スクウェア・エニックスは、2021年9月19日~22日にかけて拡張パッケージ「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」のメディアツアーを開催した。ここでは新ジョブ「リーパー」「賢者」のプレイインプレッションをお届けする。
「ファイナルファンタジーXIV」の公式生放送「第66回プロデューサーレターLIVE」などでも触れられたとおり、メディアツアーは拡張パッケージのメディア向け試遊イベントだ。従来は海外で行われていたが昨今の世情を鑑み、今回はスクウェア・エニックス社内で日本向けのメディアツアーが実施された。
本稿では、体験できた内容のうち「リーパー」「賢者」について紹介している。その際、新ダンジョンの一部をフェイスで攻略した動画も掲載しているのでネタバレには注意してほしい。また、できるだけ分かりやすいよう既存ジョブのイメージで説明している部分もあるが、これは2021年9月時点(パッチ5.58)でのジョブを指している。
プロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏へのインタビューや、その他のジョブについては別記事で紹介しているのでこちらもあわせてチェックしてほしい。
※このバージョンは最終調整前のものであり、リリース時には大きく変更される可能性があります。また、画像も最終調整前のものであり、リリース時には大きく変更される可能性があります。
まずは6.0で行われる主なバトル関係の変更のうち、新ジョブにも関連する部分をおさらいしておこう。
- 主要なアビリティのリキャストが60秒/90秒に寄せられる(※すべてが対象ではない)
- 遠隔攻撃でコンボが中断されなくなる
- 武器の物理攻撃の基本性能の値を、同レベルの魔法基本性能の値と揃えるよう変更(※従来より物理攻撃の威力の数値が減少したように見えるのはこのため)
- 牽制/アドルの効果が変更(※効果量はそれぞれ異なるが、どちらも物理/魔法攻撃のダメージを減少させるようになる)
- ヒーラーに単体バフ付与アクションを追加
- ヒーラーの攻撃魔法の詠唱時間を短縮
- ヒーラーのリミットブレイクの効果範囲が50mに拡大
とくに大きな変更として、Lv50~Lv80の装備パラメータの上昇幅を抑える「デノミネーション」がある。これに伴い敵もプレイヤーもHPやダメージなどの数値が大きく下がっているが、あくまでこれは相対的なもの。今まで以上にIDや討滅戦などの攻略に時間がかかるようになるわけではない。
例えば、2021年9月時点で平均IL520前後のジョブはHPが概ね10万以上となっている。デノミネーションに対応済みのメディアツアーでは、各ジョブのHPはその半分以下だ。しかしフェイスでのID攻略速度でも、とくに変化を感じることはなかった。最初こそ数値上の落差に驚くかもしれないが、プレイの感覚は一切変わらないので安心してほしい。なお、人数制限解除ではデノミネーション後も従来に近いバランスとなるよう「超える力[強]」が付与される。
レムール状態のスピード感が楽しいDPS「リーパー」
近接DPS「リーパー」はガレアン族を由来とするジョブで、魔法に変わる手段として妖異「アヴァター」と契約。農耕民族として暮らしていた出自を示すため、大鎌を手に戦う。「ファイナルファンタジーXI」で暗黒騎士の経験があるプレイヤーであれば、武器やウェポンスキル名に懐かしさを覚えるだろう。
リーパーは、いかに素早く自身へアヴァターを憑依させる「レムール」状態となるかがポイントだ。基本的な流れは、まずコンボなどで「ソウルゲージ(上部の赤いゲージ)」を溜める。このソウルゲージを消費して、アヴァターを呼び出すアビリティを使用。すると「シュラウドゲージ(下部の青いゲージ)」が溜まっていく。シュラウドゲージを50消費することでレムール状態に変化でき、テンポよくアクションを繰り出すことが可能だ。
単体へのコンボは「スライス」→「ワクシングスライス」→「インファナルスライス」、範囲コンボは「スピニングサイズ」→「ナイトメアサイズ」となる。それぞれ追加効果でソウルゲージを10上昇させる。
