Activision Blizzard Japanは、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用ソフト「オーバーウォッチ 2」について、6v6から5v5に変更した理由や今後の方針などを、ゲームディレクターのアーロン・ケラー氏より発表した。
今回の発表は、今後の「オーバーウォッチ」コミュニティ全体としてゲームを作り上げていく上で、重要な考え方の前置きとなるような内容となっている。本文では、「5v5に移行した理由」や「今後の方針」など、開発チームのリアルな声が幅広く展開されており、マッチの多様性を解決するための「6v6とは別のテスト」などの話題についても注目だ。
以下、アーロン氏からの発表を一部抜粋したものとなる。全ての発表内容は公式ブログをチェックしてほしい。
以下、発表情報をもとに掲載しています
過去のフォーマット大変更
これまで、フォーマットの大変更は3回ありました。
1回目は初代「オーバーウォッチ」のリリース直後に実施した「ヒーロー制限」です。ヒーローの重複は、当時のヒーローの少なさからも、必須といえる要素でした。ヒーローが増えていき、重複への依存度が減るにつれて、同じアビリティを畳みかける戦略は面白さに溢れる一方で、バランス調整をより一層難しくしていました。
そこで私たちは「ヒーロー制限」を考案しました。この制限のおかげで、同じアビリティの畳みかけという問題は見事に解決し、マッチの品質とバランスも向上しました。「マッチの多様性、そしてプレイヤーの自由度と戦略を狭めることで、マッチのバランスと競技性を確保する」という考え方は、その後もチームの方針となりました。
2回目の大変更は、「オープンキューからロールキューへの移行」です。チームをタンク2名、ダメージ2名、サポート2名で構成する条件を追加しました。マッチメイキングにロール別の評価が導入されたことで、プレイヤーのマッチの品質が大幅に向上しましたし、ロールごとのアイデンティティと役割もより明確になりました。
一方で、待ち時間の大幅な増加というデメリットもありました。タンクで遊んだプレイヤーから優先的にマッチメイキングに組み込む「優先パス」システムなど、待ち時間を緩和しようとさまざまな策を講じましたが、その効果も数週間で薄れていきました。
ロールキュー導入の弊害はほかにもありました。「2-2-2」に制限することはゲームプレイを安定させ、展開自体の“均一化”も生み出しました。オーバーウォッチをオーバーウォッチたらしめる「ヒーローを選べる自由」を犠牲することで導入された施策といえます。
そして上記の問題と待ち時間に対処するべく私たちがとった3回目の大変更が「6v6から5v5への移行」です。
5v5に移行した理由
「オーバーウォッチ 2」のリリース当時、「プレイヤー個人の自由度が5v5の環境下でどの程度広がるだろう」とチーム内で話し合っていたことを覚えています。「オーバーウォッチ」はチーム競技ともいえるゲームです。マッチに勝つには、プレイヤー同士の協力が不可欠。チームの息があっていないと、ストレスを溜めることになります。
6v6のマッチには特にこの傾向が見られ、どちらかのチームのアルティメットが貯まるまで膠着し続けるというケースがかなりありました。上手くいったときの楽しさはものすごく大きいものの、上手くいかなかったときのストレスもまた尋常じゃないくらいに激しい。それが6v6のマッチでした。この6v6の激しいストレスを、高揚感の上限を少し下げつつ緩和することが、5v5の導入時に掲げた目標の1つでした。
「オーバーウォッチ 2」への移行にあわせてFPS要素にも重きを置くことにしたため、ダメージの緩和とクラウド・コントロール(CC)を少なくし、敵を撃ちやすくすることも重要でした。たとえこれらを立て続けに受けたのが生存率の高いタンクであったとしても、受けた時のストレスを考えれば、ライフが底をつく前に精神面がやられることでしょう。こうした要素も5v5への移行に関わっていました。
5v5に移った理由をいくつか述べてきましたが、5v5への移行が生んだ特に大きなメリットといえば「待ち時間の大幅な減少」です。ここで、6v6の頃からどのくらい待ち時間が減ったのかはブログをご確認ください。
今後の方針
今後は異なるチーム編成のフォーマットが試せるイベントをいくつか実施することを考えています。コミュニティからも、「さまざまな形式の6v6をテストして、データやフィードバックを集めるのもいいのでは?」という声が出ており、開発チームとしても同意見でした。現在チームはプレイヤーの皆様のフィードバックを参照しつつ、テストの実施時期はすぐに実現できないことが予想されていますが、どのように公開テストを実施しようか検討を重ねています。
また、一部の方から「マッチ間のバラエティが乏しく、どのマッチも同じように感じる」、「マッチが代り映えしなくなったのは5v5のせい」という意見があがっており、5v5そのものを変えなくても、以前起きていた問題を別の方法で解決することで、マッチの多様性をある程度取り戻せると考えています。
そこで、問題の解決方法を練り直すべく、6v6とは別のテストを合わせて実施予定です。こちらの検証は、シーズン13の間に最低でも1回、「クイック・プレイ:HACKED」のイベントとして行う予定です。
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