として燃えられる要素もあります。なので、そうですね。譜面の奪い合いを頑張ってくださいという感じですね(笑)。

――たしかに(笑)。楽しみにしています。報酬の話もあったのでこちらも気になっているのですが、装備の見た目はいかがでしょうか?

吉田氏:今回は全員でロットする報酬に装備はありません。というのも「複製サレタ工場廃墟」で皆さんが一番欲しかったものを出せたとは思っているので。今回は全ロール分に、「NieR」チーム監修のもと「FFXIV」チームがデザインした色々なバリエーションの装備を用意しています。ぜひ獲得してオシャレに活用して欲しいですね。実は、ちょうど今、第三弾の装備デザインのチェックが終わったところで、これから制作に入ります。今後も「NieR」の世界観の装備は色々なパターンのものを用意していくので楽しみにしていてください。

――「複製サレタ工場廃墟」では、クリア後にゆっくりダンジョン内を歩き回れるようになっていたのも嬉しいポイントでした。今回はどうでしょうか?

吉田氏:有るとも無いとも言えないです。ただ、「NieR」ファンにとっては“何が”、“どうなっているんだ”を楽しんで貰いたいですし、「FFXIV」ファンにとっては、「FFXIV」だけ開発していたらきっとこうはならないだろうなっていう新鮮さがあると思います。せっかくのゲストクリエイター二人が参加してくれたコンテンツなので、まずはそこを思いっきり楽しんで欲しいですね。

「南方ボズヤ戦線」ではみんなで砦落としに挑戦!

――続いて「セイブ・ザ・クイーン」のアップデートについてお聞かせ頂ければと思うのですが、まずこちらはパッチ5.35での実装になりますか?

吉田氏:そうです。今回やり込み要素も多数ある「南方ボズヤ戦線」という大型のコンテンツが追加されます。現在、最終調整中で開発自体はパッチ5.3の時点で終わる予定なのですが、規模が大きいこともあり二カ月ほど開けてからリリースする予定です。

――「南方ボズヤ戦線」とはどのようなコンテンツになるのでしょうか? 大規模コンテンツということで、「禁断の地 エウレカ」のようなものを思い浮かべますが、今回のコンテンツならではの魅力などがあれば教えてください。

吉田氏:コンテンツタイプとしては似ていますが、基本的に完全な新規コンテンツです。大型フィールドの中に、70人を超えるプレイヤーが入ってエリア全体を使って遊ぶという意味では、「エウレカ」タイプと言えます。このエリア専用の成長要素として“レジスタンスランク”があり、このエリア専用アクションとなる“ロストアクション”という仕組みもあり、完全にゲーム内ゲームの体をとっています。

「禁断の地 エウレカ」は、第一世代のMMORPGを強くオマージュして作っていたので、あるトリガーを引かなければポップしないモンスターとか、「バルデシオンアーセナル」に行くために外で何かの役割を果たさなければいけないというところが、「エバークエスト」や「FFXI」フィーチャーだったのです。ただ、その一方で「一人じゃ遊べないし、ツライ」という声も多く頂いていたので、そういったものを踏襲しつつも、今回の「南方ボズヤ戦線は」それらが大きく進化した遊びになっていると思っていてください。また、今回のこのエリア内で発生する“クリティカルエンゲージメント”は、新規開発されたまったく新しいイベントバトルに仕上がっています。

――“クリティカルエンゲージメント”、どのようなシステムか気になりますね。

吉田氏:「クリティカルエンゲージメント」というのは、この南方ボズヤ戦線のエリアの中で発生する「戦況」のことを指します。南方ボズヤ戦線では、ガレマール帝国第IV軍団によって制圧されている「砦」を奪還する物語です。この砦は、ボズヤレジスタンスとして皆さんの手で陥落させる必要があります。これがまず、大きな目標です。

南方ボズヤ戦線のフィールドでは、「スカーミッシュ」「クリスタルエンゲージメント」という2種類のイベントバトルがあるのですが、スカーミッシュは皆さんが良く知るF.A.T.E.に似たイベントバトルです。頻度が高く発生するので、この戦闘に参加して、帝国軍と戦い、「戦果」を挙げてレジスタンスランクを上げます。他方「クリティカルエンゲージメント」は、ボズヤ戦線の中で条件を満たすと発生する、より規模の大きい新しいシステムのイベントバトルのことです。発生したクリティカルエンゲージメントには、戦場のどこからでも“参加申請”をすることができ、参戦が確定するとその当該地域へ飛ばされ、区切られたエリア内で大規模なバトルが展開されます。参加人数や移動範囲が固定されている分、IDのボスバトルや、レイドのような凝ったバトルが展開されます。「砦落とし」は、今回実装されたクリティカルエンゲージメントの最も大規模なものです。

本陣をいきなり落としに行くのではなく、周辺で色々な作戦が展開していくので、その軍事行動に参加してランクを上げ、最終的には皆で砦落としをする、というのが概要です。

――フィールドでの乱戦から攻城戦まで楽しめるという感じですね。すごく面白そうです!

