ラスボスは異界滅神ジャゴヌバ!?スタッフのびっくり発言も飛び出した「ドラゴンクエストX 秋祭り 2020」レポート

スクウェア・エニックスは、10月31日にMMORRPG「ドラゴンクエストX」のオフラインイベント「ドラゴンクエストX秋祭り 2020」をSHIBUYA LINE CUBEで開催した。

今年で8年目を迎えた「ドラゴンクエストX」。恒例となっている同イベントだが、コロナ渦の影響もあり4月に出された緊急事態宣言以降、スクウェア・エニックスとしてはユーザーを招いて行われたオフラインイベントとしては、これが初の開催となる。

そうしたこともあり、会場入り口では体温チェックや消毒などの感染予防が行われていたほか、会場内の席も1座席置きにキャラクターの絵が描かれたパネルが置かれているなど、いつもとはひと味違った雰囲気で行われていた。

イベント冒頭、「ドラゴンクエストX」プロデューサーの青山公士氏からプレゼントとして紹介されたのが、おでかけ超便利ツールの新しい着せ替えテーマだ。今回はアンルシアをテーマにしたものが2種類配信される。

間に配信企画を挟んだ2部構成で、全部で9時間もの長時間で行われた今回のイベントだが、最初に行われた企画が「聞かせて!あなたのアストルティアSP!」である。ゲストとして登壇したのは、俳優の佐野瑞樹さん、声優陣からはユシュカ役の伊東健人さん、アスバル役の山中真尋さんの3名だ。

同コーナーでは、ゲストの3名がゲーム内で撮影した写真が紹介された。伊東健人さんが撮影したのは、ハロウィンの衣装を入手して一番恐かった場面とボス戦で映えるシーンとして撮影した3枚だ。ボスのシーンは、一緒に討伐に参加してもらった先輩プレイヤーたちに討伐を任せて、その間に撮ったものだという。

山中真尋さんは、愛車のドルバイクに乗って空が美しく見えるシーン3枚をチョイス。かなりの枚数撮っていた結果、ゲームの中で夜が明けていい絵が撮れたそうだ。

総プレイ時間が1万時間越えという佐野瑞樹さんは、紅殻魔スコルパイドを3人勝利したときのシーンをチョイス。スコルパイドが楽しすぎたのと、なかなか勝てなかったため、2ヵ月ほど粘着していたという。普段は賢者でプレイしていた佐野さんだが、途中からレンジャーになり、見事勝利したときもレンジャーだったという。

続いて、再び青山プロデューサーから、最新情報が紹介された。まずはメガネブランドZoffとのコラボだ。メガネとサングラス全15種類、メガネクリーナーやケースなど雑貨2種類が2020年12月より発売される。

本コラボの象徴的なアイテムとして発売されるのが、笑顔になれるスライムメガネのキャッチコピーが付けられている「プレミアムスライムモデル」(価格は1万2000円)だ。冒険者にはおなじみのスライムゼリーを使い、職人が作り上げた特別な装備品である。

プロントアタッチメント部分はマグネットで着脱できる、2WAYサングラス仕様になっており、室内と外出時で用途ごとに合わせた使い方可能だ。メガネのテンプル部分内側には、スライムの顔がデザインされているのも特徴だ。

このほかブルーライトカット約35パーセントのZoff PCパッケージ「スライムシリーズ スライムモデル」(5500円)や「メタルスライムシリーズ メタルスライムモデル」(5500円)も発売される。

また、このコラボ商品の購入者には、ゲーム内で「スライムメガネ」を身につけることができるアイテムコードが全員にプレゼントされる。アイテムコードは1キャラクターにつき1本追加できるため、複数購入することで別のアカウント用に入手することもできる。

12月1日より、これ以外の全商品の情報が解禁され、Zoffオンラインストアとスクエニe-store限定で先行予約が開始される。また、12月18日からはアウトレット以外の全国のZoff店頭でも発売が開始される。