単体攻撃「シャドウ・オブ・デス」と範囲攻撃「ワーラル・オブ・デス」は、自身の与ダメージを10%アップさせる「デスデザイン」を敵に付与する。このデスデザインは暗黒騎士の「○○の波動」で付与される「暗黒」に近いイメージで、コンボを中断せず使えるため更新もしやすい。また、デスデザインの効果時間中に敵を倒すとソウルゲージが10上昇する。
ソウルゲージを溜める上で重要なのが、単体攻撃「ソウルスライス」と範囲攻撃「ソウルサイズ」。この2つはリキャストタイマーを共有して最大2スタックでき、ソウルゲージを50上昇させる。
ソウルゲージが50以上溜まると、アヴァターを呼び出して単体攻撃「ストークスウェーズ」、前方扇範囲攻撃「シーフスウェーズ」、範囲攻撃「グラトニー」が使用できる。すべてソウルゲージが50必要で、なかでも「グラトニー」は威力が高い分リキャストもやや長い。
「ストークスウェーズ」「シーフスウェーズ」を使うと1スタック、「グラトニー」を使うと2スタック、自身に「妖異の鎌」が付与される。シュラウドゲージを上昇させる「ジビトゥ」「ギャロウズ」「ギロティン」は、この妖異の鎌を消費して使用できる仕組みだ。
単体攻撃「ジビトゥ」は側面攻撃時に威力がアップし、追加効果で自身に「ギャロウズ効果アップ」を付与する。同じく単体攻撃「ギャロウズ」は背面攻撃時に威力がアップし、追加効果で自身に「ジビトゥ効果アップ」を付与する。前方扇範囲攻撃「ギロティン」も含めて、使用ごとにシュラウドゲージが10上昇し、シュラウドゲージが50になると「レムールシュラウド」によって自身をレムール状態にできる。なおジビトゥ/ギャロウズ効果アップが付与されている間は「ストークスウェーズ」が「ジビトゥクロウ」または「ギャロウズクロウ」に置き換わる。
レムール状態になると、以下のように一部スキルが置き換わり「ヴォイドリーパー」「クロスリーパー」は「ジビトゥ」「ギャロウズ」のような方向指定もなくなる。
- 「ジビトゥ」→「ヴォイドリーパー」
- 「ギャロウズ」→「クロスリーパー」
- 「ギロティン」→「グリムリーパー」
- 「ストークスウェーズ」→「レムールスライス」
- 「シーフスウェーズ」→「レムールサイズ」
「レムールシンボル」には、効果時間と「レムールソウル(青い魂)」が表示される。このレムールソウルを1消費して「ヴォイドリーパー」「クロスリーパー」「グリムリーパー」が使用できる。すべて単体攻撃だが「グリムリーパー」は威力が少し抑えられている分、距離がやや長めになっている。これらのアクションを使用すると「ヴォイドソウル(紫の魂)」が付与される。
このヴォイドソウルを2つ消費すると、単体攻撃「レムールスライス」、または前方扇範囲攻撃「レムールサイズ」を使える。そしてレムールソウルが1以上の状態で使用できる範囲攻撃「コムニオ」がフィニッシュとなり、同時にレムールが解除される。ここまでがレムール状態の一区切りだ。
「コムニオ」はレムールソウルがすべて残っていても使えるが、残量による変化は特になさそうなので、レムールソウルが1の状態で使うとベストだろう。状況に応じて「ヴォイドリーパー」「クロスリーパー」「グリムリーパー」いずれかを2回連続で使い、ヴォイドソウルを2つ溜めて「レムールスライス」または「レムールサイズ」を使用。同じように繰り返すとちょうどレムールソウルが1残るので、ここで「コムニオ」を使うとすべてのリソースを綺麗に使い切ってレムール状態を解除できる。レムール状態ではガンブレイカーのソイルを使った派生コンボのように、かなりテンポよくアクションを使用できるのが気持ちいい。
このほか、リーパーの特長として前方へ移動する「ヘルズイングレス」、後方へ移動する「ヘルズイーグレス」というアクションがある。使用すると自身の現在位置に「ヘルズゲート」を生成し、効果時間内は「ヘルズイングレス/ヘルズイーグレス」が「リターン」に置き換わり、使用するとヘルズゲートの位置へ瞬時に戻れる。
さらに「ヘルズイングレス/ヘルズイーグレス」には、遠距離攻撃「ハルパー」を無詠唱で使用できる追加効果がある。通常時の「ハルパー」は、ほかの近接ジョブの遠距離攻撃とは異なり詠唱が必要となる。遠距離攻撃でコンボが途切れなくなったこともあり、ギミック回避と無詠唱の追加効果をうまく両立させるのが理想的な立ち回りになりそうだ。