吉田氏:そうですね。クリティカルエンゲージメントには、様々なタイプがあり、その中でも変わっているのが、敵の将軍との「一騎打ち」です。第IV軍団に対して抗っていくと、戦場に敵の将軍が現れ、特定条件を満たしたプレイヤーに一騎打ちを申し込む……そんなイメージです。こちらはソロ零式とも言うべき難易度で、ランクを徹底的に上げ、ロストアクションを使いこなし、一騎打ちを目撃したプレイヤーの皆さんで情報交換をして挑んでください。今回実装されている最も「やり込み要素」が強いバトルです。

今回の「南方ボズヤ戦線」というのは、攻城戦という大規模戦闘も含め、まったく新しい遊びに仕上がっています。コンテンツタイプとしては、「エウレカ」に近いのですが、中身の遊びは全然違います。また、パッチ5.35には「バルデシオンアーセナル」に相当するコンテンツはありませんが、次のパッチ5.4シリーズ中に同じコンセプトで作る大規模バトルが予定されています。「セイブ・ザ・クイーン」シリーズの大規模レイドみたいなのも今後展開される、と思っていてください。

――装備の強化についてはいかがでしょうか。

「セイブ・ザ・クイーン」には装備強化が紐づいていますが、今回の強化は「南方ボズヤ戦線」のストーリーの冒頭部分から並行して強化が始められるようになっています。「エウレカ」では、エレメンタルレベルを上げ切らないとシナリオを終われなかったのですが、今回はコンテンツをやり込まなくてもシナリオは楽しめるようになっています。武器強化をメインとする方は、「セイブ・ザ・クイーン」第二章の物語の序盤で、武器の強化を開放した後、「南方ボズヤ戦線」の外で手に入るアイテムでも強化を行うことができます。もちろん、「南方ボズヤ戦線」の中で得られるアイテムで強化する方法もあり、二つのルートを用意しているので、お好きな方で進めてもらえればと思います。

――「南方ボズヤ戦線」の外で手に入るアイテムとは、もしかしてアートマ的なやつでしょうか?

吉田氏:さぁ、どうでしょうか(笑)。

――わかりました(笑)。今回はシナリオを進めやすくなっているようですが、「セイブ・ザ・クイーン」は物語にも力が入っていますよね。前回実装分では、精神世界のシタデル・ボズヤに行けたり、ソル帝やミドのグラフィックが初めてでてきたり結構豪華でした。

吉田氏:松野さん(松野泰己氏)には開発できるギリギリのコストの範囲で、最高の脚本執筆をしていただいています。今回は前回のようなストーリーベースに留まらず、大規模コンテンツならではの物語を描いていただきました。また、「戦果記録帳」というレポート形式の読み物は、「南方ボズヤ戦線」をやり込んでいくことによって得られる遊びにもなっています。今回も物凄いテキストボリュームとなっています。松野さんのテキストが好きな人は、ぜひ隅々まで言葉の洪水をお楽しみください。ここは僕もテストプレイでずっと読みふけっていましたので……(笑)。

――「リターン・トゥ・イヴァリース」は、ガブラスの意味深なシーンで終わっていましたが、今回の「セイブ・ザ・クイーン」では彼の出番もありそうですよね。シナリオを担当しているのが松野さんというところも含めて楽しみな部分です。

吉田氏:魅力的なキャラクターが多数登場します。メチャクチャ良い味のキャラがいるのですが、ここはぜひ皆さんの手でお確かめください。

新生編メインクエストの改修とフライングマウント対応も実施!新たなお洒落システムの構想も!?

――それでは、パッチ5.3で実施される、新生編メインクエストの改修とフライングマウント対応について教えてください。それぞれ対応に至った経緯は何だったのでしょうか?

吉田氏:元々この二つは別々にやらなければいけないと思っていたことでした。特に新生のクエストを、よりサクサク進められるようにしたい、というのは一年半ぐらい前から話をしていて、どうやってそのデータを作ろうかと調査をパッチの合間で行っていました。工数を見積もっても、拡張パッケージの作業と一緒に行うのは工数が多すぎて無理だという結論が出ました。ですので、コツコツ内部的な準備を進め、「漆黒編」が一段落となるパッチ5.3を目標に進めよう、ということになりました。

一方、新生エリアのフライングマウント対応は、これこそ拡張パッケージじゃないとまとまった作業工数が取れないだろう、と思っていたのです。拡張パッケージを開発する際には、外部にある開発会社さんの協力も得て、世界中のスタッフに参加してもらって、物凄い物量を一気に作るんです。ですので、その「最も開発チームにパワーがあるとき」に、一気に対応してしまおうと。

ただ、これを開発チームで検証してみると、新しいスタッフには難しいという話が上がり、そうなると「FFXIV」の開発経験が長かったり、社内にいて仕様にも精通しているメンバーでないと難しいだろうと。新生エリアのマップデータの作りが、まったくフライング適用できない状態だからです。この「新生エリアのフライング対応」は、何度か議題に上がっては消えてを繰り返していました。