また、「ドラゴンクエストX リンベリィぬいぐるみ」も、2021年1月30日より発売される。こちらは、スクウェア・エニックス e-storeで予約を受付中だ。購入者には、ゲーム内アイテム「セピアのリンベリィ人形」がもらえるアイテムコードが付属している。

山中真尋さんが手にしているのが、新たに発売される「ドラゴンクエストX リンベリィぬいぐるみ」だ。

「ドラゴンクエストX」を盛り上げる様々な効果音ができるまで

続いて「開発者座談会 <サウンド篇><運営篇>」のコーナーに。こちらでは、「ドラゴンクエストX」を裏方として支えているサウンドチームと運営チームが登壇。それぞれ普段どのようなことを行っているのか、紹介が行われた。

サウンドチームが関わっているものには、BGM(楽曲)データ、SE(効果音)データ、ボイス(音声)データの3種類がある。BGM(楽曲)データは、先日2020年度の文化功労者にも選出された作曲家のすぎやまこういち氏が作曲した楽曲を、サウンドチームがデータ化してゲームに実装している。

楽曲には、「ドラゴンクエストX」のオリジナルとして発表されたものと、既存の「ドラゴンクエスト」シリーズで使用されたものがあるが、これらのすべてを聴感上違和感なく音量などに違和感がないように、調整が行われている。フィールドやバトルなど、楽曲が再生されている間は途切れることがないように繰り返し再生されるように、ループを組むという作業をも行われている。

SE(効果音)データは、画面の中で行われているものの演出として、「効果を生み出すことを目的にした音」のことを指している。これには、大きく分類して現実的(リアルな音)な音と非現実的な音(ファンタジーな音)の2種類がある。

現実的な音の代表としては、足音や風、鎧がすれる音などがある。これらは現実世界で実際収録されているものが使われているのだ。こうした実際の環境音を録音することを「フィールドレコーディング」、足音などの動作音を録音することを「ホーリーレコーディング」と呼んでいる。これら以外にも、社内のライブラリからピックアップしてイメージに合うように効果音が作られているのだ。

実際にリアルな世界で音を収録して加工したものが、ゲーム内で使われている。

非現実的な音としては、バトルシーンのエフェクトSEなどで使われているもがある。こうしたものは現実世界にはないため、絵を見ながら合った音を想像して作られている。爆発音などリアルな音にシンセサイザーなどを重ねて作成されているのだが、「ドラゴンクエストX」の仕様上バトルシーンと効果音の発音数と容量メモリーに制限がある。そのため、なるべく少ない音数で効果音が作られているそうだ。

通常はひとつの効果音につき、2トラックで完成するように工夫されている。ボスが放つ大技など、より派手なエフェクトの場合でも最大4トラック程度で作られているという。

ちなみに堀井雄二氏によると、元々「ドラゴンクエスト」の呪文は音から名付けられているものが多い。火なので「ギラ」「メラ」、風だから「バギ」といった感じだ。堀井氏は、そうしたものを実際の音にしてもらえたのは嬉しいと語っていた。

またバトルシーンのSEは、こちらも仕様上の制限から256のプリセット波形から音が作られている。実際にバトルシーンに適しているのは、そのなかでも20数弱程度だ。そのため、実は同じ音色の波形で作られたものでも、異なる印象のものがある。

たとえば、メラミのヒット音と大型モンスターの足音は、まったく違った音に聞こえるのだが、これらは同じノイズ音と爆発音を重ねて作られている。

また、長年続くシリーズだけに、決まった音として記号のように扱われているものもある。たとえば、ルーラの音やマップの移動音、攻撃ミスの音などがそれにあたる。ファミコン時代から継承されているものだが、譜面は存在しないため過去作から耳コピして作られているという。

こうした音は、効果音から始まり現在の最新バージョンである5.3までで数えると、すでに何万という単位になっている。

ボイスは、収録された音声の切り出しから始まる。収録された音声は、前後が編集された状態にない。まずはそこから、吹き出しに合わせてひとつのデータとして作成していくことになる。