また、永続バフ「ソウルソウ」を自身に付与すると、範囲攻撃「ハーベストムーン」を使用できる。「ソウルソウ」は非戦闘時であれば無詠唱で付与できるので、IDの移動中などこまめに使うとよさそうだ。戦闘中も、ボスに攻撃できない時間などにしっかり使いたいところ。
リーパー唯一のシナジーとなる「アルケインサークル」は、パーティメンバーの与ダメージをアップさせると共に、メンバーへ「供儀のサークル」を付与する。その際パーティメンバーがウェポンスキルや魔法を命中させるとリーパーへ「死の供物」が付与され、死の供物のスタック数によって前方直線範囲攻撃「プレンティフルハーベスト」の威力が変動。死の供物は最大で8スタックできるので、全員が攻撃しているタイミングがいいだろう。
「アルケインクレスト」は、自身の最大HPの10%を吸収するバリア「守護のクレスト」を付与できる。バリアがダメージによって消滅すると、周囲のパーティメンバーへ継続回復の「活性のクレスト」を付与する。
ここまでの紹介をふまえ、一通りのアクションを使用している動画を用意した。それぞれのアクションのエフェクトなども確認してみてほしい。
また実践形式として、リーパーでID「ゾットの塔」の1ボスまでフェイスで挑んでみた。動きが非常に拙いのはご容赦いただきつつ、リーパーのイメージを掴む一助となれば幸いだ。なおレベルは82シンクのため、紹介したすべてのアクションは使用できていない。
非常に短い時間の中で触れられた範囲の総括となってしまうが、まず率直に“刈り取る者”というイメージを体現したアクションがとても格好いい。レムール状態での変化する姿も、スピーディに切り刻めるアクションも、一気に畳みかけて大技を繰り出す瞬間もすべてが爽快。コンボも直感的に繋げられるので、これまであまり近接ジョブを使ってこなかったプレイヤーも取っつきやすそうだ。
一方で、適切なコンボを繰り出していかに素早くレムール状態へ移行できるか、ギミック回避時もDPSを落とさない移動アクションの有効活用がプレイヤーの腕の見せ所となりそうだ。
また、リーパーのAFはロスガルやヴィエラでも頭装備が表示される。現状では珍しい帽子をかぶった姿になれるので、オシャレの幅を広げたいプレイヤーもレベル90を目指して損はないだろう。
攻撃と回復を同時に行える、テクニカルなバリアヒーラー「賢者」
「賢者」はシャーレアン魔法大学が、エーテル学と魔法学へ医学を統合して生み出した新たな学問「賢学」のエキスパート。どうやらアルフィノもメインストーリーで賢者となるようなので、その経緯も含めて気になるところ。
彼らの扱う「賢具」から放たれるアクションは、魔法というよりレーザービームのような印象。音も、いわゆる魔法というより、どちらかというとデジタル的というか機械音のようなイメージが強い。賢具の規則正しい動きも、SF作品に出てきそうなものになっている。
賢者がまず行うのは「カルディア」の付与で、イメージとしては踊り子の「クローズドポジション」が近い。カルディアを付与した対象は、プレイヤーが攻撃を行うと回復の追加効果を得られるようになる。純粋な回復魔法と比べたら回復量はそう多くはないが“攻撃した分だけ対象が回復する”という点が面白い。
もう1つキーとなるアクションが「エウクラシア」だ。これは一部の魔法の性能を変化させる永続バフで、対象の魔法を使用するまではジョブHUDの「エウクラシアシンボル」が輝くので分かりやすいだろう。
エウクラシアを使用すると単体回復の「ディアグノシス」が単体バリアの「エウクラシア・ディアグノシス」に、範囲回復の「プログノシス」が範囲バリアの「エウクラシア・プログノシス」に、単体魔法攻撃の「ドシス/ドシスII/ドシスIII」が30秒継続ダメージを与える「エウクラシア・ドシス/ドシスII/ドシスIII」に変化する。エウクラシアを使用した魔法は詠唱がなくなり、すべて即時発動となる。
続いて、ジョブHUDを見ていこう。この「アダーゲージ」上部にある丸いアイコンは回復アクションで消費する「アダーガル」で、時間経過で付与される。白魔道士の「ヒーリングリリー」に近いが、戦闘状態で一定時間が経過すると付与される白魔道士に対して、こちらのアダーガルは非戦闘状態でも付与される。また、コンテンツに突入時は最初から3スタックになっているので、ゲージが溜まるまで待つ必要はない。