そんな中、逆に開発チーム側から「やるんだったら、通常のパッチ内でやらないとできませんよ」と言われて……。「えっ!?拡張じゃなくて?」って返したら「拡張は、あなた達が発注してくるマップの物量が多すぎて無理ですよ」という話になってしまって(笑)。僕としては拡張のタイミングで「ついに新生エリアがフライング対応です!」って言えた方が気持ちは良いんですが(笑)。それならシナリオのメンテナンスが行われるパッチ5.3にすべて合わせてしまえばいいのでは、ということになり、皆腹を括って長期間をかけて準備をしてくれたのです。

――今回フライング対応が発表されたので、改めて新生エリアを歩き回ったのですが、あの時代のフィールドって飛べなかった分、密度の濃いフィールドになっていて、すごく良くできていると思うんですよね。フライング対応で便利になる反面、歩き回っていたからこそ気づけた部分もあるんじゃないかと思っていて。例えば交易とかフィールドを使った遊びを追加する予定などはありますか?

吉田氏:「FFXIV」は、未来、つまり前に進む物語なので、後ろに戻るためのコンテンツを作ってみんな喜ぶのかな? という疑問が常にあるのです。改めてゆっくり世界を見て回って欲しいとなると、フライングできることが今度は仇になります。なぜなら、フライングするのとしないのとでは、時間当たりに稼げる移動距離に歴然とした差が出てしまいます。そうなるとまともな報酬がお渡しできないですし、報酬が無ければなかなかプレイに繋がりません。ではフライングを禁止して……となると、何のためのフライング対応だっただろう、となってしまいます。逆にデータワークだけで、世界の物流をシミュレーションする交易コンテンツを追加しても、今度は「世界を見て回る」ということにはならないので、もしそういったものをやるのであれば、初期設定からやらなければダメだと思うんです。この辺りは継続して、頭を捻って行こうと思います。ただ、今回チェックのために新生エリアをフライングマウントで飛びましたが、めちゃくちゃ気持ち良いです(笑)。

――それは楽しみなポイントですよね。やっぱり今までとは違って見える景色とかもありましたか?

吉田氏:ありますあります、めちゃくちゃあります! それに新規で始めた方のフライングが開放されるのはメインクエスト「究極幻想アルテマウェポン」のコンプリート後なので、そこまでは当然、グラウンドマウントと自分の足で歩き回る必要があります。そこで、ようやく帝国を追い払い、制空権が回復して飛べるようになりました、という形になります。そのため、ちゃんと新生エリアを隅々まで歩いた後に飛べるので、ゲーム体験としてはこれまでと同じように味わってもらえると思います。

――少しお聞きしたいのですが、前回、傘が実装されましたが、細かいけどちょっと嬉しい要素みたいなものは、パッチ5.3で登場しますか?

吉田氏:傘ほどのインパクトは無いですが、生活系のお遊びエモートなどはたくさんあります。あとは今回のパッチ5.3ではないのですが、傘の仕組みを使ってもっと新しいことをやろうっていう企画も上がっています。ファッションアイテムという新しいカテゴリが今回追加されるので、傘と同じように身につけるアイテムを増やしていく予定です。例えばですが、ぬいぐるみを抱いて歩けるようになったりとか、そんな遊びに繋げていけたらと思っています。

――いいですね! ミニオンとか抱っこできたら可愛いかもです。

吉田氏:そうですね。企画の段階なのであくまで例ですが……。でもそんなロールプレイが楽しくなるようなシステムになる予定なので、今後も色々な遊びを作っていけたらなと思っています。

――わかりました。それでは最後に、パッチ5.3を楽しみにしているプレイヤーの方へメッセージをお願いします。

吉田氏:冒頭で少しお話しましたが、世界中のプレイヤーの方から「自分たちの生活を最優先してほしい。その上でパッチを楽しみに待っているよ」と励ましのお声をいただき、やっぱり「FFXIV」のコミュニティは改めて世界一だ、と感じることができました。

パッチ5.3は当初の予定より二カ月弱遅れることとなってしまい、本当にご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。ですが、「FFXIV」があるから、外出できなくても友達と繋がっていられるとか、そこで待っていてくれる人がいるから医療従事者として仕事に立ち向かっていける……といったお手紙をいただき、本当に色々な気付きをプレイヤーの皆さんからもらえたタイミングでした。これを糧にして作ってきたパッチ5.3なので、ゲームの中では思いっきり笑顔で楽しく遊んで貰えれば嬉しいですし、その後のパッチペースは元に戻りますので、そこでぜひ、プレイヤーの皆さんにお礼を込めて良いゲームをお届けしていければと思っています。この先にまつ展開にワクワクしながら、まずはパッチ5.3を隅々まで遊んでください。

――ありがとうございました。

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