「ドラゴンクエストX」では、大きく分けてふたつのファイルに分類される。ひとつは、ウィンドウボックス上の吹き出しの音声で、もうひとつは動作に合わせたアドリブの音声だ。

切り出した音は音量の調整を行う。これは、収録した音声をそのままゲームに実装しても、ボリュームが小さくて聞こえないためだ。そのため、音楽や効果音に合わせて音声の音圧も上げている。ちなみに音圧を上げた状態でボイスを収録すると音が割れる可能性があるので、音を下げた状態で収録しているそうだ。

ボリュームの調整には、コンプレサーやイコライザーで音を整えたあと、「さしすせそ」などの破擦音を「ディエッサー」というプラグインで軽減。最後はAI機能で自動調整してくれるマキシマイザーの「Ozone」を使い、音を作り上げている。

DAWを使った一般的な音楽作成と同じように、各種プラグインを活用して音声のデータを整えている。

また、モンスターに変身した音声やホログラフ映像、ドア越しの音声、離れた人に届くような音声などでは、エフェクターやギター用のアンプシミュレーターなどのプラグインを活用して特殊加工が行われている。

「ドラゴンクエストX」を裏で支える運営チームのお仕事

続いて運営チームより日々行っている仕事の紹介が行われた。開発・運営チームと併記されることが多いが、オンラインゲームはこのふたつのチームが両輪で動かしているのがほとんどだ。今回はその中から運営にスポットライトを当てた話しである。

運営チームに含まれているものには、宣伝やサポート、監視、STF(スペシャルタスクフォース)などゲームの動向調査やアップデート、イベントの告知、ゲーム内トラブルの対応、ネットワークなどの障害監視、RMT行為への対応、継続的なプロモーションなどがある。

運営チームの仕事には、コミュニティ調査や緊急対応、告知作成、運営イベントの実施、目覚めし冒険者の広場の運用などがあり、そのなかのコミュニティ調査ではネット上に寄せられるユーザーの意見からレポートを作成して開発チームに伝えるというようなことを行っている。

この中には、目覚めし冒険者の広場の「提案広場」のほか、ツイッターや個人のブログなども含めて広く調査している。こちらから、バージョンアップのリアクションや今遊んでいるコンテンツの感想をまとめてレポートしている感じだ。

これに平行する形で行われているのが、数値調査だ。遊んでいるユーザーの数やコンテンツごとの遊ばれている状況なども実施している。こちらは、ユーザーの声だけではわかりにくいため数値で見られるようにしているといったものだ。

イベントの前半最後に行われたのは、「ハロ散歩!」のコーナーだ。こちらは、堀井雄二氏のキャラクターゆうぼんと青山プロデューサーのキャラクターがゲーム内の街を回るというもの。この日はハロウィンということもあって、事前にユーザーには仮装した格好で集まってもらうように告知が行われていた。

一部の街では人が集まりすぎてなかなか移動できないという場面もあったが、どこも人だかりができてかなり盛況であった。

声優陣による生朗読劇「アストルティア拾遺譚」

3時間のインターバルをはさみ、16時半からは「ドラゴンクエストX秋祭り2020」の第二部がスタート。まずは朗読劇「アストルティア拾遺譚」が行われたのだが、一部に続きこの朗読劇の演出も担当した佐野瑞樹さんと、声優陣から伊東健人さん、山中真尋さん、そしてイルーシャ役の茅野愛衣さん、ボンジリ役の相楽信頼さん、サティ役の渋谷彩乃が登壇した。

序盤はややシリアスな内容だった「アストルティア拾遺譚」。全部で3幕構成の朗読劇であったが、最後は会場や配信を見ているユーザーとのやりとりするような場面も盛り込まれており、会場からも大きな笑いと拍手が沸き起こる大団円となった。

「アストルティア拾遺譚」の演技が終わった後のアフタートークでは、演出を担当したほか、劇中にオリジナルキャラとしても出演した佐野瑞樹さんは、「今回の演出ではキャラクターを押し出して自分の趣味を入れずに、しっかりとみなさんにお届けしたいという思いで演出させていただきました」と感想を述べていた。