アダーガルを消費すると、対象のHPを回復する「ドルオコレ」、範囲回復の「イックソコレ」、一定時間パーティメンバーの被ダメージを軽減+継続回復する「ケーラコレ」、対象のHP回復と被ダメージを軽減する「タウロコレ」を使用できる。こちらは学者が「エーテルフロー」を消費して行うアクションに近い。いずれも自身のMPを回復する追加効果があり、アダーガルを1つ付与する「リゾーマタ」もある。なお、軽減効果を持つ「タウロコレ」と「ケーラコレ」は同時に付与できない。
ゲージ下部のひし形アイコンは、攻撃アクションで消費する「アダースティング」だ。「エウクラシア・ディアグノシス」で付与されたバリアがダメージを吸収して消滅した際に付与される。このアダースティングを消費すると、範囲魔法攻撃「トキシコン/トキシコンII」が使用できる。タンクへこまめに「エウクラシア・ディアグノシス」を付与しておけば自然と溜まるので、回復がそのまま攻撃へのリソースになるというわけだ。
攻撃アクションには最大2チャージできる範囲攻撃魔法「フレグマ/フレグマII/フレグマIII」、自身の周囲が対象の範囲攻撃魔法「ディスクラシア/ディスクラシアII」もある。さらに前方直線範囲攻撃魔法「プネウマ」には、自身と周囲のパーティメンバーを回復、カルディアの対象となっている相手のHP回復、被ダメージ軽減といった多くの追加効果が備わっている。
「ケーラコレ」「プネウマ」の効果は占星術師の「運命の輪」のようなイメージで、自身を中心に発動して範囲内の対象へバフを付与する。敵またはパーティメンバーに向かって素早く移動する「イカロス」を活用し、パーティメンバーの立ち位置を見極めてアクションを使用する……といったイメージだろうか。
さらに回復アクションには、継続回復を付与する「ピュシス」「ピュシスII」がある。それぞれ回復力や範囲などが異なり、「ピュシスII」には対象の回復魔法の効果を上昇させる追加効果もある。カルディア付与対象へ発生する攻撃魔法のHP回復効果を一定時間2倍にする「ソーテリア」、1回の回復魔法の効果を2倍にする「ゾーエ」、自身またはパーティメンバー1人の回復効果を上昇させる「クラーシス」、即時発動できる範囲回復「ホーリズム」は、さまざまな局面で有効に活用したいところ。
対象が単体の「ハイマ」、周囲の「パンハイマ」は使用するとダメージを軽減するバリアと、5スタックの「ハイマ/パンハイマの印」が付与される。バリアがダメージを完全に吸収して消滅すると印を1スタック消費してバリアを付与し直し、効果時間が経過した際はHPを回復する。随時使用してもほぼ無駄にはならないだろうが、複数の敵から攻撃を受け続ける、ボスから連続攻撃を受けるなどの状況でより効果を発揮しそうだ。
このほか「エウクラシア」で付与したバリアを解除する代わりにHPを回復する「ペプシス」というアクションも。蘇生アクションは「エゲイロー」という名称になる。
リーパーと同様に賢者でもID「ゾットの塔」の1ボスまでフェイスで挑んでみたので、参考にしてほしい。
賢者の使用感を簡単にまとめるなら、キャストタイムが短縮されているのもあってテンポよく回復を兼ねて攻撃ができる。攻撃しながらある程度の回復もできるという点は、フェアリーが自動で「光の癒し」を行ってくれる学者とも近い。フェアリーは特定の相手に限らずパーティメンバーが恩恵を受けられるアクションも多いが、賢者はよりカルディアを付与した相手へのアクションに特化している印象だ。
一方、学者の「連環計」や占星術師の「ディヴィネーション」などのようなシナジーアクションは所有していない。自身がダメージを稼がなければならない状況も考えると「アダースティング」はしっかり確保してダメージソースとして使い切りたいところ。「アダースティング」はバリアを使い切ると付与される点からも、MTの回復を中心に行うのがいいかもしれない。8人のパーティプレイで実際どうなるのか、非常に楽しみなジョブだ。
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