「アストルティア拾遺譚」の演出を担当した、俳優の佐野瑞樹さん。

「ドラゴンクエストX」は10年以上も続けていきたい

この日最後に行われたコーナーが、青山プロデューサーがユーザーの質問に答えていく「教えて青山さぁぁぁぁぁん!」だ。事前にユーザーから多くの質問が寄せられていたそうだが、こちらではその中から、ゲーム内容に関係するものを抜粋してご紹介していく。

まずは、「ドラゴンクエストX」が10年に向けての構想についての質問だ。「10年遊ぶゲーム」と言われている本作だが、すでに8年目を過ぎているということで、気になっているユーザーも多いことだろう。これに対して青山プロデューサーはここだけの話しとして、このような話題が出るきっかけについて語った。

今から遡ること9年前。メディアを呼んで「ドラゴンクエストX」の発表会が行われた。青山氏はそれを1番後ろから見ていたそうだが、本作がオンラインになると発表された瞬間、メディア陣がずっこけたように見えたという。

この当時、「ドラゴンクエスト」をオンラインにするというのはかなり否定的に捉えられていた。そこで、前プロデューサーの齊藤陽介氏は「10年続ける」と語ったのだ。これは、オンラインにした瞬間すぐに終わると思われている中での発言だったのである。つまり、その状況でいった「10年」は「永遠に続ける」というニュアンスに近いものだったのだ。

現プロデューサーの青山氏もこの意志を受け継いでおり、10年と言わず長く続けていきたいと考えているそうだ。バージョンに関してもどんどん上げていく予定ではあるが、とはいえサービスはボランティアで行われているわけではなく、利益を出す必要がある。

この8年という長いスパンで見ると、明日すぐに終わるという状況ではないが、だんだんユーザーの数も下がってきているのはたしかだ。そのため、どこかの時点で利益的に厳しいポイントが訪れる。そのときに、サービスを終わらせるという選択肢もあるが、青山氏としてはコストを減らしても長く続けていきたいと考えているという。

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次の質問は、「ドラゴンクエストX」に明確なラスボスは存在するのかというものだ。いくらオンラインゲームで終わりがないとはいえ、ストーリー的にはある程度の区切りは必要であると考えているユーザーも多いのだろう。これに対してディレクターの安西崇氏は、開発初期当時に最終的なラスボスとして据えられていたのは「異界滅神ジャゴヌバ」であると明らかにした。つまり、今はそれに近づきつつある状況ということになる。

そうなると気になるのは、ラスボスを倒した後の話だが、こちらについては「もう作り始めています」と、力強く語った安西ディレクター。会場からは驚きの声が上がったが、青山プロデューサーは「正式じゃないですよ!」と慌てる様子で、突然スタッフから飛び出した爆弾発言の火消しをしているようだった。

実際には配信されてからのお楽しみということになるかもしれないが、この部分に関してはシナリオチーフの成田篤史氏と長い間議論を交わしているそうだ。

安西ディレクターから語られた今後の展開に、会場全体が衝撃を受けた。

最後の質問は、現在欠番になっているクエストNo.257はいつ配信されるのかというものだった。実はこちらは、預かり所解放クエストの予定だった。バージョン4のときに作ろうとしていたのだが、クエストをしなくとも解放するように変更したため、欠番になっているという。今後このクエストが実装されれば、預かり所の枠が増えるそうだ。

最後にイベントのプレゼンとして、最カメラで使えるフィルターが増やせるレンズというアイテムが紹介された。

というわけで、長丁場だった久々のイベントもこれにて終了。最後に堀井雄二氏からは、「ドラゴンクエストは来年で35周年を迎えます。それに合わせていろいろと発表できると思います。このアストルティアでも楽しいことがいっぱいいっぱい待っています。これからもドラゴンクエストをよろしくお願いします」と熱いメッセージが語られ、イベントを締めくくった。

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